ケータイ Watch
レビューバックナンバー

「G9」レビュー
長く使えるデザインのiidaファーストモデル
[2009/04/27]



「Mobile pico projector」レビュー
iidaブランドの携帯向け小型プロジェクター
[2009/04/24]



国際ローミングを試す
海外でも安心なドコモのデータ通信
[2009/04/23]



「WILLCOM NS」ファーストインプレッション
システム手帳に収納できるネット専用端末
[2009/04/17]



「932SH」レビュー
フルモデルチェンジしたAQUOSケータイ最新モデル
[2009/03/06]



「SH-04A」レビュー
普通のケータイの流れをくむタッチ&フルキーケータイ
[2009/03/04]



速報レビュー
iPhone OS 3.0はバージョンアップでこうなった
[2009/06/18]



速報レビュー
エリア限定でスタート、ウィルコム「XGP」の実力を試す
[2009/06/17]



速報レビュー
本日スタートのUQ WiMAXの実機を試す
[2009/02/26]



「H001」レビュー
ワンタッチで立体画像を楽しむ3Dケータイ
[2009/02/10]



「Premier3」レビュー
3つのスタイルが楽しめるWalkmanブランドの音楽ケータイ
[2009/02/09]



「P-03A」レビュー
女性層をターゲットにした「Wオープンスタイル」モデル
[2009/01/16]



「L-01A」レビュー
カメラやワンセグを搭載したLG製タッチ携帯
[2009/01/14]



「SH-02A」レビュー
8色のカラーバリエーションにバランス良く機能を搭載
[2009/01/15]



「Xmini」レビュー
auの超コンパクトなWalkmanケータイ
[2009/01/06]



気になるケータイ周辺グッズ
UQ回線を共有する「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」
[2009/04/15]



気になるケータイ周辺グッズ
IIJのモバイルWi-Fiルーター「クティオ」
[2009/04/08]



気になるケータイ周辺グッズ
どこでも無線LANでネットにつながる「どこでもWi-Fi」
[2009/02/24]



気になるケータイ周辺グッズ
iPhone用ワンセグユニット「TV&バッテリー」を試す
[2009/01/05]


2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年
「G9」レビュー
長く使えるデザインのiidaファーストモデル

 KDDIからiidaブランド第1弾として発売された「G9」は、岩崎一郎氏のデザインによるスライド型のCDMA 1X WIN端末。KDDIの新たな端末戦略の一翼を担う本端末について、実機のレビューをお届けする。



外観・デザイン

 au design projectの後を継ぐ「iida」ブランド第1弾端末ということで、G9で最も注目されるのは外観デザインということになるだろう。

 大きさは約115×50×17.4mm(最厚部18.1mm)、重さは約128gで、スライド型ボディとして標準的な内容。ディスプレイには約3インチ、480×854ドット(Visual フルワイドVGA)、最大26万色表示の液晶パネルが搭載される。

 G9のベースとなったS001と比較すると、G9が約3インチの液晶に対し、S001は約3.3インチの有機ELを搭載している点が大きく異なる。また、S001はCyber-shotの名を冠するように、808万画素のCMOSカメラを搭載しているが、G9は319万画素のCMOSカメラとなる。

 外観で目を引くのは、方向キーも5つに分け、均一の形状で並べた液晶側ボディの12個のキーや、それぞれ傾斜が付けられたスラントキーと呼ばれるキーのデザインだろう。ボディ全体も、キーのデザインと同様の類似のアールで構成され統一感を出しながら、金属の質感やメッシュ状のパーツを組み合わせることで、ガジェット的な複雑さと緻密さが巧みに取り込まれている。

 液晶側ボディ下端の「発話」「CLEAR」「終話」と左側面の「LOCK」の合計4つのキーはアルミ製で、ボディカラーの種類に合わせた配色となる。

 液晶側ボディの外周には「U」字形状のステンレスフレームが採用されており、表面はチタン化合物による薄膜コーティングが施される。この部分は3種類のボディカラーにより表面処理が異なり、「mirror + pink」はツヤのあるシルバーメタリック、「black + green」はツヤのあるブラックメタリック、「titanium + silver」はマット仕上げのチタニウムシルバーといった具合。液晶側ボディの上端はスリットが設けられ、アーチ状になっており、アーチの内部に向いた着信ランプを搭載。ランプが光るとアーチが内側から照らされ間接的に光るなど、細かな演出も盛り込まれている。


 金属の質感が打ち出されている液晶側に反して、背面はラバーのような素材によるマットブラックなボディで、メッシュ状のモールドが特徴。指紋などによる汚れや、卓上に置く際に付く細かな傷は目立ちにくくなっている。

 スライド機構は、開いた状態でも背面にレール部分が露出しない綺麗な機構を採用している。スライド操作は適度な重さがあり、スライド終端の吸い込み(引っ張り)を含め、片手で問題なく操作できる。開くと現れるテンキーは、液晶ボディほどではないものの、それぞれ傾斜の付いたスラントキーを採用する。

 本体側ボディでは「0」キーの下のスペースは少ないため、テンキーの操作はやや窮屈になる印象。また、重心は液晶側ボディにあるため、テンキーの近くを持つとバランスは良好とは言えなくなる。

 ボディ外周のキーは最小限にとどめられている。左側面には液晶側・上部に「LOCK」キー、下部に「MULTI」キーを配置する。右側面は本体側・下部に「CAMERA」キーを搭載するのみで、シンプルな構成。

 キーの名前は、すべてキーの上に印字あるいは刻印され、ボディへの印字は最小限にとどめられている。ワンセグアンテナの脇には、マットブラックのボディの上に黒字で「au by KDDI」と印字されており、持ち主でなければ気が付かないほど目立たなくなっている。左側面のMULTIキーの脇には、同様に黒字で「GLOBAL PASSPORT」と印字されている。

 左側面には卓上ホルダ用の充電端子に加え、平型のイヤホンマイク端子と外部接続端子を備える。2つの端子カバーは分割線がバッテリーカバーに繋がるように揃えられており、目立たなくする工夫が凝らされている。microSDカードはバッテリーを外して内部に装着する方式のため、外部にカードスロットは設けられていない。

 本体上面にはフリーアングルタイプのワンセグ用アンテナを搭載しており、傾斜したボディに対し先端がわずかに出ている。






デザインと使いやすさ

 スライド型ボディに必須の機能として、キーのロック機能を搭載している。左側面の「LOCK」キーを1秒間押すと、待受画面の輝度が下がりロック状態になる。ロック状態ではLOCKキーの長押しによる解除以外の操作を受け付けないが、終話キーを押すとバックライトが最低輝度で点灯し、待受画面の様子を確認できるようになっている。

 ロック機能が有効なのは、スライドの本体を閉じた状態のみ。ロック中であっても、スライドさせ本体を開くとロックは解除される。この場合、スライドを閉じると再びロック状態に戻る。ロックのオン・オフ操作も、閉じた状態でのみ行える。

 下側ボディに搭載されるテンキーは、スライドで収納するということもあり、液晶側のキーほど傾斜がつけられておらず、比較的なだらかな印象。テンキーはフレームが無くタイル状に並べられているが、キーとして明確なクリック感があり正確に押下できる場所はキーの中央付近のみ。キーの端はクリック感や端末側の押下の認識が分かりにくくなるので、中央付近を押すように心がけたい。

 また、液晶側のキーでは方向キーが5つに分割され、タイル状に並べられており、中央の決定キーとそのほかのキーには、クリック感、形状ともに差がない。このため、慣れないうちは下方向のキーを押そうとして決定キーを押すといった、縦方向のキーの押し間違いが発生する。デザイン的にきれいにまとまっているとはいえ、キーの荷重を変えたり、小さな突起を設けたりするなど、間違わないための工夫が欲しかったところだ。

 統一感のある外観デザインに見られるように、G9は次元の高いデザインの端末を所有する喜びを与えてくれるが、細かいデザインの要素も含め、使い勝手に結びついてる点も嬉しい。背面は、質感の上で金属フレームと対比をなすラバー調の素材でマットブラックに仕上げられているが、指紋や傷に過度に神経質になること無く、長く、気楽に付き合える要素ともなっている。傾斜を付けたスラントキーも、デザイン上のポイントでありながら、指をかけやすい形状が実現されている。

 G9のデザインは、iPhoneのように極限まで要素をそぎ落としたミニマルな方向でもなければ、宝石やバッグなど、携帯電話以外の別の製品を明確にモチーフにしているわけでもない。あくまで携帯電話としてデザインされており、現実的な視点で「カッコイイ日本製の携帯電話」に正面から取り組んだデザインだと感じた。


基本機能

 通話機能については、国際ローミングサービスとして「グローバルパスポート CDMA」「グローバルパスポート GSM」の両方に対応する。海外渡航時に時間設定を簡単に行える機能や、英語音声に対応したオンライン辞書機能が用意されている。

 通話における受話口(スピーカー)はiidaロゴの右上で、一般的な場所だが、送話口(マイク)はテンキー[1]の左上で、やや隠れたような場所にある。スライド式のボディを閉じた状態でも通話が行える。通話中のボリューム操作は、方向キーの上下で行う。

 メールは受信ボックスが最大1000件または約2.5MB、送信ボックスが最大500件または約1000KB。作成するメールには、最大5件、合計2MBまでのファイルを添付できる。Cメールの受信ボックスは最大100件、送信ボックスは最大50件。

 日本語入力はPOBox Pro 3.0Eで、日本語の予測変換に加えて、アルファベットで入力する際の英語予測入力にも対応している。



 カメラ機能は約319万画素のCMOSセンサーを搭載し、最大2048×1536ドットの写真を撮影できる。オートや夜景などシーンセレクション機能、笑顔検出、顔認識、手ぶれ補正、フォトライト、オートフォーカスとフォーカスロック、連写、動画撮影などの機能を搭載。撮影した写真を時系列などで閲覧できる「フォトビューアー」やブログアップ機能も用意されている。

 メニューのほか、本体右側面の「CAMERA」キーの長押しでもカメラモードを起動できる。CAMERAキーは2段階に押下するシャッターボタンとして利用できる。キーが小さいこともあってか、1段階目が浅く、慣れるまではフォーカスをロックさせる位置が分かりづらい印象。また、2段階目はストロークが深く重めなので、シャッターボタンとしての過剰な期待は禁物だろう。

 このほか、おサイフケータイをサポートし、ワンセグ、LISMO、EZナビウォーク、GPS、au Smart Sports、EZアプリのBluetooth対戦などをサポート。ワンセグの連続視聴時間はイヤホンで最大約3時間30分、スピーカーで最大約3時間20分。加速度センサーも備えている。

 データフォルダは約70MBで、メールを除く最大5000件のデータを保存できる。EZアプリのフォルダはデータフォルダとは別に最大約30MB。microSDカードは最大2GBまでサポートし、カードスロットはバッテリーを外した場所に設けられている。

 端末全体の動作速度は良好で、Flashの待受画面に戻る際や、大量のデータが格納されたフォルダを開く際などでワンテンポ待たされる場合はあるものの、カーソル移動や文字入力、カメラの操作など、全体的にスムーズに動作するという印象。


特徴的な機能

 iidaから同時に発売された小型プロジェクター「Mobile pico projector」と接続できることもあり、別売りの「TV出力ケーブル」を接続することで、写真や動画、スライドショー、ワンセグの映像、PCドキュメントビューアーを映像として出力できる。

 このほか、Bluetooth 2.0+EDRに対応し、SPP、HFP、DUN、BIP、OPP、AVRCP、A2DPのプロファイルが利用可能。ヘッドセットをペアリング中は、着信音が専用の音に変化する。

 [*]キーの長押しで防犯ブザーを利用できる。また、電話がかかってきたようにみせかけるフェイク着信、方向キーの左の長押しでライトを点灯する「アシストライト」、音楽付きスライドショー、PCドキュメントビューアー、携帯の利用履歴から友達との関係を表示する「MyStory」アプリ、PCサイトビューアーなども用意されている。


位置付け

 KDDIが新たに立ち上げる「iida」ブランド第1弾として、ブランドの方向性やイメージを印象付ける重要な役割を担う端末。外観はもとより、機能などがバランス良く搭載され、機能面でも過不足のない優等生的な印象だ。

 その中身はソニー・エリクソン製の「S001」がベースだが、端末プラットフォーム「KCP+」のカラーが強い現在では、良くも悪くもソニー・エリクソンらしさはカメラ機能や日本語入力、海外系機能に絞られる。ソニー・エリクソンの端末を買うのではなく、iidaブランドの端末を買う、という姿勢がもっとも自然だろう。

 アイコンメニューはモノクロ主体の努めてシンプルなもので、余計な装飾が無く、長くつきあえるタイプのものだ。Flashの待受画面はアナログ時計、デジタル時計が用意され、世界各国の時刻がまとめて分かるというコンセプト。外観デザインと同様に、長く使っても飽きのこないデザインでまとめられている。



 デザインを担当した岩崎一郎氏は、au design projectに参加し2001年に「GRAPPA」のプロトタイプを手掛けている。同氏はau design project以外でも活躍し、2004年に「A5405SA」「A1403K」を担当。いずれもデザインで高い評価を得ている。「G9」は“GRAPPA 2009”とのことで、同氏がこれまでに描いてきた携帯電話デザインの集大成といえるのかもしれない。

 G9が、実際に製品化されたA5405SA、A1403Kと共通するのは、使い勝手まで考えてデザインされている点。ユニークなデザインや突飛なデザインは、時に「非日常」を演出してくれるが、日常生活の中で継続的に利用するのが難しくなる場合も多い。G9なら、そのいずれにも応えてくれるのではないかと感じた。



URL
  製品情報
  http://iida.jp/products/g9/concept/

関連記事
iidaブランドの携帯向け小型プロジェクター
デザイン力を柱にライフスタイルをデザインする「iida」
iidaブランド第1弾となるGSM対応モデル「G9」
KDDI高橋氏、iidaは「ライフスタイルまでデザインしていく」
KDDI、「iida」ブランド発表


(太田 亮三)
2009/04/27 11:08

ケータイ Watchホームページ

ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.