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速報レビュー
本日スタートのUQ WiMAXの実機を試す

 UQコミュニケーションズによるモバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」が本日2月26日よりスタートした。UQ WiMAXは、「Mobile WiMAX」と呼ばれる技術を使った無線データ通信サービスだ。さっそく実機を調達できたので、サービス概要の紹介とともに実機による速報レビューをお届けする。


シンプルなサービス内容と料金体系

UQ WiMAX端末「UD01NA」をノートパソコンに接続したところ
 現在のところ、UQ WiMAXは非常にシンプルなサービス内容となっている。提供されるサービスはインターネット接続だけで、料金プランも月額4480円の定額制「UQ Flat」のみ。メールアドレスやコンテンツといった付加サービスは提供されない。

 データ通信速度は、下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsとなっている。これは技術的な最大値だが、同じく技術的な最大値同士で比較すれば、3.5GのHSDPAやEV-DOよりだいぶ高速で、むしろ無線LANに近い速度だ。

 月額基本料以外の費用としては、あとは契約時に登録料2835円がかかり、オプションサービスとして請求書発行サービス(月額105円)が利用できる。2年間契約すると○○円、といった期間拘束の契約はない(契約から30日以内の短期解約時のみ2835円の解除料がかかる)。

 また、2月26日~6月30日までは「お試し期間」という位置付けで、登録料と月額料金がかからない。さらにモニターに選ばれれば、データ通信端末が無料で貸与され、7月以降も契約を続ける場合は無料で端末を使い続けることもできる。モニターはすでに募集を締め切っているが、モニターに選ばれなくても、端末を購入すればお試し期間の6月30日までは無料でサービスを利用可能だ。


端末は4種類でWindows XPとVistaに対応

4種類のUQ WiMAX専用端末
 現時点では、UQ WiMAX端末として4種類のパソコン向けデータ通信端末が用意されている。スマートフォン的な端末は用意されていない。端末はモニターには無償貸与されるが、購入する場合は、UQコミュニケーションズのサポートセンターに問い合わせる必要がある。詳しくはUQ WiMAXのウェブサイトを参照されたい。

 「UD01SS」(シンセイコーポレーション製)と「UD01NA」(NECアクセステクニカ製)はいずれもUSB接続タイプのデータ通信アダプタだ。UQによる販売価格はいずれも1万2800円。

 「UD02NA」(NECアクセステクニカ製)はPCカード(Type2)型、「UD02SS」(シンセイコーポレーション製)はExpressCard/34型のデータ通信カードだ。こちらの価格は両方とも1万3800円。

 いずれの端末も、Windows VistaとWindows XPに対応する。WiMAXはダイヤルアップでもLAN接続でもない新しい接続方式なので、専用のドライバとユーティリティソフトをインストールして使う。

 Mac OS Xへの対応については、UQコミュニケーションズでは検討中としている。今後、Mac対応のソフトが提供される可能性は高そうだが、現時点ではMacで利用することはできない。また、Windowsも32bit版のみの対応なので、Windows XPやVistaでも64bit版だと利用できない。

 なおWiMAXの規格には、無線ネットワーク経由(Over The Air=OTA)で回線契約をする機能があるのだが、発表会で説明員に聞いたところ、今回提供される4端末については、UQ WiMAXの契約固定で、OTA機能に対応しない予定とのことだった。

 OTA機能はまだUQコミュニケーションズのWiMAXネットワークでは実装されていないが、仮に実装されたとしても、これら4端末は「ネットワーク経由で契約を書き換えられない」、ということになりそうだ。


エリアはまだ首都圏のみだが、今後の拡大に期待

 UQ WiMAXの使えるエリアは、いまのところ東京23区を中心とした首都圏に限定されている。具体的には、東京23区と神奈川県東部、という感じだ。エリア地図を見る限り、23区内でもちょこちょこと穴が開いている。有料で使用する人はとくにエリアに注意が必要だ。

 UQコミュニケーションズが公開している計画によると、現時点では東京23区と横浜、川崎のみだが、2009年夏には首都圏に加え中部(名古屋)・関西(大阪/京都/神戸)に、2009年度末には政令指定都市と全国の主要都市にまでエリアが広がるという。

 人口カバー率で言うと、現時点では10%程度だが、2009年度末時点で55%、2010年度末で76%、2012年度末で93%と公表している。

 ただしこれはあくまで面的なカバー率になる。実際のところ、パソコンで利用するとなると、大部分は屋内での利用になるだろう。WiMAXが使っている2.5GHzの周波数帯は、3Gに比べると、一般的に建物内への浸透性については悪いとされている。エリア内であっても、屋内では十分な電波が届かないことも考えられる。このあたりは、カバーエリアを広げることだけでなく、カバーエリアとなっていても基地局をさらに密に設置することで死角をなくすこと、大規模な公共施設内への基地局設置が重要になってきそうだ。



URL
  UQ WiMAXのエリアマップ
  http://www.uqwimax.jp/service/area/
  UQ WiMAXのエリア展開計画
  http://www.uqwimax.jp/service/area/map.html

設定も接続も簡単に

パッケージ

パッケージ同梱品。本体以外は簡易マニュアルと保証書のみ
 さて、少々前置きが長くなってしまったが、実機でのレビューに移ろう。今回は「UD01NA」(NECアクセステクニカ製)を調達できた。

 パッケージはシルバーとブルーのもので、UQ WiMAXのロゴが入っている。普通に小売店で売られている無線LANカードなど商品とは異なり、パッケージにスペックなどは書かれていない。ちなみに今回発売された4機種については、同じシルバー・ブルーのデザイン、同じ大きさのパッケージが用意されているようだ。

 UD01NA自体の大きさは、33×110×20mmで重さは37g。同じUSBタイプのUD01SSに比べるとだいぶ大きめで、重さは2倍だ。しかし本体をわりと自由に曲げられるデザインになっている。

 UD01NAは、パソコンに挿すだけでドライバとユーティリティがオートインストールされる。CD-ROMドライブなどは必要ない。手順は一般的なUSBデバイスと大差はなく、最後に再起動すると、インストールが完了する。ちなみにほかの3端末の場合、オートインストールには対応していないので、CD-ROMなどでドライバをインストールする必要がある。

 初期設定では、Windowsが起動するとユーティリティソフトも自動起動するようになっている。USBに端末が挿されていて、WiMAXの電波を捕まえられれば、そのままインターネットにつながってしまう。拍子抜けするほど簡単だ。

 WiMAXの接続などを行うユーティリティソフトは、小さなウィンドウで、電波の強度や各種ステータス、通信されたデータ量、接続・切断ボタンが表示される。設定メニューからは自動起動や自動接続などの設定が変えられるが、アクセスポイントなどの設定はない。

 IPアドレス取得などの設定も、とくに行う必要はなかった。設定を見てみると、IPアドレス、DNSサーバーアドレスはともに自動取得となっている。ちなみに取得したのはUQコミュニケーションズのグローバルIPアドレスだった。


UD01NAはパソコンに接続するとドライバとユーティリティのオートインストールが開始される UQ WiMAX専用のユーティリティソフト

電波の状況によっては速度はかなり低め

編集部窓際での測定環境
 WiMAXの一つの特徴は、無線LAN並の速度にある。今回の速報レビューでは、ケータイ Watch編集部にて試してみた。住所で言えば東京都千代田区、UQ WiMAXのエリア内と公表されている。編集部はビル内の2階に入っている。試してみた日時は26日の13時~14時ごろだ。

 まず窓から5mほど離れた席で試してみたところ、非常に電波が不安定で、なかなか接続できなかった。ユーティリティソフトでは電波強度は5段階で表示されるのだが、つながっても1段階までで、置き場所によってはつながりもしない、という状況だった。

 2階北側の窓際に行くと、電波強度が1段階となり、ネットワークに接続できた。rbbtoday.comのスピードテストサービスを使い、10回速度を測定したところ、以下のような結果がでた。

下り:平均2.36Mbps(最高2.81Mbps / 最低1.43Mbps)
上り:平均60kbps(最高110kbps / 最低47kbps)

 電波状況が悪く、その影響で速度が落ちていると推測できる。とくに上りの速度低下が著しい。

 この状態でPINGを100回試行したところ、平均135ms(最高289ms / 最低115ms)だった。ちなみにパケットロストはない。発表会の展示の際にも同様のことをしているが、だいたい数字は同じだった。発表会の展示では20Mbps程度でる好条件だったので、ネットワークの遅延については、電波状況の影響は受けにくいとも推測できる。


同ビル7階での測定環境
 このほかにも、同ビル7階の南向き窓側でも試してみた。こちらも電波状況は不安定だったが、立ったまま使えばなんとか電波強度表示が2段階を維持できたので、先ほどと同じテストを行ってみた。結果は以下の通りである。

下り:平均2.76Mbps(最高4.18Mbps / 最低1.9Mbps)
上り:平均1.09Mbps(最高1.38Mbps / 最低765kbps)

 立ったままだったため、一瞬だけ好条件になることがあるようで、下りでは最高4Mbps超えも見られた。また、上り側も先ほどと比べると大幅に向上している。

 このほかにもより好条件の場所を探したが、なかなか安定して高速通信できる場所がない。場所によっては電波強度表示が4段階くらいまで行き、7Mbpsを超えるときもあったが、少し位置を変えただけで電波状況が変わってしまい、再現できなかったため試せていない。


本領が発揮されるのはエリアや端末、サービスがそろってからか

UQ WiMAX発表会でインテルが展示していたミニPCI型WiMAX/Wi-Fiコンボ端末。ノートパソコンの内蔵用と見られる
 今回はテスト環境があまり良好ではなかったのかもしれないが、それでも千代田区のど真ん中で10Mbpsも出ていないとなると、ちょっとまだまだ電波が強いとはいえない状況だ。カバー済みのエリアでも、基地局がもっと密に設置され、死角が減っていくことに期待したい。

 また、エリアだけでなく、端末やサービス面での発達にも期待したいところだ。WiMAX自体は、大雑把に言えば、携帯電話よりも無線LANに近い規格で、将来的には、無線LANのようにパソコンに標準搭載され、携帯ゲーム機など非パソコン機器へ搭載されることも期待されている。

 前述したネットワーク経由、いわゆるOTAでの契約も、WiMAXにとっては大きなポイントだ。たとえばWiMAXのOTA対応パソコンを持っていれば、必要な時にだけ契約したり(1日だけ、といったサービスも登場するだろう)、あるいは海外のWiMAX事業者と旅先で契約する、といったこともできるようになるかもしれない。

 これらの端末やサービスの話は、WiMAXを語る上でよく挙げられる将来像だが、実際にこのような将来がいつ訪れるかは未知数だ。しかしいろいろ取材してみると、それなりに実現しそうな将来像とも感じられる。

 こうした将来を考えると、将来WiMAXモジュール内蔵パソコンを買ったときやMVNOが魅力的なサービスを提供してきたとき、現行の端末が無駄になってしまうことも予想される。WiMAXに興味がある人も、エリアと端末、サービスがそろうのを待つ意味で、夏頃まで様子見をするのも悪くない選択肢だ。

 しかし、それでも現時点のUQ WiMAXも、環境によっては十分に魅力的なサービスだ。パソコンでデータ通信をする場所が、職場や学校、行きつけの喫茶店など決まっていて、そこでUQ WiMAXの電波を十分にとらえられるのならばエリアの問題はない。価格面でも、3Gのモバイルインターネット接続より安いのだから、10Mbpsでも出ればかなり割安だといえる。しかもUQ WiMAXには期間拘束契約がないので、「ちょっと試しに」という感覚でも契約しやすい。

 まだエリアの狭さから、万人が使えるサービスとはいえないが、使えるエリアにいるならば、ちょっと試してみたいサービスだ。



URL
  UQ WiMAXのサービス紹介
  http://www.uqwimax.jp/service/
  UQコミュニケーションズ
  http://www.uqwimax.jp/

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(白根 雅彦)
2009/02/26 16:06

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