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ポテトロードのブロードバンド・ホテル
「北海道ホテル」に泊まる
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


 北海道在住の人々にとっては誠に失礼なお話だが、関西生まれ、関西育ちの横浜移民であり、地理に疎い筆者のような人間には、札幌と帯広の位置関係や距離感はいまひとつピンとこない。仕事で帯広に行くことになったものの、帯広が一体どの辺りにあるのかとんとわかっていない。恥ずかしながら「ミシシッピー州が北米大陸のどこにあるのか」と聞かれたのとほぼ同じくらいの精度でしか答えられないのだ。帯広という地名から筆者が思いつくモノといえば、かなり以前、オープンしたばかりの頃に家族と行った「グリュック王国」くらいで、それ以外は全く思いつかなかった。最初は「札幌から移動すれば簡単だ」くらいに考えていたが、道内に住む人に札幌からJRなら3時間くらいかかると言われて、帯広への直行便で行くことにした。


ポテトロードの素晴らしいリゾートホテル

小さな空港ターミナルは到着客が一通り目的地に向かうと静寂がやってくる
 羽田から帯広空港への路線には、最近筆者が愛用している航空会社、全日空の便はなく、JASか日本航空のどちらかを選択する必要があった。当日は仕事の時間と到着時間の関係で、日本航空で行くことにした。こじんまりした帯広空港は、多くの地方空港がそうであるように、飛行機の発着時間に合わせてバスやその他の交通機関が時刻表を設定している。出口で待ち構えていた綺麗な空港リムジンバスに一番に乗り込んで、他の到着客を待ったが、結局、誰一人来ず、定刻になってリムジンバスは筆者だけを乗せて貸し切りバス状態で一路帯広市内に向かってポテトロードを進んだ。途中幾つかのホテルを経由して、最終的にはJR帯広駅辺りに到着するエアポートリムジンバスだが、筆者が泊まる「北海道ホテル」はその中でもバスが最初に立ち寄るホテルだった。


 30分あまり田園地帯をただただ真っ直ぐ走ったバスは、北海道ホテルの脇の道路に停車した。バス停からホテルの玄関までは歩いて1分もかからない。藤棚をくぐると煉瓦と木でできたホテルが見えてくる。ロビーもフロントも全般的に煉瓦と木を上手く用い、北海道らしい落ち着いた風情を醸し出している。


北海道ホテルの車寄せのそばのガード、ホテルのセンスと優しさを感じる 北海道らしいダイナミックな表札!?

ここでも煉瓦と木がいっぱい メインダイニングの「バードウオッチング・カフェ」。熊の彫り物が可愛い

 木の扱いは客室に入っても変わらない。板張りの床に適度な大きさのツインベッド、木枠の大きな窓を開くとやはり板張りのテラスに出て行ける。テラスには小さな椅子とテーブルの3点セットが配置されており、冬場以外の朝夕なら、客室にあるプライベートサウナでゆっくり汗を流した後、北海道独特の雄大な景色を見ながらビールを飲んだり、全く違う環境で仕事までできてしまう素晴らしいリゾートホテルなのだ。


ウッドの床が暖かいデラックス・ツインルーム テラスを出ると雄大な北海道の景色が見える。左の窓はプライベートサウナ

季節が良ければ朝夕にはパソコンを持ち出してテラスで仕事や書き物ができる 少し気温が下がれば、今度は室内で空の色の変化を楽しみながらのデスクワーク

ブロードバンドもダイヤルアップもOK、接続環境は完璧

ケーブルテレビ経由のブロードバンドサービスも無料で提供される
 インターネット設備環境に関しても、北海道ホテルは完璧だ。ベッド脇のサイドテーブル上にはデータポート付きの室内電話機、それにデータ通信専用のRJ-11データポートとRJ-45イーサネットポートの両方がサポートされている。RJ-45ポートは地元のケーブルテレビネット経由で、インターネットを何時間でも無料で利用できる。もはや、ビジネスホテルはもちろんのこと、リゾートや都市ホテルでも、IT対応度について述べる時は「ブロードバンド対応」がキーワードになることは間違いなさそうだ。


帯広名物「豚丼」と本店限定の「六花亭」のお菓子

でっかい空に、でっかい駅。大きな街並みで、東京流の目標探しは通じない!?
 帯広にはたくさんの名物や見所があるが、札幌出身の友人に聞いてもインターネット上で調べても、食べ物の「トップ3」の候補に必ず登場するのは、帯広名物の「豚丼」と「六花亭」の本店だけのお菓子だろう。中でも豚丼は、帯広市一帯のあちこちで看板を見かけるが、JR帯広駅前すぐの「ぱんちょう」が元祖らしい。仕事を終えてその日の夕食にと「ぱんちょう」を探したが、狭苦しい都会でお店を探す感覚とまったく勝手が異なり、地図の見方で大きなミスをして、広大なJR帯広駅前を何度かウロウロしてしまった。辿り着いた後に思えば、ほとんど地図の通りだったが、スケール感が都内などとは大違いだ。


 「ぱんちょう」は、午後7時がオーダーストップと意外と早い店じまいだ。小さなお店だがきっちり詰めれば10数人くらいは入りそうだった。豚丼以外に何か特別のメニューがあったかどうかほとんど覚えていないが、ターゲットの「豚丼」には「松」「竹」「梅」というようなランキングがあったが、これは豚肉のランクではなく、豚肉の量を示している。「牛肉」が肉の王様である関西生まれの筆者から見れば、関東も関西に比べて豚肉のランクが異常に高く見える。その東京でさえトンカツ店は多くても、流石に豚丼はほどんど見かけない。そういう意味で実際に味わうまでは何とも言えないと考えていた「豚丼」だが、これがなかなかイケル。炭火で網焼きしたような焦げ目が付いて、油分の落ちた、良く焼き上がった豚肉に特別のタレをつけ、ごく普通の白いご飯の上に乗っけただけのシンプルな料理なのだ。タレや出汁がご飯にまで回っていないので、あっさりとしていて、「豚肉BBQ丼」という感覚だ。


元祖「豚丼」の「ぱんちょう」。愛想の良い店員さんが印象的だ。満員御礼! 焦げ目と特別のタレが最高に美味しい元祖「ぱんちょう」の「豚丼」

 食事が終了したら、デザートだ。帯広には、北海道だけではなく、全国的に有名なお菓子屋さんである「六花亭」の本店がある。4階建ての本店には喫茶やレストラン、ギャラリー、ホールまであるが、今回はそれら全てを無視して、目指すは本店にだけに有って他の支店や道内の空港売店には絶対に売っていない「サクサクパイ」がお目当てだ。コルネのような形状をしたパイの中にカスタードクリームとバニラビーンズの黒い粒を入れたお菓子だが、サクサクした感触を大事にするために作りだめをしない。そして、必ず買ってから3時間以内に食べるように書かれた説明紙が入れられる。賞味期限が翌日までの「十勝あんパン」よりもさらにコントロールが厳しく、決して出張族のお土産にはならないお菓子、現地を訪れた人だけが味わえる幸福なのだ。

 はぶふぁん!


帯広の「六花亭」本店でしか味わえない「サクサクパイ」賞味期間3時間の時限菓子! 同じく六花亭の賞味期限が翌日までの「十勝あんパン」。牛乳とベストマッチ!

・ 北海道ホテル
  http://www.hokkaidohotel.co.jp/index2.htm


(ゼロ・ハリ)
2001/09/27 11:45

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