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最もナチュラルな4チャンネルを実現!? 「ちょんまげ天国」
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謎の2枚組CD。2枚のCDを2台のプレーヤーで同時にかけるとは、恐れ入谷の鬼子母神……
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昔はオーディオマニアの端の端にいた本当の端くれだった筆者も、いろいろな4チャンネルやサラウンド・オーディオに多くの無駄金を使ってきた。そのためか、サラウンド・アレルギー体質である筆者が、オフィスからの帰り道にいつも立ち寄る秋葉原、石丸電気のDVD&CDソフト売り場で偶然、凄すぎるモノを見つけてしまった。「ちょっと奇をてらったタイトルの2枚組CDか……」というのが最初の印象だった。しかしCD裏の解説を少し読み進むことで、筆者の理解が間違っていたことがすぐにわかった。
「ちょんまげ天国 in DEEP」と名付けられた2枚組CDは、杉良太郎の「大江戸捜査網」で始まり、新・半七捕物帖や鬼平犯科帳、座頭市物語など、時代劇の代表曲が収録されたメインのCDが1枚、それとは全く別に、もう1枚のCDには、江戸時代の明け六つ時やその他の時刻の町の雰囲気を出すために、鶏やカエルの鳴き声、街のざわめき、そして江戸名物の物売りの声など、効果音だけが数トラックにわたって収録されている。
従来の4チャンネル以上のシステムなら、これらを1枚のCDに電気的に処理・収録し、それを今度はテクノロジーを詰め込んで開発した高価な再生装置で分解・再生・拡声を行なうのが近代オーディオの定石であり、それが過去筆者をサラウンド・アレルギーにした根本原因なのだ。しかし、この「ちょんまげ天国 in DEEP」は従来の方式とはまるで異なる「大江戸サラウンド」と命名された画期的な方法でリアリティの高い4チャンネル再生を実現しているのだ。
簡単に言ってしまえば、2枚のCDを全く別々の2台のCDプレーヤーで同時再生して、その2台のCDプレーヤーに接続された何個かのスピーカーの真ん中に座って、江戸の雰囲気と時代劇の主題歌を堪能するのが目的なのだ。多くのCDプレーヤーもリモコンで簡単にスタート・ストップをコントロールできるが、この2枚のCDを完璧に同期再生するには、多少のテクニックがいる。CDをプレーヤーに載っけてから曲がスタートするまでの時間はプレーヤーの個体差もあるので、実際には、いったん再生し、そのすぐ後でポーズをかけ、両方のCDプレーヤーを「再生待ち状態」で静止させ、同時にポーズボタンをリリースする、というかなり面倒な前置き作業が必要となる。
おまけに、目の前にCDプレーヤーが2台ある環境はそれほど普通ではないし、そんなに近い距離に2台のCDラジカセ等を設置してしまうと、今度は聞く位置が非常に限定されてしまう。結局、この「ちょんまげ天国 in DEEP」を楽しんで聞くには、6畳間の端と端くらいのある程度離れた音源の真ん中で聞くのが最適のようだ。それを実現するには、2セット持っているオーディオ装置のうち、CDプレーヤーだけを手元に持ってくるか、だれか家族や友人、あるいはこんなおバカに付き合ってくれる彼女にもう1台のCDプレーヤーのポーズをリリースする操作をやってもらうしかないのだ。
仕事の上ではやむなくありそうだが、それ以外のケースで、同じ目的のために、2人の人間が力を合わせる機会は、昨今は意外と多くはなさそうだ。ポーズボタンを同時にかけ声をかけて押して、うまく最初の拍子木の音が1つに聞こえたら、2人の相性は抜群だ! ――と、そういう遊び方もありかもしれない。
思えば、アナログレコードの再生が日常だった頃は、トーンアームを持ち上げて、レコードのスタートトラックに針を降ろす瞬間だけでもかなりのドキドキ感やワクワク感があったはずだが、CDが普及してからは、そういう心配も楽しみも取り上げられてしまったようだ。「ちょんまげ天国 in DEEP」大江戸サラウンド仕様は、そんな忘れていた楽しみを久方ぶりに体験できるイチ押しCDだ!
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筆者はフロント+リアのそれぞれにBoseの巨大ラジカセを使用。オーディオ仲間には大バカ者と言われたが……全部で10個近いスピーカーが大江戸を再現。これは癖になる
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品名 |
店頭価格 |
発売元 |
「ちょんまげ天国 in DEEP」 MHCL-289-90 |
2,310円 |
Sony Music House |
(ゼロ・ハリ)
2004/01/20 11:03
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