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おとなのおもちゃタイトルGIF
アウトドアのお供に「カシオ サテライトナビ PRT-2GPJ」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 今回のネタはカシオ製腕時計、PROTREKシリーズの「サテライトナビ PRT-2GPJ」(以下サテライトナビ)。なんと、この時計、腕時計でありながらGPS(Global Positioning System)衛星を使った現在位置の測位が可能だというとっても優れた時計なのである。ちなみに、今回のサテライトナビは2代目のモデルで、初代モデルに比べてかなり進化している。


GPSって何?

 GPS(Global Positioning System)って、もはやあまり知らない人はいないとは思うが、ここで簡単に説明を。カーナビなどで利用されているGPS衛星からの電波を受信して、自分の位置を計測するためのものである。ちなみに、GPSは米国国防省が開発、運用している衛星で地上約2万1000kmの軌道上にいくつか存在する。カーナビや今回紹介するサテライトナビは、これらのGPS衛星から発信される電波を3つ以上受信して、衛星からの距離と衛星の軌道を元にして三角測量の原理で現在の位置を割り出すという仕組みになっている。

 三角測量とは……とか書いていると話がややこしくなるので、ここでやめ。要するに米国国防省が開発した軍用技術を借用して自分の位置がわかるのである。ああ、ありがたや。ちなみに、GPS衛星からは時刻情報も送信されているため、GPS衛星からの信号を受信できれば時計の時刻合わせなんかとも無縁になる。「カーナビの時計って調整してないのに何年もの間なんであんなに正確なんだろう?」と疑問に思う人もいるだろうけど、そういうワケなのである。


かなり多機能・高機能なサテライトナビ

<div align="left">カシオ「サテライトナビ PRT-2GPJ」標準価格5万9000円。パソコンリンク機能で、計測したGPSデータをCSVやTXTファイルに変換するなどして、さまざまに利用できる</div>
 そんなわけでサテライトナビである。写真を見てもらえればわかると思うが、まさに腕時計。ちょっと厚みはあるが、腕に装着してもそんなに違和感はない。このコンパクトなボディーにGPSアンテナを搭載し、いつでもどこでも自分の位置がバッチリわかるという非常にナイスな時計だ。もちろん、位置がバッチリわかるだけではなく、GPS衛星の標準時刻情報を元に時刻を修正してくれるため、手動で時刻合わせなんかしなくても、いつも正確な時間を身につけることができるというおまけ付きである。

 というわけでさっそく使ってみよう……と思ったんだけど、このサテライトナビ、かなり高機能な時計なんですね。マニュアルを読まずに使えるなんてことは絶対ないと断言できるくらい複雑なのだ。そんなわけで、厚さにして約2cm、160ページ超の付属マニュアル(こんなマニュアルが腕時計に付属しているのも高機能の証しなのだが……)と格闘すること数時間。やっと、それなりに使いこなせるようになりました。

 サテライトナビの表示モードは3つ。現在位置などの情報を経度や緯度といった数値で表示するためのPOSITIONモード。目的地の方向や距離などの情報をグラフィカルに表示するグラフィカルナビモード。そして、あらかじめ登録したランドマークとの位置関係や自分が経由した移動軌跡を表示するためのプロットモードだ。GPS衛星からの電波を1回だけ受信したときは、自分の位置や高度しかわからないのだが、連続受信モード(1秒毎に自動的に受信するモード)で測位し続けることで、経度、緯度といった位置情報だけではなく、進行方向や速度などの情報もわかるというわけ。このあたりの原理もカーナビとまったく同じなのである。

 3つある表示モードは、そうして取得した情報をユーザにわかりやすく表示するためのもの。単純に経度や緯度だけを知りたいってときはPOSITIONモードを利用すればいい。また、あらかじめ目的地やランドマークの経度、緯度を登録しておけばグラフィカルナビ表示で目的地の方向や距離をビジュアルに表示することもできる。さらに、プロットモードを利用すれば自分がどのような位置を移動してきたのかがわかるというわけだ。もちろん、それぞれのモードには、いくつかのサブ画面があり、目的地やランドマークの登録、衛星の受信状態、現在の高度や高度の変移なんていう情報も知ることができるというわけだ。


 と言葉で書くと割と簡単そうに見えるんだけど、表示モードの切り替えは楽なんだけど、それぞれのモードにサブメニューがあって、メニューにいろいろな機能が割り当てられているって感じで、操作は結構複雑だったりする。ただし、複雑なのはランドマークの登録や初期設定や各種設定の部分。GPSを利用して位置を知るための部分の切り替えはサテライトナビの右側の[MODE]ボタンでワンタッチでできるようになっているため、さまざまな角度から位置情報を利用することができるのだ。

 しかし、コレって街中で役に立つのかな? いや、ビルの影になってGPS電波が受信できないというわけじゃなく、利用価値があるか? ってこと。どちらかといえば、普段の生活で活用するのではなく、アウトドアなどで活用すれば真価を発揮すると思う。たとえば、山歩きとかね。でも、いつでも経度、緯度がわかれば、あとは正確な地図さえあれば、常に自分の位置を把握することができる。そう考えると緊急時には頼もしい味方になってくれることは間違いないだろう。

 ちなみに、サテライトナビのバッテリは、本体に内蔵されたリチウムイオン二次電池である。付属の充電ユニットにセットすることで腕時計への充電が可能。充電ユニットには乾電池を内蔵できるので、ACじゃなく乾電池で充電することもできる。このあたりも、アウトドア派には嬉しい機能だ。なお、フル充電にかかる時間は約70分。バッテリの持続時間は1回計測で140回、連続計測で約70分、1分毎の自動計測で約3.5時間の連続利用が可能である。おまけに、かなりの精密機器でありながらも5気圧防水をマークしているのだ、結構エらいぞ。


充電台兼接続アダプタにサテライトナビを載せたところ。右の方にちょっと見えるのが、充電台の接続端子
サテライトナビ本体の接続端子

パソコンにも接続できるのだ

パソコンとの接続はシリアルインターフェイス。コストの問題が大きいとは思うが、オプションでいいからUSBにも対応してほしいところ
 さて、サテライトナビのもうひとつの特徴。それはパソコンに接続して測位データなどの転送ができるのだ。充電ユニットはインターフェイスユニットを兼ねていて、充電ユニットを付属のケーブルでパソコンのシリアルポート(RS-232C)に接続。充電ユニットにサテライトナビをセット。付属の専用ソフトでランドマークデータ、軌跡データの転送や編集が可能。また、地図に軌跡を表示させることも可能だ。

 しかし、インターフェイスがシリアルだけってのは、やっぱり頂けない。たとえば、アウトドアでサテライトナビとノートパソコンを使って……というシチュエーションを考えてみよう。ノートパソコン、とくに携帯を意識した軽量モデルは標準でシリアルインターフェイスを搭載していないものが多く、標準で使える機種が限られてしまうのだ。シリアルとUSBの両方に対応していればベストだが、別売でもいいからUSBインターフェイスも発売して欲しいところだ。

 とはいえ、外出時にサテライトナビで遊ぶ。これは、文句ナシに楽しい。ついつい真っ直ぐに目的地に行かずに、フラフラ寄り道したりしてね。あ、そうそう、怪しげな場所でうっかり位置の測位はしない方がいいかも。なぜって? サテライトナビに位置が記憶されるから、あとでどこに行ったかバレバレで血の海になっちゃうかもしれないから。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★  こんな腕時計は他にはありません。文句ナシにイバれます。ついでにGPSのウンチクも語りましょう。
実用性 ★★★★★  アウトドアで使うには非常に実用的。アウトドアフリークなら買っても絶対に損はしないでしょう。乾電池から腕時計本体の二次電池に充電ができるのも◎。
お値段 ★★★  腕時計としては少々高価。だけど、まあ、これだけの機能があることを考えると妥当な線か?
標準価格 5万9000円  アウトドアでのGPSを使った測位……意外とコレは楽しいです。それにとっても実用的。たとえばカーナビを積んだ車にピックアップしてもらうとき、あそこにこれがあるとかどこにそれがあるといった情報を伝えなくても、SATELLITE NAVIがあれば座標を測位して伝えてあげれば、ピンポイントでのピックアップも可能。
利用期間 365日
1日あたり単価 161円




URL
  「サテライトナビ PRT-2GPJ」のニュースリリース
  http://www.casio.co.jp/productnews/prt_2gpj.html


(広野忠敏)
2000/11/08 00:00

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