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携帯向けメモリインターフェイス「SPMT」コンソーシアム発足

 半導体ベンダーのHynix SemiconductorとLG Electronics、Samsung Electronics、Silicon Imageの4社は、次世代のメモリインターフェイス技術「シリアル・ポート・メモリ・テクノロジー(SPMT)」の仕様策定・普及促進のためのSPMTコンソーシアムを設立した。

 SPMTは、主にはストレージではなくDRAMなどシステムメモリのためのメモリインターフェイス技術。システムチップ・メモリ間のデータ通信に用いられるもので、さまざまなデバイスで利用できるが、まずは携帯電話などモバイル機器をターゲットとして展開していく。

 SPMTコンソーシアムと同時に、SPMTのライセンス管理などを行うSPMT, LLCが設立された。今回はSPMT, LLCのChief Evangelist、James Venable氏に、SPMTという技術の特徴やターゲットについて聞いた。


シリアル転送形式で低コストや低消費電力化などのメリットを実現

SPMT, LLCのVenable氏
 SPMTの技術的な特徴としては、まずシリアル形式を採用していることが挙げられる。メモリインターフェイス技術では、多数の線で平行してデータをやりとりするパラレル形式が用いられることが多い。一方、1本の線でデータをやりとりするシリアル形式は、メモリインターフェイス技術としては珍しく、携帯電話向けの技術としてはSPMTが初めてとなるという。


SPMTの利点
 シリアル形式を採用することで、パラレル形式に比べると配線やピン数を大幅に減らすことができる。配線が減れば、その分コストや実装面積の面で有利になる。高い帯域(データ転送速度)を得るためには、シリアルだと高速駆動が必要になるが、それでも同レベルの帯域を実現するのならば、パラレル形式に比べ消費電力面でも有利になるという。さらに必要帯域に応じてポート数を変えたりして幅広い帯域に対応できるため、1つの技術・チップでローエンドからハイエンドまでさまざまな機器に応用できる。

 実装時には、システムチップ側とメモリチップ側の両方にSPMTのインターフェイスを内蔵させる。SPMTはインターフェイス部分の技術なので、DRAMだけでなくフラッシュメモリに応用するなど、将来的に新しい用途が登場したときにも柔軟に対応できるという利点もある。


SPMTと現行技術(LPDDR2)の比較 SPMTはシステムチップとDRAMのあいだに使う

SPMTのサンプルチップ。配線が少ないのが見て取れる サンプルボードのスペック

ロイヤリティフリーで幅広い普及を目指す

SPMTの目標
 携帯電話は、通話だけのものが中心だったところから、データ中心のものが登場し、ハイエンド向けではさまざまな機能を統合したスマートフォンが登場した。Venable氏は、今後はさらに多機能となった「Mobile Media Center」デバイスが登場すると予測する。そうなると、大容量・広帯域のメモリが必要となり、新しいアーキテクチャが必要になる。SPMTはその新しいアーキテクチャとして開発されている。

 モバイル機器向けのメモリ技術は、2年程度のサイクルで切り替わってきた。現在は「LPDDR2」という技術が使われているが、SPMTをDRAMに応用したSPDRAMは、次世代の技術としての普及を目指している。また、携帯電話だけでなく、ゲーム機やデジカメ、家電などでの採用も見込んでいるという。


SPMTのターゲット市場 メモリインターフェイスの進化

SPMTの経緯
 SPMTの技術自体は6年ほど前から開発が進められているという。1年前からワーキンググループとして開発作業が進められ、5月18日にコンソーシアム設立が発表された。すでにSPMTに対応したDRAMのサンプルチップも完成している。しかし実際にSPMTを採用した携帯電話が登場するのは、2013年ごろを見込んでいるという。

 コンソーシアムは、中心となって活動する設立メンバーの「プロモーター」と、プロモーターと一緒に開発に参加する「コントリビューター」、そしてSPMTの技術を採用する「アダプター」の3つのグループで構成される。


SPMTの組織 SPMTのプロモーター

 SPMTはロイヤリティフリー、つまりSPMT採用製品を作った際、ライセンス料金がかからない形式で提供される。コンソーシアムはアダプターからの年会費などでマーケティングなどの活動を行う。コンソーシアムはSPMT自体をロイヤリティフリーで提供することで、業界標準技術として普及することを目指す。



URL
  SPMT
  http://www.spmt.com/


(白根 雅彦)
2009/05/20 19:18


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