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オーダーメイドイヤホン「FitEar Private 223」

FitEar Private 223
 筆者は戸外で音楽を聴く機会が多く、なるべくラクチンな方法でいい音を楽しみたいという指向を持っている。現在はiPod touch一世代目と、先月までイヤホンはUltimate EarsTriple.fi 10 Proを利用していた。音楽を楽しむには十分な音質、解像度ではあったが、今ひとつ自分の耳にフィットしないという悩みを持ち続けていた。カナル型イヤホンはきちんと耳にフィットしないと、音質が著しく低下する性質があるために、無視できない悩みなのだ。掲示板などで評判の良いTriple.fi 10 Proに装着できるチップがあれば入手し、都度試してみてはいたものの、手入れに手間がかかったり、利用できる寿命が短かったりして「お気楽」という指向にはそぐわないものだった。

 そこで筆者が試してみたのが、カスタムイヤモニターである。簡単に説明すると自分の耳の形に合わせたオーダーメイドのイヤホンといったものだ。テレビの音楽番組で、ボーカルが耳に何かイヤホンのようなものを入れているのに気づいてるかもしれないが、これがカスタムイヤモニターだ。この分野の製品は海外の製品が主流であり、オーダーする際に自分の要望をメーカーに上手く伝えられるだろうか、仕上がってきた後に装着感などの不具合があったときに対応してもらえるだろうかなど不安があり、なかなか踏み出せなかった。

 たまたま国内でもカスタムイヤモニターの制作を試みているメーカーが存在するということを知り、いろいろ調べてみたところ、須山歯研/須山補聴器で正式発売前のモニター販売という形であれば購入できることがわかった。早速、担当者とメールやりとりで問い合わせさせていただき、制作をお願いすることにした。

 電話で来店の予約を入れて、メーカーの窓口となる店舗に出向いた。まず、ラインナップ全ての試聴機を試させていただき、モデルを決め制作をお願いした。


 今回、制作をお願いしたのは、音楽鑑賞目的に使えるカスタムイヤモニター「FitEar Privateシリーズ」のエントリーモデルとなるFitEar Private 223だ。2ウェイ2ユニット3レシーバー構成(高音に1個、低音に2個のバランスドアーマチュアドライバを使用)のモデルである。他に、4ウェイ3ユニット5レシーバー構成のFitEar Private 435、3ウェイ2ユニット3レシーバー構成のFitEar Private 323などが用意されている。早速、その場でシリコン素材の粘土のようなもので左右の耳型を採取して、本体やケーブルなどの色などの仕様を相談後決定し手続きを行った。

 試聴機を試したときには各モデルの違いは理解できたものの、試聴機と自分用に仕上がってきたものとは音質が変わるとの説明もあり、実際にどれを購入すればいいのか、どれが自分の目指してる音なのかといった決定的な判断となる材料は得られなかった。事前にFitEar Private 223は比較的ブライト(明るく、鮮やか)な音作りであること、Ultimate Earsに似た音作りであることなどの情報、価格なども考慮して、最初のカスタムイヤモニターはエントリーモデルであるFitEar Private 223を選択した。

 耳型をもとにしてアクリルレジン製のケースを作り、その中にレシーバやネットワークといった回路を収めるわけだが、耳の形や大きさは千差万別で部品配置や音導などは個々に異なり、状況によっては作成できないという場合もあるようだが、筆者の場合にはどのモデルを選択しても問題は無いということだった。

 耳型採取後、約2週間弱で完成の連絡が入った。早速、受け取りにお伺いさせていただいた。受け取りの際には、利用していて違和感を感じるようであれば連絡すること、手入れ方法などの利用上の説明がなされた。出来上がってきたものをその場で試したところ、試聴機で気になった中域が引っ込んだ感じは無かったが、視聴時に感じなかった高域が遠く聴こえるような感じを受けた。数日後には聴こえなかった5kHz以上の音域が急に目立つようになり、楽曲によっては多少暴れるようこともあった。ただ10日ほど経過した現在は過剰な高音は消え、比較的バランスのとれた出音に落ち着いている。



 カスタムイヤミニター購入の第一の目的である装着感については快適そのものだ。耳に吸い付くようにフィットしているために、音漏れも極めて少なく、周りの人へ不快感をあたえることも最小限に抑えられている。装着時の痛みなどはなかったが、耳にものが詰まった感じの違和感がしばらくあったが、数日の間に慣れることができた。

 装着感の良さ以外に、低域から中域にかけての出音の情報量の多さにも驚かされた。例えば、バスドラのキックなどの細かなニュアンスまでも聴き取れるようになったのだ。これはカスタムイヤモニターならではの体験なのかもしれない。またイヤモニター自体を耳の広い面積で支えるためか、ケーブルを触れたときの振動に起因した雑音が伝わり難くなり、殆ど気にならなくなったところもメリットといえる。ケーブル自体は極細ではないものの、しなやかで取り回し易い。

 同社のラインナップの中では、比較的ブライトな味付けを狙ったというとおり、楽曲によってはサ行がキツく感じることもないわけではないが、非常に満足いくデキである。

 Triple.fi 10 Proのような多少加工された感があり楽しく聞かせるタイプとは多少異なり、細かなニュアンスも正確に伝えてくれるものの、モニタのような無機質な音でなく、楽しく聴かせてくれる方向性の音である。他の上位モデルがどうような鳴りっぷりなのか気にならないではないが、しばらくの間は他のカスタムイヤモニターに手を出すことにはなりそうもない。

 完全なオーダーメイドなので、決められた店舗に出向かなければならないため手間がかかる点、現状完全な製品化を目指したモニター販売であり、設定しているモデル/材質/サービスなどが確定していない点など、気になる部分はあるものの、市販品での不満が解消しないのであれば、十分検討に値するレベルの製品だ。

 カスタマイズ製品の性質上、制作時の意志交換やアフターサポートは重要で、それが国内でメーカーと直接やりとりができるという安心感はありがたいものだ。誰にでも勧められる価格帯ではないものの、実際に購入した筆者としては、いろいろと試行錯誤してきた手間や時間から解放され、レベルの高い音/質感が得られたということを考慮すると十分満足いく結果となった。今後も同社には質の高い製品を提供してくれることを期待したい。

製品名 発売元 予価/モニター価格
FitEar Private 223 須山歯研 10万5000円/7万3500円



URL
  製品情報
  http://fitear.jp/


(一ヶ谷兼乃)
2009/01/06 10:55

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