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KENWOODのオーディオプレーヤー「HD30GA9」とiPod 5Gを聴き比べ
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


「KENWOOD Media KEG HD30GA9」。店頭価格は4万円台後半
 今回のネタは、KENWOODのポータブルオーディオプレーヤーシリーズことMedia KEG、の、HD30GA9(←音が出るページなので要注意っス)。いわゆるHDD型のMP3プレーヤーですな。拙者的物欲ブログことスタパブログで、このプレーヤーに関して触れたが、ようやく購入することができたのでレポートしてみたい。

 で、いきなりHD30GA9に対する俺的結論を言っちゃうと、音質自体は非常に満足できるものとなった。ジックリと使い込んでみたら、あの時体験した以上の驚きがあった。のだが、部分部分になーんかこうビミョーな点が見え隠れしたり。使いにくさも少々見えてしまった。

 てなわけで、以降、Media KEG HD30GA9に対する率直な印象をアレコレと書いてみたい。が、結局は拙者の独断と偏見(ていうか偏聴?)ではある。Media KEG HD30GA9は、製品としては音モノ。味モノ、色モノ、ニオイモノと同様、ユーザーの感覚や好み次第で評価が大きく分かれるジャンルの製品だ。てコトで、Media KEG HD30GA9の(特に音質に関する)拙者的評価については、あるユーザーの一意見程度にお読みいただければと思う。最終的にはご自分で音質を確認することをオススメする(けっこー高い製品だしネ!!)。

 なお、俺とかここ最近ずっと第五世代のiPodユーザーなので、操作性や音質のリファレンスプレーヤーをそのiPodとしている。また、音質評価環境としては、ヘッドホンとしてソニーMDR-CD900ST、イヤホンとしてSHURE E5c、アンプ・スピーカーとしてオンキョーのA-933D-302Eを使った。各再生機器はそれぞれ音質的な個性がバラバラな感じなんスけど、一応いろんな環境で聴いてみて、ってコトで。


評価に使用したヘッドフォンソニー「MDR-CD900ST」 評価に使用したオンキョーのアンプ「A-933」 評価に使用したオンキョーのスピーカー「D-302E」

きめ細かさはピカイチ、Supremeもスゴいヨ!!

 まずMedia KEG HD30GA9(以下、HD30GA9)の音質について。大雑把に言えば、拙者が使ってきた他多くのプレーヤーと比べていちばん繊細に音を出してくれる製品だと感じた。が、再生環境や再生する曲をある程度吟味したり、若干の我慢をしないと、HD30GA9を「ステキなプレーヤー」だと喜べないかもしれない(後述)。でもまあ俺的印象では、HD30GA9は総じて非常に気持ちよく音楽を再生してくれる。

 って抽象的な話は早々に切り上げて、具体的なコトなどを。以降、第五世代のiPod(以下、iPod 5G)とHD30GA9の音質の違いを含めて話を進めてみたい。なお、断り書きがない限り、再生ファイル形式はMP3の320kbpsもしくは192kbpsである。

 HD30GA9とiPod 5Gの音質を比べた途端、HD30GA9のほーが、いわゆる“解像感”が高いよーに感じた。HD30GA9にはKENWOOD独自の“非可逆圧縮音声の高音成分補間技術”であるSupremeが採用されているが、このSupremeがオフの状態でも、iPod 5Gとの差がわかる。差、っていうか、個性の違いですな。

 拙者的見解では、iPod 5Gってイイ音だとは思うんですけど、高音のクリアさが微妙に足りない気がするんですな。と言うか逆に、低音〜中音にかけて良く鳴るように聞こえるiPod 5G。これに対し、HD30GA9は、デフォルトで高音が良く鳴る。が、iPod 5Gのような低音〜中音の厚みに欠けるような気がする。


 例えば、高音域まで出る管楽器や弦楽器(の特にソロ系)の曲をHD30GA9で再生すると、曇りがないっつーんでしょうかツヤがあるっつーんでしょうか、スッキリと、鼻から入って耳へと通り抜けるように鳴る。iPod 5Gでも十分聞こえる音だが、HD30GA9の方が細かい部分まで聞こえて透明感もあるように思う。

 Supremeをオンにして再生すると、この高音の気持ちよさがさらに広がる。まさに“広がる”という印象。いわゆる臨場感や空気感がよりよく感じられるようになる。スピーカーやイヤホンから鳴ってるの? てなヘンな違和感さえ生じる生々しさだ。

 例えばアコースティック楽器の演奏を聴くとよくわかりますな。拙者がジックリ試したのは、渡辺貞夫の「BIRD OF PARADISE」とか渡辺香津美の「Dogatana」とか、他、ある程度録音が新しいクラシック曲あたり。こういう曲を、HD30GA9 vs iPod 5Gしてみると、HD30GA9の方がヌケがいいし響くし、何しろ広がる!! のであった。

 えーとですね、アルトサックスの音とかにですね、剛性感が加わる感じでですね、強く元気な印象になる。と同時に、輝きが増してより“通る”感じ。ギターの音は、なんつーかこう、鋭く研ぎ澄まされるような印象。オルフの「おお運命の女神よ」の合唱の後半とかだと、声もシンバル(!?)もンドパーッと広がって鳥肌立ったりして。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」とかも同様、眠気半分の脳を一気に覚醒させる迫力と広がりをもってして聞こえ、わしの攻撃性を高めたりする。

 Supremeをオンにすると、MP3等で失われた“14〜16kHz以上の高音域が補間される”とのことだが、これは高音域をイコライザで持ち上げたような感じ、とは違う。それぞれの楽器の音が潤うというか、質感が増すというか、そんなふうな音の変化を感じる。誤解を恐れずに例えれば、iPod 5Gで聴いた後にHD30GA9・Supremeオンで聴くと、閉めていた窓を開けたような、空中に舞う黄砂が一瞬に消えたような、包丁研いでからトマト切ったような、そんな印象もある。

 ていうかやっぱり言葉だと伝えにくいモンですな音質って。でもHD30GA9およびSupremeはちょいとスゴいので、ぜひ一度体験してみて欲しい。


確かにHD30GA9は凄いんだが……

HD30GA9はデフォルトで高音がきめ細かくなると感じ、またSupremeをオンにするとMP3の音がパッと開放されるような気持ちよさがある。が、iPod 5Gと比べると、低音〜中音にかけての厚みが足りないように感じる
 イカスよHD30GA9!! 凄いよSupreme!! と感じた拙者であり、購入当初は、もー全体的にこのポータブルオーディオプレーヤーを主力音楽再生マシンとして位置づけていきたい!! とも思った。のだが、しばらくしたら、両手放しで「HD30GA9サイコー!!」とも言えないような気がしてきた。

 結果から言えば、iPod 5GとHD30GA9を併用したりしている俺なのであり、場合によってはiPod 5Gを多用したりしている。てのはまず、HD30GA9に合わない曲があると感じるからだ。

 HD30GA9はデフォルトで高音がきめ細かくなると感じ、またSupremeをオンにするとMP3の音がパッと開放されるような気持ちよさがある。これは確かである。高音がもっとクリアに出て欲しくて、さらに音響的開放感があって欲しいナ、とか思う曲を再生するプレーヤーとしてはサイコー度が高い。

 のだが、iPod 5Gと比べると、低音〜中音にかけての厚みが足りないように感じる。厚くファットな音が出るように感じられるiPodに対し、HD30GA9は若干華奢な音というか神経質な音というか、線が細い印象がある。使用する再生環境(スピーカーやイヤホン)の組み合わせを考えれば、HD30GA9の細さやiPod 5Gのファット感を十分補えるように思うが、相対的に、iPod 5G=やや厚い、HD30GA9=ちょい細い、てな印象を持った拙者である。


 さておき、HD30GA9だと“曲のオイシサ”が十分堪能できないケースがあると感じた。例えばHIFANAの「CHANNEL H」の白眉の一曲「WAMONO」、あるいはKraftwerkは「Tour De France」の中の「Tour De France (Remix Francois)」とか。いやこれはまったく聴く人の好みなんスけど、拙者的にはこーゆーふーな曲はiPod 5Gかなぁ、と。

 「WAMONO」をHD30GA9(Supremeオン)で再生すると、口笛(!?)や蛇味線(!?)はより脳天を突き抜けつつキラビヤカになってヒジョーに気持ちよく聞こえる。和太鼓の音にも張りが出るように感じる。が、低音から高音までを駆け抜けるようなシンセの音が鋭くキイレになり過ぎて、こー、ワイルドさを失うような気がする。iPod 5Gだと、高音も十分に鳴りつつ、聴覚に粘着するようなシンセサウンドのヤミツキ度が高まる。

 「Tour De France (Remix Francois)」の場合、HD30GA9だと激しい吐息のような音とチュパチュパと鋭く鳴りまくるザップ音がさらに脳髄を刺激するようになり、それはそれで気持ち良い。のだが、モトからハッキリと強い音なので、これもやや過剰な印象が残る。iPod 5Gだと、同時に鳴る強く鋭い低音に分厚さが加わるようで、んーこっちのほーがTour De Franceだなぁ、と思ったり。

 それと、HD30GA9に対してよく言われているホワイトノイズ。結論から言えば、HD30GA9とiPod 5Gを比べると、曲の再生時に関しては、HD30GA9のほーにずいぶん大きめなホワイトノイズ(サーとかスーとかって聞こえるノイズ)が乗っていると感じる。iPod 5Gの方にも乗るが、HD30GA9のソレと比べると微々たるもの、てな感じ。逆に、曲を再生していない時のHD30GA9からはほとんどノイズが聞こえて来なくて、iPod 5Gからはすこーし聞こえてくる。

 って再生時にノイズ出てちゃダメでしょ、と考えがちなのだが、これは再生する曲やユーザーによると思う。曲中に静かな部分が多く、それを聴く人がノイズ気にしまくりな人なら、iPod 5Gのほーが好ましいのかもしんないけどオベーションギターのソロだったりしたら楽器の音色はHD30GA9のほーが気持ちイイかもしんない。元々古い録音であって収録現場がブルーノートとかのトリオ以上のジャズだったりしたら、このノイズは全然気にならないレベルだし空気感や楽器の音のツヤが増すHD30GA9だけど、ドラムやウッドベースの響き的にはiPod 5Gかもしんない。

 てなわけで、再生する曲や、聴く人の好み・許容度があるんで、単純にHD30GA9の方がイイ音!! とも言い切れない。ま、ありきたりな話なんスけどね。しかし、HD30GA9にせよiPodにせよ、音楽的なハードウェアといえば、そうだ。数年前までは「一応何とか聴ける音が出る」程度だったMP3プレーヤーが、音質とともに音楽的な個性まで含めて比べられるようになった。

 特にHD30GA9は、音質にこだわる方なら一度体験してみるのが良いと思う。ここまで、MP3を再生しての音質的評価をしてみたが、WAVやKENWOOD Losslessで(それなりの再生環境と接続して)聴くと、HD30GA9がいかにマジメなオーディオとして作られているかがよくわかるからだ(ノイズの件は別として)。


蛇足!?

 などと一応軽くまとめたフリをしたけど話を続けてみると、HD30GA9は音質以外の点においては、若干ビミョーなところが目に付く。今時的MP3プレーヤーとしては……やや独自過ぎ!? という印象が残った。

 ひとつは操作性。このテのポータブルオーディオプレーヤーとしては、その“常識”をやや逸脱した独自のインターフェイスとなっている。本体前面の四角い4方向ボタンで操作していくが、再生時はボタンの上と下が曲の送り戻しって……。左右のボタンでメニュー階層を移動したりするが、表示モード(階層)によってホームボタンの位置が変わったり、突然曲表示画面へのボタンが出るのって……。と、iPod他各種一般的ポータブルオーディオプレーヤーとはずいぶん違う“KENWOOD独自のインターフェイス作法”に少々戸惑う。

 ま、すぐに慣れちゃうんですけどね。また、慣れれば「なるほど、このタイミングでココにこの機能が現れるのは便利」と感じられるようにもなる。決して“考えられていないインターフェイス”ではないと思う。

 しかし、やっぱ、結局、世の中iPodなわけですな。良くも悪くも非常に多くの人がiPodに触れている。iPodの操作方法を知っている人が非常に多いのであり、つまり、iPod慣れしているユーザーが多いのであり、これまた良くも悪くも“iPodの操作作法がスタンダード”になったりしている。

 だったらiPodに習ったユーザーインターフェイスにすればいいのに、とか思う拙者。基本はiPodな感じで使えて、その先でKENWOOD独自の利便を追求すれば、HD30GA9の敷居がかなり低くなると思うのだ。HD30GA9に限らず、一時は無理して(!?)タッチ式の十字キーを採用してミョーな操作感のポータブルオーディオプレーヤーっていうか東芝gigabeat(の古いの)とかも同様。右ハンドル車のハンドル左側にウインカーのレバー付けるようなムチャは、確かにユニークかもしんないけど、メーカーのポリシーなのかも知らんけど、一般ユーザーには高い敷居となる。より良いインターフェイスは存在すると思うが、それ以上に、慣れなくても理解できるスタンダードなインターフェイスのほーが有り難い拙者である。


 あともうひとつ、HD30GA9付属ソフトのKenwood Media Applicationがビミョーであった。コレ、HD30GA9へ曲(ファイル)を転送したりHD30GA9上の曲を管理したりするためのソフトウェアだが、率直な感想を述べれば、使いやすいとは言えないっつーか使いにくい。タグ情報は編集しにくいし、曲の一覧なんかも見づらく、検索機能も乏しく、全体的に残念感アリ。

 Kenwood Media Applicationをインストールすれば、Windows Media Player9/10からHD30GA9へ曲の転送ができるので、無理してこのソフトを使う必要はナイ(のだが、Kenwood Media Applicationを使った方が曲転送が速かったりする)。が、前述のインターフェイスに加え、付属ソフトもHD30GA9の敷居を高くしているなぁと思う次第だ。初心者には……向かないと感じた。

 ていうかですね、HD30GA9、いわゆるMP3プレーヤー全体から見て、マジでトップクラスの音質だと思うんスよ。ノイズの件やiPod 5Gと比べての音質傾向の差はあるが、コンポーネントとして据え置きのオーディオ機器と接続したくなる高いクオリティがある。良い音で音楽を堪能できる実力がある。スゲく良い製品なのであり、多くの人が体験すべきハードウェアだと思う。のだが、なんか妙なところで一見さん排除的な使いにくさがあって敷居が高くて、これはモッタイナイなぁと思うのであるが、KENWOOD的にはそんなの余計なお世話かもしんないですな、出過ぎましたスイマセン。

 ともあれ、久々に、というか初めて!? 音質をじーっくりと試す気になれ、またこれに十分納得できたポータブルオーディオプレーヤーとなったHD30GA9。もう飽和しちゃったのかなぁと思われたデジタル・ポータブルオーディオプレーヤー市場だが、もしかしたらこれからが見どころ(聴きどころ!?)なのかもしれない。



URL
  「KENWOOD Media KEG HD30GA9」ニュースリリース
  http://www.kenwood.com/j/press/press20051121.html
  「KENWOOD Media KEG HD30GA9」製品情報
  http://www.kenwood.com/j/products/home_audio/personal/hd30ga9/
  関連記事:ケンウッド、高音質HDDオーディオの“マイスター”モデル(AV Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20051121/kenwood1.htm

2006/05/08 15:08

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