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ソフトバンク、「インターネットコンテンツ元年」を標榜

ソフトバンクの孫正義社長

ソフトバンクの孫正義社長
 ソフトバンクは、2008年度第3四半期(2008年4月~12月)連結決算を発表した。連結ベースでの売上高は前年同期比3.7%減の1兆9822億円、営業利益は5.6%増の2746億円、経常利益は24.8%減の1744億円、当期純利益は37.6%減の581億円となった。

 代表取締役社長の孫正義氏は、「経済環境が悪化するなか、改めて携帯電話事業をやっていてよかったと思う。予想以上の成果が出ている。また、営業利益が過去最高を更新し、連結EBITDAも創業来最高。純現金収支(フリーキャッシュフロー)予想も上方修正している。だが、今回の決算発表の最大のポイントは、通信料収入が増加したという点。しかも、2009年以降も、構造的に収益が増えることになる。大きな転換点を迎え、潮目が変わったことにある」と総括した。

 経常利益および当期純利益の減益についても、「前年同期にAlibaba.comの上場による一時益があり、これを除くといずれも増益になっている」と説明した。


携帯事業の業績

 移動体通信事業は、売上高が前年同期比5.7%減の1兆1508億円、のれん償却などの連結調整を行ったあとの営業利益は8.8%減の1349億円。

 移動体通信事業は減収減益となったが、移動体通信事業を行っているソフトバンクモバイルでは、連結調整前の営業利益が7.6%増の1468億円となり、「これは、NTTグループでいえば、NTTドコモの業績にあたるもの。事業を運営している会社そのものは増益になっている」とした。

 また、「端末販売は儲かる事業ではない。これは減少しているが、通信料売り上げは増収となっている。これまでは、月月割として、契約者に対して毎月1600円程度を支払っていた計算になるが、これが満期を迎える利用者が増加し、これからはさらに通信料収入が増加することになる。通信料収入はNTTドコモが6.4%減、KDDIは1.3%減となっているのに対して、ソフトバンクだけが増収となっている」などとした。

 なお、移動体通信事業以外のセグメント別の第3四半期(2008年4~12月)業績は、次の通りとなった。

 ブロードバンド・インフラ事業の売上高は前年同期比8.1%減の1784億円、営業利益は20.8%増の366億円。固定通信事業は、売上高が前年同期比1.0%減の2686億円、営業利益は6.6倍の113億円。インターネット・カルチャー事業の売上高は前年同期比7.3%増の1898億円、営業利益は9.9%増の920億円。イーコマース事業は、売上高が前年同期比1.2%減の1926億円、営業利益が30.7%増の38億円。その他事業の売上高は11.2%減の665億円、営業損失は2億円の赤字となった。


オペレーションデータ

 9カ月間の純増数は141万3600件、月間純増数では2008年12月まで20カ月連続で首位となったほか、累計契約件数は1999万件に達し、そのうち、3G携帯電話は1725万件に到達したという。

 第3四半期における解約率は0.91%。3G携帯電話では0.69%となった。「割賦販売で24カ月を過ぎた人の解約率が跳ね上がるのではないかという懸念については、解約率がさらに低下した実績からも影響がなかったといえる。従来は24カ月が平均利用期間だったが、昨年度は28カ月に伸びた。これが割賦販売モデルの浸透により、平均利用期間は39カ月と、3年を超える期間となった。これは我々の想像を超えるもの。今後、これが40カ月以上に伸びるとは思っていないが、30数カ月で推移するだろう」とした。


解約率は低下 端末の利用期間は長期化
解約率は低下 端末の利用期間は長期化

 第3四半期の総合ARPUは4090円となり、前年同期比220円の減少。データARPUは190円増の1790円、総合ARPUに占める比率は43.7%となった。音声ARPUは、前年同期比740円減少の2300円。また、端末割賦請求分を加えた1人あたりの月額支払総額は5770円となり、前年同期5520円から増加しているという。

 「ボーダフォン時代には、データARPUの伸び率は3社のなかで最も低かった。私は、インターネットカンパニーとして意地でもデータARPUを増やしていくと宣言したが、ついに2社を引き離して、最もデータARPUの伸び率が高くなった」と語った。


増益要因について

 一方、ソフトバンクは、2008年度の連結フリーキャッシュフローを1400億円から1500億円に上方修正したことを公表。さらに、2009年度の営業利益目標として4200億円、フリーキャッシュフローで2500億円とした内容について、孫社長自らが説明した。

 孫社長は、2008年度には3400億円だった営業利益を、2009年度に4200億円へと800億円増加できる要因として、通信収益増加で600億円、コスト削減で400億円と、携帯電話事業で1000億円の増益を見込むこと。さらに携帯電話事業以外で200億円の増益を計画し、実質1200億円の増益を見込んでいる一方で、400億円をバッファとして設け、「800億円は自信を持って達成できる数値」などとした。

 通信収益の増加では、契約数の増加、月月割の影響の減少、データARPUの増加の3点をあげる。

 契約数の増加では、一般契約数がボーダフォン買収時に比べて550万件増加する一方、収益に貢献しないプリペイド契約数が100万件に減少していることで収益体質が改善できること、平均39カ月の平均利用期間に伸びたことで、24カ月以降の15カ月間がそのまま通信料収益の上乗せに貢献することを示した。

 また、コスト削減要因としては、端末関連コストにおいて獲得コストや、端末調達コストの削減をあげ、「景気低迷の影響もあり、機能が少ない低価格の端末の販売も増加しており、一台あたりの調達コストが減少していることも影響している」とした。


買収時に比べ、契約数は550万件増加 端末使用期間の長期化で月月割は減少に
買収時に比べ、契約数は550万件増加 端末使用期間の長期化で月月割は減少に

契約時の審査強化で貸倒引当金は大幅減

 そのほか、不正利用の撲滅、与信強化による貸倒引当金関連の改善、さらには携帯電話事業と固定電話事業、ヤフーBB事業の通信3社のシナジー効果もあるとした。

 「割賦販売方式によって0円で端末を手にすることができる仕組みを利用して、『残債があるにも関わらず解約する』といった6カ月以内の短期解約のほとんどが不正利用の顧客であった。不正利用者に、狙い打ちされたともいえる。そこで、昨年7月からガチガチの契約とし、信用調査を通った顧客とのみ契約し、さらに銀行振込契約も厳格にした。純増数への影響を考えながらも、業界で一番厳しい内容とした。一時は割賦債権の貸倒引当金、つまり損失額が四半期単位で100億円を突破したこともあったが、この第3四半期では3億円へと大幅に低下した。これは出来過ぎの数字だが、今後も10~20億円程度で推移すると見ており、改善成果が見られる」と語った。


財務体質の強化をアピール

データARPUの増減率

データARPUの増減率
 携帯電話事業以外の増益については、具体的な事業や規模については触れなかったが、中国でネットオークション事業を展開しているタオバオの業績好調などが貢献する可能性を示唆した。

 一方、孫社長は、「キャッシュフローは大変重要な指標であり、営業キャッシュフローは前年同期に比べて、2135億円改善し、フリーキャッシュフローは2640億円改善した」と、第3四半期までの9カ月間の状況を説明したあと、「2009年度には2500億円のフリーキャッシュフローを計画しているが、これは日本のすべての上場会社のなかでトップ10入りは間違いない。5位か、6位に入るだろう。ソフトバンクは、インターネットの事業を行い、いつも危なっかしいことばかりやっていると批判されるが、営業利益とフリーキャッシュフローの観点からみても、経営体質が強化できた。景気が厳しいなかでも、この数字をコミットしたい。また、これは一時的に利益を増やす、小手先のものは一切含まないもの。5年後、10年後を見据えて利益を継続的に出していける構造ができたことを報告したい」とした。

 連結有利子負債の減少や、手元流動性がある資金が3873億円にのぼること、今後の社債償還スケジュールに対しても十分な返済余力を持つこと、ソフトバンクモバイルの事業買収に伴う借入金残高が、計画を上回るペースで順調に減っていることなどを示し、財務体質が強化されていることを強調した。


今年は「インターネットコンテンツ元年」、iPhoneのデータ量は他の10倍

ウィジェットサービスでは他社より優位とアピール

ウィジェットサービスでは他社より優位とアピール
 さらに、2008年は「インターネットマシン元年」としたのに対し、「2009年はインターネットコンテンツ元年になる」と宣言。「インターネットカンパニーとするソフトバンクのプライドにかけて、楽しいコンテンツを用意する」と続けた。

 モバイルインターネットコンテンツの充実として、モバイルウィジェットや、先頃発表した「S-1バトル」への取り組みをあげ、「インターネットマシン元年としては、iPhoneに代表される商品によって、歴史に残る1年となった。iPhoneユーザーのデータトラフィック量は、他の携帯電話利用者の約10倍になっている。iPhoneは若い男性に人気だが、若い女性に人気なのがお笑い。S-1バトルでは、年間の最高賞金1億円を用意した。とっておきのネタはこちらに出してくれることを期待している。また、モバイルウィジェットでは、天気や株価などの情報に対して、待受画面からワンタッチでアクセスできるもの。何回のボタンを押して、目的の情報に辿り着くのとは異なる。iPhoneによるインターネットマシンへのいち早い経験が、ウィジェット数では他社を圧倒する結果となっている。当社は、“ソフトのバンク”である。名は体を表すというように、インターネットのソフトバンクになる」などとした。

 2月時点での同社のウィジェット数は、140に達しており、KDDIの72、NTTドコモの60を大きく引き離しているという。

 「本来ならば、出荷台数が最も多いNTTドコモ向けにウィジェットを開発することになるだろうが、コンテンツクリエイターやソフトクリエイターが、最初にソフトバンク向けに開発するのには2つの意味がある。1つは、インターネットカンパニーであるソフトバンクが、アプリケーションを作る人のことを考えて、作りやすいウィジェットプラットフォームを提供している点。そして、もう1つは日本では約2000万人が対象潜在ユーザーとなるが、チャイナモバイルとボーダフォンとの3社連合によって、全世界10億人を対象としたビジネスが可能になる点。昨年11月にクリエイターに対して説明を行ったところ、この話を聞いたクリエイターから歓声があがった」などと、ソフトバンクの優位性を語った。


イー・モバイルとの提携について

 一方、イー・モバイルとの提携や、NTTとの提携といった相次ぐ提携発表については、「理にかなうものがあり、WIN-WINの関係になるのであれば、手を組む考え。携帯電話事業に関しては、イー・モバイルは、ゼロからインフラを作り、当社は、多額のお金を支払い、時間を買い、出来上がっているネットワークを使った。お互いの携帯電話事業に対する想いは一緒である。イー・モバイルにしてみれば、例えば、飛行機で空席で余っているところがあり、同じ燃料代を使うのであれば、そこを使うというのがその姿勢。一方、当社としては、データカードをパソコン向けに提供したいが、それをやるとトラフィックが増えて、回線がパンクしてしまう。だが、ソフトバンクの顧客からは、ぜひパソコンでもやってほしいという要望がある。そこで、この仕組みを活用することに決定した。できれば3月ぐらいからサービスを開始したいと考えている」とした。

 またNTTとの提携に関しては、「当社はこれまでにも、光ファイバーを自ら敷きたいという努力をしてきたが、短期間でこれを実現するには、日本では手続きが面倒で、制度改革の提案も受け入れてもらえない。コスト的にも、手続き工数という点でも、自力でやるには歩があわない。そのため、物理層はNTTを使い、インターネットアクセス部分は、ヤフーBBのバックボーンを使い、ラストワンマイルはNTTの光ネットワークを使うことにした。NTTにとっても光フィバーの契約数が計画を下回っているので、稼働率をあげるという狙いもあるだろう。その点では、WIN-WINかもしれない。現在、最終調整を行い、一部テストをしている」とした。

 さらに、孫社長は、「WiMAXについては、MVNOによってサービスを開始したいと考えており、KDDI(UQコミュニケーションズ)に要求を出しているところ。テストがうまくいき、WIN-WINの条件で契約できればやっていきたい。我々も、WiMAX事業への参加を申請し、リーズナブルに第3者に電波を提供することを前提としていたが、これが却下された。我々ならばこの値段でやるといっていたものよりも、遙かに高い価格をKDDIが提示するようでは、不当な状況になりかねない。誰に対しても、正当に提供するという義務がある」などと牽制した。

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URL
  プレスリリース
  http://www.softbank.co.jp/ja/news/press/2009/20090205_02/

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(大河原克行)
2009/02/05 20:53


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