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Act.16「美しき“モバイルビジネス”?」
[2007/03/27]


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Act.6 「そのメガピクセルは何のため?」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2003年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


カメラ付きケータイはメガピクセルの時代へ

 ここ数年、着実に普及が進んできたカメラ付きケータイ。昨年後半からはその普及にも加速が付き、今やほとんどの新端末にカメラが搭載されるようになり、普及台数も2,000万台を超えている。そして、今年5月22日に、カメラ付きケータイの先駆者であるJ-フォンから世界初の100万画素のカメラを搭載したカメラ付きケータイ「J-SH53」が登場し、いよいよカメラ付きケータイもメガピクセルの時代を迎えようとしている。今回は、メガピクセルを搭載したカメラ付きケータイにスポットを当ててみよう。


カメラ付きケータイの原点

2000年11月に登場したカメラ内蔵端末「J-SH04」

TFTカラー液晶ディスプレイを搭載し、従来の端末よりも画像をきれいに表示できるようになった「J-SH07」
 メガピクセルケータイの話を始める前に、現在までのカメラ付きケータイの流れをおさらいしてみよう。まず、カメラ付きケータイの元祖となるのが2000年11月に登場したシャープ製端末「J-SH04」だ。それまでにも外付けタイプでカメラを利用できるようにした端末はあったが、一般的なデザインの端末でカメラを内蔵したものとしては、J-SH04が最初の製品ということになる。

 J-SH04には11万画素のCMOSイメージセンサによるカメラが搭載され、撮った画像を端末のディスプレイに表示したり、メールに添付して送信、専用プリンタで印刷することを可能にしていた。ただ、J-SH04のカラー液晶は最大256色表示が可能なSTNカラー液晶だったため、内蔵カメラで撮影した画像を端末上で再生してもあまりきれいと言えなかったのも事実だ。しかし、それでも友だちや家族などの写真を撮影して、待受画面に設定したり、メールに画像を添付して送り合っていた。特に、「撮る」「見る」「送る」というケータイの使い方には、今までにない新しいコミュニケーションのスタイルを期待させるものがあった。

 J-SH04の登場以降、三洋電機やノキア、東芝からも相次いでカメラ付きケータイが登場したが、ひとつの完成形となったのが2001年6月に登場したシャープ製端末「J-SH07」だろう。内蔵カメラは同じ11万画素ながら、TFTカラー液晶パネルを採用したことで、撮った画像をきれいに再生できる環境を整えることができた。J-SH07の登場とほぼ同時期に「写メール」という言葉が生まれ、カメラ付きケータイはJ-フォンの代名詞的な存在になっていく。

 2002年に入ると、カメラ付きケータイはさらなる進化を見せる。2002年1月には31万画素のカメラを内蔵した「J-SH08」が登場し、同年4月にはauからカシオ製端末「A3012CA」、同年6月にはNTTドコモからシャープ製端末「SH251i」が登場し、すべての携帯電話事業者がカメラ付きケータイをラインアップすることになる。特に、この3台はいずれも31万画素クラスのカメラを搭載し、A3012CAは640×480ドットのVGAサイズの画像を撮影できた上、フレームの追加など、それまでのカメラ付きケータイにはなかった新しい遊び方も提供していた。さらに、昨年秋にはNTTドコモが主力モデルの50xシリーズの全モデルにカメラを搭載し、カメラ付きケータイが携帯電話市場で主役になっていく。


J-フォンのシャープ製端末「J-SH08」 auのカシオ製端末「A3012CA」 NTTドコモのシャープ製端末「SH251i」

 そして、この春、J-フォン、NTTドコモ、auから100万画素クラスのカメラを搭載したカメラ付きケータイが登場し、いよいよカメラ付きケータイも『メガピクセル』の時代を迎えることになる。5月22日にJ-フォンからシャープ製「J-SH53」、翌23日にはNTTドコモから三菱電機製「D505i」、30日にはauからカシオ製「A5401CA」、6月4日にはソニー・エリクソン製「SO505i」が相次いで発売され、この後もシャープ製「SH505i」や富士通製「F505i」が順次、発売される予定だ。おそらく年内には国内の全事業者で十数機種以上のメガピクセル級のカメラ付きケータイが登場すると言われている。

 このメガピクセル級のカメラ付きケータイが登場したことで、本誌をはじめ、さまざまなメディアで「メガピクセル級のカメラ付きケータイはデジタルカメラとして使えるか」といった記事が数多く掲載されている。「このまま行けば、デジタルカメラの普及モデルを食ってしまうのでは?」といった声も多く聞かれる。はたして、本当にメガピクセル級のカメラ付きケータイはデジタルカメラを凌駕してしまうのだろうか。


5月22日に発売されたJ-フォンのメガピクセル端末「J-SH53」 auでカメラ付きケータイを牽引するカシオは「A5401CA」を発売

有効画素数約63万画素(最大記録画素数約123万画素)のスーパーCCDハニカムカメラを搭載した「D505i」 デジタルカメラのような撮影スタイルの「SO505i」

カメラ付きケータイの使い道

 J-SH04の登場からわずか2年半ほどの間に、一気にブレイクしたカメラ付きケータイだが、実際にはどのような使われ方をしているのだろうか。まず、基本になるのは前述の通り、画像付きメールによるコミュニケーションとスナップ撮影だろう。ただ、画像付きメールは異なる事業者間でのコミュニケーション環境が整ったのが最近であり、送受信に通信料が発生するため、本格的な需要はこれからという見方もできる。

 これに対し、スナップ撮影は通信料が発生しないため、非常に気軽に撮ることができる。日常生活の中で見つけた面白いもの、楽しいもの、驚いたもの、変わったものなど、いろいろな被写体を好きなときに撮ることができる。被写体も家族や友だちなどの人間からペット、建物、食べ物、風景など、非常に多岐に渡っている。この点はデジタルカメラも同様だが、デジタルカメラはある程度、意識して持ち歩くものであるのに対し、カメラ付きケータイは日常的に持ち歩くケータイに付加されているものなので、デジタルカメラ以上に撮りやすい環境にある。

 また、なかでもカメラ付きケータイならではの使い道として挙げられるのが「自分撮り」「ツーショット」だ。初のカメラ付きケータイ「J-SH04」でカメラ部横にミラーが装備されて以来、カメラ付きケータイでは常に自分(自分たち)を撮るための機能が踏襲されている。最近では折りたたみケータイの背面にカラー液晶ディスプレイが装備される端末も増えている。

 この自分撮りソリューションは、デジタルカメラにも強い影響を与えており、昨年登場したソニーのCyberShot DSC-F77のテレビCMではカメラ部を回転させ、自分を含めて撮れることを強く訴えている。元々、初のデジタルカメラであるカシオのQV-10ではレンズ部を回転させる機構を持たせており、その後の各社の製品にも回転機構は継承されていたが、その目的はどちらかと言えば、マルチアングルでの撮影を意識したものだった。しかし、カメラ付きケータイの普及で自分撮りソリューションが確立されたことで、再び回転機構に注目し、自分撮りを意識させる広告展開を始めたのもなかなか興味深い動向だ。

 その他にも時刻表などの「参照したい情報」、駐車場に停めた場所のように「忘れてはならない情報」などを電子メモ的に活用する例もある。この電子メモ的活用はデジタルカメラがはじめて登場した頃にもあったニーズだが、常に持ち歩いているケータイだからこそ、役立つという見方もできる。また、最近のカメラ付きケータイは動画を撮影できるものが増えているが、静止画が動画に変わっても基本的な使い道は同様で、コミュニケーションとスナップが中心になっている。


プリントサービスの可能性

ファミリーマートに設置されたキオスク端末「Famiポート」

いち早くメガピクセルケータイに対応を打ち出した富士フイルムの「プリンチャオQn」
 カメラ付きケータイがメガピクセル級になることで、こうしたカメラ付きケータイの使い方はどのように変化するのだろうか。31万画素クラスのカメラを搭載したこれまでのカメラ付きケータイは、最大640×480ドットのVGAサイズの画像を撮影することが可能だ。これに対し、今回登場してきたメガピクセル級のカメラ付きケータイは、最大1,280×960ドットのSXGAサイズの画像(D505i、A5401CAの場合)を撮影することができる。

 内蔵カメラの高画素化で、まず最初に期待されているのがプリントサービスの普及だ。デジタルカメラでは1998年頃にハイエンドモデルがSXGAサイズの撮影を可能にしていたが、ちょうど「デジタルカメラで撮影した画像をプリントする」といった使い方が増え始めてきた時期だった。今回のメガピクセル級のカメラ付きケータイでも同様に、各社とも「サービス判程度なら十分、プリントできます」といったことをしきりにアピールしている。実際にプリントした画像もカメラ付きケータイということを考慮すれば、なかなかの出来映えと言えそうだ。

 ただ、ここで注意しなければならないのは、デジタルカメラとカメラ付きケータイでは当初の利用目的も違えば、基本的な構造も異なる点だ。デジタルカメラはパソコンに転送して画面上で楽しんだり、印刷することを主な目的にしている。これに対し、カメラ付きケータイは元々、メールに添付して送り合ったり、待受画面に設定するためにカメラを活用してきたものだ。カメラ付きケータイで撮影したお気に入りの画像をプリントできることはうれしいが、それは副次的なものでしかない。つまり、撮った画像を端末上で再生して楽しんだり、コミュニケーションに利用できることが大前提であり、それらができた上で、はじめてプリントのことを考える可能性が高いからだ。たとえば、恋人とのデートでどこかへ出かけたとき、カメラ付きケータイでいろいろな写真を撮り、後日、「先月、○○へ行ったときは楽しかったなぁ」などと思い出すといった具合いに使われているわけだ。


「メガピクセル端末登場、プリントサービスには興味ある?」と題したケータイ Watchのアンケートコーナーの結果
 その傾向を示す一例として挙げられるのが5月30日掲載の「けーたいお題部屋」の結果だ。「メガピクセル級のカメラ付きケータイで撮った画像をプリントするか」という問いに対し、約半数近くが「まったく興味なし」と答えている。残りの半数が「利用してみたい」「少し興味がある」と答えていることを考慮すれば、おそらく「プリントサービスに興味はあるけど、それほど積極的ではない」というのが実状だろう。なかには「印刷するなら最初からデジカメで撮ります」といった否定的な声もあったくらいだ。デジタルカメラよりもプリントサービスを利用しやすい点があるとすれば、デジタルカメラよりも常に持ち歩いている可能性が高いため、プリントサービスに持ち込みやすいことくらいだ。

 もし、メーカーや事業者がメガピクセル級のカメラ付きケータイの用途として、プリントサービスを普及させたいのであれば、少しでもユーザーがプリントしやすい環境を整えるべきだろう。たとえば、自分の端末はどこのプリントサービスに対応しているのか、メモリカードに記録している端末はアダプタなどが必要なのか、どれくらいのサイズの画像をいくらでプリントしてくれるのかといった情報は、ぜひ提供してもらいたいところだ。ちなみに、A5401CAのパッケージにはDPEサービスのパレットプラザで5枚までプリントできる「お試し券」がついている。カメラ付きケータイによるプリントサービスを普及させるのなら、こうした取り組みは必須だろう。

 また、カメラとしての性能的な違いも大きい。現在、デジタルカメラはかつてのフィルム式フルオートカメラのように、普及モデルでも光学ズームやAF(オートフォーカス)機構が当たり前になっている。カメラを起動し、シャッターを押せば、誰でもそこそこの画像が撮れる。これに対し、メガピクセル級のカメラ付きケータイはいわゆる単焦点カメラでしかなく、ズームも一部のサイズでデジタルズームができるだけだ。ボディの厚みに制限がある上、コスト的な制約もあるため、レンズを何枚も入れることは難しい。ピクチャーライトはあるが、フラッシュ(ストロボ)とは光量などが異なるため、やはり、仕上りには大きな差がある。

 つまり、たとえメガピクセル級になったとしてもカメラ付きケータイがデジタルカメラと同等以上の画質を得られるわけではなく、レベル的にはレンズ付きフィルムと同程度にしかならない。構造的に考えれば、そもそも画質などを比較すること自体に無理があるとも言えるだろう。そのレベルで十分とするユーザー層がいることも確かだが、その人たちにとっては「カメラ付きケータイがメガピクセルになる」ことが重要なのではなく、ケータイの他に、デジタルカメラやレンズ付きフィルムを持ち歩かなくて済むことが重要と考えているはずだ。


プリクラブームを仕掛けたアトラスの「ケータイdeプリクラ 写ミーゴ」 携帯電話を模した筐体デザインを採用したNECモバイリング製「プリモード」

デジカメスタイルは本当に便利なのか

「SO505i」や「D505i」などはデジカメスタイルで撮影する
 メガピクセル級のカメラ付きケータイで、もうひとつ特徴的な話題になっているのがボディの形状だ。従来のカメラ付きケータイは、iモードの登場以降、主流になっている折りたたみデザインを採用しており、主に背面側にカメラを搭載している。最近では、自分撮りをしやすくするため、メインディスプレイを装備された内側にもカメラを搭載する機種も登場しているが、折りたたみデザインが主流であることに変わりはない。

 これに対し、一部の端末では折りたたみデザインをベースにしながら、デジタルカメラのように撮影できるモデルも登場している。「デジタルカメラ並みのメガピクセルなのだから、デジタルカメラのように撮れるようにしよう」と考えたわけだ。確かに、カメラ付きケータイの進化の中で、ボディを閉じたままで撮影できるモデルが登場し、一定の支持を集めていたため、こうした進化もある程度、予測されていたが、気をつけなければならないこともある。それは、私たちが購入する商品が「デジタルカメラではなく、ケータイである」ということだ。デジタルカメラのように撮れることは便利かもしれないが、『ケータイとしての使い勝手』が失われてしまっては意味がないということだ。

 たとえば、デジタルカメラのように撮影できるが、ボディが分厚くなってしまったり、重くなってしまうとしたら、どうだろうか。特に、最近の端末ではP504i/iSに代表されるように、薄いボディが人気を集める傾向にあることを考えると、あまり厚くなってしまうのはユーザーとしてもうれしくないところだろう。


 また、カメラとして使う場合、本当にデジカメスタイルが撮りやすいのかどうかも一考する余地があるだろう。従来のカメラ付きケータイはそのほとんどが端末を開いて、縦に構えて撮影するスタイルを採用している。自分撮りは背面ディスプレイやミラー、内側カメラの存在などによって異なるが、これも縦に構えるのが基本だ。このとき、ユーザーは端末のテンキー部側を指と手のひらでホールドしている。これに対し、デジカメスタイルは端末を横に持つが、ボディの厚みを中指と親指で挟み込むように持つため、今ひとつ持ちにくい印象が残る。片手で持てば、手ぶれも起きやすくなってしまう。「カメラは両手で持つのが常識」という声もあるだろうが、はたしてお手軽に使う人たちが常に両手で持っているだろうか。現在のデジカメスタイルを採用する端末は、カメラ部がどちらかに片寄った位置にセットされているため、持ち方によってはレンズ部に指が被ってしまうことがある。その結果、片手で持ってしまうケースが予想以上に多いはずだ。このあたりの反応は、その人が過去にカメラをどれだけ使っていたかによって違ってくるようだ。

 さらに、『ケータイとしての使い勝手』の中には、従来のカメラ付きケータイで支持されてきた基本的な使い方も含まれてくる。たとえば、デジタルカメラは多くの場合、できるだけ高画質で撮りたいため、基本的には最大サイズで撮影するはずだ。500万画素のデジタルカメラなら、500万画素の性能をフルに活かした写真を撮りたいからだ。これに対し、カメラ付きケータイはここまで説明してきたように、待受画面に設定したり、メールに添付してやり取りすることを主な目的としているため、必ずしも最大サイズで撮影するとは限らない。特に、フレームやスタンプといったカメラ付きケータイならではの遊びは、最大サイズで利用できないため、デジタルカメラとは比較にならないほど、頻繁にサイズを切り替えたり、効果を加えたりする。ところが、デジカメスタイルになってしまうと、さまざまな機能を呼び出すためのテンキー部が隠れてしまうため、サイズの切替や画像効果の機能を呼び出しにくくなってしまう。つまり、デジカメスタイルならではの制約も生まれてくるわけだ。

 同様に、デジカメスタイルではカメラ付きケータイ特有の使い道である自分撮りが退化してしまう可能性もある。前述のように、最近のカメラ付きケータイでは自分撮りをしやすくするために、背面のカラー液晶ディスプレイが装備されるようになってきたが、デジカメスタイルの端末では、初期のミラーに戻っているものがある。デジカメスタイルを実現することで、カメラ付きケータイ特有の使い道が失われてしまっていいのだろうか。

 これらのことからもわかるように、デジカメスタイルはメガピクセル化したカメラ付きケータイに適したスタイルとは必ずしも言えないのだ。もちろん、デジカメスタイルが好みの人もいるだろうが、これから端末を購入するユーザーは、本当に自分の利用スタイルに合っているかどうかを店頭などで確認する必要があるだろう。


カメラ付きケータイに求められるもの

 では、カメラ付きケータイにとって、メガピクセルは不要なものなのだろうか。まだ正式に発売されていない製品もあるため、一概には言えないが、筆者は開発するメーカーのディレクション次第だと見ている。つまり、何のためにメガピクセル化したのかがハッキリしている端末であれば、ユーザーに理解され、支持もされるだろうが、メガピクセル化した明確な理由付けや提案がなければ、ユーザーにはいずれ飽きられてしまうということだ。もう少しわかりやすく言えば、「メガピクセルにしたから、こんなこともできます!」という明確なメリットが打ち出せなければ、ユーザーは動かない可能性が高い。

 たとえば、ファイルサイズに注目してみよう。従来の31万画素クラスのカメラ付きケータイで撮ったVGAサイズ画像はおよそ20〜60KB程度のサイズになる(機種によっては100KB近いものもある)。これに対し、メガピクセル級のカメラ付きケータイは最大サイズで撮影すると、ファイルサイズは300〜400KB以上になってしまう。VGAサイズの画像でもすでにメールに添付して送ることができないのに、300KBともなれば、なおさら「メガピクセルでメール」という使い道はない。唯一、パケット通信料が安いauはVGAサイズの画像を送ることができたが、そのauですら、SXGAサイズではパケット通信料が高くなってしまうため、送信できないように対処している。

 メールで送れないのであれば、次は待受画面などに使うことが考えられるが、SXGAサイズをそのまま適用することはできないので、当然、リサイズが必要になる。従来の31万画素クラスのカメラ付きケータイでは、VGAサイズの画像をリサイズできない機種が一部にあった。これでは何のための31万画素カメラなのかと言いたくなるくらいだが、メガピクセル級のカメラ付きケータイでは、さらに画像サイズが大きくなるため、リサイズは重要なチェックポイントになるだろう。

 ただ、ユーザーとして欲を言えば、たた単にリサイズするだけでなく、必要な部分を切り抜いて、待受画面に使いたいところだ。たとえば、数人の友だちが並んでいる写真を撮ったとしよう。その中に、意中の異性がいて、そのコだけを切り抜いて待受画面にしたい、画像として保存しておきたい。そんなニーズは誰にでもあるだろう(笑)。もちろん、建物や食事、商品など、その他の被写体を撮ったときにも「切り抜き」をしたいことはよくあるはずだ。つまり、撮った画像を適正なサイズにしたり、必要な状態に加工できることは、カメラ付きケータイにおいて、非常に重要な機能のひとつなのだ。意外なことに、デジタルカメラにこうした機能を搭載している機種は少ない。


 また、直接、メガピクセルに関係のあることではないが、カメラ付きケータイはくり返し説明しているように、メールやスナップが基本的な用途だ。スナップであれば、撮っただけで操作は終了するが、メールの利用となれば、ここでもリサイズなどの機能が必要になってくる。たとえば、撮影サイズがSXGAに設定されていたとしてもすぐに送りたいときは、プレビュー画面からワンタッチでメールを送る画面に移行したいはずだ。気の利いた機種であれば、ワンタッチでメール画面に移行するとき、SXGAサイズからメールで送信できるサイズに自動的にリサイズしてくれるのだが、機種によっては撮影後にいったん保存して、手動でリサイズ、その後で再び画像を呼び出して、メールに添付するといった作業をしなければならない。デジタルカメラのように、撮影後はすぐに保存するというスタイルでも構わないが、やはり、ケータイの基本がコミュニケーションの道具であることを考えれば、「撮影」→「自動リサイズ」→「メール画面」とスムーズに操作できるようになっているべきだろう。

 さらに余計なことだが、「メガピクセル級のカメラ付きケータイなら、将来、機種変更などでいらなくなってもデジタルカメラとしての余生がある」という声もある。果たしてそうだろうか。今や30,000円も出せば、光学ズームやAFを搭載した200万画素クラスの本格的なデジタルカメラを買うことができ、型遅れで良ければ、20,000円でも結構なスペックのものが手に入る。それにも関わらず、光学ズームやAFといった機能がなく、デジタルカメラに比べて画質で劣っている100万画素クラスの中途半端な「デジタルカメラのようなモノ」を使い続けるだろうか。子どものオモチャとしては面白いかもしれないが、「デジタルカメラとしての余生がある」と言えるほどの価値があるだろうか。やはり、カメラ付きケータイは回線契約をして、コミュニケーションを楽しんだり、待受画面に設定してこそ、存在意義があるはずだ。

 この他にもさまざまな要素があるが、通して言えることは「デジタルカメラとカメラ付きケータイでは求められるものが違う」ということだ。カメラ付きケータイはデジタルカメラで培われた技術を活かして開発されているが、目的や利用シーンも違うため、当然、必要とされる機能も違ってくる。メガピクセル化で高画質になることはユーザーとしてもうれしい限りだが、カメラ付きケータイとしての王道を外れてしまっては意味がないのだ。


 メーカーはメガピクセル化したことで、プロカメラマンが撮影したサンプル画像などを公開し、しきりに高画質をアピールしている。しかし、ユーザーがカメラ付きケータイを選ぶ上で、それがどれだけ役立つのだろうか。カメラやデジタルカメラのカタログなどに掲載されているサンプル写真を見て、「そうかぁ。このカメラなら、こんなにきれいに撮れるんだ」と感心して買ってみたものの、自分ではなかなか思うような写真が撮れないといった経験は誰にでもあるはずだ。カメラやデジタルカメラには「芸術」「作品」という世界が存在するため、それでいいのかもしれないが、カメラ付きケータイはそんな「作品」的なサンプルで語れるものではない。メガピクセル化で高画質をアピールすることも大切だが、それ以前にユーザビリティをはじめ、もっと考えるべきこと、伝えるべきがあるはずだ。プロの方にはたいへん申し訳ないが、ライティングを整えたり、三脚を使ったりして、プロが撮影したサンプルを何枚見るより、カメラに対する特別な経験を持たない普通のユーザーが撮影した「生」のサンプルの方がよっぽど役に立つと筆者は考えているが、読者のみなさんはどうお考えだろうか。

 今後、カメラ付きケータイは高画質化や高機能化が進むと予想されている。しかし、読者のみなさんにはまず「カメラである前に、ケータイであること」を忘れずに、端末を選んでいただきたい。もちろん、筆者や編集スタッフもその視点を忘れることなく、製品をレポートしていくつもりなので、ぜひ読者のみなさんにはカメラ付きケータイとしての評価を見逃すことなく、自分だけのベストチョイスを探し出して欲しい。


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(法林岳之)
2003/06/10 14:34

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