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第15回:サンフランシスコのオールディーズなホテルで
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


 生まれ育った大阪市内の王子町、北畠、帝塚山界隈は今でも大好きだが、誰でも自分の生まれ育った街とは別に、なぜか好きでたまらない街が世界中に1つや2つはあるだろう。ありきたりだが、「サンフランシスコ」は、筆者が年に何度も訪れる大好きな街だ。昔は、年に1回ラスベガスで行なわれるパソコン業界の一大イベント「COMDEX」のついでに訪問する街でしかなかった。当時、仕事の中心はいつもシリコンバレー辺りのサンノゼ周辺がメインで、サンフランシスコは帰国前に立ち寄る、土産物を買うだけの街だった。

 しかし、いつの頃からか、打ち合わせやミーティングがたとえサンノゼであっても、宿泊はサンフランシスコ市内、という出張や旅行がお決まりになってしまった。サンフランシスコの魅力は、なんといってもその気候にある。日本人の中には、年間を通じてそこそこ温暖で、逆に季節に関係なく朝夕の寒暖の差の大きい気候を嫌う人もいるが、冬でもそれほど寒くなく、夏でも暑すぎず、そして抜けるようなカリフォルニアの蒼い空が大好きだ。


サンフランシスコの著名ホテルは宿泊料250ドル以上

シャノンコートホテルはサンフランシスコの中心街ユニオンスクエアから2~3ブロックのベストロケーションだ
 日本国内よりもはるかにインターネットの常時接続が進んでいる米国では、都市型の大きなホテルチェーン以外でもその傾向が強く、今回筆者が3泊したサンフランシスコ市内の「シャノンコートホテル」もそんなホテルのひとつだ。

 大都市であるサンフランシスコ市内には、全米はおろか世界中にチェーン店展開をしている著名なホテルのほとんどがあるが、これらのホテルの多くは一般的に価格設定が高く、1泊250ドルを超えている。米国のホテル料金は日本のホテルと異なり、基本的に1部屋の使用料金であり、1人で泊まっても2人で泊まっても同じ料金だ。そのかわり事前に伝えておかないと確実にベッドが2つあるとは限らない。時々、男2人でダブルベッドで1夜を過ごし、当人同士も寝不足、ホテルの従業員からは白い目で見られるというオマケまで付くことも起こり得る。なお、そのあたりを利用してか、日本の一部の旅行代理店などを経由して予約を依頼すると、1人と2人で大きく異なる費用を請求される場合がある。日本からの予約には注意が必要だ。

 サンフランシスコに行き始めた頃は、いつも決まったように、ごく普通の日本人なら誰でも1度や2度は名前を聞いたことのある有名なホテルに毎回宿泊した。しかし、個人で申し込んだ場合の料金と、大企業社員特別優遇料金や大手旅行代理店料金などとの格差が気になり、最近はほとんど自分でインターネットや電話で現地のホテルに直接予約している。

 サンフランシスコは、特に贅沢を言わなければ、市内のケーブルカー路線沿いや、観光の中心であるユニオンスクエアの近くでも、日本のちょっとしたビジネスホテル並の料金で宿泊できるところも多い。確かに、小さなホテルでは、豪華なレストランやバーを持たない場合が多いが、どこで食べても同じようなスタイル、同じような味のブッフェ形式の朝食なら無くても何も問題にはならない。


サンフランシスコのチョコと言えば「ギラデリ」。すぐ隣のカフェのバニラソーダも甘党には人気 ボーダーズの前のパウエル通りの上り坂を抜け、フィッシャーマンズ・ワーフに向かうケーブルカー

B級グルメ嗜好の筆者のおすすめ朝食スポット

 地元のキャリアお姉様や独身ビジネスマンが朝食をとっている小さなレストランやカフェをホテルのロビーやストリートからながめて、同じその店に入った方がきっと10倍マシな食事にありつけるだろう。日本国内でも、便利がいい場所にあってもホテルのブッフェで朝食をとっているビジネスマンは少ないはずだ。

 常に「お上りさん」でB級かC級グルメ指向で、ワンパターンの筆者のサンフランシスコでの朝食は、おおよそ3~4カ所に決まっている。まず最初は、市内の何カ所かにあるフィフティーズのインテリアが抜群な「ロリス」だ。ボリュームもあり、朝から50~60年代のロックンロールを聴きながら、クールな1日のスタートが切れる。隣のボックス席では、デイリープラネッツ社のクラーク・ケントがなんとか夕刊に間に合わせようと記事を書いている、そんな雰囲気だ。季節的には6月前後の初夏が最高だ。

 BPE(ベーコン・ポテト・エッグ)やBLT(ベーコン・レタス・トマト)のマンネリ料理を避けたいなら、米国人観光客がこぞって行く「シアーズ・ファイン・フード」が最高だ。日本の冷凍ホットケーキサイズよりふた周りも小振りなサイズのパンケーキが、ラスベガスのルーレットチップのようにスタックされて、若々しい格好をしたウエイトレスから差し出される。朝の8時頃から長蛇の列に並ぶことを覚悟するなら別だが、日曜日は避けた方が無難だろう。

 また旅行中には、グルメもへったくれもなく、ただただ無性に朝からお腹が減り、「たっぷり食いてえー!」という時が誰にでもあるだろう。こんな時は、シャノンコートホテル向かいの「オリンピック・カフェ」が十分そのワイルドな気持ちを受け止めてくれる。組み合わせやサイズを考え出すと、きっと何十種類もあるオムレツが名物だ。ここのスリーエッグ・オムレツにポテト、カリカリベーコン、そしてたっぷりのトースト、何杯でもおかわりできるオレンジジュースとコーヒーを朝から全部食べたら、筆者なら次の食事タイムは、日の沈む頃でも十分だ。


フィフティーズ好きには最適のカフェレストラン「ロリス」市内数カ所にある 朝の8時から行列ができる店「シアーズ・ファイン・フード」。彼女を連れて行けば絶対人気!

または、本を選びながらカフェで朝食

2階ケーブルカー通り沿いの窓際が、筆者のSFOでの原稿書きとアイデア醸造のワークスペース「ボーダーズ書店」
 サンフランシスコの朝食で何より楽しいのは、大型書店の中に設置された見晴らしの良いカフェでのセルフ・コンチネンタル・ブレックファーストだ。ご当地サンフランシスコを中心とするベイエリアでも日本と同じく「スターバックス・カフェ」がなぜか大流行だが、これはマクドナルドでコーヒーを飲むのと同じようなものだ。

 時間があるなら、日本人観光客なら必ず1回は通過するサンフランシスコの観光中心地「ユニオンスクエア」に面した「ボーダーズ」書店2階にあるカフェに立ち寄ってみよう。1階~3階の書籍売場で見つけた本を数冊持ち込んで、ウイークデイの朝、カフェラテとその場で見繕った適当なパンを買って、ゆっくり読書に耽ってみよう。持ち込んだ本のうち、じっくり吟味して実際に購入すると決めた本だけを1階のレジに持って行けば良い。いずれも買うに値しないと判断したら、そのままテーブルに置いておけば、定期的に書店の店員さんが回収してくれる。読書で目が疲れたら、カフェの窓から外を見てみよう。直ぐ下を、タクシーや信号無視の歩行者を蹴散らすように、鐘をチンチン鳴らしながらケーブルカーが走り去って行く。サンフランシスコは出張でも、旅行でも、現地に住んでいるがごとく溶け込むことでより親しみと愛着の湧く街なのだ。


SFOでは、小規模で個性的なPCショップがいくつも無くなり、面白味のない大型店CompUSAが出現 バーガーキングでコーヒーだけを友人とオーダーしたら、店員のひと掴みでこれだけミルクと砂糖が

日本料理店は人気のある新しい店に

 サンフランシスコに限らず、米国内の日本料理店は注意が必要だ。「昔は美味しかったが、最近は駄目だ」という話題は出張ビジネスマンから頻繁に聞くし、筆者自身の実感もある。これは、常に対価や容器の大きさに見合う絶対的な「量」を望み、また要求する多くの一般的米国人の顧客が増えるに従い、質を落として量を増やす、という作戦に出る日本料理店が少なくないからだと筆者の友人は言う。確かに筆者にも思い当たる店が何軒かある。法外な値段の店を除き、海外での日本料理店の選び方は、「人気のある新しい店」ということだろうか。


オールディーズな外観でも、高速常時接続「シャノンコートホテル」

 「シャノンコート」ホテルは、1929年に建築されたかなり古いホテルだ。ユニオンスクエアから徒歩でも楽勝な2ブロック半とロケーション的には申し分なく、インターネット予約で1泊が119ドルだった。たまたま筆者の泊まった部屋は、車椅子のゲストの方も不自由なく泊まれる部屋で、バスやトイレまわりが車椅子でも動き回れる広さだった。基本的にシングルベッドの部屋より広いツインの部屋も選択できたが、大きなベッドの方が良かったので、シングルベッドの禁煙室をフロントで選んだ。

 部屋には、インターネット常時接続ができるイーサネット用のRJ-45ジャックが、ベッド脇のナイトテーブルの上に設置されている。モバイルノートをLANケーブルで接続し、パソコン側の電源を入れ、ブラウザを起動すれば、接続サービスをホテルに提供しているWayport社サイトに自動的に接続される。ハイスピードインターネットを使うことを、画面上で選択すると、この時から翌日のチェックアウト時間まで、インターネット常時接続の環境を利用できる。1日の利用料金は9ドル95セントと、国内で同様のサービスを行なっているホテルと同程度だ。


1929年にできたホテルだが、外装に比べ、改装された室内は綺麗で清潔だった。 独特の間接照明を使ったロビーはホテルと言うより、アーティストの隠れ家的雰囲気

室内は、米国系ホテルでは珍しく照明器具が多い 清潔で明るい洗面、それに続くバスルーム、洗面にもバスルームにも窓があり下は公園

 自宅や会社でLANを利用しているなら、ごく普通のDHCP設定でウェブサーフィンやメールが利用できる。国内プロバイダーの多くは、POP3メールサーバーをファイヤーウォールの外に出しているところが多いので、海外からでもメールを簡単に見ることは可能だ。しかし送信メールを管理するSMTPサーバーはファイヤーウォールの内側に設置されている場合も多く、この場合、メールは読めるが返事が書けないという事態が起こってしまう。

 Wayport社では、こうしたプロバイダーに加入しているユーザーのために、SMTPサーバーとして専用のサーバーをサポートしており、ユーザーが自分のOutlook Expressのアカウント設定のプロパティにそのSMTPサーバーを設定することで、対応できる場合もある。今回も、筆者の場合、今までは全く問題のなかった国際ローミングサービス会社である「GRIC」経由でなぜか突然接続不可能になり、国内のPIAFSアクセスポイントの良さに釣られて最近加入した「DreamNet」にサンフランシスコからダイアルアップ接続が全くできなかった。どうも「ワイヤレス通信」や「フレッツISDN」、「海外でのアクセス」の3つの接続性に完璧なプロバイダーは存在しないようである。


全室にイーサネットポートが用意されている ベッドサイドのイーサネットポートにケーブルを差し込むだけで即インターネット

最初に、Wayport社サイトに繋がり、定額の常時接続をするかどうか確認される イーサネットケーブルとアダプタカードさえあれば常時接続でメールもオフィス同様

 会社のあてがってくれるグローバルなネットワーク環境だけで十分なビジネスマンは別として、仕事以外のプライベートにおいてもメールが重要なグローバル・ビジネスマン/ビジネスウーマンは、プロバイダー料金の下がった今なら、国内に強いプロバイダーと国際的なネットワークに強いプロバイダーの両方に加入して上手く使い分けるのも対策だろう。また、マイクロソフトの「ホットメール」に代表されるような、ウェブメールサービスに加入するのも方法だろう。今回も、ホットメールのPOPメール機能でDreamNetに届いた筆者宛のメールを簡単に見たり、返事を書いたりすることができ、メーラーの複雑な再設定に要する無駄な時間が相当省けた。メールがごく普通のビジネスツールとなった今、モバイルノートパソコンの盗難やデータの機密管理と同様、メーラーのフェイルセーフ対策も重要になってきているのだ。

はぶふぁん!


■URL
・シャノンコートホテル(英文)
http://www.shannoncourt.com/



(ゼロ・ハリ)
2001/02/09 00:00

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