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29,800円で整うモバイル通信環境「bモバイル・アワーズ」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


29,800円で整うモバイル通信環境

bモバイル・アワーズのパッケージ。150時間分の通信が可能なPHSデータ通信カード等が入っている。価格は29,800円
 今回のネタは日本通信のbモバイル・アワーズ。日本初のMVNO事業者(既存のキャリアから通信帯域を買って独自の利便・付加価値を加えて再販する業者)として注目された日本通信が放った、モノとしてもこれまた注目されている“モバイル向けデータ通信機材・環境のオールインワンパッケージ”である。

 bモバイルのパッケージは用途に応じて数種類あるが、俺が使っているのは前述のbモバイル・アワーズ──29,800円で150時間分のPHSデータ通信料金と専用データ通信カードと接続プロバイダー利用料金が買えるというものだ。詳細は製品紹介ページをご覧いただきたいが、例えばサブノートPCでモバイル&データ通信する時に、恐らく史上最強に敷居が低いと思われるのがこのbモバイル・アワーズである、と思う。


bモバイル・アワーズのPHSデータ通信カード。CFサイズの、フツーのPHSデータ通信カードですな PCカードスロット用のアダプタも同梱されている このよーにノートPC等のカードスロットに挿してデータ通信を行なう

 で、このbモバイル・アワーズ、何がテキるものかと言えば、まずPHSデータ通信ができる。回線としてはWILLCOMのPHSパケットネットワークを使い、高速マルチリンク方式(下り32kbpsの回線を4本まとめて使用)で接続可能。他、ウェブアクセラレータ機能を持つプロキシサーバも利用できる等の特色があるが、ま、フツーにモバイルでウェブページ見たりメール送受信したりFTPしたりできるわけですな。

 それからbスポットと呼ばれる無線LANスポットも使える。様々な無線LANスポット事業者が提供する全国約8500箇所のスポットで高速な通信を行なえるのだが、特に何か難しかったり面倒だったりする手続きは一切不要で、このbモバイル・アワーズのパッケージさえあれば無線LANスポットユーザーデビューできるってわけだ。ただし、この機能を使う場合、サブノートPC等の側に無線LANアダプタが必要となる。

 PHSデータ通信をする場合でも、無線LANスポットを使ってインターネットにアクセスする場合でも、あからじめインターネット接続プロバイダ等に加入する必要はない。bモバイル・アワーズを買えば、それがデータ通信回線でありインターネット接続プロバイダである、と考えちゃって差し支えない。ただし、メールサーバ使用アカウントやメールアカウントは付属しない(ので、ウェブメールとかじゃないフツーのメールサービスを利用したい場合、何らかの手段でメールアカウント等を別途用意する必要がある)。

 要は29,800円で買えるモバイル向けの統合通信環境がbモバイル・アワーズってわけですな。この価格を高いと見るか安いと見るかはユーザー次第だが、拙者においては「使ってみると非常にリーズナブルあり手っ取り早くて便利」だと感じた。てなわけで、以降、bモバイル・アワーズの各機能・サービスを見ていこう。


知識ゼロでも、たぶんOK

 bモバイル・アワーズのパッケージには、CFサイズのPHSデータ通信カードとPCスロット用アダプタ、インストールCD-ROM、それから心細くなるほどページ数が少ない説明書が入っている。


インストールCD-ROMとインストールガイド小冊子。これ以外の同梱物はPHSデータ通信カードとPCカードアダプタくらいだ インストールガイド小冊子の中身は非常に簡素。PHSデータ通信カードに関しての説明はほとんどなくて微妙に不安……

 PHSデータ通信カードに関して、一昔前はあんまり良い思いをしていなかった俺──インストール時にカードがうまく認識されないとか、その後の通信設定が面倒だとか、それらのトラブル解消のために説明書を何度も読み返したとかって経験を思い出す俺にとって、この簡素すぎる感じのパッケージ内容は、なんか不安であった。

 が、インストールは非常に簡単であった。これまで使ったPHSデータ通信カードの類の中では、最も楽勝であったというか、間違えるトコロがないほど単純明快&ウィザード任せな感じ。


ドライブにインストールCD-ROMを入れるとWebブラウザベースのインストーラが起動する。後は適宜ボタンをクリックすれば終了。フツーに簡単


 インストール後も「あれ? これでイイの!?」と目の前の状況を疑いたくなるほど容易であった。上記のインストール作業後、bアクセスhoursという接続ユーティリティが使用可能になるが、そのボタンをプチッとクリックするだけでオシマイなのだ。後はウェブブラウザやメーラを起動し、データ通信を行なうのみ。


インストール終了後、専用の接続ユーティリティであるbアクセスhoursが使用可能になる。で、起動するとこんなウィンドウが現われる。目的の接続方法のボタンをクリックすればネット接続が完了する。以降、このbアクセスhoursがbモバイル・アワーズ利用の入り口となる


 bモバイル・アワーズのインストール自体が容易であり、接続ユーティリティも容易に使える。多少はあっても良さそうな気がしちゃったりする準備──例えば接続先電話番号入力とかユーザーID入力等々さえ一切ナシなのは、ちょっとしたカルチャーショックである。bモバイル・アワーズのインストールからこれを使ってのネット接続まででヤッたコトと言えば……ウィザードの[OK]や[次へ]ボタンおよび接続ボタンをクリックしたくらい!? てな記憶が定着する余韻さえ残さす使い始められる簡単さに感嘆した。

 その使用感は後述する各機能についても同様であり、bモバイル・アワーズ全体について言えば、たぶんコレ、ホントにこれまで一度もサブノートPCでモバイルなデータ通信(つまりお外でネットやメール)したことがない人でも、躓かないと思う。そんな人でも「使える」ではなく、「使いこなせる」と思えちゃった俺だ。

 ちなみに、以降の“bモバイル・アワーズ使用時のネット接続の入り口”となる接続ユーティリティことbアクセスhoursだが、前述のようにカンタンなんだが、機能的には充実している。PHS回線の空きチャンネルの有無や電波強度、あるいは残り通信時間等を表示できたり、起動時の挙動を細かく設定できるのはもちろん、ユーティリティ自らを自動アップデートする機能や無線LANアクセスポイントのスキャン機能もある。


専用の接続ユーティリティことbアクセスhours、の、セッティング画面表示。見栄えも使い勝手も非常にシンプルなユーティリティだが、機能的には充実している


bアクセスhours自体のオートアップデート機能もある。bアクセスhoursの挙動を細かく設定していけるあたり、わりあいマニアックかもしれない


bモバイル・アワーズでPHSデータ通信

 インストールが終わったら通信を開始するわけだが、前述のとおり、これ以降はbアクセスhoursを起動し、表示されるボタンをポチッとするだけでデータ通信を行なえる。物理的な手順としては、サブノートPCにbモバイル・アワーズのカード挿して、bアクセスhours起動してポチッとな。それだけだ。


bアクセスhoursを起動し、PHSのほーのボタンをクリックすると、PHSによる接続が確立する。PHS(や無線LANスポット経由)で接続できないエリアにいる場合、ボタン下部に「接続はできません」と表示される セッティングボタンを押してPHS接続情報を表示させたところ。通信モードや通信可能時間の残りが表示される

 それから、PHSデータ通信時のWebサイト閲覧時に関して、ウェブアクセラレータ機能を使えば体感上の通信速度を向上させることができる──独自のプロキシサーバ経由でウェブページ上のデータを圧縮転送することで、データ転送時間を縮めている。アクセラレーション設定は4段階に設定できるが、圧縮を高める(転送を高速にする)ほど、Webページ上の画像表示が荒くなる。


ウェブアクセラレータ機能の設定画面。転送速度向上度合いを4段階に設定できる。プロキシサーバー名がちょいとステキですな。


ウェブアクセラレータ設定を「使わない」にしてアクセスした画面 ウェブアクセラレータ設定「Marion(中速)を使う」

ウェブアクセラレータ設定「Michelle(高速)を使う」 ウェブアクセラレータ設定「Ian(さらに高速)を使う」
ウェブアクセラレータの設定を変え、それぞれ同じページを表示させたところ。アクセラレーションが効くほどに、表示される画像が荒くなる。[高速]あたりが実用的!? ただ、見慣れているページなら[さらに高速]の設定でも支障がなさそうだ


 bモバイル・アワーズでは150時間までPHSデータ通信を行なえる。パッケージ価格の29,800円に、このデータ通信料金がプリペイドなカタチで含まれているわけですな。この150時間の通信時間は、600日間中に消費しないとパーになる。約1年8カ月で期限切れになる、と。なお、この600日間という期限は、使用開始日から起算される。ちなみに、期限切れもしくは150時間の通信時間を使い切った場合は、更新ライセンスを購入することで(使用中のbモバイル・アワーズに通信時間をチャージするような感じで)通信時間を追加できる。

 このあたり、安いか、高いか。これは人によりますな。極端な話、毎日15分のPHSデータ通信を行なう人なら、600日つまり1年8カ月程度使えるデータ通信環境が29,800円。月額1,490円。一方、毎日3時間通信する人なら、50日間つまり2カ月未満で29,800円。前者ならbモバイル・アワーズがリーズナブルであり、後者ならWILLCOMの定額プランが大吉であろう。

 ただ、拙者的観点では、比較的ライトにかつ不定期にモバイル&データ通信を行なうユーザーにとって、bモバイル・アワーズは有利でありかつ非常に心落ち着くサービスだと感じる。要は“ムラのあるユーザー向け”だと思う。

 ムラがないユーザー──定期的かつ比較的に頻繁にモバイル&データ通信する場合、PHS・ケータイ各キャリアの定額プランがお得であるケースが多い。そういう料金プランでは、使いまくるほどにお得感が果てしなく増幅してゆくが、使わなくても一定の料金がかかる。うっかりして全然通信しなかったのに何千円も料金取られてトホホというケースを回避すべく、意識して積極的に使うよーになる……という精神的プレッシャーも生まれたりする。
 ムラのあるユーザー──モバイル&データ通信するときゃするけどしないときゃぁ全然しない、という場合、bモバイル・アワーズのようなサービスに対する“納得力”を発揮できるように思う。てのは“契約期間ではなく通信時間そのものに対して支払うサービス”だからだ。まさにプリペイドカード感覚。使った分だけ減るものの、使わないのに着々と課金されるという感覚はない。お得感はあまりナイが、損した感がなく気楽である。

 個人的な要望を言えば、bモバイル・アワーズがもーちょっと短い時間単位で購入できればいいんだけどなァ、と。最初に買うパッケージが150時間、その後に更新購入できるのが30時間もしくは120時間となっていて、更新購入の30時間はナイスな気がするが、最初に買えるパッケージとして150時間はちょっと長いような気がする。例えば最初に30時間のパッケージを9,800円とかで買えるようにしてくれると、もっと手を出しやすいと思うのだが。ってまあコレもユーザー次第の印象ですな。料金に関しては、ユーザーがPHSデータ通信にかける頻度・時間の問題なんで、自分の状況と照らし合わせてじっくり考えるといいであろー。


オモムロに無線LANスポットを使える

 bモバイル・アワーズは、スゲぇ手軽さで気楽に使えるPHSデータ通信機器+環境のパッケージなわけだが、実際に使ってみてヒジョーにイイ感じなのが“無線LANスポットも使える”という点だ。

 bモバイル・アワーズで利用可能な無線LANスポットは、ホットスポット(NTTコミュニケーションズ)、FREESPOT(FREESPOT協議会)、BBモバイルポイント(FREESPOT協議会)、エアポートネット(空港情報通信)、BizPortal(理経)、公衆無線インターネットプロジェクト(みあこネット)。様々な事業者があるが、これらを網羅した国内最大約8,500カ所の無線LANスポットをbモバイル・アワーズから利用できる。

 ただし、無料でってわけじゃなくて、“PHS利用時間5時間と同一事業者の無線LANスポット1日利用分の等価交換”として使える。無線LANスポット(同一事業者)を1日中使えるようになる代わりに、PHS利用時間が5時間分減る、というわけだ。なお、無線LANスポットを使う場合、bモバイル・アワーズのPHSデータ通信カードのみでは行なえない(カードにはPHSデータ通信の機能しかない)。サブノート等に別途無線LANアダプタが内蔵ないし追加されている必要がある。

 接続方法はスゲく簡単で、bモバイル・アワーズで利用可能な無線LANスポットエリア内で接続ユーティリティのbアクセスhoursを起動する。上記事業者の無線LANスポット(総称でbスポット)提供エリア内なら[WiFi]ボタンを押せる状態になるので、押す。と、PHS利用時間との等価交換の旨が表示され、これに従うと接続が済む。以上、総じてPHS通信速度とは比べものにならないレスポンスで一日中好きなだけネットへの無線LAN接続が可能になる。


無線LANスポットエリア内に入ると、専用接続ユーティリティbアクセスhoursの[WiFi]ボタンを押せるようになる。セッティング画面ではどんなアクセスポイントがあるか確認することもできる 無線LANスポットへの接続も、やはりボタンを押すだけ。途中、PHS利用時間の減算を確認する表示がなされる。で、これに了解すると、サクッと接続が完了する

 ていうか!! bモバイル・アワーズの無線LANスポットへの接続で超イケてるのが!! 上記ユーティリティbアクセスhoursのボタンを!! 押す!! だけ!! ちゅーコトなのである!! 利用開始前の手続きとか契約とか、あるいは接続時のSSIDやWEPキー入力などが、一切全然まるで不要!! これ超ラク!! PHS通信時間5時間分と、無線LANスポット利用時間1日分が等価交換ってあたり、ユーザーによって安価高価が分かれるところとは思う。が、この手軽さは、すニャらしい!!

 なお、bアクセスhours(接続ユーティリティ)上の表示で、自分が無線LANスポット内にいるかどうかがわかるが、これから向かう先に無線LANスポットがあるかどうか調べることもできる(b-SPOTリストというユーティリティを別途起動しても同様)。特定の事業者の無線LANスポットをbモバイル・アワーズから使わないように設定することもできるので、既に特定事業者の無線LANスポット利用契約を結んでいる場合でも混乱がなさそうだ。


インストール時、一緒にインストールされるb-SPOTリストを使えば、bモバイル・アワーズで利用可能な無線LANスポットを検索することができる。b-SPOTリストのアクセスポイントのプロパティでは、事業者や店舗等の詳細情報も得られる。b-SPOTリストは専用接続ユーティリティbアクセスhoursから直接呼び出すこともできる

どの事業者を使うか使わないか、既に使用した無線LANスポットはあるかなど、細かな確認表示も行なえる

 てなわけで、bモバイル・アワーズ、最小限の手間でPHSデータ通信環境が整って、頻繁にモバイル&通信を行なわないユーザーにとっては料金的に“損した感じがしない”のは非常に良い。のに加え、特に事前の手間において敷居が高い無線LANスポットを、もーホントにラクしつつ“思い立った時に即座に使える”という実用性はスゲくデカいと感じる。最大限にラクしつつ幅広くツブシが利くモバイルスタイルを求めるユーザーは要チェックだと言えよう。



URL
  bモバイル・アワーズ
  http://www.bmobile.ne.jp/personal/hours2006/

2006/08/07 10:58

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