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異端形状ながら操作感は上々「Cybershot DSC-M1」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


遅ればせながらM1

ソニー「Cybershot DSC-M1」。携帯電話のようなフリップスタイルのボディを採用した、MPEG-4の長時間動画と静止画の記録が可能なハイブリッド機だ。店頭価格は5万円台前半程度
 大容量メモリーカードが低価格化するとアレですな、デジカメによる動画撮影が現実的になりますな。つーコトでカシオのEXILIM PRO EX-P505を大堪能中である昨今の俺。

 画質的にはDVカメラに完全に負ける気がするMPEG-4動画ではあるが、記録メディアがメモリカードでありかつデータが既にファイルとなっている点がスゲく良い。パソコンへの転送がラクだし、ファイル自体も(動画としては比較的に)コンパクトなので、保存も転送もお気楽。いわゆる“動画デジカメ”による動画は、そのハンドリングにおいてヒッジョーに便利であり快適と言えよう。

 あとですね、単純に楽しいっス。スナップ感覚で動画を撮り、それを見てオモシロがる。単にそれだけのことだが、静止画と比べたらやっぱ動画って情報量が多い。動きアリで音もアリで、撮影時の記憶を非常にリアルに蘇らせてくれる。そんな面白味を知ると、鑑賞に堪えうる画質でなくても、けっこーブロックノイズが目に付く動画であっても、内容として楽しめれば十二分に成立するんだなぁと改めて思ったりする。

 いいじゃんMPEG-4動画。愉快じゃん遊べるじゃん!! という心意気になった俺は、P505以外の動画デジカメも試したくなった。で、早速(というより今更)購入したのがソニーのCybershot DSC-M1である。てなわけで今回はCybershot DSC-M1について。なお、この製品の詳細についてはソニーの製品紹介ページをご参照いただきたい。


作りはイイけど……

高級感のあるヘアライン仕上げの金属ボディ。ボディは意外に厚みがある
 Cybershot DSC-M1(以下、M1)は、有効画素数510万画素のデジタルスチルカメラでありかつ、高画質・長時間のMPEG-4動画を撮影できる“動画デジカメ”だ。ていうか既にその独特なフォルムにより周知なデジカメとなっているM1なわけだが、まずはその触り心地から。

 実はメモリースティックを若干嫌っていた俺の場合、ソニー製デジカメの購入は二年ぶりとなるが、さておき、ソニーって相変わらず“オーナーを喜ばせる物作り”をしてますな。M1購入以降、ネットワークウォークマンNW-HD5とかCybershot T7も買った俺なんスけど、M1にもNW-HD5にもT7にも共通するのが“作りの良さ”だと思う。

 M1の場合、例えば緻密でありかつ重厚。ヘアライン仕上げの金属質感は何だか「高そ~」であり、Cybershotの文字列やメモリースティックマークは印刷でなく彫り込みであり、ボタン類も整然とレイアウトされており、なんつーかシックだけどうっすらとゴージャス。自分で触ったり、人前で使ったりすることが、ちょいと気分良かったりする持ち物となる。

 しかし、道具として冷静に見ると、難点もいくつか感じた。

 第一に何となく無駄にデカめ重めであるよーな気がする。外形寸法は51×114×27.8mm(最大突起部含まず)で、質量は約220g(バッテリー等含む)。一度は小さく軽くなったけど多機能化等により改めてデカめ重めになった今時的携帯電話端末よりもデカくて重い。コンパクト系デジカメとして考えれば、重さはそーんなに気にならないものの、M1の厚ぼったさは残念感に直結する。

 他、撮影・再生時の形状等々(後述)、カッコイイし気分良くさせてはくれるものの、デジカメとしてはちょっぴり使いづらい点が見えがちなM1だと感じたりして。まあ、俺が感じた難点は、他の人にとっては「別にぃ~」てな気にならない点である可能性もある。けど、ぶっちゃけ、M1の購入を考えているならば、ショップ等にて実機に電源を入れて実際に使ってみてからにしたほーがいいと思う。


異端形状だが操作感良好!! ……でも、一部疑問

 M1からは、デジタルカメラならではのアドバンテージを果敢に追求したモデルという印象を得た。例えばその形状だ。全然デジカメ的形状じゃないんですな。ビデオっぽくもないし、ケータイには近いが、何だろコレ!? という異端なカタチをしている。

 製品紹介ページにもあるように、撮影時や携帯時に形状が変わるM1。それぞれの形状には名前が付いている。携帯時用のキャリースタイル、画像等再生用のビュースタイル、撮影・再生用のシューティングスタイル、となる。

 二層になっている本体をスライドさせると電源が入る。L字形のシューティングスタイルになるわけですな。この状態で静止画・動画の撮影および再生を行なえる。液晶モニタはフリーアングル式で、ハイアングル・ローアングルからの撮影もラクであり自分撮りもOK。撮影が済んだらL字形→I字形に戻せば電源オフとなる。

 液晶面を内側に向けてI字形にすればキャリースタイルとなる。本体横の電源ボタン以外、全てのボタンおよび液晶が保護される形状で、誤操作や液晶への傷等を気にせず携帯できる。

 液晶面を面に出した状態でI字形にすればビュースタイルとなる。この状態で本体側部の電源ボタンを押せば、動画や静止画を再生できる。

 正直、最初はあまりにもミョーなカタチなんで、ちょっと引いた。まあ確かに斬新でカッチョイイけど、使いにくいんじゃないのぉ!? と。しかし、実際に使ってみると多くの点でM1の形状に同意できたりもした。

 例えば撮影時。M1はけっこーしっかりホールドでき、かつ、フリーアングル液晶モニター搭載ゆえアングルもかなり自由&ラクで、液晶画面は2.5型のハイブリッド。ヘンなカタチだけどカメラとしては案外使い良い。また、撮影時の全ての操作を右手(ホールドした手)の親指のみで行なえる。持った感じ構えた感じが良く、無理せず片手撮りできまくりのM1なのであった。

 実際にM1で撮り歩くと、シューティングスタイル←→ビュースタイル、という変形を交互に繰り返すケースが多いと思う。後述の難点に絡む要素でもあるが、とりあえずはM1、シューティングスタイルじゃないと撮影できないので、撮影時はシューティングスタイルにする。で、次の被写体を探しつつ歩いているときにL字形じゃ嵩張るのでコンパクトなI字形へ。いちいち液晶裏返して閉じるのもメンドいので、液晶面が面に向いたビュースタイルとして閉じる。で、撮影時は再度シューティングスタイルに。

 そうしている時にも、M1の意外な形状的利便が感じられる。てのは、ビュースタイル→シューティングスタイルへの変形も、ちょいと慣れれば片手のみで行なえるのだ。やり方はリボルバーケータイと似た感じですな。右手でM1を持ち、右手のみでシューティングスタイルにし、M1の操作は右手親指のみで行なえる。加えて、シューティングスタイル→ビュースタイルへの変形も、液晶部を太股とか腹とか尻とかに押し当てることで、片手のみで行なえたりする。おおっ!! 完全片手デジカメかも!! さすがCybershot DSC-U60を作ったメーカー!!



 デジカメだからこそこのような形状が可能であり、このような形状だからこその操作感ってのが生まれたわけだ。上記の片手操作に関しては非常に操作感が良く実用性が高いと感じた。つーか銀塩時代の形状引きずりまくりのデジカメ業界において、こういうチャレンジを行なっている点は高く評価しまくっていきたい!!

 なお、ボタン類の位置や操作感は、まずまず良好という印象だ。ボタン類は多め&小さいボタンも多めで、わりあい煩雑なハードウェアインターフェイスというイメージはある。が、静止画と動画を別のシャッターボタンで撮れたり、ズームレバーの下に親指ホールド用のスペースが設けてあったりと、実際に使ってみると案外親切な設計だと感じる。ソフトウェアインターフェイスに関しては、従来からのCybershotスタイル。慣れてる人なら非常にクイックに、慣れてない人でも階層が浅めなので辿っていけば理解できちゃったりする。全体的に、超使いやすい!! って感じではないが、逆に特に使いにくい部分も感じられなかった。

 しかし、機能・形状のチグハグ感が所々に感じられたりもする。結論から言えば、形状等への果敢なチャレンジの一部が、なんか中途半端な結果になっているように思えた。

 例えばビュースタイルでは撮影デキナイという点。構造上、まあしょうがないと言えばしょうがないかもしれない。けど、やっぱ、L字形でもI字形でも撮影デキて欲しい気持ちになるじゃないスかユーザーとしては。また、ビュースタイルは閲覧専用ってコトで納得するとしても、ビュースタイルでは動画や静止画を画面フルサイズで表示・再生することしかできない。拡大縮小とか削除とか多少の付加的操作も行なえるようにして欲しかった。

 それから、シューティングスタイル時に、液晶面が本体左側にしかスライドしない点。それでも大して問題ナイんですけど、液晶面が本体右側にもスライドすれば、左利きの人も完全片手操作OKだし、撮影幅も多少広がるなぁとか思った。ま、小さな難点ですな。ついでに、誤操作防止のキャリースタイルなんですけど、この形状時に本体側面の電源ボタン押せちゃって電源も入っちゃうのは微妙に疑問であった。さらに、メモリカードスロットが常に剥き出しであり挿したメモリースティックデュオのお尻が見えてるってのも(実使用上特に問題はないが気持ち的に)イヤな感じ。

 あと、俺的にけっこー困りものなのがストラップ穴の位置だ。シューティングスタイル時にレンズの真上に位置するが、実際にココにストラップ通して使ってると、撮影時にストラップがレンズ前に垂れちゃうコトが多々。ネックストラップならそうなりにくいようだが、このサイズ・質量のM1を首から……やっぱ多くの人がハンドストラップをホールドする手(右手)に通して撮影すると思う。


イイ音の動画と上々の静止画

専用バッテリー。クレードルに置いて充電可能
 他のメディアと比べると、微妙に値段が高いよーな気がする“大容量のメモリースティックPROデュオ”を使うと快適に動画撮影できまくりのM1だが、動画撮影時の使用感はかなりイイ感じであった。

 撮れる動画はMPEG-4形式で、モード毎に画像サイズ・フレームレートが異なる。具体的には、高画質な順に、640(30fps)モード(640×480ピクセル/30fps)、320(30fps)モード(320×240ピクセル/30fps)、320(15fps)モード(320×240ピクセル/15fps)となる。画質は、640(30fps)モードなら十分にスムーズで精細な動画を楽しめる。

 DVカメラと比べたり、あるいは俺的には画質に疑問が残るMICROMVカメラと比べたりしても、“鑑賞に堪えるかどうかのレベル”は高くない。けど、ポケットサイズのデジカメでここまでの動画撮れれば全然オッケー!! てな気分だ。つーか動画は画質より内容でしょ、と考える人はそろそろテープ式カメラからM1みたいな動画デジカメに乗り換えちゃうかもしれない的画質と言えよう。


 M1で動画を撮影し、再生し、楽しんでいると、あっ……と気づくことがある。てのは、音の良さである。M1の動画撮影では、音声をステレオ録音するが、録音も再生も非常にクリアである。

 理由は、きっと、まずマイク位置の良さ。ステレオマイクは液晶面裏に実装されており、被写体からの音を良く拾うようだ。具合が良い実装位置らしく、撮影者と被写体が会話しつつ撮影しても、双方の声がわりとバランス良く録れることが多い──特に相手と自分の距離が2メートル以内程度の場合はいつもだいたい良好。

 また、AFやズームの動作音は、チョー激静かな環境下で撮影したとかいうケース以外では、ほとんどと言っていいほど拾われない。それから、本体と手等が擦れる音も拾いにくい。このあたりは、さすが、ビデオカメラメーカーでもあるソニーですな。

 それと、風が強い状況下で、マイク部をしっかり手で囲うことができる。レンズとマイクの位置が十分離れており、また囲うのが容易なマイク部周辺形状(というか液晶部)であることが、ちょっとした実用上の利便につながった。

 そんなふうに撮れた動画を、本体上で再生してもかなり快適だったりする。まず液晶が2.5型とデカくて見やすく、さらに超明るい屋外でもしっかり見えるハイブリッド液晶であること。同時に、再生時はいつもスピーカーがユーザーの方を向いてる感じになるのだ。自分撮り状態にしない限り、シューティングスタイルでもビュースタイルでも、顔のほぼ真ん前から音が出てくれて快適だ。


 あと、M1ならではの動画撮影機能もある。静止画の前後に動画を付加してくれる“ハイブリッドREC”と、5秒間に区切った動画をスナップ感覚で撮れる“5秒REC”だ。

 それぞれの機能についての詳細はソニーの製品紹介ページをご覧いただくとして、ここでは大雑把な使用感を。

 まずハイブリッドRECだが、静止画の撮影モードをHYBRIDにし、静止画撮影用のシャッターボタンを押すことで機能する。シャッター押下で静止画が撮れるのと同時に、シャッター押下前5秒および後3秒の動画も撮影できる(一度のシャッター押下で、静止画と動画のふたつのファイルが生成される)。静止画は単なる静止画だが、動画は途中に静止画部を含んだ動画になる点がユニークだ。使った感覚としては、なんかテキトーに静止画を撮影していたつもりが、再生してみたら静止画に加えて“静止画含みの動画”も撮れていたという感じで、単純に愉快であった。

 ちなみに、静止画はカメラで設定した解像度・圧縮率の静止画となるが、動画は320(15fps)モードのみとなる。また、動画中に含まれる静止画部は約3秒(で赤い枠入り)だ。

 ハイブリッドRECで撮れる動画が動画は320(15fps)モードのみ、つまり、M1での最低画質動画って点に残念感を覚えた俺ではあった。が、このモードの動画ファイルの容量って、700KB弱程度なんですな。5メガピクセルデジカメの静止画ファイルと比べても小さい。メモリを圧迫する印象が少ない。また、静止画撮影モードで動作する機能なので、なんつーか「テキトーに静止画撮っとこう」的感覚で使うようになる。動画を意識せずオモシロげな動画を残す機能としては、こういう圧縮率が適切なのかもしんないと思った。

 もうひとつの5秒RECは、動画の撮影モードを5SECにし、動画撮影用のシャッターボタンを押すことで機能する。シャッターボタン押下で5秒のみの動画撮影をするって機能だ。何となくイイかもと思ったらとにかくシャッター押下……を繰り返すと、間延び感やダラダラ感のないシーンがたくさん残るという使用感。意味のない動画でも5秒なら堪えられる or 愉快動画なら5秒程度でも楽しさがしっかり蘇る、ってあたりをピンポイントで狙ったよーな機能だが、けっこーおもしろいし実際わりと使える気がする。


 なお、静止画に関しては、下に挙げたサンプルでご判断いただきたい。けど、俺的には発色がすこーしだけハデめで、細かい被写体を撮るとノイズ感とは微妙に違う“粉っぽさ”があるように感じた。パッと見は解像感が高いように思えたが、拡大していくとキッチリ解像してないようにも思う。ちなみに、露出補正や彩度・コントラスト調整、ブラケット撮影なんかもできるんで、静止画デジカメとしてもちょいと凝った撮影ができそうだ。

 てなわけで、プチ古めの動画デジカメことM1、若干の難点も見えたが全体的によくまとまっていると感じた──外見的にも実使用感的にも斬新さが多いのに関わらず、って点がポイントかもしれない。こういう挑戦的なハードウェア、ぶっちゃけ好きです俺。さらにブラッシュアップされた新機種発表とかを待機中の拙者である。


サンプル画像

 画像をクリックすると、撮影した元サイズの画像(2,592×1,944ピクセル)を表示します。





URL
  ソニー「Cybershot DSC-M1」製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-M1/feat4.html
  ソニーeカタログ「Cybershot DSC-M1」
  http://www.ecat.sony.co.jp/camera/dsc/products/index.cfm?PD=18789&KM=DSC-M1

2005/05/09 16:20

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