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ローランド謹製・最新型リニアPCMレコーダー「R-09HR」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ローランド謹製・最新型リニアPCMレコーダー

 2008年3月28日に発売されたローランドのリニアPCMレコーダー、R-09HR

 地味に登場しながらもパーソナルでポータブルなリニアPCMレコーダーとして大きな話題を呼んだR-1、小型化・高音質化・高性能化でドガッと売れたR-09、そして最新型のR-09HR。ローランド製・パーソナルユースのリニアPCMレコーダーとしては、第3弾ですな。


ローランドのR-09HR。リニアPCMレコーダー市場の立役者ことR-09の後継機種で、24bit/96kHzのリニアPCM録音が可能になったり、リミッターを搭載したり、表示が見やすくなったりしている。実勢価格は4万円前後


 R-09HR、早速ザザザッと使ってみたんスけど、俺的観点からの結論を言えば、いくつかの不満が消え、多くの期待が満たされ、使いやすさはR-09よりもグッと良くなっていて満足できた。一部疑問に残る部分もあるが、定番リニアPCMレコーダー(の最新型)としての安心感はさすがに大きいって感じっス。

 てなわけで、以降、R-09HRの使用感を中心にレポートしてみたい。なお、すいませんけど録音サウンドのサンプルが間に合わなかったっス。てコトで、実際のサウンドは藤本健氏のレポートあたりで聴いてみておくんなさい。


人によっては「マイナーチェンジかナ!?」とも

 R-09HRは、ド定番リニアPCMレコーダーR-09の後継機種だ。R-09からどう変わったのかは、ローランドのFAQで詳しく見られるが、まず外観・質感がけっこー変わりましたな。

 R-09は全体的にプラスチッキーなフィーリングのボディだった。R-09HRのボディもプラスチックだが、黒い部分にラバー塗装が施されたため、渋さチョイとUP。この塗装により手に持った時、滑りにくくもなっている。マイク周辺もメタルな見栄えが強まり、少々豪華なイメージになった。有機ELパネルのサイズが大きくなったのも、かなりの見栄えの差となっている。


本体の感触は大きく変わった。R-09がプラスチックそのものという感じだったが、R-09HRは滑りにくいラバー風樹脂。本体サイズも若干変わったが、持った感じは同程度。滑りにくいR-09HRの方が安心して使えるような気がする マイク周辺はR-09HRの方がメタリック感が強い。デザインは好みによりますけどネ。ちなみに、マイク部を覆うパネルにある穴は、R-09よりR-09HRの方が大きめで多め。音の通りが良くなる? 有機ELパネルの画素数は両機とも128×64ドット。だが、R-09HRは、R-09実装品の倍の面積のパネルを搭載した。これにより、かな~り表示が見やすくなった。外見的にも、よりレコーダーっぽくなりましたな

 スペック的な違いは、まずWAV録音時のサンプリング周波数が高くなったこと。R-09は44.1/48kHzで録音できたが、R-09HRは44.1/48/88.2/96kHzまで対応。

 各メーカーが続々と参入するリニアPCMレコーダー市場で、サンプリング周波数96kHz対応がアタリマエ!! てな時代になったと同時に、ローランドもそれに肩を並べた格好になる。でも、88.2kHzというサンプリング周波数は珍しいっスね。44.1kHzのちょうど倍。もしかして、録ったサウンドを音楽CD化するための処理時、なんかイイコトがあったりするんでしょうか? なお、量子化ビット数は両機とも16/24bitである。

 ともあれ、R-09HRは最高で24bit/96kHzのリニアPCM録音対応になり、性能が高まった、と。また、残留ノイズレベルを従来比で約10dB改善したということで、より高いクオリティでの録音が期待できる。ちなみに、両機ともMP3形式での録音に対応しており、MP3録音時のサンプリング周波数は44.1/48kHz、ビットレートは64/96/128/160/192/224/320kbpsと同仕様だ。

 他は、エフェクトとして可変速再生(通常の速度に対して50~150%で再生速度を変更可能)を搭載したり、専用リモコンが同梱されたり、スピーカーが搭載されたり、同梱アプリ(Cakewalk Audio Creator LE)が付属したり、というあたりがR-09HRの目新しさとなる。

 また、R-09のヘッドホン端子はオプティカル・ミニの光出力(デジタル出力)に対応していたが、R-09HRは単なるヘッドホン出力となったのはスペックダウンかも。とは思ったが、光出力でどうこうするより、メモリカード経由でパソコン上にて編集の時代ですな。

 R-09HRの実使用感とはまた別の話なんスけど、こういったスペックを見てくると、「R-09HRは、R-09のマイナーチェンジ?」てな印象も残ったりする。ローランドのリニアPCMレコーダーを愛用してきた者としては、もっとこー、なんつーか「やっぱ老舗はスゲェ!!」とか思わせる新型を期待したのだが……。とは言え、実際にR-09HRを使ってみると、使い勝手が向上している部分が多い。


大きくて見やすくなった有機ELディスプレイ

 実使用感として、R-09HRのほーがいいニャ!! とか思えるのは、まず大型化された有機ELディスプレイだ。前述のとおり、画素数は128×64ドットでR-09もR-09HRも同じなんだが、R-09HRのディスプレイサイズはR-09のソレの2倍(面積比)になっている。


左がR-09、右がR-09HRの有機ELディスプレイ。画素数は同じだが、サイズが2倍になったことで見やすさが格段に高まった。小さな文字等もよく見えますな メニュー表示の例。表示を目で追いやすくなった ファインダー(ファイル一覧モード)表示例。画素数・フォント等は同じなので、一覧性が高まったわけではない

 ぶっちゃけ、スゲく見やすくなりましたな。拙者手持ちのR-09の有機ELがヘタりつつあるのか、R-09HRの表示の方がハッキリした白に見えたりもする。

 ただ、もうチョイおごって、縦方向の解像度を上げるとか、フォントを細めにするとかして、一度に表示される情報量を高めて欲しかった気もする。まあ、通常の録音ではレベルメーターを見ている程度で、たびたびメニューやファインダーの操作をするわけではないので、現在の情報量で十分ではあるが。

 あと、レベルメーターは相変わらず使いやすいと感じる。さすがの有機EL。追従性が高いし残像感も少ないしで、繊細なレベル調整が可能だ。レベルメーターにはピークホールド表示もあり、また、操作パネル部にあるピーク表示(赤色LED)も装備されている。本体上部(左右マイクの間にあるリモコン受光部)にも赤色LEDが内蔵されており、リモコン操作時のピーク確認等に使えたりして便利だ。


写真ではややわかりにくいが、入力される音声に合わせて俊敏に反応するピークメーターが使いやすい。ピークホールド表示もされる 過大入力時に赤く点灯するピークLED 左右マイク間にあるLEDは、過大入力時に激しく点滅する。リモコン操作時、本体前面が見えない状態でも容易にレベル調整を行なえる

 てか、R-09のヘビーユーザーの人は、あるいはこの有機EL大型化だけで買う人もあるんじゃないかと思う。デジタル表示のレベルメーターとしては、やっぱり有機ELは最も見やすいデバイスだと思うし、それが細部の数字まで捉えやすい見え方(サイズ)になれば、う~ん、イイなぁと感じると思う。

 ともあれ、この仕様変更は大いに歓迎。常に使うインターフェイスが快適になったのは非常に有り難い。


本体前面のボタン類は、横長になりストロークも深くなったR-09HRの方が好感触。録音・再生関連ボタンは両機とも同様の使用感だ 本体背面のボタン類。刻印文字も大きくなり見やすいですな。新型(右)には“LIMITTER”の文字が!! アナログリミッター搭載っス 各機の左側面。新型では、この面にMICやLINEの端子が実装された

各機の右側面。新型では、ACアダプタ端子のフタが廃止された 旧型では、MICやLINE端子が本体上部にあるのに対し、新型の上部にはヘッドホン端子が 旧型は、電子室とメモリカードスロットおよびUSBポートが本体底面にあった。フタがやや硬めで少々扱いづらかったりした。新型では、本体底面にメモリカードスロットおよびUSBポートが“開きやすいフタ付きで”実装され、電池室は本体背面に移動された

 その他のボタン関係では、けっこー位置の変更がありますな。そのあたりは上の写真をじっくり見ていただきたい。で、これらの変更からくる使用感だが、R-09とR-09HRとでは比較的に大きく変わったという印象だ。

 個人的に、なんですけど、ヘッドホン端子の位置に違和感アリ。基本的には本体を右手に持って、音源に突き出したりして向けるハードウェアの、マイクの間にヘッドホン端子って、どうなんだろう? とか思った。R-09は持ち手側にヘッドホン端子がキちゃうのが微妙な気がしたが、R-09HRのヘッドホン端子位置の微妙さのほーが強い。

 一方で、R-09HRのマイク端子位置(本体左側面)は、わりとイイ感じ。やや大きめなプラグを挿しても、本体ホールド時のバランスが悪くなりにくくてイイですな。

 やはり個人的に疑問視しちゃったのは、R-09もR-09HRもそーなんですけど、なんでインプットレベル調整ボタンが本体左側面なの? というトコロ。ボタンで段階的にレベル調整するなら、本体前面にレベル調整ボタンが欲しいなぁ、と。本体側面にボリューム式のレベル調整ダイヤルがあるなら納得できるのだが。ついでに、電源ボタンも本体前面にして欲しかった。

 もうひとつ、R-09HRは、R-09より起動速度が遅くなったような気がする。あるいは、使用しているメモリカード等によって違いが出てくるのかもしれないが、拙宅使用状況では、R-09が起動まで5秒程度、R-09HRが起動まで10秒程度かかった。電源ボタンを長押しし始めた瞬間から、レベルメーター表示を含むスタンバイ状態になるまでの時間っス。

 まあオンオフを繰り返す機材でもないし、今の音を今すぐ録りたい!! という欲望を叶えるような方向の機材でもない。ので、別に起動時間の長短はあまり問題ではないが、サクッと起動してくれるとより嬉しいなァ、と。

 って、無いモノねだりばっかりしてる俺ですが、結局は慣れちゃったりしますな。R-09やR-09HRに限らず、このテの機材は、どの機種も独自の操作感を持っている。デジカメみたいに「電源ボタンはフツーこの辺で、メニューボタンはこの位置だろ」というスタンダードはナイようである。なので、結局、ユーザーが機材に慣れていくモンであると言えよう。また、さほど多機能ではないので、スグに慣れたりするモンだとも言える。


リモコンとスピーカー

 R-09HRについて、個人的にけっこー非常にかなり嬉しかったのが、リモコンの同梱とスピーカーの内蔵である。遠隔操作ができるようになり、ヘッドホン等を接続せずとも音声を聴けるようになった。


超小型・薄型のリモコンが同梱される。録音や再生時、基本的な操作をリモコンから行なえるのだ リモコン受光部は本体上部。こちらに本体内蔵マイクを向けた状態でないと、リモコンが利かないケースが多い。つまり、前方に本体内蔵マイクを向け、手前からリモコンを操作しても本体をコントロールできない場合が多いのだ 本体背面に小さなスピーカーが内蔵された。音質までは精査できないが、「録音デキてるかな」とか「どんな録音だっけ」てなコトをヘッドホン接続等をせずに行なえて快適

 本体内蔵マイクを使って録音する場合、かな~り頑張ってもボタン操作音が録音されてしまう。後で編集して切っちゃえばいいとは言え、小さなストレスではあった。が、リモコンを使えば、本体のボタンを押すノイズとはお別れ。気分良く録音できる。

 のだが、どちらかと言えば、自分録り用のリモコンですなコレ。てのは、受光部が本体上部にあり、本体下方からのリモコン操作をほとんど受け付けない。これから歌う、弾く、吹く、という時、自分の演奏を自分で録音するために便利なリモコンである。ま、ちょっと腕を伸ばして本体上部に向けてリモコン使えば、汎用的なリモコンとして使えますけどネ。

 あと、スピーカー。録音済の音を、録音直後に確認するなら、そのままヘッドホン使えば良いので問題ナシであった。が、後日、こないだの録音ナンだっけか? という時に、いちいちヘッドホンをつなぐのが面倒だった。で、スピーカーが内蔵されたことにより、この小さなストレスが解消された。

 てな感じで、リモコン同梱もスピーカー内蔵も、拙者にとってはかなり嬉しい機能UPとなった。


要チェックのリニアPCMレコーダー

 他、録音系機能として、手動での入力レベル調整とAGC(Auto Gain Control;自動レベル調整)の他、アナログのリミッターを使えるようになった。拙者は全然使わないが、予期できない大音量がありそーなシチュエーションでは、デジタル録音特有のクリップノイズを一応防げたりして便利だろう。再生速度可変機能も、演奏等の精査には役立つかも知れない。

 それから、音声処理ソフトとしてCakewalk Audio Creator LEが同梱される。音声ファイルのカット編集やフェード処理、ノーマライズ処理あたりまでデキて、音楽CDへの書き込みやリッピング、MP3やWMAへのエンコード(使用期限30日間)といった機能を利用できる。


アナログリミッターを利用できる。メニューで設定すれば、以降は本体のボタン操作のみでオンオフ可能。AGCとは排他利用だ 再生時の速度を50~150%の範囲で調節できる。本体前面のSPEEDボタンによる瞬時の再生速度変更や、速度調整も可能だ。再生速度を変更した時、もちろん音声の高さは変わらない バンドルされるCakewalk Audio Creator LE。様々な波形編集を行なえる。ファイルのタグ付け等にも対応している。音楽CDのリッピングやサウンドの音楽CD化にも対応している多機能ソフトだ

 あと、音ですけど、非常に大雑把な拙者的結論を言えば、もう録音環境次第ですな。てのは、R-09の時でもそうだったんスけど、ビシッと録れちゃうわけですよ。まだまだ細かく精査していないものの、さっきソコで聞こえていた音が、今ここでそのまま再現されるという“忠実さ”がある。高感度のコンデンサマイクゆえ、よーく聴けば「スー」といった小さなノイズもあるが、録音対象とレベル調整およびカットオフの設定でずいぶんクリアな音になる。で、鼻息から時計の音から衣擦れから声から楽器まで、全部録れる。

 ので、やはり、機材のせいにはデキないわけですよ。機材を使うユーザーあるいはその環境により、ほとんど全ての(耳に聞こえてくるような)音がガッツリ録れる。そのあたり、どのくらい録れちゃうモンなのかは、愛用のヘッドホン持って店頭等のデモ機をぜひ使ってみて欲しいところだ。

 てなわけで、R-09HR、一通り見てきたが、拙者的な視点からは、どちらかと言うと音楽演奏録音用のリニアPCMレコーダーという印象だ。音質的にも、ここまで精密・鮮明に録れる、というか録る必要があるのって、やっぱ気合い入れた音楽演奏なんだろうなぁ、と。

 また、前述のリモコン受光部とか、簡易的に使えるリバーブ等のエフェクト、あるいはジックリ細かくレベル調整を行なうのにマッチする操作性等を考えると、生録ってよりも演奏録りに便利な機材だ。

 とは言え、実勢価格4万円前後で買えるリニアPCMレコーダーとしては、音質も操作性も非常に高いレベルだと思うので、録ろうと思えば何でもOKって感じですな。総じての操作性も良好で、R-09ユーザーなら開梱して即、他機材を使っていた人でも非常に平易に扱えると思われるR-09HR。なので、何かリニアPCMレコーダーをと考えているなら、まずコレをチェックするのが良いのでは、とか思う。



URL
  リニアPCMレコーダー「R-09HR」製品情報(ローランド)
  http://www.roland.co.jp/products/jp/R-09HR/index.html

2008/04/07 11:36

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