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スペイン大使館主催セミナーでドコモ国際ビジネス部萩原氏が講演

 6月14日、都内でスペイン経済省およびスペイン大使館経済商務部の主催によるビジネスセミナー「ニュービジネスを生み出す欧州情報通信産業」が行なわれた。

 同セミナーは、欧州の中でも通信インフラの整備が進むスペインをはじめとした欧州の情報通信産業と、日本企業のスペイン向けプロジェクトの事例を紹介するもので、駐日スペイン大使のフアン・レニャ氏による開会の挨拶や、スペイン経済省 産業調査局からのスペイン経済の現状などが語られたあと、同国の携帯電話事業者であるテレフォニカ・モービル(Telefonica Mobiles)社の技術統括本部副社長、イグナシオ・カマレロ氏から3G戦略についての講演が行なわれた。また、日本からは今後の対欧州戦略として、NTTドコモ 国際ビジネス部 国際投資担当部長の萩原篤弘氏より、「NTTドコモの欧州展開」といった内容の講演も行なわれた。


データ通信サービスの普及に遅れをとる欧米

テレフォニカ・モービル 技術統括本部 副社長、イグナシオ・カマレロ氏
 テレフォニカ・モービルは、スペインの通信企業・テレフォニカの子会社であるスペイン最大の携帯電話事業者。情報通信総合研究所によると、2000年の携帯電話加入数は2492万で、スペイン国内において55%のシェアを占める。固定電話やインターネット契約数、有料テレビなどの契約数についても、いずれも過半数を上回るシェアで、スペイン・ポルトガル語圏最大の複合通信企業となる。

 今回のセミナーでは、同社のイグナシオ・カマレロ氏から3G戦略に関する話を中心とした講演が行なわれた。同氏はまず、自国のスペインをはじめ、ブラジルやアルゼンチン、メキシコ、チリなどの南米、欧州などで展開している通信事業について大まかに説明したあと、2002年第1四半期のユーザー数は対前年同期比で21.4%増、営業収益は16.6%増、EBITDAマージン(営業収益に対する比率)は40.5%で1.8ポイント増などの数値を紹介し、「自社の通信事業が極めて安定した強固な収益の伸びを見せている」ことを説明した。

 同氏によると、世界における携帯電話の普及率は、2001年12月の時点で欧州は対人口比75.7%、日本は53%、米国は46%に達し、中でもGSMは他の方式を凌いで70%を超え、世界的にスタンダードな地位を確立。しかし各市場別にその発展データを見ると、日本や韓国は事業者ごとにバリューチェーンを形成し、デファクトスタンダードの規格を採用した技術でデータ通信が発展した市場となったが、欧米では新規に参入したオペレータの数が多いことや、事業者が細分化されているなどの特徴により、データ通信の分野では技術が日本や韓国などに遅れを取る結果になったという。


UMTSの開始は2003年以降の見通し

 また、3Gサービスについては、欧州でUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)が2002年から開始される見通しとなっていたが、ネットワークを変更しなければならない事業者が多いのに対し、実際のところまだ技術が追いついていないのが現状で、スペインにおいてはそのためのターミナルすら用意されておらず、他からライセンスを買う以外方法はないという。

 こうした事情で欧州の通信事業者は多くの負債を抱えることになり、「その解決策は困難」と厳しい現状に突き当たっていることをカマレロ氏は直言。欧州における多くの事業者は、今年中に3Gサービスを開始するのは難しく、2003年以降になるだろうと予測した。なお、欧州では2001年の収益の98%が音声通話によるものであったが、2005年には80~85%に収縮し、翌2006年にはデータ通信が36%になることが予想されるという。

 同氏は最後にUMTSについて、「他社との競争力になる技術であり、自社のサービスを躍進させるだろう」とそのサービスに大きな期待を掛けていることを話し、UMTSの市場が成熟するには、もう少しだけ時間が必要となるが、GPRSがその橋渡しになるだろうと締めくくった。


ドコモ、引き続き欧州でのiモードサービスを拡充

NTTドコモ 国際ビジネス部 国際投資担当部長、萩原篤弘氏
 カマレロ氏の講演に続き、日本企業の今後の対欧州戦略として、NTTドコモ 国際ビジネス部の萩原氏から、ドコモの欧州展開についての講演が行なわれた。

 萩原氏はまず、世界および日本の移動通信サービスの発展推移をパネルで紹介したあと、自社の強みとして、2002年3月末の時点で59%に達する国内シェアや、78.8%のiモードサービス契約率、日本の無線通信事業環境は審査制度で免許が付与されるため、過度の財務的負担がなく優位性が高いことなどをアピールした。また、日本では1999年頃から音声通話がすでに飽和状態で、2005年には非音声のデータ通信と音声が五分五分の状態に、さらに2010年にはデータ通信が70~80%になるとの見通しを図表で説明し、先のカマレロ氏の講演で語られた欧州でのデータ通信の普及と水をあける予測を行なった。

 ドコモが目指すグローバル展開としては、iモードなどのモバイルマルチメディサービスと、現在日本で開始されているW-CDMA(FOMA)の経験・ノウハウを海外の出資・提携先に供給するもので、新たな成長チャンスを獲得し、グローバルな競争力を強化したい考え。

 同氏は、現在ドコモがアジア・太平洋地域ではHTCLやKGテレコムに、南米ではテレスデステに、北米ではAT&T Wirelessに、欧州では英Hutchison 3G UK Holdings、仏Bouygues Telecom、KPN Mobileグループなどにおいて、すでにモバイルポータルサービスやiモードサービスを開始、またはライセンス契約を帰結していることを紹介し、「各国からiモードサービスについての問い合わせが相次いおり、KPN Mobileグループ(ドイツ・オランダ・ベルギー)で開始しているiモードサービスも順調に伸びている」と語った。iモードサービスを開始した地域の選定基準としては、イギリスやイタリアは人口に対する携帯電話普及率が高いが、オランダやベルギーは低い値にあり、「今後成長が見込める市場であると判断した」とその狙いを明かした。

 なお、南米のテレスデステはテレフォニカの子会社で、テレフォニカ・モービルより紹介を受けて出資しているという。萩原氏は、「ドコモがグローバル展開を行なう上で、テレフォニカ・モービルからはその手法を学ぶところが多い」と両社が良好な関係を築いていることを加えた。

 最後に今後の展開として、引き続き欧州でのiモードサービスを充実させていくこと、および欧州の3Gサービス開始を後押しすべく、そのための技術支援も行なっていくとコメントしたが、同社は2001年度3月期の連結決算で、海外投資先における減損処理額を連結で5500億円、連結純利益は前年実績から4015億円減と発表しており、こうした損失も意識してか、「相手先の国内動向を十分に留意した上で展開していく」と付け加えて講演を終えた。


59%(2002年3月末)の国内シェアや、78.8%のiモードサービス契約率といったドコモの強みをアピール
日本では1999年頃から音声通話が飽和状態、2005年にはデータ通信と音声が五分五分の状態になると予想される

ドコモが海外展開を行なっている地域。アジアではHTCLやKGテレコム、米国では米テレスデステ、AT&T Wireless、欧州では英Hutchison 3G UK Holdingsなどがある
イギリスやイタリアは人口に対する携帯電話普及率が高いが、オランダやベルギーはまだ低く、今後成長が見込める市場であると判断

・ スペイン・ビジネス・セミナーの案内(スペイン大使館経済商務部)
  http://www.mcx.es/tokio/jp/paginas/inversion/seminario/062002/prog.htm
・ スペイン大使館経済商務部のホームページ
  http://www.mcx.es/tokio/jp/


(松下 麻利)
2002/06/14 21:40

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