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[2007/03/27]


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ロード・オブ・ザ・iモード(中編)
〜FOMA 900iはiモードの王になれるか?〜
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


FOMAはどこまで使いやすくなったのか

 2001年10月の商用サービスから早2年。NTTドコモのFOMAは次世代携帯電話本来のメリットであるパケット通信料の安さを打ち出し、昨年あたりから少しずつシェアを拡大している。そして、この春、FOMA 900iシリーズが登場したが、端末のスペックや利用環境はどう変わってきたのだろうか。今回はこれらの項目を中心に、FOMAの現状をスポットを当てながら、買い換え・乗り換えのタイミングなどについて考えてみよう。


FOMAのファーストモデルの1つである「P2101V」
 読者のみなさんはFOMA端末にどんなイメージを持っているだろうか。最近の動向をチェックしていないユーザーからは、おそらく「重い」「デカい」「電池が持たない」といった指摘が出てくるだろう。しかし、この2年間、FOMAは着実に進化を遂げてきている。

 まず、2001年10月のサービス開始当初、FOMAには2台の音声端末が提供された。NEC製の「N2001」、パナソニック製の「P2101V」だ。このうち、N2001は初期ロットのみで生産を終了し、ディスプレイを有機ELからカラー液晶に変更した「N2002」に置き換えられたため、N2001が販売されなかった地域もある。たしかに、この頃のFOMAは電池も持たなかったし、サイズもやや大きかった。いや、正直に言ってしまえば、P2101Vは持ち歩くことをためらうくらいのサイズだった。バッテリーに関しては連続通話が約90分、連続待受が約55時間(N2001の場合)で、標準セットには2つのバッテリーが付属しており、筆者も常に予備バッテリーを持ち歩いていた。ちなみに、同時期に販売されていたPDC端末と比べてみると、N503iSは連続通話時間が約135分、連続待受時間が約460時間であり、FOMAがいかに電力消費が激しかったかがわかる。

 2002年に数機種が発売された後、2003年はじめには新しい世代となる富士通製「F2051」、NEC製「N2051」、パナソニック製「P2102V」などが相次いで発売された。これらの新しい世代のFOMAでは、連続通話時間が100分を超え、連続待受時間も静止時に200時間超を達成している。サイズもファーストモデルに比べれば、コンパクトになり、PDC方式の50Xiシリーズにかなり近づいたという印象だった。ようやく実用レベルになり、FOMAを持ち歩くことにそれほど違和感を感じないレベルに仕上げられていた。

 そして、今回のFOMA 900iは連続通話時間で150分前後、連続待ち受け時間は400時間超にまで進化している。これはPDC端末とほとんど変わらないレベルであり、重量やボディサイズもほぼ同等に仕上げられている。ちなみに、こうしたバッテリー駆動時間の延長は端末と基地局間で信号をやり取りするときの電力調整、回路の省電力化などによって、実現されているという。このあたりは開発メーカーもW-CDMA方式の特性をつかんできたことの表われだろう。


左から「N2051」「F2051」「P2102V」 。2003年1月から順次発売された そして2月より順次発売されている900iシリーズ。端末サイズや駆動時間はPDC端末と同等だ

内なる敵とのソフトウェア競争

 こうしたハードウェア的なスペックに対し、FOMAが常に苦労してきたのがソフトウェアだ。たとえば、ファーストモデルのFOMA端末は、PDC方式の502iシリーズなどのソフトウェアを継承しており、実際に触った印象もちょっと古いモデルという感が否めなかった。たとえば、日本語入力は予測変換や推測変換に対応しておらず、メールもフォルダ管理に対応していないなど、ごく基本的なレベルが当時の50Xiシリーズにかなり遅れを取っていた印象だった。2003年はじめから登場した新しい世代のFOMAは、この遅れを少し取り戻し、503iシリーズをベースにしながら、部分的に504iシリーズの機能を取り込むレベルまで、ソフトウェアを新しくしている。ただ、それでも当時のPDC方式の最新機種に比べると、若干、見劣りがする印象は否めず、ユーザーからはFOMAの基本機能が古く見えてしまい、FOMAに乗り換える足かせとなっていた。


N502itのメニュー画面 これはN503iのメニュー画面 N503iから約半年後に登場したN2001のメニュー画面

 では、今回のFOMA 900iシリーズはどうだろうか。発表会の席上などでも明らかにされているように、今回のFOMA 900iは基本的に505iシリーズをベースにしている。開発メーカーによっては505iSシリーズの機能を取り込んでいるところもあり、主要機能については、最新の505i/iSシリーズに見劣りする部分はほとんどない。たとえば、最近の端末で標準的となっている日本語入力の推測変換や予測変換、受信メールのフォルダ管理や振り分けなどはもちろん対応しており、2003年モデルのFOMAで一部、指摘された赤外線通信の非互換部分も解消されている。カメラも全機種がメガピクセル以上で、QRコード対応のバーコードリーダーも全機種対応だ。細かい部分に積み残しがあるのは事実だが、概ね505iシリーズ相当と考えて差し支えないだろう。


NTTドコモ 代表取締役社長 立川敬二氏。2月末の定例会見では、FOMA端末のバリエーションに言及した
 ただ、実際に購入を検討しているユーザーとしては、今春以降に発売が噂されている506iシリーズなどに再び機能的に追い越されるのではないかという点が気になる。今、FOMA 900iを買ったのはいいが、半年後に陳腐化するのは避けたいからだ。しかし、この点については、昨年のようなことはないだろうというのが大筋の見方だ。なぜなら、NTTドコモと開発メーカーは開発の軸足をFOMAに移しており、今後はFOMA端末が主力になると見られるためだ。最近のPDC方式のiモード端末をチェックしたユーザーならわかるだろうが、PDC方式のiモード端末は機能的にもネットワーク的にも限界に来ており、新しい通信インフラを活用しなければ、今以上のサービスが提供できなくなっている。

 たとえば、505iシリーズから採用されたiアプリDXは、スクラッチパッドを含めた領域が230KBとなっているが、これをPDC方式のiモード端末でダウンロードすると、単純計算で500円を超えるパケット通信料が必要になる。また、同じく505iシリーズから採用されたFlashも最大20KBとなっており、単純計算で約50円のパケット通信料が掛かる。つまり、Flashでデザインされたコンテンツを数ページ閲覧し、iアプリDXをダウンロードするだけで、パケット通信料は1,000円近くに達してしまう。今後、NTTドコモが今以上にiモードのコンテンツを充実させるには、パケット通信料の安いFOMAに主力を移さざるを得ないわけだ。

 ただし、この比較はPDC方式のiモード端末とFOMA 900iシリーズの間の話に過ぎない。というのもFOMA 900iシリーズをベースにしたバリエーションモデルが登場する可能性があるからだ。すでに、FOMA 900iシリーズの発表会ではムービースタイルのパナソニック製端末「P900iV」、タッチパネル搭載の富士通製端末「F900iT」が公開されており、定例記者会見では立川社長が「FOMAにFeliCaを搭載した端末を投入したい」「年2回くらいはモデルチェンジをしたい」とコメントしている。前編でも解説したように、FOMA 900iシリーズはベースモデルと言われており、昨年までの50Xiシリーズのように、夏冬のボーナス商戦向けにFOMA 900iシリーズのバリエーションモデルが登場してくる可能性は十分に考えられるわけだ。ただ、FOMAの開発や試験には時間とコストが掛かるため、50Xiシリーズとは同じようにリリースできないかもしれない。いずれにせよ、FOMA 900iシリーズ購入を検討しているユーザーは、これらの情報をよく考える必要があるだろう。


PDC方式から乗り換えるリスク

ドコモでは、小型の屋内用基地局を開発し、FOMAサービスエリアの拡充に注力している
 次に、PDC方式のユーザーがFOMAに乗り換えるリスクについて考えてみよう。まず、初心者で最も多く誤解されているのがPDC方式のiモードからFOMAに乗り換えるとき、電話番号が変わるという話だ。本誌の愛読者なら、今さら説明するまでもないが、PDC方式のiモードからFOMAに契約を移行しても電話番号は変わらない。契約上はPDC方式のiモードを廃止し、FOMAを新たに契約することになるが、長期割引などに適用される契約期間もそのまま引き継がれる。つまり、契約上の移行リスクはほとんどないわけだ。

 エリアについてはどうだろうか。NTTドコモはFOMAのサービス開始以来、順調にエリアを拡大しており、3月はじめには人口カバー率99%を達成している。ただ、こうした人口カバー率はあくまでも二次元的に表現されたものでしかなく、実際には地下や高層ビル、敷地面積の大きいビルの内側などではエリア内にも関わらず、使えないケースが数多くある。

 ただ、NTTドコモでも昨年公開したように、室内や地下にも設置できる小型基地局の開発を進めており、地下やビル内でも通話できるエリアが拡大している。都内の地下鉄についても今春には全駅で利用できる見込みで、他の都市圏でも順次、地下での利用が可能になるはずだ。着信やメール受信を一瞬たりとも見逃したくないというのであれば、話は別だが、少なくとも都市圏での一般的な利用の範囲であれば、概ね何とかなるレベルに達しつつあるというのが筆者自身の感想だ。

 また、初期のFOMAでは筆者のレビューなどでも紹介したように、ハンドオーバー(基地局間の移動)が難しく、鉄道や高速道路の移動では切れてしまうケースが多かったが、最近のFOMAはこの点についてもかなり改良されている。まったく途切れないというわけではないが、仮にハンドオーバーに失敗しそうなときもかなり粘り、少しタイムラグを置いてから再接続してくれるという印象だ。


 FOMAのエリアがPDC方式と完全に同等になるにはまだまだ時間が掛かるだろうが、エリアを不安視するユーザーはNTTドコモが提供する「デュアルネットワークサービス」を利用する手が考えられる。デュアルネットワークサービスは1つの電話番号でFOMA端末とPDC端末を切り替えながら利用するもので、FOMAのエリア外ではPDC端末で通話やiモードなどを使うことができる。2台の端末を持つことに抵抗があるなら、昨年発売されたNEC製端末「N2701」を利用することもできるが、やはり、FOMA 900iシリーズの方がスペック的にも新しいため、デュアルネットワークサービスで2台の端末を利用する方が魅力的だろう。

 デュアルネットワークは当初からFOMA端末を中心に構成したサービスとして提供され、PDC端末ではメールをWebメールの形でしか確認できないうえ、マイメニューなども利用できない状態だった。しかし、現在はその仕様も改善され、PDC端末に切り替えたときの制約はほとんどなくなっている。PDC端末に切り替えたときの通話料やパケット通信料は、PDC方式の料金に準拠することになるが、利用料金も月額300円なので、エリア重視のユーザーは検討する価値があるだろう。ちなみに、筆者は出張などで地方に出かけるときだけ、PDC端末を持ち歩き、それ以外はFOMA端末を利用するようにしている。デュアルネットワークで組み合わせるPDC端末については、基本的に通話など、一般的な利用が中心になると予想されるため、800MHzと1.5GHzのデュアルバンドで利用できる211i/504iシリーズ以降(251i/251iS/252iは含まない)がおすすめだ。

 ところで、PDC方式のiモード端末では新しい機種に買い換えるとき、「機種変更」という手続きをする。これに対し、FOMAではFOMAカード(USIMカード)と呼ばれるICチップを利用するため、新しい端末を購入すれば、あとはFOMAカードを差し替えるのみで、新しい端末を利用することができる。端末の購入は一般的に「買い増し」と呼ばれ、従来端末の利用期間が短ければ、PDC方式のiモード端末などと同じように、割高な価格で購入しなければならない。詳しい手続きについては、ドコモショップなどで確認することをおすすめしたい。


デュアルネットワーク利用時の画面 FOMA端末とPDC端末のどちらを利用するのか、いつでも切り替えられる 切替完了後に状態確認したところ

乗り換えの機は熟したのか?

 NTTドコモのFOMAは端末のスペックを徐々に向上させ、内なる敵とも言えるPDC方式のiモード端末に劣らないFOMA 900iシリーズをリリースするに至った。FOMAのエリアがPDC方式と同等になるにはまだ時間が掛かるだろうが、エリア的に不安があれば、デュアルネットワークを利用するなど、解決策はある。これらの点から考えてもFOMAへの乗り換えの機は熟しつつあると言えるのかもしれない。後編ではFOMAのサービスやFOMA 900iシリーズで新たに追加されたサービスなどにもスポットを当てながら、FOMAへの乗り換えについての最終的な判断をしてみよう。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

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(法林岳之)
2004/03/11 13:23

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