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コンピュータでラジオを聴いていきたいッ!! 「IC-PCR2500」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


コンピュータでラジオを聴いていきたいッ!!

 最近、すっかりラジオづいている俺。短波の国際放送なんぞを聴いとりますが、何がオモシロいのかと言えば、半分は番組であり、もう半分は受信という行為全体が超おもしれぇ!! のである。そこで、思い余って広帯域受信機を購入してみた。ICOMのIC-PCR2500


ICOMのIC-PCR2500。ほぼ全ての操作をパソコンから行なう受信機で、10kHz~3299.999MHzの超広帯域をカバーする。AM/FM放送はもちろん、短波放送、航空無線等々、非常に幅広い“電波”を受信可能だ


 この黒い箱がIC-PCR2500なんですけど、コレ、10kHz~3299.999MHzという広い帯域の電波を受信=聴くことが可能(一部周波数;コードレスホン等は受信できない)。このテの受信機を一般に広帯域受信機と呼ぶが、ま、ラジオの親玉のさらに元締め的存在ですな。

 短波放送を聴くためにナゼこんなの買ったのかと言うと、まずこの受信機、パソコンとUSB接続してパソコンから操作できまくりだからである。受信機の細かな設定~チューニング時の操作~メモリ(周波数や受信モードの記録)まで、全部パソコンのキーボードやマウスで一括してコントロールできる。


パソコンとはUSB接続する。電源はACアダプタ(デカめ)で、USBバスパワー動作とかはしてくれない。チューナー部を2基搭載するため、アンテナ入力端子も二系統ある。ただし、IC-PCR2500の機能を発揮させるためには、BNC接続のシッカリした外部アンテナを接続する必要がある 本体上部に小さなスピーカーがあり、ここから音を聴ける。が、USBオーディオデバイスとして機能するので、パソコンのスピーカーからも音を出せる

専用ソフトで受信機の操作を行なう。例えばチューニングツマミをクリックしたり、スクロールホイールで動かすことで、周波数を変えられる。この他にも2パターンの操作パネルを使える

 例えばですね、受信したい周波数をWebで調べる。ソレをコピペでメモリーチャンネルに登録して、後はメモリを呼び出して聴く。ポータブル系のラジオだと、ウェブページとかにある周波数を目で追って、手でポチポチと数値を入力する必要があるが、そのあたりの効率においてはIC-PCR2500は物凄く良いのである。

 でまあ、コレを使い始めたら何かと便利であり楽しくもあり、さらに俺的電波受信世界がグワッと広がってモロに面白いので、今回はそんなこんなをレポートしてみたい。

 ただし、この受信機、広帯域受信機というだけあって、ラジオだと思っちゃダメかもしんない。もちろんラジオとしても立派に機能するが、どちらかと言えば様々な電波を受信するための専門的な装置だ。機能も性能も(あと価格も)ラジオを大幅に上回ったりしているものの、アンテナなんざぁ内蔵していない(オマケ的アンテナは付属する)し、普通一般のラジオしか使ったことがない人は、いきなりワケワカンナクてつまずく可能性が高い。マニアックな受信機ってコトでヒトツ。


目で見て手動スキャン、が意外に愉快!!

 IC-PCR2500(以下、PCR2500)は前述のように“パソコンから操作する受信機”である。本体には電源ボタン程度しかなく、受信操作は全てパソコンから行なう。で、パソコン上ではどんなインターフェイスかというと……。


操作インターフェイスのひとつ、シンプル型。カーラジオ、というかモービル受信機風の表示ですな こちらはコンポ型。ユニット毎に整理された表示が(広帯域受信機を知っている人には)わかりやすい。不要なユニットは消しちゃえるヨ こちらは多機能型。いかにも通信機型受信機という面構え。IC-R9500風のインターフェイス(というかスキン)も欲しいところですな

 PCR2500は広帯域受信機なので、様々な形式の電波を、様々な周波数ステップで受信したり、あるいは登録した周波数を順にスキャンしたり、一定スパンの周波数をサーチしたり、と細かい操作がデキまくりなので、このようにボタンがたーくさんあるのだ。

 広帯域受信機の基本的な事柄を知ってしまえば、PCR2500の操作はさほど難しくない。むしろマウスとキーボードでサクサク操作できて容易とも言える。

 さておき、これらのインターフェースを変更したり、あるいはメモリ登録操作をしたり、あるいは放送等の録音も、専用ソフトウェアのツールバーから行なえる。


専用ソフトウェアのツールバー。ここから上の各種インターフェイスを呼び出し。PCR2500の接続先(ポート)等の詳細設定も、このツールバーから メモリの管理表示。プリセットで膨大なメモリが入っているが、これは自由に書き換え可能。メモリのセットはファイルで管理することも可能で、1ファイルにつき、26バンク×100メモリ=2600種類の周波数を保存できる。これ意外に、100チャンネル分、プログラムスキャン用のメモリを使える 受信音の録音も可能。録音はWAVファイルとして保存され、11.025kHz、22.05kHzのサンプリング周波数を選べる。ファイル名は、例えば「080324_001.wav」のように「年月日_録音順」となる。ただ、ファイルのプロパティには、録音日時程度しか記録されない

 あとこの受信機、チューナー部を2基持っているので、同時にふたつの違う周波数を受信できる。また、ダイバシティ受信(ふたつのアンテナを接続して受信感度が良好なアンテナからの受信へと自動的に切り替えること)も可能だ。

 あまり細かい機能まで書いてもナンなので、PCR2500で短波放送等を受信して「あら便利!!」と思えたところをヒトツ。拙者的には、何と言ってもバンドスコープ機能だ。周波数を横軸として、現在どの周波数で電波が出ているのかを一望できるという機能ですな。


PCR2500のバンドスコープ機能。画面中央下の棒グラフのような表示がソレっす。赤い線が現在受信中の周波数で、その上下に山のようなものが見える。それらが、放送かもしれない周波数だ。合わせたい周波数(山のようなもの)の位置をクリックすれば、その周波数を受信できる ペチッとクリックすると、受信完了。バンドスコープ機能を持つ広帯域受信機は他にもあるが、マウスで操作できると超ラクっす。ちなみに、バンドスコープ上にマウスオーバーすると、その位置の周波数が表示されたりもする バンドスコープの周波数スパン(一度に見渡せる周波数帯域幅)は変更可能。ただし、あまり広い範囲を表示させると、音が途切れたり表示が遅くなったりする

 短波放送受信とかには、恐らくIC-R75とかのHF帯専用機がイイとは思うのだが、PCR2500のバンドスコープを眺めつつ、「この強い電波、どこの放送局だろう、ポチッとな」と短波帯サーフィンみたいなコトをするのは愉快。

 また、バンドスコープを見て、大雑把に周波数を指定(マウスクリック)して、その後メインダイヤル(チューニングダイヤル)の上にカーソルを移動してマウスホイールを動かしての周波数微調整ができたりする。このあたり、テンキー+メインダイヤルを持つ通信機型受信機より、あるいは使いやすいし操作感も良好!? なんて思ったりもする。

 ついでに、IFフィルター幅やIF-Shiftの設定がパッと見でわかったりするようなグラフィカルな表示は、やはり嬉しい。直感的に、今フィルター広いんだな、とかすぐ掴めるってコトで。

 ともあれ、特定の周波数を決めてチューニングしていく、のではなく、帯域を見渡して電波を探していくという使い方が心地よいPCR2500。なるほど、やっぱりコレは広帯域受信機=スキャナ的なベクトルで作られた受信機なんですな、と思う。


ややマニアックな話(1)───ACARS編

 短波ラジオとして見ると、ぶっちゃけた話、IC-R75とかのほーが性能が高いようですな。てか、IC-R75使ったんですけど、なんつーんですか、いわゆる選択度の高さ? かなりビックリ。短波を突き詰めるならそーゆー専用機のほーがいいんでしょうな。

 ともあれ、PCR2500は広帯域受信機。短波だけじゃない、というところに大きなオモシロミがある。てなわけで、早速、航空無線あたりを聴いてみたい!! って、ソレをヤリたかったんだろ>拙者。

 てゅーか航空無線聞いてみたかったんですけど、それ以上に試してみたかったのが、話題のACARS(エーカーズ)。航空機と地上でデータをやりとりする無線システムだ。そのデータが、こういった広帯域受信機で受け取れたりする。

 ACARSのデータ通信音は、ただ聞くと「ピーギャッ」てな感じで意味不明だが、パソコンと各種デコードソフトを使うと、データの内容を見ることができる。そしてPCR2500はパソコン接続型の広帯域受信機!! ACARSのためにあるよーな製品、でもないけど、ACARS受信に便利なハズ!! と。

 前述のとおり、PCR2500はパソコンとUSB接続し、パソコンからはUSBオーディオデバイスとして見える=受信音がダイレクトにパソコンに入る。ので、その音をそのまま、ACARSデコードソフトに渡せるであろー、と考えた。

 で、試してみたら、スンナリと。PCR2500で受信したACARSのデータ通信音が、デコードソフトにより、サクッと処理され、画面上にはANAとかJALの位置や高度が表示された。

 実は、前知識として、ACARSのデコードを行なう場合は(ナゼかPCR2500等のUSB接続型受信機でも)受信機の音声出力とパソコンのマイク入力をケーブルで接続すべし、という先人の教えを心得ていた。が、PCR2500だと、USBケーブル1本でイケるようである。ていうかイケた。

 ちなみに、拙宅環境では、ACARS受信のキモと言われている音声入力レベルの調整は不要だった。受信も良好に行なえており、巷で言われているほど受信するまでの面倒はナイって感じであった。

 ともあれ、ACARS、楽しいですな。拙者、特に航空機が好きってわけじゃなかったんですけど、わりあいまあまあリアルタイムに、日本の上空を飛ぶ飛行機がグラフィカルに表示されたりすると、ん~大空の交通網なんだなぁ、と、なんだかロマンなフィーリングが得られたりする。


ややマニアックな話(2)───気象FAX編

 ACARSを受信したあたりで、外に出るとアンテナばっかり見たりしていた拙者。アンテナが電波を発し、放たれた電波はアンテナで受け取られる。何にもナイ空間に見えるが、ある意味、首都高速道路なんかよりずーっと密度の高いトラフィックがそこに存在しているの、ダッ!! そうだ電波飛んでるんだよ電波!! ヤベぇ毎日常にいつもビシバシと電波飛びまくりであり、今日も誰かが電波を利用中!!

 とかワケのわからねえテンションとなった俺は、次にJMHの放送を受信してみることに。放送、と言っても、電波で配信しているファックスサービスですな。

 JMHは気象庁が行なっているサービスで、船舶向けに天気図等の情報をファックス送信している。短波の周波数で放送しており、その音を受信してパソコンの各種デコードソフトで処理すると、気象情報をグラフィカルなカタチで見ることができる。

 短波で受信→その音をパソコンに入力→ソフトでデコード→見たりして喜ぶ、ということは!! ここでもPCR2500が役立つハズ!! PCR2500は短波の受信も当然OKであり、前述のとおり、受信した音をそのままパソコンに渡せる=ダイレクトにデコードソフトで処理できるハズだからだ。

 で、試してみたら、これもアッサリ……とは成功しなかった。いや、結局はうまくいったが、JMHはSSBという形式の放送なので、若干周波数調整等に手間取ったという拙者のミスであった。が、他は問題がなく、予想以上にクリアな結果が得られた。


掲載のため縮小等の処理をしているが、短波で受信したとは思えない結果が得られた。これはテストチャートですな こちらは「静止気象衛星雲写真」となっていた オホーツク海の氷の集中度合い? よくわからないが、こういった情報が主に船舶向けとして放送されている

 電波ってステキ!! とか思っちまいました。その勢いで海況監視衛星NOAAからの画像も猛烈に受信したくなったものの、そこまで行くとアンテナ方面が超難しいようですな。

 なお、拙者がPCR2500に接続しているアンテナは下の2本である。


AM放送や短波放送を聴くために使っているApexRadio 303WA-2。30kHz~30MHzの電波を受信するのに向く 短波帯より高い周波数で使う第一電波工業スーパーディスコーンアンテナD-130。受信用として25MHz~1300MHzの帯域で使える

蛇足──PCR1500と拙者

 最後にちょっとハードウェア的なマトメを。

 今回のネタとなったPCR2500だが、シリーズ製品として全4機種存在する。パソコンと接続が必須である2機種として、IC-PCR1500IC-PCR2500があり、単体でも操作できる専用コントローラー付きのIC-R1500とIC-R2500がある。2500系と1500系の違いは、デュアル受信ができるかどうか(チューナー部がひとつかふたつか)くらい。

 で、拙者の顛末的結論から言えば、IC-PCR1500を買えばよかったのカモ、と。あるいは拙者環境だけで起きていることなのかもしれないが、PCR2500、ふたつの放送を同時に受信できるものの、パソコンからは片方の音(メインバンド)しか聞けないもよう。本体のスピーカーからは両方(メインバンドもサブバンドも)聞こえるのだが……。

 実勢価格は幅があるが、PCR2500が4万5,000円とかで、PCR1500が3万5,000円とかあたり? 1万円の差があるわけだが、ぶっちゃけた話、俺の使い方では、デュアル受信ってそうそう役立つケースがなかったりする。

 デュアル受信で、それぞれの音が別々に出力できたり、両方ともUSB経由でパソコンに別々に入力できたりすれば(ホントはデキたりするんですか?)、PCR2500の妙味が増す。でも……。一方、シリーズ中最安値のPCR1500って、実は凄くコストパフォーマンスが高い受信機なのかも~、とか思う次第。まあそのアタリはユーザーの使い方・考え方次第ではあるが。

 ともかく、想像以上に楽しめたPCR2500。ていうか今後もコレで楽しむつもりの拙者であるが、刺さる人にはスゲく強く刺さる受信機だと思う。実際、わし、もう一台欲しいし。片方でACARS、片方でJMH、みたいな。あ、両方ACARSでデュアルデコードとかデキ(以下終わりそうもないので割愛)。



URL
  10kHz~3299.999MHzの広帯域をカバーする受信機「IC-PCR2500」製品情報(ICOM)
  http://www.icom.co.jp/products/amateur/products/receiver/ic-r2500_pcr2500/

2008/03/17 15:09

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