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ポータブルな録音機材にマッチする小型マイク
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


音とマイクと俺

 用途があろうとなかろうと、なぜか昔から気になり、ちょっと気分がノれば思わず買ってしまうものと言えば、俺の場合はマイクロホンである。高級な音楽用マイクロホンにはちょいと手が出ないが、ブリスターパックで売られているビジネス用マイクなんてのを眺めていると、いつの間にかパッケージを手にしてレジに向かっている拙者なのだ。

 たぶん、これは、音と俺の間にある、ある種のトラウマっていうかジレンマっていうか擦り込みっていうか、つまりは音に関する経験と興味から来ちゃってる俺の習性なのだと思う。

 思い返せば30年以上昔、カセットテープレコーダー(当然モノラル)を手に入れた俺は、「音がテープに録れる!!」というただ1点のコーフンから、何でもかんでも録音しまくった。人の話し声からラジオやテレビの音、レコードの音楽、何しろとにかく録音した録音少年だった。もちろん、後でラジオ番組を聴き直して楽しむとか、レコードの音をカセットで楽しむってのもあった。が、どちらかと言えば、音をテープに録音するという行為そのものに、おもしろみを感じていたと思う。

 今では録音と言えば当然のようにデジタル録音だったりして、しかもステレオ録音だったりして、さらにはテキトーなビジネス用のマイクを使ってMDに録音したりしてもかなり高品位な音で録れる。また、そういった音をコンピュータにデジタル転送し、コンピュータ上でデジタル編集し、ほとんど劣化ナシのサウンド処理ができる。

 ところが、昔は、全然違うのであった。30年以上前、俺がガキんちょの頃は、カセットテープってのは比較的に高級品で、ラジオとカセットデッキの複合機すなわちラジカセあたりはブルジョアな装置なのであった。それでも運良くラジカセを使える環境にいた少年たちは、レコードを再生中のスピーカーの前にラジカセを置き、押し黙ってレコードの音楽を“生録音”していたのであった。マジかよおい!! ローテク過ぎだゼ!! でもそういう時代だったのだ。

 まあ、その後、間もなくして、テープデッキが普及したりして、レコードを“生録音”するヤツが激減したが、“レコードをカセットに録音して聴く”というスタイルは、1980年代半ばくらいまでは健在だったんじゃなかろうか。

 ちなみに、そのまま聴けばいいハズのレコードを、わざわざカセットに録音するのは、ポータビリティを高めるため……ってわけでもなくて、レコードが磨り減るのを防ぐためだったりした。レコードというのは、塩化ビニールでできた読み出し専用のサウンドメディアだ。表面の溝をレコード針というダイヤモンド(やサファイア)のチップでトレースし、その振動を増幅することで、音楽などを再生した。って書くとホントーに古そーなメディアですな。ともかく、レコードは再生すればするほど、レコード針との摩擦やホコリなどで音質が劣化するのであり、これを防ぐために(多少の音質の悪さを我慢して)テープに録音してから聴くのだ。


 ともあれ、一昔前は、音っつーのは、現在よりもずーっとずーっとずーっと価値があって大切で有り難い存在だったのだ。この有り難い存在は、CDをはじめとするデジタルサウンドメディアの登場と普及で、一気に全然有り難くも何ともねー存在へと落ちぶれまくることになる。が、しかし、“音=有り難い”ってな時代に音を気にしまくっていた俺は、現在においてもなお、音に対して特殊な感情を抱いているのである。

 恐らく、そーゆーわけで、俺はどうにもマイクに惹かれてしまうのだと思う。マイクがあれば、録音機材の性能をビシッと発揮させられる!! マイクを換えれば、録音機材の用途を変えられる!! マイクがなければ録音できないし録音機材もタダの箱!! ヤバい!! それじゃマズいよ!! マイク買わなきゃ!! マイクだろ!! マイクしかない!! みたいな、こんがらがった熱が、いつも俺の内部にあるのだ。


マイクで強まる録音機材

 最近はもっぱら録再型ポータブルMDを使って音に対する情熱を消火(昇華!?)している俺である。以前はDATなんかも使ったが、最近はサウンドが高品位であることには、そーんなに興味はなくなっている。高品位サウンドを求め続けると、機材からマイクから心意気まで、お金と気力と努力が必要になってすげー疲れるからだ。まあ、MDを常用ってあたり(ATRAC圧縮を許している)からお察しいただけますな。

 録再型ポータブルMDの、録音機材としてのおもしろみは、ATRAC圧縮でも十分イイ音と感じられるならば、その汎用性にある。小型軽量バッテリー持続時間超長ぇしディスクメディアなのでアクセス速攻で物理的なハンドリングも楽勝ってことで、ヒジョーに多くの録音用途を満たす。そして、繰り返すが、ATRAC圧縮でも十分イイ音と感じられるならば、録再型ポータブルMDに接続可能なマイクってのが、これまた実に楽しく興味深いアクセサリになる。

 当然と言えば当然だし、これは録再型ポータブルMDに限ったことではないが、目的に応じてマイクを換えれば、好ましい録音結果が得られるし、よりスムーズかつ安楽に録音を行えるようになる。録音機材をより幅広く使い分けられるようになるわけで、録音機材の真価を発揮させられる。

 ひとつのマイクで録音機材を使うのは、せっかくパソコン持ってるのにメールしか使わないような勿体ない感がある。同じマシンをとことん使い倒すためのソフトウェア、みたいな感覚でマイクを捉えると、マイクが多いほどその録音機材の価値が高まるのであって、あれれ、なんかマイク野郎の自分を肯定しようと屁理屈こねてる感じになってきたので、ここらへんで本題に。

 そんな視点で、今回はポータブルな録音機材にマッチする、小型のマイクロホンをいくつか紹介してみたい。着眼点としては、汎用性やガジェット的おもしろみ重視で、どちらかと言えば音質は二の次としてみた。マイクロホンは、性能の高いモノを狙えば天井知らずで一気に破産ってこともある。が、実際のところ、前述のように“ATRAC圧縮でも十分イイ音と感じられる”ってのを前提とすれば、ビジネス用マイクでも十分な音質が得られるので、手を出しやすい安価なマイクを中心にしている。


なぜか欲しまるダイレクト接続型

ソニーのECM-DM5P。本体サイズ約10×45mm、重量約15g。小指の先ほどのサイズだが、金属削り出しの高級感があり、マイクの先端の角度を変えられるギミックを持つ。モノラル録音専用のプラグインパワーマイクだ
 てなわけで、まず、ガジェットとして思わず欲しくなってしまうよーな、ダイレクト接続型のマイク。って思わず欲しくなってるのは拙者だけですか?

 ダイレクト接続型のマイクは、基本的には、プラグインパワー方式のマイク端子(端子からマイクに電源を供給するのダ)につないで使う電源不要のマイクだ。プラグインパワー方式対応のマイク端子を持つ、録再型ポータブルMDやビデオカメラ、ICレコーダー、カセットテレコなどなら、そのマイク端子にスコッと挿すだけで使える。

 で、ダイレクト接続型のマイクとして最近ちょいとイケてるのが、ソニーのECM-DM5P。発売直後なのでまだソニードライブには製品紹介ページがないが、さておき、ECM-DM5Pはプラグインパワー方式のマイクとしては最小・最軽量の部類でありながら、ハードウェアとしてもカッコイイというシロモノ。ECM-DM5Pは、ICD-MS500などのICレコーダー用として発売された超小型マイクで、モノラル録音専用のもの。なのだが、そのコンパクトさを見ると、ぜひ他の録音機材でも使っていきたい!! てな良さを感じてしまう。

 俺などは初めて見た時からその魅力に圧倒され(って大げさですけど)、思わず購入。その使用感はヒジョーに良く、何しろ最強に小さいってのが有り難い。例えばMDウォークマンのMZ-R909とともに持ち歩き、あっ録音したいかもと思った瞬間ECM-DM5Pを取り出して接続。声の録音からある程度の環境音録音までの機材をすげーコンパクトにまとめられる。また、超小型ながら、マイク先端が首振りしたり、付属品としてウィンドスクリーン(マイク先端に被せる風防ですな)があったりと、マイク好きをその気にさせるモノ的良さも持ち合わせる。


ECM-DM5Pは、左のように録音機材(のプラグインパワーマイク端子)に装着し、右のようにマイク先端部の角度を変えられる。録再型ポータブルMDで取材なんかをする人にはよさげなマイクであり、質感的にもやはりヒジョーに欲しくなるマイクだと言えよう ECM-DM5Pに付属するウィンドスクリーン。このほか、ウィンドスクリーンとマイク本体を収納できる専用ソフトケースも付属している

 ただ、前述のように、ECM-DM5Pはモノラルのマイクだっつーのが残念。モノラルでも音質は十分にイイと思えるのだが、しかし、モノラル録音ってのは臨場感にやや欠ける。せっかく撮るんならステレオ録音がしたいじゃないか!! ステレオ録音にしとけば後でモノラル化もできるんだし!! ということで、ステレオ録音用の超小型ダイレクト接続型マイクが欲しいゼと思う俺を予見した過去の俺は、既にソニーのECM-DS70Pを購入済みなのであった。

 ECM-DS70Pは、けっこー以前から売られているマイクで、ECM-DM5Pほどコンパクトではないものの、携帯にすげー便利なコンパクトさでありながら高音質のステレオ録音が可能というプラグインパワー方式マイクだ。小型軽量ステレオ対応で、マイク部分は90度程度まで曲げられるので、実用性も高い。

 録音機材にカチャッと装着して即録音を始められるので便利であると同時に何となくスパイグッズっぽくてカッコ良い(とか思うとヤケに欲しくなりませんか!?)ダイレクト接続型マイクだが、いかんともしがたい弱点がある。録音機材とマイクの位置が同じになるってことだ。すなわち、音を拾いたい位置に、録音機材を置かなければいけない。マイクだけ口元に、とか、録音機材だけバッグの中に、てなことができない。

 また、ダイレクト接続型のマイクは、録音機材が出す動作音等のノイズをかな~り拾ってしまう。例えばカセットテレコなら、テープが出しがちな「キュルル~キュル~」みたいな音までもしっかり拾っちゃうし、録再型ポータブルMDなら「キュキューン」とかいうディスクの回転音が録音されてしまう。まあ、音質じゃなくて録音されている内容(会話内容など)が大切ってんなら、大して気になるノイズじゃないと言えよう。でも、イイ音で録りたい派にとって、ダイレクト接続型マイクはやっぱり却下って感じの方式だったりする。


ECM-DS70Pのサイズは58×16×57mmで約10g。ステレオ録音対応なのに、モノラルのECM-DM5Pよりも軽いってあたりがちょいと魅力的 録音機材(のプラグインパワーマイク端子)にはこんなふうに装着する。マイク部分は90度程度折り曲がるので、好みの方向に向けての録音が可能だ

無難に使い回せるビジネスマイク

左から、ソニーのECM-717、オーディオテクニカのAT9745、アイワのCM-TS22。個人的にはECM-717が最も汎用性が高いと思う
 とりあえずイロイロ使えるテキトーなマイクがひとつ欲しい、ってんなら、無難な使い回しが利くビジネス用のマイクが浮上する。ビジネス用マイクっつーと、前述のソニーのマイクなんかもビジネス用と言えばビジネス用なのだが、ここでは会議や取材の録音に重宝するマイクを指すってことでひとつ。

 例えば、オーディオテクニカのステレオバウンダリーマイクロホン AT9745。このマイクはかな~り以前に買ったのだが、取材や打ち合わせの録音(って最近あんまりしてませんが)にはヒジョーに良い。オーディオテクニカの製品紹介ページにも書いてあるとおり、マイクの収音機構としてバウンダリー方式を採用している。マイクを机上に置いて録音すると、机上で音が反射したりすることから、音が歪むなどしてクリアな録音ができにくくなるそうだ。で、こういった問題を解決するのが、バウンダリー方式なのだそうだ。ともあれ、AT9745、机上に置いて使うのなら非常に聞き取りやすい音が録音できて快適。だが、後に紹介する2製品と比較すると、その機構上クリップがないこと=机上設置専用のマイクになってしまうので、やや汎用性が低いかもしれない。

 机上に置いてもネクタイや胸ポケットにクリップオンしても使えるビジネスマイクとして、けっこーいい味出してるのがアイワのCM-TS22だ。ステレオマイクで、マイク背面にクリップが付いている。マイクに対してクリップを直角に曲げると、ちょうど机上で安定するスタイルになる。クリップにはスリットが切ってあって、これで服などを挟めばクリップオンマイクになるってわけだ。価格的にも超リーズナブルなので、とりあえずって向きにはすげー買いやすいマイクだと言えよう。しかし、モノとしてなーんとなく安っぽいのが残念と言えば残念。


ソニーのECM-717。ケーブルとマイクのヒンジ部が90度程度曲がり、写真左のように机上に立てられる。写真右のマイク底部に、3つの小さなゴム足が付いている点も見逃せない
 で、汎用性アリでモノとしてもイイ感じなのが、ソニーのECM-717。机上に置いても服などに装着しても使えるステレオマイクだ。机上に置くときは、その設置スタイルがふたつあって、クリップを台座にして(台座になるよーには思えない細さだが絶妙なバランスでマイクが仰向けに立つのダ!!)置く方法と、ケーブル接続部を90度程度折り曲げてその角度を利用してマイクを垂直に立てる方法が選べる。特に後者の方法の場合、机上と接触する部分に小さなゴム足がつくカタチになるので、机上の振動を拾いにくい=ノイズの少ないクリアな音で録音できる。なお、クリップ部で衣類などを挟めばクリップオンスタイルになる。独断と偏見でビジネス用マイクを見るとしたら、ソニーのECM-717がいちばん良いデキだと感じる。作りがイイし、実際に使いやすいのだ。

 なお、上記の3つのビジネス用マイクは、どれもプラグインパワー方式と電池式の両方に対応した2ウェイ電源方式になる。プラグインパワー対応の録音機材につなぐなら電池不要で、フツーのマイク端子しかない録音機材につなぐ時は電池を入れて使う。多くの録音機材に対応するってことで、汎用的なマイクを買うなら2ウェイ電源方式のマイクが無難だと言えよう。


 それから、最近発売されたビジネス用マイクをひとつ。ソニーのECM-S80という製品で、サイズはクレジットカードサイズ。で、イカシてるのが、コードが本体に巻き取れるって点。ええっコード巻き取り式かよ!! と思って速攻で勝ってしまった。

 実際、コードがスッキリと巻き取れるのはすげー快適だ。マイクを持ち歩くとなると(ダイレクト接続型以外は)たいてーケーブルにイラつくことになる。「あーもーグニョグニョ絡んだケーブルが邪魔!!」みたいに。しかし使う段になると「ケーブルが長くて良かった~」とか思ったりして。このジレンマをビシッと解決したのがECM-S80なのである。

 スッキリと持ち歩け、薄くてかさばらないので、いろんな場所で会議や打ち合わせや取材の録音しまくりって人には便利だ。ちなみにECM-S80も、オーディオテクニカのAT9745と同じバウンダリー方式。電源はプラグインパワー方式と電池式の2ウェイとなっている。


ソニーのECM-S80。サイズは54×11×86mm、重量は約38.5g。外見的にはデカめのビジネス用マイクだが、携帯感(と言うよりもむしろカサバラない度)は前述のECM-DM5PやECM-DS70Pに肉薄 本体から出てくるコードの長さは70cm。本体中央のリング状のノブを回すことで、コードを本体内に巻き取れる。コードが巻き取れてスッキリと便利ってのが魅力だが、加えて、コードがいつもすっきりとまっすぐ(ネジレやヨレが出ない)ってのもナイス

かなりイイ音で録れるマイク

何となく便利そうってことで買ったネクタイピン型マイクだが、音もイマイチで汎用性ナシで、ん~拙者の使い方にはまるで不向きのスピーチ録音専用マイクなのであった
 この他、モノとしてはネクタイピン型のマイクなんてのもある。ICレコーダーや録再型ポータブルMDなど、携帯用録音機材を胸ポケットに入れたりなんかして、思ったことをじゃかすか録音するとか、あるいはスピーチを録音するにはヒジョーに便利そうだ。

 拙者も「わぁなんか便利そうだしちっこくてカッチョエー!!」と思ってこれまでいくつか買ったが、ネクタイピン型マイクは用途が限定され過ぎていて、どれもイマイチなのであった。だいたいネクタイに装着するからネクタイピン型なのであって、俺なんざぁ冠婚葬祭んときしかネクタイ付けないじゃんダメじゃん>俺、という使用形態のミスマッチであった。それと同時に、ネクタイピン型のマイクって、実は使うのがかなり難しいと思われる。

 このテのマイクは、ネクタイとか襟元とかにクリップオンで装着して使う。つまり体に付けるわけだ。口に近い場所に装着するのでクリアに録音できそうだが、装着方法によってはノイズをやたら拾ってしまう。単純に装着しただけだと、マイクから延びるケーブルと衣類が擦れて、その音がヤケに多量に録音されてしまったりする。これを防止するため、クリップ部にいったんケーブルを通したり、ケーブルが(体を)這う位置をうまく調整するなど、けっこー面倒くさいマイクセッティングを行なう必要があるのだ。


左がソニーの(ビデオカメラ向け)マイクことECM-MS908C。右がコストパフォーマンス高しのアイワCM-DS5。音質重視系マイクには当然ウィンドスクリーンが付属しているのダ
 てなわけで、拙者にとってはネクタイピン型のマイクってのは出番が少ない上に使い方も面倒ってことで、全然好めないタイプなのであった。逆に、やっぱり結局好んじゃう~ってマイクはと言えば、フツーのカタチのマイクだ。コンパクトでもなくギミック満載でも風変わりでもない、ごくごく普通っぽいマイク。

 例えばソニーのECM-MS908C。ビデオカメラ用で、やや小型のマイクだが、前述した超小型系マイクよりは大きい。大きいだけに収音部をはじめとする性能に余裕があったりするので、ちっこいマイクよりもやはり高品位なサウンドが録れる。まあ、ECM-MS908Cは、手持ちで使ってもいいのだが、ホントはインテリジェントアクセサリーシュー非搭載のハンディカムに装着するためのマイクって位置づけなので、実際に録再型ポータブルMDなどと組み合わせて使うとケーブルが短いなどの不便も少々ある。


 現在俺が使用している中で、サイズも価格も機能も適度で、音質も十二分にイイと感じられるのは、アイワのCM-DS5というマイクだ。前述の一連のマイクに比べれば大きいものの、ポケットサイズで、机上に置いても持っても使える。周波数特性も実用上十分で、つまり手軽に買えるマイクにおいてはかな~りイイ音で録音できるのだ。また、スイッチによってマイクの指向性を2段階(前方120度と90度)に変えられるので、周囲の音を広く録音することも、周囲の音は拾わずに前方の音だけ録音することもできる。ある程度小型であって、汎用性があって、イイ音で録音したくて、しかもなるべく安く、みたいな欲張り派は思わず買っちゃう上出来マイクだと言えよう。


アイワのCM-DS5は、音質重視系マイクとしては非常にコンパクト。サイズは22×24.5×95mmで重量54g。手のひらに収まるサイズでありかつ軽量。写真のように台座を開けば机上に設置できる。台座の底には机面の振動を(ノイズとして)拾わないゴム足が付いている CM-DS5の台座を閉じた状態で伸ばせば、手持ちのマイクとして使える。マイク部分に直接触れない構造なので、手が出しがちなノイズも拾いにくい。なかなかよく考えられたマイクである

 てなわけで、手持ちのマイクをいろいろ紹介してみたが、持ってる録音機材を幅広く愉快に使うべく、超小型系マイクをひとつ、それから音質をやや重視したマイクをひとつ、持っておくとより愉快な録音ライフを送れるであろう。って、ここまで書いて、今さら「録音ライフとか言ってる人ってすげー少ないかも!!」とかいう重要な点に気づいたマイク野郎の俺であった。


2002/04/08 11:06

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