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スゴイ!! 凄まじいカメラだ!! 「キヤノン PowerShot G1」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。



■ん? コレ、いいじゃん

PowerShot G1
PowerShot G1
キヤノン「PowerShot G1」。標準価格11万5000円。334万画素、光学3倍ズームレンズ搭載。12種類の撮影モードで初心者の、多彩なマニュアル機能で中・上級者の撮影ニーズをカバー。専用アクセサリーとして、ワイドコンバーターとテレコンバーターが同時発売された。ほかにEOSシリーズのスピードライトなどが使用可能だ

 10月になってから連続してデジカメを3台(ソニーのP1とリコーのRDC-i700とコダックのDC4800 Zoomだヨ!!)も買っちゃった俺は、最近ではすっかりデジカメに対する平常心や常識が麻痺してしまっていた。そしてこの日も、仕事の合間の一服って感じで、深夜にデジカメ関連情報を収集していた。ちょうどIXYが故障中だったこともあり、「他の人ってIXY故障してないのかな~」とか思ってキヤノンのウェブサイトを覗いてみた。

 IXY故障……IXYファームウェアアップデート……IXYをお買い上げのお客様へ……そういうフレーズは全然ないなぁと思いつつ、キヤノンのデジカメページ周辺をウロウロしていたら、興味を惹かれる製品を発見。キヤノンのコンパクトデジカメ系のハイエンド機、PowerShot G1である。

 PowerShot G1については、製品紹介ページや、あるいはプレスリリース、それからBeBitのG1の詳細紹介を見ていただくとして、その存在を知った俺は、ちょっとG1が欲しくなった。


 まず、全体的に基本性能が高そーな感じで、個々の機能を見ても気合が入った作りっぽい。開いたり閉じたり回転させたりできるバリアングル型液晶モニターも便利そう。でもなんか、スペックを見ると高そうな……あ、11万5000円なんですか。ふぅん。まずまずですな。ちなみに……ラオックスのウェブ通販だと……お!! 8万9800円。ふぅぅん。

 まあいいや。シゴトシゴト。と、1本原稿を書いて、またウェブページを閲覧していたら、へぇそうなんだ、PowerShot G1って、キヤノンの一眼レフ用のTTL調光ストロボのスピードライトEXシリーズも使えるんだぁ。ふぅぅぅん。あっ、バッテリーはビデオ用のデカいリチウムイオンバッテリー使うのかぁ。けっこうエネルギッシュだなぁ。ふぅぅぅぅん。

 でもいいや。シゴトシゴト。と、もう1本原稿を書いてから、またもやウェブページを閲覧してみたら、あ、G1もCFなんだ……Type?で、あっそうかマイクロドライブ……対応してる。ふぅぅぅぅん。おっ、ワイヤレスリモコンも同梱か。バリアングル液晶モニターと組み合わせると良さげだなぁ……。ふぅぅぅぅぅん。

 でもやっぱいいや。シゴトシゴ……あ、もう本日の仕事はないや。就寝就寝……と思ったが、全然眠くなく、またもやウェブでG1に関する情報を閲覧していたら、なんか、G1を買わない理由というのが見つからなくなってしまった。さすがデジカメに対する平常心や常識が麻痺した俺!! 半日ほど前には“ちょっと欲しくなった”だけなのに、もうバリバリに欲しいのかよ俺!! 何をどう考えても、G1を買うことばかりを思いついてしまう壊れた俺ッ!!

 しかし本日はキッチリ仕事したし、本日の仕事はG1のためにだけしたと思おう!! ていうかそれだと足りないので一昨日と昨日と本日と明日と明後日はG1のためだけに働いたとしよう!! そうすればなんかこう、労働の賃金をG1というカタチでもらったと思えてナイスじゃないか>俺!! そうだそうだそうしようポチッとな、という具合で、ヨドバシのウェブ通販 [購入する] ボタンを押したのであった。ってまた真夜中の衝動買いかよ>わし。



■どしぇぇ~ッ!! こっ、この画質は……

PowerShot G1
なにげに撮った広東麺の画像がコレ。元画像はココからダウンロードしてご覧あれ

 俺が速攻でヨドバシの [購入する] ボタンを押下したことに対するヨドバシの対応も速攻で、ホントかよマジかよってスピードで、俺の手元にキヤノンPowerShotG1が届いた。

 あーやっちゃったァ~今月4台目だよヤバいよマジかよ本気かよ>俺、と思ったが、まあそれは忌まわしい行為として忘れることにして、加えて今後の身の振り方は後でじっくり考えるとして、まずはG1で何か撮ってみるのダ!! マニュアル読みつつ何枚か撮影したり消したりして、さあちょっと外に出かけて何か撮ろうと思ったが、あいにく真夜中。じゃあメシでもと思って出かけた先の中華料理屋で広東麺を撮ったら!! 何と!! これが!! スゲェ画質!! これは本当に広東麺ですよ広東麺なんですそうなんです広東麺以外の何者でもない映像なんですよ!! 本格的かつ深刻に驚いた。


 これまで俺は何度となくその中華料理屋で広東麺を撮影している(ってそんなモンばっかり撮影してんじゃねえよ>拙者)のだが、これほどその広東麺を広東麺らしく写せたのは初めて。いや、べつに、「広東麺を撮影するんだゼぇオラオラオラ!!」って気合を入れてる広東麺撮影野郎ってわけじゃなくて、カメラ持って何となく中華料理屋に行ったら何となくまたもや広東麺を注文しちゃったので何となく撮っただけなのだ。非常にテキトーなスタンスで、レンズを広東麺に向け、ペシッとシャッターボタンを押しただけ。いわば何も考えずにシャッター押しただけなのだ。それなのにここまでの表現力が動員されちゃうG1って……スゴイ!! 凄まじいカメラだ!! 俺の10月カメラ購入月間の最優秀広東麺撮影デジカメ賞決定!!

 その後も、わりと力の抜けたスタンスでいろいろ撮影してみたのだが、何を撮ってもその画像が非常に新鮮に見える。すごい表現力……というよりも再現力。被写体を、もの凄い克明さでビットマップ画像にしてしまうのだ、このデジカメは。

 さて、いつもはこーゆーコトはしないのだが、今回は敢えて、俺が撮った写真を読者様のお目にかけたいと思う。俺が何となくテキトーに撮っただけでここまで写るんだゼG1は、ということをぜひお見せしたい。

 あ、テキトーと言うと曖昧なので、そのテキトーさに具体性を加えるために説明すると、俺の撮影スタンスは、G1を持って出歩き、「これちょっと撮ってみようかな」と思ったら被写体にカメラを向けてシャッターを押すだけ。屋外ではホワイトバランスはオート、室内でもだいたいオート(たまにマニュアルで合わせたりもする。すげーヘンな光源の時だけネ)。気分によっては自動ブラケティング撮影をするが、まあ、±1/3EVとかに目盛りを合わせるだけで後は何もしない。ついでに、ここに載せた写真を撮ったときは、三脚とかレフ板とかも使ってなくて、いわばお散歩モードで撮っただけという感じ。まあ、多くのデジカメユーザーと同じスタンスで、気楽にデジカメを使っているわけだ。なので、掲載した写真のなかの、微妙な手ブレとか、構図のイマイチさとか、その他の残念点はご愛敬ということでひとつ。シロートが気楽に撮っても、こうなる、という点を見ていただきたい。

PowerShot G1 PowerShot G1
牛丼屋における牛丼。また食い物撮ってますな拙者は。感度はISO50、測光は中央部重点平均測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはマニュアルホワイトバランス(ペーパーナプキンを対象として使用)、画像サイズはラージ、画質はファイン。元画像はココからダウンロードしてください その辺に咲いていた名称不明の白い花と名称不明の蜂みたいな虫。曇天。感度はISO50、測光はスポット測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはTTLオートホワイトバランス、画像サイズはラージ、画質はスーパーファイン。AEB撮影で最も適正と思われるものを選択。元画像はココからダウンロードしてください

PowerShot G1 PowerShot G1
白い花と虫の横にあった、やはり名称不明の紫の花。某病院の駐車場の端っこのスペースの花壇なのだ。感度はISO50、測光はスポット測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはTTLオートホワイトバランス、画像サイズはラージ、画質はスーパーファイン。AEB撮影で最も適正と思われるものを選択。元画像はココからダウンロードしてください 雨上がりのヤツデ。感度はISO50、測光はスポット測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはTTLオートホワイトバランス、画像サイズはラージ、画質はスーパーファイン。AEB撮影で最も適正と思われるものを選択。元画像はココからダウンロードしてください

PowerShot G1 PowerShot G1
激安ファミレスでおなじみのガストのなんとかハンバーグ(名称不明ばっかりですまんす)。感度はISO50、測光はスポット測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはマニュアルホワイトバランス(ペーパーナプキンを対象として使用)、画像サイズはラージ、画質はスーパーファイン。AEB撮影で最も適正と思われるものを選択。元画像はココからダウンロードしてください ネコ。アビシニアン!? 多少ビビっていた。感度はISO50、測光はスポット測光、モードはプログラムAE、ホワイトバランスはTTLオートホワイトバランス、画像サイズはラージ、画質はスーパーファイン。元画像はココからダウンロードしてください
※編集部注:元画像は、2048×1536ピクセルで撮影しています。このページで直接ご覧いただけるサムネイル画像は、PhotoShopで220×165ピクセルに縮小後、シャープ処理をしました。またリンク画像は640×480ピクセルに縮小しました。いずれも画質は「高画質」で保存しています(最高画質ではありません)


 いかがなモンだろうか!? 実売8万円クラスの3メガピクセルデジカメなんですよこの画像が!! ちょっとどうしますぅ!? デジカメ市場的にヤバい製品じゃないですかぁコレって!? とか思ってしまう俺だが、とにかくスゲェ性能を発揮しまくってくれるデジカメだ。

 解像度や色・質感の表現力もスゴイ。わースゴイスゴイスゴ過ぎ~という喜びに後押しされ、既に俺は1000枚近い写真をG1で撮っている。それでもなお驚くのは、G1で撮った画像のノイスの少なさだ。どーしてここまでノイズが見えませんかというほど、クリアな画像になる。説明書等によると、1.3秒以上のスローシャッターで自動的にノイズリダクションを行なう機能があるとなっているが、そのノイズリダクションが効く以前に、デフォルトでノイズを除去してますよねぇ~コレって~という印象。確かに、夜間の長時間露光なんかをすると、漆黒の部分があくまでも漆黒になり、光の色もピュアで鮮やかに出るから、なるほどノイズリダクションが効いてんだなーとか思う。だが、フツーに昼間の屋外とかあるいは室内とかで撮影した画像にもノイズが見えず、例えば1000%くらいに拡大して見ても、デジカメ特有のノイズ感がない。ついでに、スーパーファインとファインの画質モード時は、JPEG画像のブロックノイズも(被写体にもよるが)ほとんど気にならない。ていうか見えてこない。

 そう言えば、G1を手に入れて写真を撮ってあまりにもビビったので、その画像(広東麺とお冷や)を友人に送ってみたら、まず言われたのが「これってレタッチはしてないんでしょ!? コントラストとかも変えてないんだよねぇ!? スの画像!? オリジナルなのマジで!?」みたいなコト。相手は、あまりにもその画像がクリアだったので、疑ったのだ。レタッチしてキレイにしたんじゃないのかって。



■その他いろいろ


 結局俺はG1を気に入りまくってしまった。もちろん最大の魅力はその画質。この価格帯で、このサイズ(デカくて重いとも言えるがどうにかポケットに押し込める携帯サイズ)で考えれば、恐らくダントツの画質なんじゃないかと思ったりしている。色味についても満足しているが、このあたりはユーザーの好みだろう。ほんの少し彩度が高い感じかな……というあたり、俺はかなり好きな色味だ。

 その他では、オートホワイトバランスがかなり賢いような気がする。白熱球、蛍光灯、太陽光、曇天下、どこで撮っても色がちょっとヘンになったとかいうことは感じていない。ただし、白熱球色の蛍光灯下では、ちょっと妙な色になったりする。まあ、このテの微妙(というか異端)な光源下でオートでホワイトバランスがビシッと合うデジカメとかビデオカメラってほとんど(いやもしかしたら全然!?)ないと思うのだが。

 それから、オートフォーカスは、ほんの少し遅い感じかなーとか思うものの、まあ気にならない程度の速度で動き、ピントもシャキッと合ってくれる。あと、G1にはコンティニュアスオートフォーカスがあって、これは常時ピントを合わせようとAF機構が動き続けるシクミだ。が、そーんなに速攻で合ってくれないオートフォーカスなので、コンティニュアスにすると何だかジージー言ってばかりでピントが前後しまくり(結局は合うのだが)で、ちょっとストレスを感じるので使っていない。

 外付けのTTLオートストロボとして、550EXというのを使っているが、光量が大きいので、G1と組み合わせてのバウンス撮影なんかをすると、いろんな撮影ができて愉快。個人的には、コンパクトタイプでも一眼でも、カメラに内蔵されているストロボってのはあまり好きではない。例えば人とかを撮ると顔面がのっぺりしちゃったりで、なーんか殺人現場写真もしくは凶悪犯指名手配写真みたくなっちゃうからだ。なので、外付けストロボでバウンス等のテクニックが使えるのは非常に有り難い。

 それから、電池がかなりよくもつ。俺は現在160MBのCFメモリカードを使っているのだが、電池がまだまだたっぷり残っている状態で、このCFが一杯になってしまうまで撮れる。実は128MBのCFもあるのだが、G1で160MBのCFを一杯にしてから、さらに128MBのCFを挿して使ったら、またもやCFが一杯になってしまった。もちろん液晶モニタを点灯した状態で。なので、俺の場合は、1本のバッテリーで160+128=288MB分は問題なく撮れちゃうのである。ちなみに、この“俺の場合”というのは、撮影したら画像を確認して、それでスイッチオフ。次に被写体を見つけたら撮影し、画像を確認し、スイッチオフ。これの繰り返し。デジカメメーカーが推奨する使い方であるところの“電源はこまめに切ってください”を実践。なので、これは、すっげぇ電池が持つデジカメだと感じている。あ、ちなみに、前述のように内蔵ストロボは全然使わないのであった。


PowerShot G1のバリアングル液晶モニターを開いたところ
 バリアングル液晶モニターは思ったとおり非常に便利だ。横に開いた状態だと、上下に首振りをするので、超ローアングルからハイアングルまで自由な撮影スタンスを取れる。また、カメラ背面に格納した状態で見ることもできるし、これを裏返せば不使用状態=液晶面が露出しない状態にできる。光学ファインダーを多く使う人にとっては、いわゆる鼻の脂問題(液晶パネルに鼻が当たって鼻の脂がペタッて付着しちゃうというイヤーンな問題だヨ!!)を解消できる。

 ただ、この液晶、ちょっと熱がこもりがち。けっこう熱くなる。まあ、俺の場合、撮影して見てオフを繰り返すので、長時間つけっぱなしにしておくことはないゆえ、さほど問題ではないのだが。また、この液晶で画像を確認する場合(カメラの再生モード)、画像全体の表示と、さらにそこから2段階に拡大できる。で、全体表示の時や1段階目の拡大表示の時は非常に鮮明に見えて問題ナシなのだが、2段階目の拡大率最大の時は、なーんか画像がボヤけて見える。液晶の問題ではなく、表示処理の問題だと思うのだが、最大に拡大する時ってたぶんピントの合いを確認する時なので、このボヤケは「げっピントが合ってない!!」という誤解を招く恐れがあるっていうか俺の誤解を招きまくりだと言えよう。

 操作性は上々で、特にカメラ背面右側のボタン配列が使いやすい。その中でも、露出補正とホワイトバランスとブラケティング露出設定とストロボ調光を一手に引き受けるボタンがナイス。これらの機能はたびたび設定したくなりがちなので、これを物理的なボタンとしてクイックに扱えるのがイイ。

 カメラの基本的なモード設定は、シャッターボタン近くのメインダイヤルで行う。メインダイヤルは、電源ボタンとモードボタンとPCリンクモードボタンの機能を持つダイヤルと、撮影モードを切り替えるダイヤルをひとつにしたものなのだが、これがなーんかちょっと使いにくい。具体的にはちょっと薄い。上下に重なるダイヤルを同時に回してしまいがち。上のダイヤルが緩く、下のダイヤルが硬いという印象で、これが逆だったら使いやすいかもーとか思ってしまうが、まあ、慣れれば誤操作もしなくなる。



■画質が不満を吹っ飛ばす


 G1には多少不満もある。

 例えば、重くて大きいこと。外見はコンパクトデジカメなのだが、持ってみると案外重くて奥行きもあるので、気軽にバッグに忍ばせてという感じじゃない。G1のコトを考えてバッグ選びをする必要があったり、よっしゃG1で写真撮るゼという前向きな携帯姿勢が必要だと言えよう。

 それから、デザイン的に、なーんか……。あくまでも個人の好みの問題なのだが、IXYとかEOSを作ってるメーカーのインダストリアルデザインとは思えない平凡さっていうかつまんなさっていうか何でもなさっていうか、ちょっと残念。カメラについては特に何か考えたり吟味したりしない人にとっては、まったく中庸で没個性でフツーなので、かえって気軽に持てるデザインかもしれない。が、やっぱりちょっとつまんないとか思ったりした俺だ。

 あと、おんなじような機構のレンズを使っているソニーのサイバーショットのS70でもそうなのだが、レンズカバーと起動時のレンズ伸長の問題。問題っていうかそういう仕様なのだが、G1は、電源を入れるとレンズが前にせり出す。で、この時、レンズカバーをしていると、レンズカバーに邪魔されてレンズがせり出せずに、液晶画面にエラーが表示されたりする。コダックのDC4800 Zoomみたいに、レンズカバーを付けた状態でもレンズがせり出して欲しいなぁとか思った。まあ、レンズカバーを外さないとカメラが起動できないとなれば、レンズカバーを付けたまま漆黒画像を撮っちゃうのを防止できるし、ユーザーにレンズカバーを外す習慣を植え付ける効果もあるので、イイといえばイイのだが、ん~、なんか気持ち悪いのであった。

 まあ、不満としてはそんなところ。あとはおおむね満足っていうか全体的に大満足している。ていうか!! 前述の不満なんざぁ些細な点!! そんな細かいコトよりもG1の画質!! この目覚ましいほど克明で鮮明な画質!! これがあれば多少デカくてもカッコ悪くてもレンズカバーが面倒でもオッケー!! 全然問題なし!! G1の画質サイコー!! G1サイコー!! そんなふうに思えてくる。

 マジメな話、この価格帯で、このサイズで、こういう内容のデジカメは他にないと思えるのだ。操作性は上々で、機能的には超ド素人からハイアマチュアまでをカバーする内容で、画質はひとつ上のクラスのデジカメをやっつけられるほどの品位だ。

 携帯性を取って画質を捨てるユーザーと画質を取って携帯性を捨てるユーザー、それから、価格を重視して機能を諦めるユーザーと機能を重視して価格を度外視するユーザーがいたとして、G1はそれらユーザーのちょうど中心に位置するような非常にバランスのいいデジカメだと思う。まあ、携帯性や画質や価格や機能を突き詰めまくると他のカメラが浮上するじゃないか結局G1は中途半端じゃないか、という理屈も捏ねられる。が、俺はG1を中途半端だと見るずっと以前に、俺の撮影スタイルに対するベストソリューションだと確信しちゃうのである。



■蛇足


 あーなんかまだ書き足りない感じなので、かなり個人的な視点での、G1に関する印象などを書き足したい。抽象的なレビューや感覚的でわかりにくい意見がウゼぇって方は、読むことを割愛したほうがいいかもしれない。

 さて、実はその後、けっこう細かい調整をしつつG1でマジメに写真を撮ったりしているのだが、G1、なかなかマニアックな期待に応えてくれるデジカメなのだ。例えば露出補正。フツー、このクラスのデジカメなら、露出補正くらいはできるもの。G1も当然できるのだが、露出補正した時の画像の変わり方が、何というか、フィルムにかなり似ていて、露出補正の手応えがある。

 ちょっとわかりにくいかもしれないが、わりとフツーのデジカメの場合、露出補正をしてもその効果の現れ方が曖昧というか状況によりけりというか、なんか……いまひとつキッチリと現れにくいことがあったり、逆に現れ過ぎたりすることがある。ていうかそんな場合が多いと感じている。1/3EVの露出補正なのに、感覚的にはそれ以上の補正がかかったイメージになるとか、あるいはちっとも補正がかからないとか、なんつーかこう、俺としては違和感があった。

 が、G1の場合は、「そうそう、こんなモンだろ、こういう感じだよね」と納得できる補正がかかる。たぶんこれは、ユーザーの感覚的な問題だとは思う。フィルムで補正した場合も、使うフィルムによるしユーザーの見え方や期待にもよると思う。きっと数値的にはそのとおり補正がかかっていると思うのだが、見た目、そうでないってことがある。発色のしかた、コントラストの違い、いろんな要素から「違うなぁ」という印象になるのだと思う。ともかく、G1の場合、俺が思ったとおりで期待したとおりの補正がかかってヒジョーにシックリ来るのだ。

 そのあたりの気持ちよさと合わせて、やはりフルオートやプログラムオートに加え、シャッター速度優先オート、絞り優先オート、それから完全なマニュアル露光、そして50/100/200/400のISO感度切替(自動切替もあり)など、ユーザーがカメラに勝手にやって欲しくない動作を禁止できるという、コントローラブルな面もかなりイイ。あ、ホントはユーザーが固定したい要素だけを固定できるモードとか言うと思うのだが、俺はどっちかと言うと、今時のハイテクカメラが勝手に何かしやがるのを禁止する方向のモードだと思ったりしている。

 とにかく、そのあたりのモードを全部用意しているのがイイ。いや他にもフルオートから完全なマニュアルまで全部用意しているデジカメはあるのだが、G1の場合はそれらのモードを非常に使いやすいカタチで提供していると感じる。例えば、マニュアルモードにおける、十字キーの機能。上下が絞り値の増減、左右がシャッタースピードの増減となっている。また、液晶画面上には、その露出で撮った時のイメージにかなり近い映像が表示される。デジタル機器にアナログ機器(フィルム式カメラですな)の感触を取り入れつつ、デジカメのメリットを生かした、非常に扱いやすいモードだと感じた。


 これら含めて、ユーザーがG1を繊細にコントロールできるってあたりが非常にイイ。イイっていうか、使い込んでいった時の快感がある。俺はG1を全部制御したぜーという、G1を自在に扱えた時の達成感がある。このあたりは、銀塩フィルム式カメラとまったく同じ感覚で、メディアがフィルムかメモリか(ラチチュードもありますが)の違いで、写真を撮るという行為的な良さを味わえる。難しさもあるし、そこからくるおもしろさもある。その感触はニコンのD1っぽい印象だなぁ、とか言ったらG1のメーカーさんに失礼かもしれないが、撮影自体を楽しむという、デジカメにはあーんまり感じられなかったおもしろさもキッチリ楽しめる。

 それから、これはG1に対する満足感が生んだ錯覚なのかもしれないが、G1で撮った写真って、なんつーか、リバーサルフィルムで撮った時と同じ見方をしてしまうし、リバーサルフィルムみたいにも見えてしまう。具体的に見た画像は、確かにデジタル画像で、拡大すればドットがあるし、冷静に見ればグラデーションも(フィルムに比べて)大雑把という印象はある。が、その使用感がリバーサルフィルムに似ているのだ。あの光景をこう補正してココを際立たせたハズ……よっしゃキてるぜやっぱ撮って良かったなぁ、みたいな。

 たぶん、これは、前述の露出補正云々、モード云々、コントローラブル云々ということが、俺の撮影感覚にすげーピッタリとマッチしているから、そう思っちゃったのだろう。まあ、ともあれ、ラクに常時携帯できる内容のデジタルカメラが、ここまで繊細になってくれたということにコーフンする。もしかしたらコンピュータ周辺機器の中では最も人間の繊細な神経に近づいているのかもしれない、デジカメは。なんてなコトを思っちゃったりしつつ、G1を(ある種熱狂的に)楽しんでいる拙者なのであった。





URL
  PowerShot G1製品情報
  http://www.canon-sales.co.jp/Product/digicam/ps-g1/index-j.html
  PowerShot G1プレスリリース
  http://www.canon-sales.co.jp/pressrelease/2000-10/pr_psg1.html
  スタパ齋藤常時更新中!サイト 「オルトアール総合雑談中心」
  http://www.alt-r.com/

2000/12/04 00:00

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