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法林岳之の速報レビュー
撮ったら送る! これからのメールは写真付き!!

遊べるカメラ付きメール端末

 昨年末、NTTドコモから発売された「キャメッセプチ」はCMOSカメラを搭載した携帯情報端末として、若い女性を中心に高い注目を集めた。このキャメッセプチの機能を受け継ぎながら、キーボードを備え、メール機能を充実させた「キャメッセボード」が6月5日に発表され、関東・甲信越では6月14日から発売が開始された。早速、製品を入手することができたので、試用レポートをお送りしよう。


キーボードがなければ、メール端末とは呼べない?

 NTTドコモ『キャメッセボード』。2万4800円、166(W)×99(D)×24(H)mm、約300g(単3乾電池2本を含む。ニッケル水素電池対応)。
 昨年来、各社からメール端末が相次いで発表されているが、新しい方向性が感じられるのがカメラ機能を搭載した製品だ。すでに、DDIポケット向けに九州松下電器が「Pocket・E」、DDI-セルラー/IDOが東芝製の「フォトパレット」を販売しており、NTTドコモも今年2月から「キャメッセプチ」をラインアップに加えている。

 カメラ付きメール端末の良さは、いつでもどこでも写真が撮れ、撮った画像を携帯電話ですぐにメール添付して送信できることだ。何か面白いものを見つけたときだけでなく、遊びに行ったとき、みんなで飲みに行ったときや何かイベントがあったときなど、手軽にその場の雰囲気を第三者に伝えることができる。

 もちろん、デジタルカメラとパソコンという組み合わせでも同様のことができる。たとえば、カメラを内蔵したソニーのVAIO C1シリーズはこうしたカメラ付き端末登場のきっかけにもなり、現在でも高い人気を保持している(筆者もVAIO C1-XEを愛用中。そういや、ケータイ Watch的愛娘のひらちれや水曜日の連載担当の広野忠敏氏も持ってる)。しかし、撮りたいと思ったときにすぐに撮れ、その場で速攻でメールできるという点において、メール端末にかなう環境はない。


 ボディはやや大きめだが、厚さがそれほどでもないため、重量的にはコミュニケーションパルなどと同等。
 ただ、キャメッセプチについては、筆者としても今ひとつメール端末として認め難い部分もあった。それはキーボードだ。やはり、「メール」と付くからには文字も入力するわけで、当然、そこには入力及び操作デバイスとしてのキーボードが必須条件と考えている。現に、キーボードのないメール端末は短命であったし、Palmやザウルスのように洗練された手書き入力システムを持つPDAなどでもキーボードをオプションで用意している。

 今回発売されたキャメッセボードは、キャメッセプチと同じインターフェイスやシステムを採用しながら、キーボードを装備し、モノクロとカラーの2つの液晶を搭載することで、カメラ付きメール端末の新しいスタイルを生み出そうとしている。ちなみに、キャメッセプチは東芝製だったが、今回のキャメッセボードはセイコーエプソンが製造を担当している。


意外に大ぶりなボディ

 キャメッセボードを手にして、まず最初に感じるのがボディが意外に大ぶりであることだ。NTTドコモのメール端末のラインアップの中では、4月に発売されたポケットポストペットよりも大きい。ただ、重量は300g(乾電池を含む)と中量級クラスに収められている。


 モノクロ液晶側のメニュー画面。シンプルだが、内容はわかりやすい。
 本体を開けると、モノクロとカラーの液晶画面が表われる。サイズ的にはモノクロ液晶が約51×35mm、カラー液晶が約40×34mmだが、カラー液晶側はハードアイコンがあるため、実質的な表示エリアは36×27mmとなっている。解像度はモノクロ液晶が240×160ドット、カラー液晶が312×230ドットで、サイズと逆転している。ちなみに、カラー液晶は透過型D-TFDタイプを採用しているが、バックライトもあり、視認性は良好だ。

 メール端末に限ったことではないが、2つの液晶ディスプレイが並ぶというスタイルは、今までにない試みだ。しかし、コストと実用性のバランスを考慮すると、なかなか賢明な選択ではないだろうか。ちなみに、カラー液晶側は撮影した画像のレタッチ(というほどのものでもないんだけど)などができるため、本体にはタッチペンが付属する。タッチペンはストラップ状のもので、本体に下げておくことが可能だ。


 キーボードは標準的なQWERTY配列を採用。キーピッチは約11mmだが、配列にクセがないため、意外に使いやすい。
 キーボードは一般的なQWERTY配列を採用しており、4つのファンクションキーと[送受信]キーも備える。[戻る]キーや[後退]キー、[シフト]キー、[実行]キーなどもパソコンのキーボードに近い位置に配されており、違和感なく使うことができる。このあたりはさすがにメール端末を作り慣れているNTTドコモらしい。ちなみに、内蔵カメラのシャッターはキーボード側に備えられている。

 底面には携帯電話と接続するためのケーブルが格納されており、背面側に電池ボックス、側面側にはスマートメディアスロットを備える。スマートメディアは3.3Vの4/8/16/32/64MBに対応しており、画像の記録だけでなく、設定やアドレス帳の内容を保存するときにも利用できる。ただ、スロットの形状がやや浅いためか、メディアが非常に着脱しにくい点が気になった。なお、パッケージには4MBのスマートメディアが同梱されている。


 底面には携帯電話との接続ケーブルが格納されている。うまくラウンドしているためか、途中で勝手に外れることはない。
 スマートメディアスロットは本体左側面下にある。指を差し込む部分がやや浅いため、メディアをわずかに曲げるようにしないと取り出しにくい。

撮影画像は大きく見やすい

 カメラは背面側に回転する。回転したときの画像は上下が自動的に反転する。
 さて、注目のカメラ機能だが、キャメッセボードは1/7インチ11万画素のCMOSカメラを採用している。一般的なデジタルカメラに比べると画素数は少ないが、9.6kbpsという通信速度で画像を送ることを考慮すれば、これくらいの解像度の方がベターだ。

 撮影した画像は前述のスマートメディアに記録される。4MBのメディアでも最大110件もの画像を保存できるため、現在の最大容量である64MBのメディアを使うと、単純計算でも1700枚以上、撮影できることになる。ちなみに、下に掲載しているサンプル画像のファイルサイズは約15KBだった。撮影した画像はフレームやスタンプを貼り付けたり、前述のタッチペンで落書きをすることもできる。

 キャメッセボードのカメラ部分は、VAIO C1などのパソコン、あるいはフォトパレットのように、回転する構造になっている。しかし、Pocket・Eやフォトパレットでは回転時に天地が逆転して表示されてしまうため、反転ボタンを押す必要があったが、キャメッセボードでは一定の位置で自動的に天地が逆になるように設計されている。これはVAIO C1などと同等の構造であり、このクラスの商品で実現されているのは高く評価できる。

 キャメッセボードはキャメッセプチ同様、撮影した画像を送るために「スナップメール」に対応したプロバイダに接続しなければならない。スナップメールは一般的なメールに比べ、画像データのファイルサイズを約30%抑え、短時間で転送できるドコモ独自のプロトコルを採用している。このスナップメールに対応したプロバイダは、今のところ、リトルアンジュしか存在しないため、キャメッセボードを使うにはここに入会するしかないが、入会金980円(7月31日まで無料)、月会費も500円と比較的リーズナブルだ。

 転送時間はカタログスペックによると約48秒とのことだが、筆者が今回試用した範囲ではおよそ40~50秒程度で終了する。ただし、電波状態などによって、転送時間は左右される。これくらいの時間だと、標準的なプランAでは30~40円になる計算だ。この1通30~40円を高いと見るか、安いと見るかが選択のポイントになりそうだ。

 送信した画像は下の通り。天候が良くないため、室内で撮影してみたが、なかなか写りはいいようだ。特に、フォトパレットと比べた場合、解像度が大きいため、パソコンに送った場合でも何を撮った写真なのかが判別できる点はうれしい。意外にホームページ作成用としても手頃なサイズと言えるかもしれない(笑)。

 また、キャメッセボードで撮影した画像をiモードの待受画面として利用できる「アイコメール」というサービスも提供されている。キャメッセボードで撮影した画像をリトルアンジュのアイコメール宛に送信し、本文に相手先のメールアドレスを書いておくと、相手にその画像が貼り付けられたURLがiモードメールで送信され、それをiモード端末から読み込めば、待受画面として利用できるというしくみだ。待受画面作成は着信メロディと並ぶ高い人気を集めており、通常のスナップメール以上にブレイクする可能性が高い。


 サンプルその1。320×240ドットとサイズは大きい。室内で撮影してもそこそこの明るさ。

 サンプルその2。クルマのショールームで撮影したものに、フレームを貼り付けた。なんか楽しい気がする(笑)。

 フォトパレットで撮影したサンプル。144×120ドットとサイズが小さい。やはり、もうひと回り大きい画像が欲しくなる。

対応プロバイダを増やして欲しい

 カラー液晶搭載の携帯電話が増えてきた現状を考えると、カメラ付きメール端末は一気に流行る可能性が高い。なかでもキャメッセボードは従来のキャメッセで指摘されていた入力のしにくさなどをキーボードでカバーすることで、より実用的な環境を作り出している。重いデジタルカメラを持ち歩くよりもはるかに『使える』というのが正直な感想だ(もちろん、遊びの範囲だけどね)。

 ただ、どうしても気になるのが対応プロバイダだ。スナップメールにしてもアイコメールにしてもリトルアンジュと契約しなければ、使うことができない。位置付けとしてはマスターネットとNTTドコモで運営していた「10円メール」と同じということなのだろうが、moperaなどでもスナップメールをサポートできないだろうか。リトルアンジュのホームページもコンテンツサービスなどが充実しているものの、ホームページ上に掲載されているキャメッセシリーズに関する説明が今ひとつだ。

 これは10円メールのときにも感じたことだが、こうした商品の場合、携帯電話事業者とプロバイダの位置関係がハッキリせず、どちらに何を聞けばいいのか、どこで調べられるのかがユーザーにはわかりにくい。せっかく楽しく遊べるメール端末なのだから、もっと両社で連携して、ユーザーにも理解しやすい環境を作ることはできないだろうか。あくまでも筆者の勝手な感想だが、このままではブレイクする前に「ムズカシ~」の一言で片付けられてしまい兼ねない気がする。

 キャメッセボードは標準小売価格が2万4800円、実売価格は当面、2万円前後といったところに落ち着きそうだ。対応する携帯電話は異なるが、ライバルとなるPocket・Eやフォトパレットと同程度の価格帯だ。しかし、スペックや使う楽しさという点については、キャメッセボードの方が確実にリードしている。彼女とペアで持つのもいいし、プレゼントするのもいいだろう。デジタルカメラは面白そうだけど、デカくて重いのは持ち歩きたくないなんていう人にもおすすめできる製品だ。




URL
  キャメッセボードニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0605.html
  キャメッセボード製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/came_board/
  キャメッセプチ製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/camesse/
  リトルアンジュホームページ
  http://www.anges.ne.jp/
  アイコメール(リトルアンジュ)
  http://www.anges.ne.jp/html/services/ico/icomail_top.htm


(法林岳之)
2000/04/01 10:59

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