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防災の日に「災害時ナビ」を試す
自宅までの15kmを歩いてシミュレーション

 9月1日は「防災の日」。その前後は「防災週間」(今年は8月30日〜9月5日)として、日本全国でさまざまな防災関連イベントが開催されている。携帯電話で防災といえば、auの「災害時ナビ」の存在が気になる。実際にどの程度使えるのか試してみた。


「災害時ナビ」とは

災害時ナビ

災害時ナビ(避難所マップ)
 「災害時ナビ」は、auの夏モデルから搭載されている「スタンドアロンGPS」の機能を活用した地図サービスだ。

 これまでの携帯電話のGPS機能は、GPS衛星からの電波を受信すると同時に携帯電話の基地局と通信することで実現されていた(「アシストGPS」と呼ばれる)。地図情報などは、サーバー側からその都度受信して表示される。そのため、大規模災害などが発生し、基地局が倒壊するなどした場合、GPSの機能は利用できなくなってしまう。

 一方、スタンドアロンGPSに対応した災害時ナビでは、地図情報をあらかじめ携帯電話のメモリに蓄えておくことで、万が一、基地局が使用できなくなった場合でも、地図上で自分の位置を確認できるのだ。

 災害時ナビに対応した端末には、「避難所マップ」と呼ばれる地図データがプリセットされており、今回のレビューではこちらのデータを利用した。

 このほか、1ダウンロード315円で利用できる「帰宅支援マップ」もある。こちらは自宅までの経路をカスタマイズして作成できるようになっており、表示される情報も避難所マップよりきめ細やか。

 ちなみに、9月30日まで帰宅支援マップを無料でダウンロードできるキャンペーンも実施されているので、この機会に試してみるのもいいだろう。試用版はダウンロード後10日間利用できる。


ルールの設定

 さて、今回のレビューでは、会社(市ヶ谷)から歩き、約15km離れた自宅の最寄駅(篠崎駅)に辿り着くことを目標にしている。実際に大規模災害が発生したことを想定し、あえて途中で想定外のイベントが発生するように以下のようなルールを設定した。


【ルール】
・二車線未満の道路は利用しない
・ターニングポイント(後述)ではサイコロを振り、その後の行動を決める


【ターニングポイント】
・橋、高架下、トンネル
奇数:通過できる
偶数:通過できない

・信号(5本目)
奇数:行きたい方向に行ける
偶数:行きたい方向に行けない

・駅
奇数:電車に乗れる
偶数:電車に乗れない
※一駅乗ったところで再びサイコロを振る


 大規模災害が発生した場合には、思うように先に進めないこともあるだろう。よりリアルな状況に近づけるための工夫であるとともに、ただ歩くだけではつまらないという本音に対し、ゲーム性を盛り込んで筆者自身のモチベーションを高めようという狙いがある。


いざ帰宅シミュレーション

6:00

6:00ジャストに会社の前をスタート
【6:00 出発】
 では、ルールを設定したところで出発だ。9月1日6:00、会社前で避難所マップを立ち上げ、現在地の確認だ。携帯電話は、基地局が利用できないことを想定し、電波OFFモードに設定してある。

 関東/中部/北陸版では、最初に表示される現在地は東京駅になっており、しばらくすると正しい位置に補正される。ちなみに、電波OFFにしていなければ、最寄りの基地局の位置が現在地として最初に表示されるようだ。別の環境でも試してみたが、この最初の測位には数分程度かかる場合もある。出だしから間違った方向に進んでしまわないように、衛星からの電波が受信しやすい、上空が開けた場所でじっくり待つようにしたほうがいいだろう。

 まずは電車が動いていることを期待して、市ヶ谷駅に向かうことにした。都心は一方通行の道が多く、いきなり「二車線未満の道路は利用しない」というルールの厳しさに直面した。


市ヶ谷駅

市ヶ谷駅では電車に乗れず
【6:18 市ヶ谷駅】
 最初のターニングポイントは「市ヶ谷駅」。電車に乗れないかなぁ……、という淡い期待に反し、出たサイコロの目は「4」。さらに、小雨がパラつきはじめ、最悪の出だしだ。電車に乗れず、仕方がないので、靖国通りを九段下に向かって歩くことにした。


靖国神社南門

靖国神社南門。直進したいのに……
【6:30 信号(靖国神社南門)】
 当然、直進して九段下に向かいたい。が、サイコロは「6」。想定外の偶数連発で迂回を余儀なくされる。ただ、まだ会社から近く、土地勘もあるので、少し遠回りしながらも靖国通りに復帰。九段下に向かう。


九段下駅

九段下駅。サイコロ「1」で電車に乗れる。
【6:48 九段下駅】
 先日、欽ちゃんの感動のゴールで盛り上がった日本武道館を横目にしながら九段下駅到着。この先には首都高5号池袋線の高架が立ちはだかる。何としても電車に乗りたいという一心で振ったサイコロの目は「1」。都営新宿線に乗り、神保町へ。


神保町駅

神保町駅。サイコロ「5」で小川町へ進む。
【6:58 神保町駅】
 人目を気にしながらホームでサイコロを振る。出た目は「5」。再び電車に乗り、小川町駅へ。


小川町駅

小川町駅。再び地上へ。
【7:10 小川町駅】
 ホームで振ったサイコロは「4」。泣く泣く地上に出たら、雨が強まっている。泣きっ面に蜂の展開。たまらずコンビニに駆け込み、ビニール傘を購入。再び靖国通りを東に向かって歩くことに。

 ちなみに、コンビニ各社は、首都圏の八都県市と「災害時における帰宅困難者支援に関する協定」を結んでおり、大規模災害が発生した際、徒歩で帰宅している人に対して水道水やトイレを提供したり、道路情報や避難場所の情報を提供する役割を担っている。


靖国通り・中央本線高架下

靖国通り・中央本線高架下。直進したいが、サイコロ「6」で引き返す。
【7:30 靖国通り・中央本線高架下】
 靖国通りを歩いてすぐにぶつかったのが中央本線の高架。建造物での初のターニングポイントである。気合いを入れて振ったサイコロの目は「6」。手前の交差点まで引き返し、秋葉原駅を目指すことにした。


国道17号・中央本線高架下

国道17号・中央本線高架下。またか。
【7:34 国道17号・中央本線高架下】
 すぐさま中央本線の高架が出現し、サイコロを振る。出た目は「5」。秋葉原へ一歩近づく。


万世橋

神田川にかかる万世橋。秋葉原目前なのにサイコロは「2」。
【7:37 万世橋】
 スタートしてから初めての橋となるのは、神田川にかかる万世橋。これを渡れば秋葉原。振ったサイコロは「2」。ごめんなさい、万世橋を崩落させてしまいました。東と北に向かう進路を封じられ、戸惑いながら国道17号を南へ。


神田駅北口高架下(東)

神田駅北口高架下。サイコロ「6」で東に進めず。
【7:47 神田駅北口高架下(東)】
 左折して東に向い、靖国通りに戻るチャンス到来。しかし、無情にもサイコロは「6」。


神田駅北口高架下(南)

神田駅北口高架下。サイコロ「5」で南下。
【7:48 神田駅北口高架下(南)】
 左折できず、次に狙うは直進方向にある高架だ。ここを直進できないと、西に戻ることになる。ここは何としても奇数を出したい。そして振ったサイコロの目は「5」。最悪の事態は免れた。南下し、今川橋交差点で左折。靖国通りを目指す。


紺屋町・首都高1号入谷線高架下

紺屋町・首都高1号入谷線高架下。靖国通りに戻るチャンス。
【8:00 紺屋町・首都高1号入谷線高架下】
 首都高の高架が出現。サイコロは「5」。靖国通りは目前だ。この頃には雨もあがっていた。


信号(東神田)

東神田の交差点で靖国通りに戻るも、サイコロ「4」で東に進めず。
【8:13 信号(東神田)】
 靖国通りに戻った交差点で再びサイコロタイム。「4」が出てしまい、東に進めなくなる。北に進み、総武線を目指すことにした。


美倉橋

美倉橋。神田川は渡れず。
【8:19 美倉橋】
 本日2つ目の橋は神田川にかかる美倉橋。サイコロの目は「6」。なかなか神田川が渡れない。またしても東と北を封じられ、南下することに。文字通り右往左往だ。


馬喰町駅

馬喰町駅。サイコロ「5」で地獄脱出。
【8:30 馬喰町駅】
 馬喰町交差点の下は馬喰町駅。ここで総武快速線に乗れれば一気に錦糸町というチャンス。サイコロを振ると「5」が出た。地獄の神田一帯を抜け、さらに鬼門と思われていた隅田川をなんと地下から攻略。


錦糸町駅

錦糸町駅。サイコロ「3」で一気に新小岩へ。
【8:48 錦糸町駅】
 続けて錦糸町駅で振ったサイコロは「3」。旧中川、荒川、中川という関門を電車でパスし、新小岩へ。


新小岩駅

新小岩駅。電車をおりて京葉道路を目指す。
【8:58 新小岩駅】
 総武快速線というマジックで新小岩まで辿り着き、企画として「それでいいのか?」という疑問を持ち始めた矢先、出たサイコロの目は「2」。初心に戻り、歩く。目指すは南の京葉道路だ。


新小岩駅前の歩道橋

新小岩駅前の歩道橋。サイコロ「2」で地味に遠回り。
【9:05 新小岩駅前の歩道橋】
 南口を出て南下しようと思ったところ、すぐに歩道橋が出現。こうした歩道橋も災害時には渡れなくなってしまう可能性が高い。振ったサイコロは「2」。駅前のロータリーをぐるっと回り、歩道橋を迂回して先に進むことになった。


信号(コープとうきょう前)

信号(コープとうきょう前)。通行可能な道路を見つけ一安心。
【9:18 信号(コープとうきょう前)】
 本日3回目の信号サイコロタイムだ。住宅街の一方通行の路地が多いエリアだけに、一歩間違うとダメージが大きい。一人緊張感が漂う中、振ったサイコロは「4」。よく見ると左側に細いながらも対面二車線の道路を発見。こちらに進み、しばらく歩くと江戸川区の総合文化センターや中央図書館がある一帯に出た。千葉街道を南下し、再び京葉道路を目指す。


信号(ファミリーマート前)

信号(ファミリーマート前)。サイコロ「1」で京葉道路に到達。
【9:42 信号(ファミリーマート前)】
 この辺りで再び雨が降り出した。京葉道路を目前に5つ目の信号にぶち当たってしまった。サイコロの目は「1」。ようやく京葉道路まで辿り着いた。ここからは東に進むだけだ。


京葉陸橋(環七通り)

京葉陸橋(環七通り)。サイコロ「3」で一歩前進。
【10:05 京葉陸橋(環七通り)】
 京葉道路を東に歩くと、環七通りが通る京葉陸橋が出現。そして振ったサイコロの目は「3」。さらに東へ。


一之江橋(新中川)

新中川にかかる一之江橋。最後の難関をサイコロ「5」でクリア。
【10:10 一之江橋(新中川)】
 最後の難関は新中川。これを渡ればゴールの篠崎駅はもう目前だ。ここまで川にかかる橋をすべて崩落させてきた実績があるだけに、嫌な予感。ところが、サイコロの目は「5」。サイコロの女神は休日出勤して歩き続けた男に微笑んだ。


信号(柴又街道)

柴又街道との交差点にある信号。奇跡の奇数4連発。
【10:32 信号(柴又街道)】
 ここまで来れば土地勘もあるので、万が一サイコロの女神に見放されても何とかなる。振ったサイコロは「1」。奇数4連発で、ゴールを手中に収めた。


篠崎駅

ゴールに設定した篠崎駅に到着。歩数計は18,877歩を示していた。
【10:45 篠崎駅】
 ゴール! 市ヶ谷を6:00に出発してから約5時間。かばんに入れていた歩数計は18,877歩を示していた。

 災害時ナビには移動履歴を記録した「あしあとデータ」をデータフォルダに保存する機能がある。これをKML形式に変換し、Googleマップで参照できるようにしてみた(Googleマップで見る)。


シミュレーションを終えて

 災害時ナビを使って帰宅シミュレーションを実践してみて分かったことが幾つかある。

 まず、災害時ナビでは、画面上に太陽のアイコンが表示され、実際に太陽が見える方向に合わせて画面を回転させれば、おおよその方角がわかるようになっている。しかし、今回のように小雨が降るような状況では、それもあまり参考にならない。路地が入り組んだ住宅地では、特に方角を見失いやすい。

 今回使用した「避難所マップ」では、主要幹線道路しか表示されないため、それらの道路が通行不可能となった場合、野生の勘に頼らなければならなくなる。だいたいこっちに行くといいんじゃないかな、の繰り返しだ。有料の「帰宅支援マップ」では、幹線道路以外の道路もしっかり表示されているので、自分の野生の勘に不安がある方はそちらをダウンロードしておいたほうが無難だ。

 ただ、「帰宅支援マップ」の場合でも、東京都の「帰宅支援対象道路」に設定された道路以外は危険ポイント等の情報が著しく少ない。例えば、今回の帰宅シミュレーションに度々登場した靖国通り・京葉道路は帰宅支援道路に設定されておらず、詳細な情報が得られるのは少し北の蔵前橋通りだ。

 また、地図上に表示されるのはランドマークで、道路の名称ではない点にも注意しなければならない。分岐点となる交差点で目にする道路標識に記載されているのは道路の名称だ。普段自動車を運転していて、これが京葉道路で、これが蔵前橋通り、という風に地図を見てパッと識別できるなら問題ないが、そうでない人の目には極めて不親切な内容と映るかもしれない。

 やはり非常事態には、素直に周囲の人に道を尋ねるべきとも言える。携帯電話より人間のコミュニケーション能力に頼ったほうが確実だ。公園や公共施設、コンビニ、ファミレス、ガソリンスタンドなどのスポット(帰宅支援ステーション)には情報も集まる。闇雲に歩くのではなく、それらの場所でしっかり情報収集した上で動いたほうがいい。

 なお、KDDIでは、TOKYO FMと協力して、デジタルラジオの放送波を使って避難所マップを配信する実験も行なっている。「この橋は渡れない」「ここで火災が発生している」といった生きた情報を各端末に向けて配信することも可能となるだけに、今後の開発が期待される。


「帰宅支援マップ」(左)と「避難所マップ」(右) 歩いた軌跡
「帰宅支援マップ」(左)と「避難所マップ」(右)。帰宅支援マップのほうが詳細な地図が表示される。 歩いた軌跡は青い丸で表示される。

余談

 参考までに、サイコロを振らずに最短ルート(靖国通り〜京葉道路のルート)を歩いた場合にかかった時間も記しておく(実は翌日に歩いてみた)。同じように6:00に出発して、ゴールしたのは9:50。歩数は23,344歩だった。

 サイコロを振ったほうが、真っ直ぐ歩くより時間がかかっている。一方で電車にも乗っているので、歩数はサイコロを振ったほうが少なかった。

 筆者の場合、順序が逆になってしまったが、まずは最短ルートを歩いてみて、橋などの位置や地点間の距離感をつかんでおいてから、サイコロを使ったシミュレーションにチャレンジしてみてはいかがだろう。実際に歩いてみれば、新たな発見もあるかもしれない。



URL
  災害時ナビ(KDDI)
  http://www.au.kddi.com/ezweb/service/saigai/
  東京都防災ホームページ
  http://www.bousai.metro.tokyo.jp/

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(湯野 康隆)
2007/09/03 19:03

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