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広島のランドマークホテル
「リーガロイヤルホテル広島」に泊まる
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


東京から成田よりは近いが、市街から離れた広島新空港

晴れた日の九州・中国航路は裏富士が見えることがある
 新横浜駅前で羽田空港行きの京急リムジンバスに乗り遅れたので、生まれて初めて豪華にタクシーを飛ばす羽目になった。ドライバーのスムースな機転の利いた運転のおかげで、午前10時05分発の広島行き全日空675便に滑り込みセーフだった。今回、最終目的地が広島市内の中心街で、筆者のように自宅が新横浜近辺という場合、トータルの移動時間は、新幹線「のぞみ」でも、航空機でもそれほど差がないというのが実感だ。広島空港が現在の新空港に変わってからは、空港から市街地の中心までリムジンバスで約1時間弱の移動時間がかかる。横浜近辺から成田空港までの所要時間と比較するとましと言えるが、市街地まで地下鉄で数分の福岡空港と比較すると圧倒的に遠いことは確かだ。

 飛行機に乗ると必ず眠ってしまう人間がいるが、そうでなければ、広島や福岡などの西日本に飛行機で移動するには、主翼の上を避けた「A」席(進行方向に向かって左窓側)が正解だ。この席の良いところは、冬の晴れた寒い日や、快晴で雲の少ない夏には、綺麗な富士山を裏側から眺められることだ。この日は、朝から曇天で、九州方面から前線が移動してきており、あまり良い天気とは言えなかったが、なぜか富士山周辺だけは雲が少なく、富士山の周囲を取り巻くハイウェイやパーキングエリア、そして頂上の天文台なども肉眼で見えるほどだった。


好感度の高い接客、地の利も良い都市ホテル

広島の中心地にそびえ立つランドマークホテル「リーガロイヤルホテル広島」
 広島空港から市街地までは特別のお迎えでもない限り、ハイウェイバスを利用するしか仕方がない。バスに乗り遅れてうっかりタクシーなどを利用する羽目になると、新横浜?羽田間くらいの料金では収まりそうもない。1時間弱ほど走ったリムジンバスは、まずJR広島駅の新幹線口に到着する。その後、終点の広島市内の大きなバスターミナルである「バスセンター」に到着する。ビルの2~3階ほどの高さにあるバスセンターは広島市内の交通の中心地で、隣接してデパートの「そごう」や広島市民球場、ひろしま美術館、広島城、原爆ドーム、大型のショッピングアーケード、地下街、そして、本日筆者が宿泊する予定の「リーガロイヤルホテル広島」などなどが徒歩圏にすべて揃っている。

 この日、広島市内は雨が少しぱらつく天候だったが、バスセンターからリーガロイヤルホテルまで、そごうデパートとそれに隣接するショッピング街「Pacela」を通り抜けて、まったく濡れることなく辿り着いた。リーガロイヤルホテル広島は、リーガホテルのグループで、開業7年目とまだ新しく、35階建ての高層ビルに500弱の客室を擁する近代的な都市ホテルだ。筆者はすでに過去数回このホテルを利用しているが、ホテルマンやホテルウーマンは礼儀正しく、好感度は非常に高い。何を聞いても親切に調べて教えてくれる。設備や料理も確かに重要だが、なんと言っても一流ホテルの最大条件は、世界共通の「笑顔」を代表とする従業員一人一人の接客姿勢以外にはないだろう。

 広島には、常に慌ただしい出張で来ることが多く、市内をゆっくり見て回る時間がないことが多い。しかし、リーガロイヤルホテル広島なら、ちょっとした買い物ならごく近所のショッピング街で、郷土のお土産や日用品、ブランドモノまですべて揃う。この日も、軒続きの隣のPacelaに入店している「BREE」で、鞄のコレクションを増やしそうになってしまった。


大量のバス路線が集中しているバスセンターに空港バスは着く お洒落なショッピングアーケード「Pacela」

筆者の好きなBREEの広島店もPacelaの2階にある 新しく綺麗な地下街も平日の昼は空いている

 地下に潜って、最近できた地下街「紙屋町シャレオ」を通り抜け反対側に出ると、そこには、広島で最大クラスのITショップ「デオデオ」の本店がある。世界のトレンドワードである「ブロードバンド」を店名に取り入れるなど、インターネット関連にも超積極的だ。筆者が初めて広島に出張で来た10年くらい前のパソコン創世記の頃とは大きく違い、ことパソコンやIT関連の商品に関しては東京と地方の時差がほとんどなくなったと感じられる。

 広島では、意のままに市内を縦横無尽に動き回るには、タクシーを除けば「循環バス」や、車両の種類が豊富な「路面電車」が便利なはずだ。「はず」と言うのは、一泊だけの出張族には、その運行形態や料金支払いの仕組み、行き先案内板にある地名、すべてが理解できていないので、面倒で不便なのだ。まして見ず知らずの人にモノを尋ねるのが苦手なへそ曲がりの筆者のような人間は、ついつい安易なタクシー利用になってしまう。次回は余裕をもった出張スケジュールを立てて、ぜひバスや路面電車にもチャレンジしてみたい。


中国地方では最大の「デオデオ ブロードバンド・デジタル館」 広島市街では日本だけでなく、世界中の路面電車を見ることができる

唯一、不満なのが接続環境

都心の超大型ホテルにも決して引けを取らない広いロビー
 リーガロイヤルホテル広島のロビーは、都心のホテルにも劣らないキャパシティだ。タクシーが玄関に着くと、ホテルマンが荷物を受け取ってチェックインカウンターまで案内してくれる。簡単なチェックイン手続きが終了すると、今度は別のホテルウーマンが客室まで案内してくれる。過去、何度かシングル客室を予約してそのほとんどが実際にはツインルームになったことが多かったが、この日は予定通り14階のシングルルームでの宿泊となった。北向きの部屋で、目の前には広島城の天守閣が見える。客室は、都市ホテルのシングルルームとしてはごく普通の広さだが、部屋で仕事をすることが結構多い筆者にとって、大きな幅とそこそこ奥行きのある大きめのデスクはとても有り難い。

 リーガロイヤルホテル広島は多くの点においてほとんど不満のないベストホテルだが、唯一、IT関連の設備にまだまだ不満が多い。同じリーガホテルの中にも既に客室にブロードバンド回線が来ているホテルも出現してきているが、ここリーガロイヤルホテル広島の客室には、ベッドの脇の室内電話機のデータポートを使う以外にネットワークに接続する方法がない。しかし、パソコンを置けるデスクとACコンセントはベッドから大きく離れた窓側にある。米国のホテル業界と異なり、日本のホテル業界の多くが錯覚している最大の問題点は、「インターネットは、常に満充電してあるノートパソコンをベッドの上で取り出し、あぐらをかいてやるもの」と勝手に思い込んでいる(?)ことだ。


客室のデスクの真っ正面には黒くて格調高い広島城が見える ACコンセントの脇にはモジュラージャックがない、超不便だ!

なぜかベッドサイドにはデータポート付きの電話がある ベッドは寝る以外に、上であぐらを組んでパソコン通信をするための台なのか!?

 ホテルの客室電話機は、「モーニングコール」だけのために存在するわけではない。一刻も早く、電話機とベッドとの関係をリセットする時代に突入しているのだ。ベッドの側には電源コンセントがない、デスクのそばには電話のモジュラージャックがない。これでは「IT時代の化石ホテル」と言われかねないだろう。これは、以前宿泊したツインルームでも同様だった。

 すでに多くのビジネスホテルで、客室ブロードバンド化が進み、少なくとも「RJ-11モジュラージャック」と「ACコンセント」が同一箇所からサービスされているのは、ごく普通という状況になってきている。まして、年間を通じて多くの国際的な規模の会議が開催される広島のランドマーク的なホテルには、IT対応は必須項目のはずだ。何をさておいても客室のIT化に早急に手を付けて欲しいと願っているのは筆者だけではないだろう。この日は、不幸にも客室を縦断できるだけの「超長いモジュラーケーブル」も自宅でも滅多に使わない「長い電源延長コード」も持ち合わせがなかったので、アクロバティックな接続もできなかった。が、幸いにもP-in Conp@ctが使えたので、本来のデスク上でメールチェックができた。


結局、この晩はPHSで通信するという安易な方を選んでしまった 以前宿泊した時は高層でPHSの感度が悪く、こんなアクロバティックな通信をやった

「のぞみ」よりゆったりできる「ひかりレールスター」で博多へ

ゆったりと、しっかり満腹になるまで食べられる。メニューも豊富なビュッフェタイプの朝食はお得!
 翌日は、午前中の早い新幹線で福岡に移動しなければならなかったので、朝食はインターネット宿泊パックに含まれていた朝食券で、ホテル1階のPacelaに面したコーヒーハウス「コルベーユ」で簡単に済ませた。急いでJR広島駅に向かい、博多行きの10時17分発の「レールスター」に間に合った。

 東京・新大阪間は平日でも混み合っていることの多い新幹線「のぞみ」だが、新大阪・博多間は、だいたいガラガラだ。そこにJR西日本の新しい「ひかりレールスター」の出現で強力なライバルが現れたことになる。「レールスター」は一般座席でも「のぞみ」より圧倒的にゆったり感のある2+2の「サルーンシート」を普通料金で指定できたり、パソコンを車内で長時間使用したいならコンセント付きの「オフィスシート」を選択できるなど、居住性や快適度は「のぞみ」より数段上だ。広島・博多間を約1時間少々で走る「のぞみ」に対して、レールスターは、ほんの数分から10分程度、余分に時間が必要だが、航空各社の相次ぐ低価格化やマイレージサービスの拡大に比較しても、顕著な顧客サービスの提案や向上もないまま、ドル箱路線の東海道を走る全ての新幹線を単に「のぞみ化」しようと考えているJR東海ではなく、フレキシブルなシート構成や新しい提案で顧客サービスを実現しようとしているJR西日本にエールを送りたい。

 どうしてもガラガラの空いた列車に乗りたければ別だが、もはや新大阪~博多間では「のぞみ」の出る幕はなさそうだ。しかし、これが「のぞみ」の東京・新大阪間の料金値上げにつながらなければ良いが??次回は博多か、またまた札幌か、ハワイか、ニューヨークか??ではそれまで……はぶふぁん!


・ リーガロイヤルホテル広島
  http://www.rihga-hiroshima.co.jp/
・ BREE
  http://www.nixx.co.jp/bree/
・ JR西日本
  http://www.westjr.co.jp/


(ゼロ・ハリ)
2001/10/18 10:41

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