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「W63H」レビュー
携帯らしさを踏襲した優等生な高機能モデル

 「W63H」は、3.1インチの有機ELディスプレイを搭載し、ワンセグやGPS、おサイフケータイといったトレンドの機能を抑えた日立製作所製のCDMA 1X WIN端末だ。今回はデザインや機能を中心に「W63H」を紹介しよう。


デザイン・外観

 Woooケータイ「W53H」からのレベルアップを図ったという「W63H」。回転2軸ヒンジを採用し、一般的な折りたたみ式携帯電話として利用できるほか、ディスプレイをクルッと回転させてビュースタイルでワンセグなどが楽しめる。

 デザインコンセプトは、日立のAV機器などで採用されている「Cutting edge Design」を採用する。無駄をそぎ落とし、エッジを効かせることで内に秘めた技術の先進性を感じさせるものだという。「W63H」でも曲面や曲線を避けるように、平面が多用されている。外観からは角張った印象も受けるが、端末端は面取りされており、手にしたときにゴツゴツした感じは受けない。

 また、デザイン上のアクセントになっているのが、端末を囲むように配された金属的な処理だ。ボディカラーに合わせたカラーリングで、ヒンジ部、カメラ周辺部などにも同じ処理が施されている。端末に高級感を与える演出としてひと役買っているようだ。

 背面パネルには、中央部におサイフケータイのFeliCaマークが用意されている。背面パネルのすっきりしたイメージに溶け込むように、同系色のロゴが入っている。おサイフケータイは端末のバッテリー側ボディかざすことが多いが、「W63H」では背面側パネルをかざすことになる。このほか、ヒンジ部にはCDMA 1X WIN端末を示す「WIN」のロゴが配され、その反対側には着信LEDが用意されている。

 バッテリー側ボディには、有効画素数500万画素(CMOS)カメラや、撮影ライトなどがある。バッテリー側ボディの上下端には携帯電話やGPSのアンテナが内蔵されており、説明書では、通信機能利用時に上下端を手などで覆い隠さないようと記載されている。

 またヒンジ部側面には、ワンセグ用のアンテナが収納されている。ワンセグを視聴する際は、この伸縮可変タイプのアンテナを利用する。携帯電話用アンテナではないため、通話やEZweb利用時の通信品質は変更されない。IrSimple対応の赤外線通信機能もヒンジ部にある。

 側面部には、スライド式カバーを搭載した平型イヤホン端子、マルチプレイウィンドウ画面を表示するマルチキー、マナーモードキー、シャッターキーのほか、サイドキーで操作、決定するキーが並ぶ。このほかに、充電LEDやストラップホールなどがある。

 もう一方の側面部は、「microSD」と記載されたカバーがあり、開くと外部接続端子、その下にmicroSDカードスロットが用意されている。



 端末を開くと、約3.1インチ、有機ELディスプレイが現れる。「W63H」にはサブディスプレイが用意されていないため、唯一のディスプレイとなる。ディスプレイ上部には光センサーがあり、外光に応じてディスプレイの明るさが自動調節される。

 下側ボディには、方向キーと数字キーが用意されている。方向キーや数字キーはオーソドックスなもので、大きな不都合を感じることなく操作できるだろう。なお、「W53H」と比較すると、アプリキーとアドレス帳キーの配置が変更されている。

 折りたたみ時のボディの大きさは約50×110×17.4mmで、重さは約123g。「W53H」と比較すると、端末の幅と厚さが1~3mm程度小さくなっており、逆に長さは3mm大きくなった。重さは約8gほど軽くなった。

 ボディカラーは、ガーネットオレンジ、サファイアブラック、オパールホワイトの3色展開。オレンジやホワイトをラインナップしているが、落ち着いて高級感のある配色となっている。なお、サファイアブラックは見る角度や光の当たり方によって色が変化して見える偏光性塗料が採用されている。日本ペイントの「マジョーラカラー」という塗料で、デモンストレーションカーやスノーボード、ルーフボックスなどで採用されている。


有機ELを活かした映像

 「W63H」の最大の特徴となるのが、有機ELディスプレイを活かした映像の美しさだ。ディスプレイは、約3.1インチ、480×800ドット(Visual WVGAとして)、最大26万色表示となる。

 Visual WVGAは、240×800ドットの中に4色の発光素子を組み込むことで、疑似的に400×800ドットのワイドVGA相当を実現する技術のこと。映像などの表示については実際のワイドVGAサイズの画面と比較しても違いは感じられなかった。文字の表示については、Visual WVGAと知っていたためか、「そんな気がする」とは感じた。いずれも気になる程ではないと思うが、店頭のホットモックなどを利用して確認してみることをお勧めしたい。

 日立のテレビブランド「Wooo」の名を冠しているように、「W63H」には、映像の高画質化エンジンなどが搭載されている。「Picture Master for Mobile」は、Woooの技術を活かしたエンジンで、LISMO Videoやワンセグ利用時の補正機能などが用意されている。

 前述した光センサーと連動したγ補正機能を搭載し、外光を検知して画面の黒つぶれを補正し、屋外でも視聴しやすくなるよう調整する。また、映像に合わせてコントラストを自動調整する「リアルタイムγ補正」や「彩度補正機能」、番組に合わせた画質が選択できる「カラーマネージメント」機能なども用意されている。今回から新たに、画像の輪郭を強調してシャープな映像が得られる「エッジエンハンサ」機能なども追加されている。

 ワンセグ関連では、通常15fpsのワンセグの映像を最大30fpsに変換して再生する「なめらかモード」が提供される。「なめらかモード」はワンセグを全画面表示した場合に利用でき、「なめらかモード」を有効にすると、メールなどのバックグラウンド受信が無効になる。また、電波状態が悪くなる場合もあるという。

 ワンセグの音質面では、ダイマジックの帯域拡張技術を使ったヤマハの音質補正技術「DBEX」を採用する。連続視聴時間は約3時間20分となり、イヤホンを使って「DBEX」をOFF設定した場合のみ、視聴時間は約3時間30分となる。Bluetoothに対応し、Bluetoothヘッドセットを利用してワンセグやLISMO Videoの音声が楽しめる。

 ワンセグ視聴中に着信があった場合、自動的に映像を蓄積し、通話後に追っかけ再生できる機能「タイムシフト再生」にも対応する。録画は、データフォルダに最長約3時間20分、micorSDカードに最長約10時間40分の録画できる。予約録画機能や1.3倍速の音声付き時短再生などにも対応する。

 映像関連ではこのほか、auの動画サービス「LISMO Video」に対応する。卓上ホルダがUSBクレードルにもなるため、パソコンとUSB経由で接続して、大容量の動画データを「W63H」に転送できる。また、別売の「カシオTV出力ケーブル」を利用すると、携帯電話に保存した動画や写真などをテレビ画面で楽しめる。


基本機能

 端末はauの携帯電話プラットフォーム「KCP+」を採用する。国際ローミングサービス「グローバルパスポート CDMA」もサポートされる。「KCP+」採用ということで、全体的なレスポンスが気になるところだが、“サクサク”とはいかないまでも通常利用において、遅いと感じることはなかった。

 カメラは500万画素のCMOSセンサーを搭載する。オートフォーカス機能や手ブレおよび被写体ブレ補正機能も利用できる。ビュースタイルでは、側面部のシャッターボタンが利用可能で、半押しも行える。シャッターボタンは側面部にある各キーと同様に小さめのものが採用されている。半押し状態からシャッターを切る際は指の平らな部分ではなく、指先を使った方が押しやすいようだ。

 また、「W63H」ではメールの最大添付容量は2MBに拡張されている。5メガサイズで撮影した画像をそのままメール添付で送信可能となっている。このほかVGAサイズの動画撮影などにも対応する。

 カメラを使った機能では、バーコードリーダーのほか、名刺読取や単語読取、文章読取(英日/日英翻訳)などに対応した「テキストリーダー」を搭載する。ポケットプログレッシブ英和辞典と和英辞典、国語辞典や英会話辞典などを収録した「モバイル辞典」がプリセットされており、カメラで読み取った英単語などが検索できる。検索した英単語などは音声も確認できる。

 GPSやおサイフケータイ、マルチプレイウィンドウのほか、フルブラウザ「PCサイトビューアー」や、ビジネス文書などが表示できる「PCドキュメントビューアー」などに対応する。

 フルブラウザは横画面表示に対応する。「PCサイトドキュメントビューアー」は閲覧だけでなく、WordとExcelの編集も可能で、「W63H」より編集データをメール添付できるようになった。

 データフォルダの容量は、BREWのフォルダと共用となるが約600MBとなっている。micoroSDカードは最大2GBに対応する。メールなどの文字入力は従来通り「ATOK for au 」となる。

 また「W63H」は、携帯電話を使ってパソコン向けのデータ通信を定額で提供する「モバイルデータ通信定額」に対応している。「ダブル定額」などのパケット通信料の割引サービスを利用しているユーザーが対象となる。パソコンを使ったデータ通信を利用した場合、通信料の上限が1万3650円に設定される。

 このほか、日立製端末では「W62H」より、日立製エアコンのキャラクターである「白くまくん」のコンテンツが用意されている。「W63H」でもケータイアレンジを利用して、待受画面やメニュー画面で白くまくんが設定できる。「W63H」では時間に応じて背景色が変化したり、メニュー画面でしばらく操作をやめると、白くまくんのアイコンが次々に居眠りし出すといった演出も楽しめる。



製品の位置付け

 「W63H」は、大画面で機能満載のマルチメディア端末「W64SH」と、8メガカメラを搭載した「W63CA」と並ぶ、高機能なモデルと言えるだろう。防水ケータイの「W65K」、着うたフルプラス対応の「Xmini」と「W65T」、GSM対応の「W64S」など、auの秋冬モデルは端末の特徴付けが手堅い印象を受ける。

 こうした中で「W63H」は、端末機能のバランスを重視したモデルで、各機能が過不足無く平均点以上の性能になるよう開発された“優等生なケータイ”と感じる。端末デザインは従来の携帯電話らしさを踏襲しており、「W64SH」や「W63CA」と比較すると個性の強さでゆずるものの、「普通のケータイ、でも高機能」が欲しいユーザーにぴったりなモデルではないか。



URL
  製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w63h/
  製品情報(日立)
  http://k-tai.hitachi.jp/w63h/

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(津田 啓夢)
2008/12/11 11:45

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