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アッパーウエスト気分のブロードバンドホテル
「セレスティンホテル」
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


田町から歩いて日本電気のビル前を通り過ぎるとすぐに見える
 バブル崩壊から久しいが、いっこうに景気回復感が感じられない。こうした状況下では、ビジネスマンの国内外出張が増えているとも思えないのだが、東京都内では、レガシーでトラディショナルな大型ホテルのリニューアルに加え、ここしばらくは毎年のように新しいホテル建設・開業ラッシュが続く。その本当の理由はともかくも、こんな時代だから、新しくオープンするホテルは、それなりに明確なコンセプトと、差別化を考えて開業するのは当然のことだろう。

 2002年7月7日の七夕の日、都内に「ブロードバンド・レディ」のかけ声とともに華々しくオープンした「セレスティンホテル」はそんな、都内に溢れかえるホテルの中にあって、明確なコンセプトを打ち出しているホテルの1つだろう。三井系を経営母体とする「セレスティンホテル」は、JR田町駅を最寄り駅とし、駅西口を出て、NECの田町本社前を通り過ぎ、約7分で到着する。ホテルのちょうど真向かいには戸板女子短大がある。17階建ての「セレスティン芝三井ビルディング」の数フロアを使用して、バーやレストラン、バンケットルーム、ビジネスセンター、それに243のゲストルームを持つ中規模の都市型ホテルを形成している。


マンハッタンのプチホテルに似た雰囲気のロビー

ビルの1階がロビー、14~17階が客室になっている
 1階にあるホテルのロビーは、日本のごく一般的で伝統的な都市ホテルとも、巷に溢れるビジネスホテルとも印象が異なり、ニューヨークのマンハッタンにある、100室前後のプチホテルと非常によく似た雰囲気を感じさせる。

 日比谷通りに面した数段の階段を上り、とてもホテルとは思えない、ショウルームのような大きなガラス扉のエントランスを通り抜けると、突然大きく広がるロビーのキャパシティのある空間がまさにその雰囲気なのだ。

 2フロア以上ありそうな高い天井まで壁面を埋めるようにレイアウトされた星座をモチーフにした12枚の大きな鏡は、インテリアとしてもなかなか圧巻だ。磨かれた大理石の床のロビーには、あまり多くの家具や調度品を置かず、空間そのものをインテリアとして取り込んだ効果によって、実際以上に大きな空間的余裕がロビーを豪華に見せる。


インテリア関連企業のショウルームのようなエントランス セレスティン(天空)には星座をモチーフにした12枚の鏡が似合う

 筆者が宿泊した日はまさに開業日で、まだまだフロントの人間が慣れていないのか、ごく普通のチェックインなのに、クレジットカードの扱いに少々時間を取られてしまった。なんとかチェックインを済ませ、エレベーターホールの壁面に取り付けられた専用磁気カード・リーダーでフロントで受け取った磁気カードを読み取らせ、エレベーターで17階の宿泊フロアまで直行する。ゲストルームは14階から17階に、8タイプのゲストルームが総数243室用意されている。


空間をデザインに取り込んだ余裕がロビーを豪華に見せる 磁気カードを持っているゲストのみが利用できるエレベーター

モダンなインテリアの客室

客室の窓からの眺めはそれほどでもないが、都心なのでこんなモノ
 全般にゲストルームはシンプルで鋭角、カラーコントラストの強いモダンなインテリアを採用しており、まさにここ2~3年流行の「ニューヨークのデザイナーズホテル」のノリだ。全てのゲストルームには趣味の良いアメニティーが備えられ、少しゆったりしたサイズのベッドとバスタブがそれらと相まって、ビジネスホテル料金+αで明らかにビジネスホテルより一段上のプチ都市ホテルを演出できている。

 都心のど真ん中にあり、それ程高層でもないために、窓の外の景色には期待はできないが、標準的なビジネスホテルよりもはるかに大きく取られた贅沢な窓は開放感があって快適だ。最近開業するホテルには、なぜかシモンズ社製のベッドを採用するホテルが多いが、セレスティンホテルも例外ではなく、各ゲストルームに備えられている。シモンズベッドの特長と言えば、1つのベッドに2人が寝て、1人が寝返りをうっても、もう1人にその振動が伝わらないと言われる「ポケットコイル式ベッド」が採用されていることだ。これは別にダブルベッドだけのメリットではなく、シングルやダブルサイズのベッドに1人で寝る時も、ひとつひとつの「ポケットコイル」が「点」となって身体を支えるために、やさしくフィットして自然な寝姿を保ち、リラックスしてぐっすり眠れるらしいのだ。


大きめのダブルサイズ、シモンズベッドの寝心地はグッド シンプルなインテリアがやはり部屋を大きく感じさせてくれる

 また、ゲストルームのバスアメニティーには、ハンドソープ・ボディージェル・シャンプー・リンスの大型ボトルが並ぶ。多くのホテルで使い捨てのアルミパックやビニールパック容器を採用しているのに対し、環境への配慮からディスペンサー方式のボトルを使っている。これに毎朝リフィルしてシールで封印する方式だ。広い洗面台の上には、指輪やイヤリングなどを一時的に保護するための小さなガラス容器が備え付けられており、多くのビジネスホテルでは剥き出しで置かれているヘヤードライヤーが綺麗な小袋に収納されて置かれているなど、細やかな気配りが感じられる人に優しいホテルなのだ。


広く清潔な洗面+バスルーム バスルーム・アメニティは毎日リフィルする自然に優しいタイプ

レディに対する気配りは今やビジネスマン向けのホテルでも常識!?

全室にブロードバンド・マルチメディアシステム導入

ホテルご自慢のVOD装置。この日は多忙でまったく利用できなかった
 「セレスティンホテル」は、ゲストルーム全室に「BROMEDIA」(ブロメディア)」と呼ばれるブロードバンド・マルチメディアシステムが導入され、全てのゲストは、部屋のTV画面を通じて、VOD(ビデオ・オン・デマンド動画配信)による映画鑑賞をはじめ、インターネットや多様なコンテンツを楽しめるように配慮されている。

 また、モバイルPCを常時携帯していないビジネスマン・ビジネスウーマンのために、デスクトップPCや、FAX機能付きの多機能プリンタなど、日常のビジネスに不可欠な機器を常設した部屋である「セレスティンビジネス」も別に用意されている。もちろん各客室には高速なネットワーク接続を実現するイーサネットポートが用意されており、筆者のように常にモバイルPCを携帯しているモバイラーにも配慮されているのは言うまでもないところだ。

 ゲストルームの始まる14階には「セレスティンガーデン」と呼ばれる「パティオ」(中庭)があり、最上階の17階を越えて、空まで吹き抜け構造で、宿泊客の「開放的な癒し空間」となっている。同フロアには宿泊客だけが利用できる「セレスティンラウンジ」があり、フリーの飲み物を飲みながら24時間ゆっくりとくつろいだり、自分のモバイルPCを活用してゲストルームでは味わえない開放感に浸りながら、ビジネスを快適に進めることが可能なのだ。フロントに事前に連絡さえしておけば、専用のワイヤレスLANカードを借りて、快適なワイヤレス環境で仕事を行なうこともできるようだ。


17階のエレベーターホールから14階のパティオを眺める ゲストルームには直ぐに使用できるイーサネットケーブルがある

デスクの下側にはACコンセントとRJ-45、RJ-11がある ふだんLAN経由のインターネット接続をしているならそのまま即ネット接続可能

ブロードバンド時代を象徴する新しいタイプのホテル

 企業によって、社員の国内出張規程やその手当は異なるのが当たり前だ。出張手当とはまったく別に宿泊費用は実費が支給される企業があったり、両者込みで国内出張なら一律幾らという具合に決められている企業も多い。いずれの方式だとしても、「セレスティンホテル」に宿泊するだけの経費をすべて会社持ちで賄ってくれる恵まれた企業は、日本の企業の10%とか20%以下というくらいの低比率に違いないだろう。出張手当よりはるかに安い、ただ寝るだけの狭いビジネスホテルに宿泊して、「浮いたお金で赤提灯で一杯」も、サラリーマンの密かな楽しみだが、たまには、ただただ「快適な睡眠」や「快適な目覚め」に自腹で、持ち出しを考えても良いのかもしれない。


朝食は、1階奥にある「グランドクロス」のビュッフェがおすすめ ごく一般的なメニューだが、近所にはレストランが少ないので便利

 東京都心の芝公園近くに2002年7月7日に誕生した「セレスティンホテル」は、従来の都市ホテルとも、ビジネスホテルとも違う、ブロードバンド時代のホテルの始まりを象徴する新しいタイプのホテルだろう。ハードワークをこなすビジネスマンの出張ホテルというだけではなく、出張の当日の夜や、延泊した翌日に、家族や恋人との大事な時間を過ごす特別のイベントに利用しても十分にその価値を見出せる環境だ。チェックイン後にわざわざどこか他に出かけなくても、1階のエスプレッソバー「レイヨンヴェール・カフェ」や、グリル「グランドクロス」、14階のセレスティンガーデンはその効果を十分発揮してくれるだろう。

 では、また次回まで……はぶふぁん!


・ セレスティン ホテル
  http://www.celestinehotel.com/
・ シモンズベッド
  http://www.simmons.co.jp/


(ゼロ・ハリ)
2002/09/05 11:09

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