ケータイ Watch
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フルスペックなら…… 「NOKIA MUSIC PLAYER HDR-1」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 海外ではケータイのトップメーカーとして知られるノキア。そのノキアから発売されているソリッドオーディオプレーヤーが「NOKIA MUSIC PLAYER HDR-1」だ。ノキアのプレーヤーということで、きっとケータイがらみの面白い機能が満載だと予測されるのだが、実際のところはどうなのだろうか。


ノキア的テイストを感じさせるデザイン

NOKIA MUSIC PLAYER HDR-1

 NOKIA MUSIC PLAYERはノキアからリリースされているソリッドオーディオプレーヤー。はじめてMUSIC PLAYERを見たときは、ソリッドオーディオプレーヤーらしからぬデザインで、なかなかカッコ良いというか、ノキア的テイストを感じさせるデザインであり、スニーカーっぽいカラーリングでありで、ちょっと気になる存在だった。すでにたくさんのソリッドオーディオプレーヤーが各社よりリリースされているが、一部を除いてどのプレーヤーを見ても、立方体を基本としたデザインのものが多く、はっきり言ってあまり面白くない。ソリッドオーディオプレーヤーは稼働部分もないのだし、コンパクトに作ることもできるので、ぜひともMUSIC PLAYERのように遊び心のテイストを活かしたデザインで作って欲しいものだと思う。

 ノキア的というか「あーこれって海外製品なのね」って感じるのは、ストラップ穴がないこと。国内のこの手の製品は判で押したようにストラップ穴がある。もちろん、ストラップは便利だし、ストラップ文化に追従するのはいいんだけど、ケータイじゃないんだから少しヒネリが欲しいって思ったことはないだろうか。

 ソリッドオーディオプレーヤーって、ケータイと違って耳元に持っていくわけじゃないから、かならずしもストラップが便利というわけではない。大抵はポケットやバッグの中に入れて(中にはネックストラップを使う人もいるだろうけど)使うはず。つまり、ケータイのように手元で使うというシチュエーションよりも、どこかに入れて、あるいは固定して、またはぶら下げて使うということが多いんじゃないだろうか。


背面

 MUSIC PLAYERの場合、ストラップ穴はないけれども、背面にはクリップがついていて、ベルトに留めたり、ポケットに引っ掛けたりして使うことができるようになっている。ただ、単なるクリップじゃなく、ちゃんとストラップを付けて使うことができるようになっているのもエライ。ストラップを付けて使いたい人はそうすればいいし、そうじゃない人はクリップでプレーヤーを固定すればいい。

 クリップを使えば、胸ポケットに入れていたらかがんだ拍子に落下して「The クラッシュ!」に投稿してもおかしくない状況になってしまった……、なんてことはおきないから安心。なにより、「ここには絶対ストラップを付けてね」ってわけじゃなく「ストラップを付けることもできるけど、クリップもついてるから自由に使ってね」っていう姿勢がなんとなく気持ちいいのである。

 よーく思い出してみると、この気持ちよさって昔のJ-フォン端末「DP-154EX」に通ずるものがあるような気がする。ちなみに、当時の「DP-154EX」のキャッチコピーは「手にはめる、首から下げる、腰から吊るす。携帯初のバックル&ストラップで、持ち方自由自在」だった。そういえば「DP-154EX」もノキア製。さすが、ノキア。


NOKIA MUSIC PLAYERのスペック

 なんだか前置きが結構長くなってしまったが、簡単にMUSIC PLAYERのスペックを紹介しよう。本体の重さはバッテリを含み50gと非常に軽い。バッテリは単4アルカリ乾電池1本で、連続5時間程度の再生をすることができる。記録メディアはMMC(マルチメディアカード)。標準で32MBのMMCカードが添付される。残念ながらSDカードを利用することはできないので、最大64MBの容量ということになる。最近のソリッドオーディオプレーヤーの多くは64MB以上の大容量メモリを搭載したり利用できることを考えると、このスペックは少々残念だ。オーディオフォーマットはAACとMP3に対応している。

 プレーヤー本体の操作はディスプレイ下と本体のサイドに配置されているボタンで行なう。再生、早送り、巻き戻し、一時停止、リピート(1曲、全曲)、ランダムリピートなど音楽プレーヤーとしての基本的な操作が可能だ。また、イコライザを搭載し、ClassicやJazz、Rockの3種類から選ぶことができる。詳しくはノキアのホームページを参照して欲しい。


電池 MMC

日本語化されてはいないので注意が必要

外部インターフェイス

 本体、あるいは本体に装着したMMCカードに音楽データを転送するには、付属のアプリケーションを利用する。MUSIC PLAYERには、「Nokia Audio Manager」と「Nokia CD Manager」の2つのアプリケーションが付属していて、「Nokia Audio Manager」を使うとパソコンにUSBで接続したMUSIC PLAYERに音楽データを転送することができる。また、「Nokia CD Manager」を利用すると、音楽CDから音楽をリッピングして、MUSIC PLAYERで再生できる形式の音楽データにすることができる。ただ、この2つのアプリケーションを必ず使わなければいけないかというと、そうではなく「Nokia CD Manager」だけでCDから音楽のリッピング、音楽データの作成、MUSIC PLAYERへのデータの転送ができるようになっている。このあたりは初心者を意識したわかりやすい作りになっているのが好感を持てる。

 ちなみに、「Nokia CD Manager」で作成できるのはAAC形式のファイルのみで、MP3形式のファイルを作成することはできない。MP3形式のファイルを既に持っているのであれば、「Nokia Audio Manager」で転送してMUSIC PLAYERで再生することが可能だ。

 ところで、MUSIC PLAYERは元々が海外向けの製品。そのため付属するアプリケーションは英語のままで日本語化されてはいない。2つのアプリケーションは、比較的わかり易く作られているが、当然のことながらエラーメッセージなども英語で表示されるので、英語なれしていない人は戸惑ってしまうことになるだろう。いきなり「Device Not Attached」とか表示されてもビビってしまうだけなので、「CD-ROMドライブが接続されていません」のようにせめてエラーメッセージだけでも日本語化して欲しかった。ちなみに、アプリケーションが表示するこうしたわかりにくいエラーに関してはNOKIAのホームページでフォローしているので、MUSIC PLAYERを使っている人は一読しておけば良いだろう。

 また、MUSIC PLAYER本体も日本語化されているわけではないので注意が必要。MUSIC PLAYERには液晶ディスプレイがあり、そこに曲名などのデータが表示されるが、曲名データが日本語だと正しく表示することができない。曲名データなどをディスプレイに表示できるように、音楽データの編集し直せばいいのだが、わざわざ日本語のデータを変換して使う人はいないだろう。となると、このあたりは諦めざるを得ないといえる。ちょっと残念な部分だ。


本当はこんなこともできるのだが……

付属品

 ところで、このMUSIC PLAYERであるが、日本国内では利用できない機能がいくつか含まれている。そのひとつがケータイとの接続機能。MUSIC PLAYERを同梱されている専用ケーブルでノキア製GSMケータイに接続をすると、プレーヤー本体をハンズフリーユニットとして使うことができるのである。ケータイと接続しているときにMUSIC PLAYERで音楽を聴いていたとしよう。この状態のときにケータイに着信があると、音楽の再生が自動的に停止して、ヘッドフォンをしたままハンズフリーで電話に応答することができるのだ。電話の応答が終わると、停止した音楽の再生が継続される。また、ノキア製GSMケータイのボイスダイアリング機能(音声でダイヤルする機能)も、MUSIC PLAYER経由で利用することもできるようになっている。つまり、MUSIC PLAYERにはケータイの連携機能が備わっているのだ。

 ただ、この機能はあくまでも対応するノキア製のGSMケータイと接続したときにだけ有効になる。つまり、せっかくの面白い機能だとしても、国内で利用できるケータイと接続することは物理的に不可能なので、日本国内ではまったく使えないというわけ。実際にノキア製GSMケータイに接続すれば、海外で発売されているMUSIC PLAYERと同様に、ケータイとの連携機能が使えるようになるが、日本国内で発売されているMUSIC PLAYERではサポートの対象外となっている。

 もうひとつはFMラジオの機能が含まれていること。FMラジオについても結論から言ってしまうと日本国内では利用できない。これは、搭載されているFMラジオの機能が海外仕様(87.5~108.0MHz)になっているためで、日本国内のFM放送の周波数帯と違うからだ。87.5~108.0MHzに放送局があるときは、それを受信することもできるが、国内で販売されているMUSIC PLAYERではサポート対象外だし、同梱されているマニュアルにもFMラジオの機能については一切ふれられていない。

 要するに国内で販売されているMUSIC PLAYERは、日本国外で販売されているMUSIC PLAYERに日本語のマニュアルをつけて売ってるだけというわけなのだ(付属のソフトウェアも日本語化されてはいない)。そのため、日本国外で利用できる機能だったとしても、国内では使うことができないわけ。せっかくの面白そうな機能が潜在的に含まれていたとしても、そうした機能が使えずにただの音楽プレーヤーになってしまっているのが非常に残念な部分ではある。ケータイとの接続に関しては、日本国内ではいろいろと難しい部分があるのかもしれないが、せめてFMラジオの機能は日本国内市場向けにリファインしてリリースしても良いのではないだろうか。

■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  ある意味珍しいのでイバれるかもしれません。デザインもノキア的でいい感じ。
実用性  本来は多機能であるハズなのに、日本国内で使うとただの音楽プレーヤーになってしまうのが非常に残念なところ。
お値段 ★★  音楽プレーヤー単体としてはみると割と妥当なセンかも。
価格 2万4800円  海外でノキア製GSMケータイを利用することが多い人にとっては便利な製品かもしれません。それなりにコンパクトだし、デザインも好きなんだけど、日本市場向けではない部分が多いのが気になります。そのあたりの事情を理解した上で、ノキアだから買うって人にはいいかも。
利用期間 1日
1日あたり単価 2万4800円


・ 製品情報(ノキア)
  http://www.nokia.co.jp/musicplayer/info.html


(広野忠敏)
2002/08/21 11:50

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