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大和 哲の「モバイルワンダーゲート」レビュー
携帯ゲーム機を本格インターネット機器に

携帯ゲーム機と携帯電話でインターネットを

 バンダイの携帯ゲーム機「ワンダースワン」は、任天堂のゲームボーイなどと比べるといまひとつメジャーではないものの、売値は4000円程度という値ごろ感や単3電池1本で駆動し、重量93グラムと軽くて携帯しやすいことなどから、最近人気の出てきた機種だ。

 7月14日に、全国で発売された「モバイルワンダーゲート」は、このワンダースワンとNTTドコモ仕様のデジタル携帯電話(PDC端末)を接続して、インターネット上のWebページの閲覧やメールの読み書き、専用のサイトからミニゲームなどをダウンロードできる、ワンダースワンのオプションだ。今回、その製品を入手することができたので、その使用感などを簡単にお伝えしよう。


ゲームのためのインターネットか、インターネットにワンダースワンか

NTTドコモ『モバイルワンダーゲート』。通信アダプタとmopera接続用カセットのセットで、標準価格1万200円。店頭価格は9000円を切るていど
 モバイルワンダーゲートは「携帯電話接続アダプタ」と「mopera接続用カセット」から構成されている。アダプタは、メモリバックアップ用の単4電池を入れて、アダプタ裏面に収納されているケーブルを携帯電話にセットするだけ。アダプタ自体はワンダースワン上面から見るとちょうど横に延長したようなサイズで、非常にコンパクト。見た感じ違和感もなくいい仕上がりだ。重量も軽くワンダースワン本体にセットしても全体で200グラムもない。

 さて、ワンダーゲートを利用するためには、携帯電話アダプタの他に、ワンダースワン本体の背面にカセットをセットするわけだ。ここでワンダーゲートのカートリッジをセットすると、ワンダーゲートを使ってWebページの閲覧やメールの読み書きができるようになる。代わりにワンダースワンのゲームソフトをセットすると(ゲームがワンダーゲート対応であった場合)、インターネットを使って、そのゲームの特殊フィーチャーが使えるようになる。

 つまり、このモバイルワンダーゲートは「ワンダースワンを使った手軽なモバイルインターネットキット」でもあるし、「ゲームでインターネットを使うオプション」という存在でもあるわけだ。

 まず、「ゲームでインターネットを使うオプション」としてのこのワンダーゲートを見ていこう。ワンダースワンにはすでに約100タイトル以上のゲームは発売、あるいは発売予定になっているが、そのうちの10タイトル程度が「ワンダーゲート対応」になっていて、ゲームソフト中から通信機能を使ったフィーチャーを楽しむことができるようになっている。各ゲームでどんなフィーチャーがあるのかに関しては詳しくはワンダースワンの公式ホームページを参照していただきたいが、大雑把にわけると、ほとんどが「プレイヤーの中で自分がどのくらいの位置にいるかを確認できるランキング」か、あるいはゲームの中で特殊なデータが使える機能のどちらかだ。

 たとえば、筆者の手元にあるゲームでは、「ファイナルラップ2000」ではランキング、「ロードランナー」ではオリジナル追加マップの配信、「SD GUNDAM GGENERATION ?GATHER BEAT(ギャザービート) ?」ではゲーム中に使われるデータの中でも、同じユニットでも通常のユニットよりも強力なパラメータ設定がされているユニットデータやあるいはランバラルといった、ワンダーゲートを使わないと出てこないキャラデータが配信されたりしている。


 ユーザーが増えればそれなりに面白くなりそうな機能ではあるのだが、正直に言って、対応ゲームが少ないことなどもあって、これに関しては今のところ、イマイチありがたみがまだ感じにくい。特に思うのは、今のところワンダーゲートで使えるようになるフィーチャーが、ただデータをダウンロードするタイプのものばかりで、リアルタイムに通信を生かすものがないことだ。たとえばインターネット対戦ゲームようなコンテンツはない。これが仕組み上難しいのか、それともただ単にまだ作っていないだけなのかが判然としないが、通信を使ってどちらをやればゲームを面白くできるかといえば明らかに「対戦ゲーム」のほうだろう。もしできるのならば、早く実現してほしいものだ。機能的にできない、ということであれば少々残念だが……。


小さい画面だが、フレームページなどもそこそこ見られる。

ワンダースワンに、mopera接続用カセットとワンダーゲートをセットしたところ(写真はワンダースワン背面)
 さて、もうひとつのワンダーゲートの使い方である、ワンダーゲートのカセットを使ってワンダースワンをインターネット端末として使うほうを見ていこう。筆者は「ゲーム機でどこまできるものだろうか」と、触るまではその有効性には多少懐疑的だったのだが、思ったよりはずいぶんよくできているので、感心した。

 先に書いたように、ワンダーゲートのカセットを使うとワンダースワンを使ってWebページの閲覧やメールの読み書き、それに専用ミニゲームをダウンロードして遊ぶことができるようになる。

 ワンダーゲートのWebブラウズ機能はHTML3.2相当まで対応していていることになっているが、実際にはHTML3.2プラスαになっていて、現在Web上にあるHTMLであれば、大抵のものは見られるようになっている。フレームページなどに関しては、そのままでは表示できないが、フレームページからのハイパーリンクがフレームレイアウトの中に表示され、リンクをたどって、フレーム中のページひとつずつを見ることはできるようになっている。

 さすがにセキュリティサイトのアクセス(HTTPS)やFrashの再生などはできないが、基本的に、ワンダーゲートではどんなにページのサイズが大きくなっても表示できない、ということはない。

 というのも、このワンダーゲートではWebページの閲覧をする際、ホームページのHTMLデータを読むだけではなく、(おそらく3~4KBの単位なのではないかと思うのだが)、1ページを何分割かして分けてページの何分の1かだけを読んで表示するのだ。なお、ページの上から下まで読んでいくと途中でページを読むための時間が発生するが、ページデータはうまくキャッシングされているようで、ページの下から一度読んだページの上のほうに戻る場合は、ページのロードはある程度まで行なわれないようになっている。

 ちなみに、Webサーバーからは、このワンダーゲートのブラウザは「Mozilla/3.0 (compatible; InfoBridge-mopera 1.1.1; Linux)」であると見える。おそらく現在、ブラウザによって表示を変えているようなページでは多くの場合、このブラウザは少し昔のNetscape Navigatorなどと同じ扱いになるはずだ。

 残念ながらCoockieが使えないので、Yahoo!のパーソナルサービスやHotmailなどが使えない、前のページに戻る際は必ずページを読み込んでしまう、などの残念な点もあるが、この手の安価なインターネットツールとしてはかなりいろいろなことができる部類に入るのではないかと思う。

 なお、このモバイルワンダーゲートは、Webの閲覧には必ずNTTドコモのインターネットサービス「mopera」を使う。これは、NTTドコモの携帯電話なら手続き不要(ただし、メールアカウントを使用するには手続きが必要)で使えるので、NTTドコモのデジタル携帯電話、ワンダースワン、それにこのワンダーゲートがあれば、Webの閲覧だけなら、買ってすぐに可能だ、というのもこのキットの大きなメリットだろう。


プロバイダのメールボックスからも読めるメール機能

ワンダースワンにワンダーゲートとmopera接続用カセットを装着して、moperaメニューにアクセス。接続は非常に簡単
 また、メール機能のほうだが、こちらはWeb閲覧と違ってmoperaメールだけでなく、好きな接続方法、好きなサーバーを設定することができる。moperaメールを使う場合、ワンダーゲートがメールアカウントなども自動的に設定してくれるのでこれが一番楽であることに変わりはないのだが、手動設定で接続に使うアクセスポイントの電話番号やアカウント、それにPOP3サーバーやメールアドレスも設定できるので、対象が普通にインターネット上のメールサーバーでさえあれば、ワンダースワンからでも、プロバイダや会社などのメールサーバーのメールを読み書きすることができる。

 このメールソフトではさすがに添付ファイルは読むことができないが、HTMLメールも、HTMLタグは無視して表示してくれるので、普通のテキストとしてみることはできるし、サーバーのメールを削除しない、ある程度(8KB)以上の大きさのメールは途中でスキップする、などの設定できるようにもなっていて、機能的には十分よくできている。

 ただ、ワンダースワンにはキーが4方向(上下左右)ボタンが2つ、それに決定やキャンセルに使うA・Bボタンしかないので、文字入力は「ソフトウエアキーボード」というものを使うことになる。これは簡単にいうと、一覧されている文字のなかから、十字キーで選んでいく、というゲーム機での文字入力によくある文字入力(もっとやさしく言うなら「ドラクエの名前選び」のような)方法で、正直言ってメールを書くのは多少やっかいだ。

 残念ながら、このワンダースワンを日常的にメールを読み書きする、というような用途に使うのはやはり厳しいかもしれない。が、普段はPCでメールを読み書きし、外出するときはワンダースワンでメールをチェックする、というような用途には十分使えるだろう。なにしろ、このワンダースワンはワンダーゲートをあわせても200グラムもないので、持ち運びにはとても重宝するだろう。


ハードとソフトが分かれている可能性を買いたい

 さて、最後のワンダースワン公式ページからミニゲームのダウンロード機能だが、こちらは原稿執筆時には提供が始まっておらず、試すことができなかった。いずれにしても容量的には1ゲーム32KB程度のサイズになるそうなので、提供が始まっても、本当に「ミニゲーム」という程度のものになるのではないだろうかと予想される。

 このワンダーゲートは、「ゲーム機のオプションキット」としてみると、まだそれほど面白いものではないかもしれない。が、モバイルWebブラウザとしてはそれなりで手軽で面白い機械ではないかと思う。この手の安価な携帯機器としては、Webブラウザ、メールソフトともよくできているほうだろう。ちなみに、価格は、モバイルワンダーゲートが標準小売価格1万200円。ワンダースワン本体はおもちゃ屋などで4000円程度で販売されている。

 もちろん、よくできていると言っても、パソコンと比較するとイマイチ機能的には物足りない部分も多いのだが、将来のオプションやソフトのバージョンアップで改善されることを期待したい。このワンダースワンはメール専用端末などと違って、このワンダーゲートではそれぞれ本体とは別個、しかも、ハードウエア(携帯電話アダプタ)、ソフトウエア(カートリッジ)それぞれも分離しているので、拡張性という点で非常に有利な形状をした機械だからだ。

 たとえば、このワンダーゲートであれば将来携帯電話がさらに高速データ転送インターフェースを持ったとしたら、携帯電話アダプタ部分だけ新しいものを出してくれればいいわけだし、逆に、ブラウザの機能をさらにアップしたいだけであれば、メーカーが新しいブラウザのカートリッジを出せばいいだけの話だからだ。実際のところ、このモバイルワンダーゲートには、電話へのアダプタ部分をPHS用インタフェースに変更した、PHS版ワンダーゲートがいずれ発売される予定があるとも聞いている。

 なお、ここでもし、ソフトウェアのバージョンアップがされたら、ぜひとも改善してほしい点を1点上げておこう。恐ろしいことに、このワンダーゲートではメールパスワードなどは表示部分では見えないのだが、実は編集画面では内容が隠されていない。これだと他人にワンダーゲートを他人に触らせたらパスワードが簡単に見られてしまうことに可能性もあるだろう。ぜひ、パスワードは編集中も「*****」と表示するなどして、パスワードは他人には見えないようにしてほしいのだ)。

 ワンダースワンにはアマチュアが手軽にプログラムを開発できる環境(ワンダーウイッチ)も安価で提供されているので、もしかしたら、ユーザーからさらによいソフトが提供されるかもしれない、という点でも期待を込めて買いたいハードウエアだ。

 なお、最後になってしまったが、このワンダーゲートの通信方法はデータ送受信速度は9600bpsの回線接続方式で行なっていて、パケット通信方式ではない。メールの送受信の場合は回線を自動的に切ってくれるのだが、Web閲覧ではいったん接続すると、ずっと接続が維持される。手動で回線を切断しないと電話代がどんどん跳ね上がってしまうので使用される場合は注意してほしい。




URL
  モバイルワンダーゲート製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/wonder/index.html
  WonderSwanWebホームページ
  http://www.swan.channel.or.jp/
  モバイルワンダーゲート対応ソフトウエア情報
  http://www.swan.channel.or.jp/swan/software/index_gate.html


(大和 哲)
2000/04/01 10:59

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