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小さい、軽い、安い!
日本HP iPAQ Pocket PC「h1920」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 日本HPがリリースした新しいiPAQ「h1920」は、Pocket PC 2002を搭載したPDAだ。Pocket PCに限らず、このところのPDAは、デジカメを搭載したり、より多くのインターフェイスを搭載するなど重厚長大になる傾向がある。ところが「h1920」はまったく逆のアプローチをしたPDA。必要最低限の機能のみを搭載し、大きさも小さく、重さも軽い。そしてなによりもPocket PC 2002を搭載したPDAでありながら、非常に安く購入できるという価格も魅力的なPDAなのである。


非常にコンパクト、そして軽いボディ

 「h1920」は25,000円を切る価格(24,800円)で購入することができる唯一のPocket PCだ。安いとは言っても、決して安かろう悪かろうという製品ではないのが「h1920」の最大の特徴だといえるだろう。まずは、「h1920」のハードウェア部分の仕様を見ながら「h1920」が安くても“使える”Pocket PCだということについて触れていくことにしよう。

 「h1920」を手にとってみて、初めに驚いたのが非常にコンパクトに作られていること。PDAだからコンパクトなのは当たり前では? と思うかもしれないが、最近のPDAは色々なインターフェイスや機能、ギミックを搭載するあまりに、PDAとしては大きく、重くなってしまっている製品も少なくない。「h1920」はPDAとして使うためには必要のない一切のギミックを排除しているため、コンパクトに軽くなっているのが特徴だ。

 ちなみに、「h1920」の大きさはというと、113×70×13mm(幅×縦×高)。従来のiPAQシリーズと比較すると一回りも二回りも小さい。また、重さはバッテリー込みで120gと携帯電話並みの重さ。シャツの胸ポケットに入れても全然大丈夫な軽さだ。外観は、iPAQ独特の丸みを持った本体デザインが、そのままスケールダウンした感じ。もともとiPAQは手に持ったときのフィット感や質感が良いのだが、コンパクトになったことによりフィット感も向上しているように感じられる。

 操作系は従来のiPAQと同様のものが採用されている。ディスプレイ下部に4つのボタンとカーソルキー、そしてカーソルキーの中央に決定ボタンが配置されている。本体の大きさが非常に小さくなったことで、これらのボタン類も小さくなったが、操作しづらくなっているわけではない。スタイラスは、本体右上に装備。従来モデルでは押し込むとポップアップしていたが、ポップアップのギミックはなくなった。

 「h1920」は、このコンパクトなボディに、PXA255プロセッサ(200MHz)、64MBのSDRAMと16MBのROM、ディスプレイは3.5インチ半透過型カラーTFT液晶(240×320ドット、65,536色)、さらにOSとしてPocket PC 2002を搭載している。なお、バッテリーは着脱式のものが採用されていて、カタログスペックでは最大8時間。実際に、フル充電にしてからバックライトを消灯した状態でSDカードに保存したMP3ファイルを再生してみたが、8時間程度の連続再生が可能だった。毎日必ず充電をするように気をつければ、よほどハードな使い方をしない限り、利用中にバッテリが切れてしまうことはなさそうだ。


手にすっぽりと収まるコンパクトボディ ディスプレイ下部の操作ボタン。サイズは小さくなったが扱いやすい

ジャケットは利用できないので注意が必要

 また、もう一つの「h1920」の特徴ともいえるのが、先にも書いたようにPDAとして使うために不必要と思われる一切の機能を搭載していないこと。外部インターフェイスはSD/MMCカードスロットと赤外線ポートのみだし、iPAQ伝統のジャケットシステムにも対応していない。そのため、PHSカードや無線LANカードを使って通信をすることはできないのだ。しかし、実際にPDAを使って通信をするユーザーってどのくらいいるのだろうか? もちろん、CFカードスロットなどの外部インターフェイスは多ければ多いに越したことはない。それだけ自由度が高まるからだ。だけど、そもそもそうしたインターフェイスを使うつもりがないならば、ある意味宝の持ち腐れ状態になってしまうハズだ。あっても使わないなら、そもそも無いほうがいいしね。

 それに、より多くのインターフェイスを搭載したり、デジカメ機能なども搭載して、どんどん大きく、重く、値段も高くなってしまっているのが今のPDAを取り巻く状況。たしかに、何でもできるそうしたヘビー級なPDAもいいかもしれない。だけど、非常にシンプルな構成の「h1920」を手にとって見ると、PDAの基本というか原点が見えてくるような気がしてならないのだ。重厚長大のPDAをヘビー級とするならば、「h1920」はミニマム級のPDAだと言えるのかもしれない。

 なお、同梱される付属品はインナーヘッドフォン、ACアダプター、パソコンと接続するためのケーブル。最近のPDAでは「お約束」のクレードルは残念ながら別売りである。ちなみに、別売りのクレードルは、本体に装着したバッテリに充電できるほか、同時に予備バッテリーも充電できるようになっているのも面白い。

 このように、「h1920」は、あれば便利かもしれないけれど、さほど重要ではないギミックやインターフェイスを完全に排除することによって、コンパクトに軽くなり、PDAとして見たときの機能も他のPocket PCと比較してもまったく遜色がない。まさに、「h1920」はシンプル・イズ・ベストなPocket PCだと言うことができるのではないだろうか。


本体上部。SDカードスロットやスタイラスなどはこちら 本体左側面

ソフトウェアも最小限

3.5インチ、240×320ドットで65,536色表示が可能な半透過型カラーTFT液晶
 続いて、「h1920」に搭載されているソフトウェアを見ていくことにしよう。「h1920」に搭載されているソフトウェアは、Pocket PC 2002に標準で搭載されているソフトウェアのみ。サードパーティー製のソフトウェアなどは一切含まれていない。

 搭載されているソフトウェアは、PIMとしては連絡先、予定表、手書きメモ、仕事の4つ。さらに、受信トレイ、ボイスレコーダー、ファイルエクスプローラ、Pocket IE、Pocket Word、Pocket Excel、Windows Media Player、MSN Messengerなどのアプリケーションだ。

 サードパーティー製のソフトウェアが一切含まれていないとはいっても、PDAとしての基本的な使い方で困ることはないだろう。4つのPIMツールを使えばスケジュールやアドレスを管理することができるし、WordやExcelのファイルを持ち出して利用したり、オーディオプレーヤーやボイスレコーダーとして利用することもできるからだ。

 このように余計なソフトウェアを一切搭載しないという部分も「h1920」の潔さの1つではないかと思う。ハードウェアだけではなく、ソフトウェアの部分でも徹底したコストダウンをした結果が、25,000円を切るという価格に表われているのではないだろうか。

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★  コンパクトでシルバーをベースにした外観は結構高級感があります。というわけで、イバり度はやや高め。
実用性 ★★★  拡張性に乏しいのが最大の欠点でしょう。でも、値段が安いからいいか、って気になります。
お値段 ★★★★★  Pocket PCとしては破格の安さです。
価格 24,800円  出先でメールを読んだり、インターネットにアクセスしたりと、PDAをモバイル的に使わないのなら間違いなく買いでしょう。価格対機能を考慮するとPocket PCの入門機としても間違いなく買いですね。だって、安いもん。この値段なら間違って買っても許せるかもしれません。
利用期間 1年くらい
1日あたり単価 67円



URL
  製品情報
  http://www1.jpn.hp.com/products/handhelds/pocketpc/h1900/feature.html

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(広野忠敏)
2003/06/25 12:20

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