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「3.9Gはどうなる?」、総務省で公開ヒアリング

 7日、総務省で「3.9世代移動通信システム及び2GHzギガヘルツ帯TDD移動通信システムの導入に係る公開ヒアリング」が開催された。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルがそれぞれの立場から免許割当方針などへの意見が述べられた。


3.9Gと2GHz帯TDDシステム、免許割当スケジュールの案

今後のスケジュール

今後のスケジュール
 携帯電話は、アナログ方式を第1世代として、デジタル化した第2世代(2G)、さらに発展させた第3世代(3G)という形で発展してきた。2Gは、国内ではPDCと呼ばれる方式が主流となり、海外ではGSM方式が主流だ。日本は、世界に先駆けて3Gが普及し、ドコモのFOMAやソフトバンクの3GはW-CDMA方式、auはCDMA2000方式を採用し、サービス展開している。最近では、3G方式をさらに発展させた3.5Gの規格が相次いで商用化されている。その一方で、将来の発展を見据えて次世代通信技術の開発も進められている。3Gの次といえば、4Gとなるはずだが、4Gについてはまだきちんとした規格が定まっていない。一方、3Gの発展版は規格がある程度固まってきている。

 3.9Gという言葉は、4Gの一歩手前ながら3Gの延長上、という意味合いで用いられており、総務省でこれまで進められた議論により、国内で採用する3.9Gの方式には、W-CDMAの発展版である「LTE」(Long Term Evolution)と、CDMA2000陣営の「UMB」(Ultra Mobile Broadband)の2つが候補となった。また、3.5Gの発展版として、HSPA evolution(ESPA+、eHSPA)やDC-HSDPA(Dual cell-HSDPA)が存在する。一方、2GHz帯のTDDシステムについては、2005年11月にアイピーモバイルに対して免許が割り当てられたものの、2007年10月に同社が破産し、免許を返上。その後あらためて議論が進められ、対応方式のTD-CDMA、TD-SCDMAに加えて、新たにモバイルWiMAX、IEEE802.20 625k-MC(iBurst)、次世代PHS、UMB-TDD、E-UTRA(TDD版LTE)の5方式も候補に加えられた。

 3.9Gは800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯での展開が想定され、最初は1.5GHz帯で割り当てられる予定。3.9GHz帯と2GHz帯TDDシステムは、2009年初頭に免許方針案が示され、電波監理審議会の答申を受けて免許方針が決定した後、立候補を募り、2009年春頃に免許割当先が決定する。早ければ、免許割当から1年後の2010年春にサービスが開始される、という流れとなる。


3.9G向けの技術 2GHz帯TDDシステムの技術
3.9G向けの技術 2GHz帯TDDシステムの技術

トラフィック急増、「電波が足りない」

 今回の公開ヒアリングは、3.9世代(3.9G)の移動通信システムと、アイピーモバイルの免許返上を受けた2GHz帯のTDDシステムについて、関係者からの意見を求めるため、開催された。4社の主張は、3.9Gの割当に関わるもので、2GHz帯TDDシステムに対する意見はなかった。

 4社の意見はいずれも「データ通信量が増大しており、電波が足りない」と厳しい現状を訴え、免許割当方針に注文を付けた格好となった。ただ、「電波が足りない」とする背景は、それぞれ理由が異なる。ドコモやKDDIは、パケット通信の定額制サービス導入を契機に、通信量が増大し、特に最近では動画コンテンツの利用が拡大していると指摘する。一方、ソフトバンクは、iPhoneの導入で通信量が急拡大。ソフトバンクモバイル取締役専務執行役員兼CTOの宮川潤一氏は「2年前のボーダフォン買収時、月間1000万パケットは1人か2人というレベルだったが、先月の時点では1億パケット以上は100人を超えている。iPhoneで24時間動画を視聴すると1億パケットに軽く届くが、これは平均の数百倍。どんどん制御できないレベルになりつつある。約5万パケットで定額制上限になるが、トラフィックを増やさず、いかにうまく料金をいただくか、検討しているところ」と通信量が爆発的に増えている状況を説明した。

 また、イー・モバイルは、上り下りあわせて10MHz幅でサービス提供し、他社より利用できる帯域幅が少ない。同社代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏は「現在80万ユーザーいるが、ユーザートラフィックは月間2GB程度。9割がデータ通信ユーザーだが、10MHz幅しかなく、他社と比べ不利な状況。LTE導入では、各社平等になるよう割当してほしい」とした。


導入スケジュール、割当方針への意見

ドコモ経営企画部長の加藤薫氏

ドコモ経営企画部長の加藤薫氏
 今回意見を述べた4社は、いずれもUMBでなく、LTEを採用する方針だ。なかでもKDDIは、これまで採用してきた方式と異なる路線のLTEを採用することになる。KDDIのLTE採用は、7月の決算会見でもある程度方針が示されていたが、決定事項として明言されたのは今回が初めて。

 方式は共通化するものの、導入スケジュールや割り当てるべき周波数帯については、各社ごとに意見が異なる。NTTドコモは、従来通り、2010年の導入を検討している。ただしFOMAのスタート時を踏まえ、LTEでは海外より飛び抜けて早い段階で導入することに慎重な姿勢を示しており、国内外の情勢を見極めてから正式導入に踏み出す見込みだ。またエリア展開については、通信量の多い都市部から導入していく構えで、免許割当で人口カバー率による過度の制約をしないよう求めている。

 周波数帯については、総務省案では1.5GHz帯も3.9G用とされているが、ドコモでは「ITUのIMTプランバンドではなく、1.5GHz帯であれば装置開発や端末調達に時間がかかる可能性がある。欧州は2.6GHz帯を利用するとしているが、海外事業者と話していると、『既存の通信事業者が2.6GHz帯を獲得できるとは限らない』という話もある。その場合は2GHz帯を利用せざるを得ず、2GHzがLTEの世界標準になる可能性が高い」と指摘している。また、割当幅については、下り150Mbpsとも言われるLTEの最大性能を実現すべく、20MHz幅での割当が望ましいとしながらも、複数の事業者が名乗りを上げた場合は、5MHz幅単位ではなく、1社あたり10MHz幅以上として、比較審査すべきとした。質疑応答の際には、VoIPについても質問が行われたが、ドコモは「通常の音声通話品質にする場合、HSPAでのVoIPは効率が悪いが、LTEでは同品質のサービスを提供できると考えている」とした。


KDDI副社長の伊藤氏

KDDI副社長の伊藤氏
 KDDIでは「イノベーション喚起のため2012年ごろには国内に3.9Gシステムの導入が必要。KDDIとしても同時期に35MHz×2という保有帯域を使い切る」として、3.9Gの円滑導入のためには、2012年より前のタイミングで1.5GHz帯が必要とアピール。肝心の3.9Gには、「コスト面や国際動向、将来の発展性を踏まえてLTE導入を決定した」(KDDI副社長の伊藤泰彦氏)と宣言した。

 割当幅は、10MHz幅×2(上下)以上が望ましいとしたほか、IMTバンドの800MHz帯と2GHz帯を持つ事業者は、LTEを800MHz/1.5GHz/1.7GHz/2GHzのどこで使うか、事業者自身が選択できることが望ましいとした。また伊藤氏は「WiMAXはインターネット的なサービスとなり、LTEはケータイ的になる。つまり、WiMAXは個人が1アカウントを保有し、そのアカウントで多数の機器が通信するというイメージ。一方、LTEは従来の携帯電話と同じく、常に持ち歩くパーソナルエージェントになる。ケータイ的なものとインターネット的なものは割と分けなければいけないと考えている」と将来像を描いた。


ソフトバンクモバイルCTOの宮川氏

ソフトバンクモバイルCTOの宮川氏
 ソフトバンクモバイルは、LTEの前にHSPA evolutionを導入する考え。宮川氏は、「iPhoneのような端末をリリースしたこと、他社にはある800MHz帯が当社にはないことなど、ソフトバンクは他社と事情が異なる。当社では700〜900MHz帯のことを“黄金バンド”と呼んでいるが、ここを持っていない事業者のことも考慮して割り当てて欲しい」とアピール。今後は、HSPA evolutionをまず導入し、W-CDMA方式とLTEに対応したデュアルモードのチップセットが登場する時期(2012年頃)にLTEを導入するとした。導入時期が2012年頃と、他社より遅くなる可能性を指摘された宮川氏は、「可能であればHSPA evolutionではなく、最初からLTEを導入したいし、データ通信サービスであれば先に提供できるだろうが、10MHz幅の割当になって、その他の周波数帯を獲得できなければ、LTEよりも3.5Gユーザーを守るため、音声サービスをサポートした。状況を見ながら2GHz帯でLTEを進めたい。デュアルモードチップの登場時期が早まれば、当社のLTE導入時期も前倒しできる」とした。割当については、「周波数逼迫度の高い事業者を優先すべき」「700〜900MHz帯の割当があれば、800MHz帯を保有していない事業者を優先すべき」とした。


イー・モバイル社長のガン氏

イー・モバイル社長のガン氏
 イー・モバイルは、データ通信サービスとADSLのトラフィックを比べて、どちらも似た傾向にあるとして、LTE導入の影響でモバイルブロードバンドは「ADSLと同程度の速度になると見ている」(ガン氏)として、固定通信の競合になり得ると指摘。2011年から東名阪でサービスをスタートする予定であるものの、「一気にLTEを全国展開するのは難しい。当社はFTTHを推進する親会社もなく、高速化する無線インフラを気兼ねなしに展開できる」として、2011年より前にDC-HSDPAを導入するとした。また、周波数割当は、現状同社が利用している帯域と同じ1.7GHz帯を要望。ガン氏は、「最大性能を得られる20MHz幅は理想だが、1.7GHz帯は当社に割り当ててもらえれば、1.5GHz帯は10MHz幅ずつで3社に割当可能で、計4社のサービスが実現する」と説明。10MHz幅で固定されれば、将来的な拡張性が失われるとする指摘については「各社平等な環境になることが第一」として、スペックと平等性はトレードオフの関係にあるとした。

 1.7GHz帯での追加割当について、2005年の免許割当時に「250万ユーザーに達すれば5MHz幅が追加割当される」というルールが定められていたことを指摘されると、ガン氏は「当初の見込みが甘かった。現状は、予想より音声トラフィックが多い。80万ユーザーだが、音声トラフィックは想定の10倍で800万ユーザーレベル」と弁解。また、ガン氏は「当社に割り当ててもらえれば、他社に対して安価な価格設定でインフラを提供する。自社で全て構築する、というプライドを捨ててもらえれば」と提案し、会場が苦笑する場面もあった。

 質疑応答では、各社が同じプラットフォームになることで、SIMロック解除をどう捉えるか、キャリア側に尋ねる場面もあった。ドコモは「LTE開始後すぐ、というのは難しい気がしている」とコメント。KDDIは「現在もインセンティブモデルが続いているが、SIMロックがなければ端末を安く買って、すぐ他社に行くという問題がある。このあたりが公平に解決できれば、いつでも問題はない」とした。

 これらの意見を踏まえて、総務省では来年の免許割当に向けて準備を進める方針。割当方針が開示されるころには、あらためて立候補する事業者からヒアリングが行われる見込みだ。

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URL
  報道資料(公開ヒアリング開催案内)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/081008_4.html

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(関口 聖)
2008/11/07 20:30


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