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ドコモ、2008年度第3四半期決算は減収増益
年間販売台数は2000万台を下回る可能性も

売上高は4.1%減、営業利益は約2割増

ドコモの山田氏

ドコモの山田氏

グラフで見た決算のポイント

グラフで見た決算のポイント
 NTTドコモは、2008年度第3四半期(2008年4~12月)の連結業績を発表した。

 営業収益は、前年同期比4.1%減の3兆3788億円、営業利益は19.5%増の7468億円、税引前利益は12.8%増の7094億円、当期純利益は16.3%増の4377億円の減収増益となった。営業利益の通期見通しに対する進捗率は90.0%となっており、通期の8300億円の計画達成に意欲を見せた。

 営業利益の増減要因では、営業収益では携帯電話収入の減少が2695億円、端末販売収入の増加が1043億円。営業費用では、端末販売費用の減少で3266億円、減価償却費用の増加で243億円となった。

 NTTドコモ代表取締役社長の山田隆持氏は、「解約率が史上最低となっていること、MNPの契約状況の改善が見られること、エリア品質の改善などにより、競争力の回復に手応えを感じている。決算の数値についても、概ね順調だと判断できる。だが、経済環境の悪化や販売制度の変更などによる販売台数減少の影響、国際ローミングの減少、法人向けSI販売の減速などもあり、現場には危機感がある。より良い端末の投入や販売代理店への対応などを通じて、さらなる顧客満足度の向上に取り組みたい」と総括した。


決算総括 決算概要
決算総括 決算概要

端末販売数、下方修正を示唆

端末販売数の動向

端末販売数の動向
 総販売台数は前年同期の1932万台から454万台減少し、前年同期比23.5%減の1478万台となった。一方、MNPを利用した加入者の増減では、12月に1200件の転入超過となり、「2006年11月に最大16万4000件の流出があったが、それがいよいよ転入超過へと転換した」と語った。

 山田社長は、通期の携帯電話端末の販売台数計画について触れ、「年間2000万台前後になる。今後の経済環境の影響次第では、2000万台を下回る可能性もある」として、年間販売台数計画を事実上、下方修正した。中間期決算の発表時点で2200万台に下方修正していたが、これを再度修正したことになる。


オペレーションデータ

 第3四半期までの9カ月累計でのARPU(ユーザー1人のあたりの月間平均収入)は、前年同期の6740円から5820円へと650円減少。減少率は10.0%減となる。第3四半期単独でのARPUは8.9%減の5730円で、そのうち音声ARPUは18.3%減の3340円、パケットARPUは8.6%増の2390円となった。

 ファミ割MAX50をはじめとする新たな割引サービスが、12月末時点で3043万契約と3000万契約を突破し、全契約の56%を占めたほか、新たな販売モデルとして導入したバリューコースの選択率が9割以上を維持。バリュープランの契約数も1648万契約となったという。

 また、第3四半期までの9カ月間累計の解約率は0.49%となり、第3四半期単独では0.44%を達成している。


バリュープランなどの動向 ARPU
バリュープランなどの動向 ARPU

ユーザー満足度向上に関する施策、数値を示した山田氏

ユーザー満足度向上に関する施策、数値を示した山田氏
 山田社長は、「当社にとって大目標はお客様満足度の向上」とし、「聖域のない変革が、まさに実行段階に入ってきている。48時間以内の訪問対応、HSDPAの人口カバー率100%、電池パックの1年無料交換、iコンシェルサービスやフィルタリング機能向上も図っており、25のプロジェクトを動かしている。とくにiコンシェルは、対象機種の45%のユーザーが契約しており、1月19日には40万契約を突破。iチャネルを上回るペースで増加している。端末についても、機能ごとの分類からライフスタイルにあわせて選べるようにした。そのコンセプトは、7~8割の顧客に認識してもらっている」とした。

 パケ・ホーダイの契約数は1575万契約に達し、契約率は36%となった。「動画サービスを考えており、これからも定額制の契約数を増やしていきたい」とした。

 また、国際ローミングについては、「国際サービス収入は自社端末利用の増加もあり19%増。第3四半期には100万人の利用を突破しているが、12月には海外渡航者の減少などにより、利用が減っている」などと語った。


解約率は下がり、MNPは流入超過に転じた FOMAへの移行も進む
解約率は下がり、MNPは流入超過に転じた FOMAへの移行も進む

本四半期で端末ラインナップを4つに分類するようになった 認知率も高いという
本四半期で端末ラインナップを4つに分類するようになった 認知率も高いという

 一方で、movaを2012年3月31日に終了すると発表したことにあわせて、mova関連の減価償却費用として、468億円を前倒しで第3四半期に計上した。また、第4四半期にも130億円の減価償却費を予定し、合計で約600億円を想定している。

 現在、FOMAの契約比率は4749万契約となり、全契約数の87.7%に達しているが、「想定よりも移行ペースは遅れている。景気の影響もそれに影響している。第4四半期以降、movaからFOMAへのマイグレーションに、一層力を注ぐ」とした。

 12月末時点で、movaの契約者は660万契約。現在でも移行プログラムを実施し、一律1万5000円の費用を用意するといった施策を展開している。今後、FOAMへの移行のための費用も増加することになりそうだ。


満足度向上に向けた施策を展開 冬モデルでiコンシェルやiウィジェットをスタート
満足度向上に向けた施策を展開 冬モデルでiコンシェルやiウィジェットをスタート

定額サービスの利用も進んでいる ネットワーク整備について
定額サービスの利用も進んでいる ネットワーク整備について

端末メーカーに研究費用を提供

 同社では、携帯端末メーカーに対して、今年度100億円規模の研究開発費用を提供する考えを明らかにした。

 「魅力ある端末を、タイムリーに、リーズナブルに提供するための仕掛け。当社が権利を持つ部分について開発を進めてもらい、商品力の強化を図る。これに関する知的財産は当社が保有する。魅力的な端末を安くすることができる」などとした。

 そのほか、代理店向け施策の強化として、開通センターの全国共通化による効率化、代理店在庫の全国転用の仕組みの導入などを実施。代理店の運用コストの引き下げを実現しているという。

 在庫に関しては、第1四半期および第2四半期の約380万台に対して、第3四半期は320万台程度にまで削減しているという。


LTEへの取り組み、子供の利用についても触れる

LTEへの取り組み、端末メーカーへの研究費用補助なども明らかにした

LTEへの取り組み、端末メーカーへの研究費用補助なども明らかにした
 今回の会見では、LTEの取り組みについても言及した。

 「2009年度開発完了、2010年度導入という目標に向けては着実に準備を進めている。ドコモ1社が突っ走るのではなく、世界の先頭企業と一緒にやりたい。また、メーカーへの開発投資も行い、2009年度はLTEに関する開発費を引き上げる方向で考えている」とした。

 そのほか、法人需要の低迷が影響していることについては、「SI関連案件では前年同期比で19%程度落ちている。また、音声利用が少ない利用効率の悪い端末は解約するといった動きも出ている」などと語った。

 学校での利用が制限されることでの売れ行きの影響については、「それほど大きいとは思っていない。フィルタリングのような、影の部分だけにフォーカスするのではなく、防犯ベルやGPS機能、通話だけに限定するといった子供向け端末によって、防犯という光の部分から訴求していく」と語った。


人員採用計画

 一方で、人員採用計画についても触れた。

 2010年4月の人員採用計画では、年間360人と、2009年4月採用の300人よりも約2割の増員を図るほか、2009年度には、非正規社員のなかから、正社員契約する人員数を、従来の年間80人から倍増の160人に引き上げる。

 「ドコモグループ各社への技術、ノウハウの継承を考えた場合、新規採用の積み増しが必要だと考えだ。また、非正規社員からの社員への登用拡大は、コールセンターなどにおいて、有能な社員を獲得する狙いから」(山田社長)という。



URL
  NTTドコモ 決算短信
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/library/earnings/

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(大河原克行)
2009/01/30 19:41


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