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ロール部材を使って液晶パネルを連続製造する技術開発

プラスチック素材を使った液晶パネル

ロール状基板を正確に貼り合わせることで、液晶パネルの連続製造に成功
 NEDO技術開発機構(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、次世代モバイル用表示材料技術研究組合(TRADIM)とともに、ロール状の部材フィルムを用いて、液晶ディスプレイを印刷物のようにロール状に巻き出して連続製造する技術を開発した。

 液晶ディスプレイは、TFT基板やカラーフィルタといったガラス素材の基板を1枚ずつ貼り合わせた構造になっている。新開発の技術は、TFT基板やカラーフィルタなどにこれまでのガラス素材ではなく、折り曲げやすくフレキシブルな加工を実現するプラスチック素材を採用。各基板をロールシート状に加工し、これを貼り合わせていくことで液晶パネルの連続的な製造を実現するというもの。

 TRADIMの開発環境では、厚さ0.1mm、幅300mmのカラーフィルタと、厚さ0.25mmのTFT基板を用いて、3.5型カラーTFTパネルを連続製造。駆動回路を接続してディスプレイとして動作させることに成功した。製造されたプラスチック基板によるTFT液晶ディスプレイは、3.5インチ、240×320ドット、厚さ0.49mm(バックライトのぞく)、重さ7gとなっている。通常のガラス基板で作った場合、重さは22g程度になるという。

 各部材をロール状にして連続加工できることから、ガラス基板で1つ1つ貼り合わせていくよりも効率化が図れ、組み立てコストの削減およびエネルギー削減に期待できるという。また、ロール状にまとまるため設備数の削減やクリーンルームの面積低減なども図れるとしている。

 TRADIMでは、4インチまでの液晶パネルの製造を想定して開発を進めている。今回は300mm幅のロールを使ったが1m幅程度までは拡張できるという。

 NEDOとTRADIMでは、「超フレキシブルディスプレイ部材技術開発プロジェクト」を2006年6月からスタート。2010年3月にプロジェクトは終了する予定。2008年夏までに液晶パネル製造における主だった部材のロール化を果たし、これが今回の連続パネル製造の成功に繋がった。基板の貼り合わせには非常に細かい作業と貼り合わせの正確さが求められる。プラスチック素材は温度や搬送時に加わる力で変形しやすいため、精度の高い貼り合わせには不向きと言われていたが、新開発のプラスチック素材は熱などに強いものが採用された。貼り合わせる技術にも新たに力を加えにくい方式が採用された。また、今回の要素技術は、有機ELや有機TFT、太陽電池への展開にも期待できるという。

 NEDOとTRADIMは、プロジェクト終了までに連続パネル製造のプロセスのさらなる効率化を図り、2010年には量産化に向けた研究に入る計画。2010年後半にも実用化を果たしたい考えだ。


カラーフィルタ TFT基板

カラーフィルタとTFT基板を貼り合わせたもの 貼り合わせたパネルの拡大。暗い部分に張り巡らされた回路を正確に貼り合わせる必要がある

バックライト 偏光フィルム

試作品 貼り合わせた基板の構成

NEDO技術開発機構 ナノテクノロジー・材料技術開発部長 寺本博信氏 次世代モバイル用表示材料技術研究組合 部長研究員 江口敏正氏

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URL
  ニュースリリース(NEDO)
  http://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/EF/nedopress.2008-12-05.4362737538/
  TRADIM
  http://www.tradim.or.jp/


(津田 啓夢)
2008/12/05 18:19


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