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第25回:ビジネストリップでもたまには畳でインターネット
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


ユニバーサルスタジオジャパンと道頓堀近くの旅館に宿泊

今回ご紹介する「大和屋本店」は道頓堀から歩いて数分以内という好立地
 今回は、今年始めの「南海サウスタワーホテル」に続いて大阪ミナミ編だ。大阪は「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」がオープンしたが、インターネット上でビジネスマン向けの出張用宿泊施設を探した限りにおいては、その影響を殆ど受けていないというのが正直な印象だ。まあ、定住者人口の1%くらいの観光客の増加なら確かに目に見えるくらいの変化があるというのも逆におかしなことなのだろう。

 大阪の「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」(USJ)を見ると、筆者の知っている米フロリダのオーランドにある同スタジオとはいくつかの異なる点がある。残念ながら、USJには結構スリルのある「エイリアン」が見当たらず、代わりになぜかスヌーピーがいる。また、米国のユニバーサルスタジオでは必ず付き物の「VIPラインチケット」がサポートされていない。

 VIPラインチケットは、1日1人約100ドル強の追加料金を支払えば、全てのアトラクションにおいて、長蛇の列に並ぶことなく最優先で入場できる「プライオリティ・チケット」だ。近隣の高級ホテルに宿泊すると初めからルーム・キーがその役目をしてくれるところもある。もちろん、並ぶことも楽しみの人には無関係だが、このVIPラインチケットさえ持っていれば、混雑時には全てのアトラクションを体験するのに3日間は必要なところをたったの1日で回れてしまう。本場フロリダでも超長蛇の列になる、スリル満点の「ハルクコースター」も列に並ぶことなく、車両の最先端席以外のシートなら、行ってすぐに乗り込むことが可能だ。日本では、1万円余りなら地元のリピーターは別として、ツアー客なら誰もが払ってしまいそうなため、USJはあえてこのVIPラインチケットを発行しないのかもしれないが、米国でその便利さを体験しただけに少々残念だ。


道頓堀川と境筋の交差点に位置する観光旅館

「大和屋本店」の北側にある公園には大阪の街に多大な貢献をした安井道頓の碑がある
 大阪ミナミは、食倒れの街として、食堂ビル「くいだおれ」の人形や、「かに道楽」の大カニの看板、道頓堀川周辺のネオン等が有名だが、今回はまさにそのド真ん中にあたる道頓堀川と堺筋(パソコンショップなどが沿線に並ぶ日本橋筋と同じ)との交差点に位置する、パソコンマニアやミナミのネオン街大好き人間にとってはベストロケーションの観光旅館なのだ。旅館の北側には、この道頓堀の繁栄に多大な貢献をし、その名前を歴史に残した「安井道頓」をたたえる碑が建てられている。

 「大和屋本店」は、道頓堀川のすぐ北側に立つ地上9階建の「観光旅館」だ。1階で簡単なチェックイン手続きを済ませて、クレジットカードで宿泊料金を清算した。しかし、なぜか消費税だけは現金で支払う必要があるようだ。そして客室の鍵を受け取りエレベーターに乗って客室まで行く。

 好き嫌いは分かれるだろうが、よく一般的な旅館にありがちな女中さんが丁寧に客室まで案内してお茶を入れてくれ、客室内や非難通路、お風呂や売店の場所や開いている時間帯などを、時間をかけて説明してくれるタイプではない。その代わり、チェックイン手続きを手早く済ませてくれたカウンターの親父が、お客がエレベーターに乗るまでの間、すぐ脇を一緒に歩きながら、必要なことを最小限の会話で簡潔に説明してくれる。まったく関係ないが、カッコ良く考えれば、アポロ宇宙ロケットに乗り込む前にマンツーマンでブリーフィングを受けるクルーとスタッフのようだ。どちらかと言えば、あまり旅館というシステムに慣れていない筆者には、この方がありがたい。


ロビーは道頓堀川に面している、おそらく何百年も前の人も同じ位置で眺めたかもしれない 大阪の基幹道路の一つである堺筋を隔てた位置から見た「大和屋本館」の全景

ビジネストリップでもたまには畳でインターネット

 部屋は、北側の「安井道頓」の碑に面した6階だったので、あいにくネオンが水面に映るであろう大阪名物の道頓堀川は見えない。6階以上になると各フロアに客室が3室程度しかなく、全体にこじんまりとした良い感覚だ。部屋は床の間付きのメインの和室と、小さなソファの3点セット、冷蔵庫、押し入れのある小さな和室の2部屋接続形式だ。


二間続きの和室の客室。洋間もあるらしいがやっぱり旅館は和室でしょう あいにく宿泊した北側の部屋からは道頓堀川は見えなかった

 室内にビジネスホテルでよく見掛けるユニット形式のバス・トイレも用意されているが、お風呂は地下1階の大浴場を利用すべきだろう。男性用、女性用それぞれが用意され、豊富なお湯で、シャワーの圧力も快適で、出張の疲れもフッ飛んでしまう。筆者が宿泊した日は金曜日でもあり、ビジネスマンの出張はほとんどなく、比較的早い時間に入浴したこともあり、丸1時間近くたった1人でゆったりと入浴する事が可能だった。客室には、旅館には付きモノのポットに入ったお湯とティーバッグ以外に、金粉入りの黄金茶、ワサビ海苔、大阪名物の昆布、佃煮、和菓子等、超豊富なメニューが客室に無料サービスとして備えられており、余りその手のモノを食べない筆者でも得な気分になるから不思議だ。


客室にはいろいろな食べ物やおつまみのサービスがある ふだんお菓子などあまり食べない筆者でも、ちょっと得した気分

海外では見かけないタイプだが、れっきとしたデータポート付きの電話機
 チェックインした時には、すでに部屋のお膳は部屋のすみに片付けられ、中央には布団が敷かれてあった。客室の電話機は、あまり見たことのないモデルだったが、側面の小さなカバーを開くと、モジュラージャックの露出するごく一般的な「データポート」付きの電話機だった。国内ではお約束になっている「外線ダイヤル番号」である「0」番を目的のアクセスポイントの番号の前に設定してやるだけで、自動的に外線経由でダイヤル接続してくれる。

 この日は、国内では初めて使う米国製の「モンスターケーブル」と呼ばれる、長年オーディオケーブルを開発してきた専門会社がパソコンモデム接続用に特別に開発したと言われる「低ノイズ・極太モデムケーブル」を使用した。ただし、通信回線品質の極端に悪い米国西海岸ならともかく、日本国内では、どこに行ってもこのケーブルの有り難みは筆者も含めてあまり理解できないだろう。その品質効果かどうかは別にして、この日の夜は内蔵の56kbpsモデムにしては、快適・快速な「旅館でネット」だったことは報告しておきたい。


たまにはお膳でネットも楽しいものだ 枕元で寝転がってネットサーフィンやメールチェックもできる

ビジネストリップでも落ち着ける旅館

朝はゆっくりとおきまりのルームサービスの和朝食
 旅館の朝は、起床も、朝飯も、前の晩に約束したより少しずつ早いのが普通だ。「大和屋本店」は前日に依頼した「モーニングコール」も、女中さんが部屋に運び込んで来る朝食も約束した時間通り。筆者の数少ない経験からすると、どちらかと言えば、旅館はサービスをする人達が、一応ノックをしたり声をかけたりはするが、どんどん入ってきて、旅館側のペースでチェックアウトまでのプロセスを時間通り歩まされる傾向が強いが、「大和屋本店」では、女中さんが朝ご飯の後片付けを済ませた後も、チェックアウト時間の10時までは、誰にも邪魔されず、ゆっくりとその日の仕事の準備が可能だった。


 コスト削減のための人件費節約は、過剰サービス気味で中途半端だった旅館のサービス態勢を根底から見直すには良い機会だったのかもしれない。「大和屋本店」はビジネスホテルと旅館のバランスのとれた、居心地良くコストパォーマンスに優れた都会の宿と言えそうだ。インターネットでお馴染みの「旅の窓口」などから予約可能なので、都市型ホテルやビジネスホテルでコンビニのお弁当を食べることに飽きた人ならトライしてみても損はないだろう。

 では次回まで……はぶふぁん!


・ 道頓堀河畔 大和屋本店
  http://www.yamatoyahonten.co.jp/
・ ユニバーサルスタジオジャパン
  http://www.usj.co.jp/index1.html
・ 旅の窓口
  http://www.mytrip.net/


(ゼロ・ハリ)
2001/08/10 00:00

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