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愉快なテレビ電話、音質もOK!…だけど。「FOMA P2101V」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


FOMAに大期待の俺

昨年10月より正式サービスインしたFOMA。サービス開始と同時に発表された有機ELディスプレイ採用のスタンダードタイプ「N2001」(左)、テレビ電話機能対応のビジュアルタイプ「P2101V」(中央)、データ通信専用カードタイプ「P2401」(右)の3機種
 高音質であり広域であってかつ高速。携帯電話はぜひそーあって欲しいんだよアニキ頼むよ電話会社って感じの要素をテンコ盛りにした第3世代移動通信規格ことIMT-2000が、日本においてはNTTドコモのFOMAっつーサービスとしてまず登場した。そしてもちろん!! 新しもの好きだし電話も好きな俺は、このFOMAに速攻で手を出したのであった!!

 FOMAにはいろーんな魅力がある。まず前述のように高音質・広域・高速ってことだ。W-CDMA方式を使っているので、後述するように確かに実にイイ音で通話できるし、従来の携帯電話やPHSでは考えられないほど高速でデータ通信ができる。広域ってことではまだちょいと未来の話になりそうだが、IMT-2000準拠のサービスなので、ゆくゆくは日本全域そして世界各国で場所を問わず使えるように……ホントになるのだろうかとかいう疑問は少々あるものの、なるんだそうな。ともあれ、現代の携帯電話に求められまくりの3要素を揃えますヨというFOMAは、モバイル野郎もビジネスマンもママもパパもアタシもボクも、多くのユーザーが期待するサービスと言えよう。

 細かい点では、FOMAカードと呼ばれるICカード(UIM)が採用されたゆえの利便もある。これまでの日本のケータイだと、回線電話番号などのユーザーデータが端末内部のメモリに書き込まれていた。端末自体に電話番号が入ってる感覚。なので、機種変更をしようとすると、端末内のデータの書き換えが必要になり、各キャリアの窓口にある秘密で極秘で部外秘で禁帯出のデータ書き換え装置を使うことになった。

 しかしFOMAカードの登場で状況は一変。機種変更したい場合は、使用中の端末からFOMAカードを抜き、使いたい端末に挿せば、それだけで即使える。また、通話用に二つ折り端末でデータ通信用にPCカード型端末、みたいな使い分けをしても契約する回線は1回線だけで済む。電話マニアにとってもモバイラーにとってもジョリーグッドなギミックである。

 音がイイ!! 通信速度が速い!! そのうち世界中で使えるかもしれないような気がしなくもない!! 機種変更が簡単!! 複数の端末持ってもお金かかんない!! てなわけで、ヒジョーに期待してFOMAの端末を使い始めた拙者でござった。


テレビ電話は愉快!! ……だけど

テレビ電話機能搭載で、相手の顔をみながらおもしろおかしく対話可能。テレビ電話通話時には、64kbpsの回線交換を使用、通話時間に応じた課金となる
 どーせFOMA端末使うなら、例のあのテレビ電話ができる端末を買っていきたい!! ってことで速攻でP2101Vを購入。これまで使っていたドコモの端末から難なく機種変更でき、さっそく使い始めて約3カ月。俺のFOMAに対する期待は、まあ確かに十分に期待通りではあったが、んー、手放しで喜べるかと言えばちょっとそーでもないかも~という現在である。

 まずP2101Vのテレビ電話機能。P2101V同士で相手の顔などのリアルタイム動画を見つつ通話ができるというものだ。使い方は非常に簡単で、相手の電話番号をプッシュし、テレビ電話をするための発信ボタンを押す。すると、相手の顔などが画面上に現れ、やぁこんにちは!! 拙者の顔見えてるぅ!? アナタの顔は見えてますヨ動いてますヨ、てな感じでおもしろおかしく通話できる。

 テレビ電話ができる端末と言えば、PHSでも存在したが、アレはけっこー地味だった。動画は出るものの、動画と言うにはかなりカクカクとしていた。秒1コマ程度って感じのパラパラ静止画と言った方がマッチするようなフィーリング。こちらの声が相手に伝わるまでのタイムラグもけっこーあって、コレは昔の国際電話かなんかなのかーっというほどの残念感があった。まあおもしろいにはおもしろかったのだが……。

 FOMA端末でのテレビ電話はどーかと言えば、動画もまずまずスムーズで、音声の遅延もさほど気にならない程度。相手がどんな表情なのか、どんなトコロにいるのかなど向こうの状況がよくわかるという十分な実用レベルだと感じた。音声に関しては微妙な遅延があり、時たま相手の発言と自分の発言がカブった直後に両者とも牽制し合って一瞬の双方無言状態が発生することがある。が、少し使えばその遅延にも慣れ、会話のギコチなさもなくなる。P2101Vのテレビ電話機能はちゃんと使える実用的な機能だと言えよう。

 しかしこのFOMAのテレビ電話機能、現在はまだ、使用する端末を大いに選ぶ。具体的にはP2101V同士か、P2101Vと新たに発売されたデュアルモードテレビ電話機のMoppet間か、Moppet同士でしか行なえない。現在、P2101Vを持っている人が少ないうえ、さらにその人が知人である可能性も低い。さらに9万8000円もするMoppetを持ってる知人なんざぁもっと少ない。なので、実用的ではあるものの、結局通話する相手がいないという残念な状況になりまくりなのであった。


 ちなみに、P2101Vのテレビ電話機能は、FOMAの魅力のひとつであるパケット通信は使わず、通信速度64kbpsの回線交換方式を使っている。てなわけで、P2101Vと同じテレビ電話(の通信方式)を持つMoppet(ISDN回線につなげる電話機だヨ!!)とテレビ電話ができたりするのであり、今後発売されるかもしれない端末にP2101Vと同じ方式のテレビ電話機能があれば、その端末ともテレビ電話を楽しめる。

 でもまあ、まだまだ端末が普及していないので、ショーミの話、現在のところは「テレビ電話なんだけど相手がいない」という状況がヒジョーに多そうだ。遠距離恋愛のカップルさんが同時にP2101Vを買うとか、孫の顔を見まくって声も聞きまくりたいおじいちゃんおばあちゃんがP2101V買って孫にも買い与えるとか、そーゆーケースならば実にナイスだと思えるが。


音質には十分満足!! ……だけど

 FOMAはその売り文句どおり、音声通話品質も非常に高かった。結論から言えば、このよーに音質の良い携帯電話ならばぜひ使いまくっていきたい!! と感じた。

 FOMAの音声通話品質は“固定回線並み”と謳われているが、これにはおおむね同意できる。実際にFOMA端末どうしや、FOMA・固定回線どうしで使うと、相手の声がシャキーンとクリアに伝わってくる。リップノイズもちゃんと聞こえるし、吐息も聞こえたりする。相手がいる場所の周辺の音もけっこーしっかり聞き取れる。携帯電話の音質としてはとりわけ文句はない。個人的な感覚では、cdmaOne端末よりも自然だし、クリアな印象を受けた。

 ただ、固定回線並みとは言え、固定回線と同じかと言えばそうでもない。例えばISDN回線にディジタルでんわS-2000など音質的にヒジョーに高品位な電話機を接続して通話した時と比べたら、固定回線並みと言えどもやはり微妙に違和感のある音質だ。PHSどうしで通話したときと比べても、若干のメリハリ不足や不自然さがある。

 しかしまあ、これまでの携帯電話(cdmaOne端末以外)と比べると、一昔前は音がヒジョーにイイと思われたフルレートのPDC端末よりも確実にイイ音で通話できる。ハーフレートのPDCや、フルレートとハーフレートを切り替えたりするPDCと比べても、明らかにFOMAの方がずーっと音がイイ。このくらいの音声通話品質があれば、これまでの携帯電話(cdmaOne端末以外)にありがちな「はい!? 何ですか? もう一度言ってくれませんか!?」とかいう失礼やイライラを感じないなぁと思う。


 だがしかし、FOMAはまだまだ利用可能エリアが狭いのであった。携帯電話としては大したモン旧の音声通話品質を持つものの、現在ではまだ東京と大阪と名古屋でしか使えない。また、これらのエリアの中ならどこでも快適に通話できるのかと言えば、実際はそーでもないよーな印象だ。

 俺の場合、ギリギリでFOMA利用可能エリア内でありラッキー!! とか思うと同時に、俺んち周辺ではいつもしっかり快適に使えている。のだが、ビシバシ使いまくれる都内に出向くと、けっこー意外なところで圏外表示になってしまうことがある。俺の場合(家の周辺でも都内の通話可能圏内にいても)、いつもちゃんと通話できているが、知人FOMAユーザーからは「ブチッと切れることがたまにある」とか「通話が途切れることが多い」とか「切れまくりでアタマ来た!!」とかいう声がけっこー聞かれる。まあ現在FOMA用アンテナ立てまくり中ってことで、PDCやcdmaOne端末と比べたら安定して通話できない状況があるってことだろう。

 それ以上に、携帯電話として、日本全国レベルでの通話可能圏が少ないのが残念だ。前述のようにFOMAはヒジョーに音声通話品質が高いので、FOMAをメインの携帯電話として使いまくりたいと思う俺。なのだが、ちょいと都心を離れるっていうか国道16号線の外に出るとか、首都圏を離れて地方に出かけたりすると、確実に通話できなくなっちゃうのであった。……音がいいのになぁ……あっそうかDDIポケットのPHS持って出かけりゃいいのかぁ……とか思ったりもすると同時に、結局いつも使っているcdmaOne端末はすげー実用的だなぁとか感じる拙者であった。


データ通信もすげー高速!! ……だけど

データ通信専用のFOMA端末「P2401」。平均200kbps程度のスループットで、モバイル環境としては快適な通信が可能。しかしパソコンとつなげてバンバン通信してると課金がシャレにならないことに
 ユーザーが少ないこととか利用可能エリアが狭いことなどは、まあ近未来解消されるであろー解消されなかったら解約しちゃうしと思うことにして、FOMAの強力な魅力のひとつである高速データ通信を試すことにする。

 FOMAは下り最大384kbpsのパケット通信ができる。384kbpsと言えば比較的に残念な環境のADSLユーザーよりも速いかも!! 携帯電話の中では最高最強のスループット!! なのである。しかも、パケット通信料金は高くつくからなぁと渋るユーザーを思ってか、通信時間に対して課金する64kbps(回線交換方式)のデータ通信もできる。モバイルスタイルによって通信方式を選べるという、なかなかナイスな通信性能を持っているのダ。が、P2401はパソコン等と接続してのデータ通信ができない(他の端末ならできやがるヨ!!)。なので、P2401ユーザーがデータ通信を行う場合は、データ通信専用のPCカード型FOMA端末のP2401をゲットする必要がある。

 てなわけで早速P2401を購入し、P2401からFOMAカードを抜き、P2401にスコッと挿してパケットでのデータ通信を開始。そして何カ所かで試してみたが、384kbpsの下りスループットは出なかった。俺の場合、平均して200kbps程度のスループット。やや期待はずれではあったものの、いや携帯電話でここまでの速度が出れば万々歳と言えよう。cdmaOneで64kbps止まりだったわけだし、そこからいきなり200kbpsとなると、ISDNからADSLに乗り換えたくらいの体感速度の差がある。

 しかし、パケット通信料金が高いのであった。FOMAのパケット通信料金に関するページなんかを調べるとすぐわかるが、パケットパックなどの割引プランを何も使わないと、1パケット(128バイト)につき0.2円の通信料金がかかる。FOMAのパケット通信において最強に有利なプランであるパケットパック80を使うと1パケットが0.02円。また、FOMAのデータ通信だけを使う場合はFOMAデータプラン22というのがあり、このプランには2002年3月31日まで毎月1000円分の無料通信料金が含まれている。ってピンとこない気がするので、具体例を。

 以下がパケット通信向きの料金プランを一切使わなかった時と、最も有利なパケット通信向き料金プランのパケットパック80を使った時のパケット料金の早見表だ。これ以外にも料金プランによってパケット通信料金が割引されるケースが多いが、基本的にはこーゆー感じの料金になる。

送受信データ量割引ナシの料金パケットパック80使用時の料金
128バイト0.2円0.02円
1280バイト
(1.25KB)
2円0.2円
12800バイト
(12.5KB)
20円2円
64000バイト
(62.5KB)
100円10円
128000バイト
(125KB)
200円20円
256000バイト
(250KB)
400円40円
320000バイト
(312.5KB)
500円50円
640000バイト
(625KB)
1000円100円
1024000バイト
(1000KB)
1600円160円
1048576バイト
(1024KB/1MB)
1638.4円163.84円
1280000バイト
(1250KB)
2000円200円
1パケット=128バイト(全角64文字分)


 画像がけっこー多いWebページを表示するのに、まあ大雑把に見積もって100KB程度のデータ受信が必要だとしよう。すると、最強に有利なパケットパック80を使っても、1ページについて16円のパケット料金を払うことになる。何もナシのスのプランだと160円。1ページ見るのに160円!! 高っ!! そして俺は何もナシのプランでさんざんFOMAのパケット通信実験をヤッちまう間抜け野郎ゆえ、スループット計測サイトを十数回使った程度でホレ、もうパケット代が2万円くらいになっちゃってるわけなんですよダンナ!! そして奥さん!! 原稿料をそのままドコモに持ってかれたっていうか支払ってっていうかなんかえーとあうあうあう。

 ともあれ、案の定ここにも通信速度と通信料金のジレンマが生じているのであった。384kbpsとまでは行かないが、携帯電話にしてはヒッジョーに速いスループット。これを活かす使い方は、やはり大きなデータを短時間でやり取りするというスタイルだ。が、そのよーなコトをすると、とても短時間にとてもとてもとても高い課金がなされることになる。よっしゃぁモバイルで高速データ通信だゼとか言ってデカい画像をバンバン送受信したりして、例えば10MBくらいやり取りしたら、それだけで1638.4~16384円も払うハメになる。

 じゃあデカいファイルの送受信は回線交換の64kbpsのデータ通信モードを使おう!! これなら通信時間に課金されるから怖くないゾ!! というのも現実味がない。10MBのファイルを最大64kbpsのスループットの回線でやり取りしたら、どの程度時間がかかるのか、と。

 結局、モバイルで大量のデータをやり取りすることなんて……ああアレがあったよAirH"!! アレなら……てなハコビでFOMAでのデータ通信はモバイラーにとってあんまり魅力的ではなくなっちまうのであった。……しかも途中で通話(通信)が途切れちゃったりしたら……まだエリアカバー率発展途上のFOMAだけにありそーなことだし、とか思うと、よりいっそう日本のPHSキャリアっていうかDDIポケットは偉いなぁとか思えてくる今日この頃の俺。

 まあ、これは極論と言えば極論。ハードにモバイルするユーザーはハナからPDCとかcdmaOneとかFOMAなんか選ばないのだ。逆に、たまーにモバイルするだけって人なら、FOMAやcdmaOneは便利なケータイになる。要はユーザーの目的次第であって使い方次第なのである……が、パケット課金ってやっぱり高くつくなぁと思えるのであった。

 てなわけで、既に導入しちゃったFOMA端末だが、ビシバシゴリゴリ使うのはもう少々先になる気がしている俺。まず利用可能圏の拡大を望みたい。それからせっかくのFOMAカードなんだから端末の種類が増えることと、端末の価格が下がることを望みたい。さらにパケット通信料金の料金引き下げも望んでいきたい。これらの望みが叶ったら、きっとFOMAサービスのヘビーユーザーになるであろう拙者なのだ。


・ FOMAホームページ(NTTドコモ)
  http://foma.nttdocomo.co.jp/
・ FOMAともつながるテレビ電話機「Moppet」(NTT東日本)
  http://www.ntt-east.co.jp/ced/products/tvphone/moppet/moppet.html

第4回:パケット通信とは

・ スタパ齋藤常時出演中!! 「スタパトロニクスTV」(impress TV)
  http://impress.tv/it/article/stv.htm

2002/01/15 16:28

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