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おとなのおもちゃタイトルGIF
歩行者だってナビゲート「モバイル デルNAVI KX-GP1Z」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 いまやカーナビを知らない人は少ないだろう。高度2万kmのGPS衛星からの電波を受信して、自分の位置を地図上に表示させるアレである。カーナビといえば、DVDを搭載して詳細な情報が表示できるとか、ルート検索が一瞬でできるとか、そういう性能部分の進歩はめざましいものがある。だが、そういった基本的な性能を充実させつつ、クルマでだけではなく、持ち歩いて使うことも考えられて作られた面白いカーナビもあるのだ。それが今回紹介するパナソニックの「モバイル デルNAVI」なのである。


いまどきCD-ROMなんですが、それでもいいかと思ってしまう面白さ

ベースユニットとディスプレイ部、テレビチューナ(VICS対応)を接続したフル装備状態。リモコンもあるので、この状態でクルマに載せればカーナビになる使える
 現在のカーナビ市場の主力といえば、情報量が極めて多いDVDを搭載した製品だ。なかにはハードディスクを搭載して、そこに地図などいろいろな情報を格納できるものもある。しかしモバイル デルNAVIは、ディスプレイとCD-ROMドライブ一体型のポータブルナビゲーションシステム。CD-ROMのカーナビなんていうと、1世代前とか2世代前といった印象を受けてしまうのも事実だが、これをただのCD-ROMナビとあなどってはいけない。そんじょそこらの最新式カーナビなんて全然太刀打ちできないほどの面白さが詰まっているのである。

 モバイル デルNAVIの最も面白い点は、ディスプレイ部とベースユニットが完全に分離できること。CD-ROMドライブを内蔵したベースユニットとディスプレイ部を合体したときは、通常のカーナビとして働く。操作は付属のリモコンで行い、車載用外付けGPSアンテナを使う。もちろん、VICSやD-GPS(Differential GPS:FM電波を使って位置情報を補正するシステム)にも対応しているので、そこらへんの機能は標準的なものだ。


各パーツを分離させるとこんな感じ
 ベースユニットからディスプレイ部を外すとどうなるのか。ここが最も面白い部分。ディスプレイには充電池とGPSアンテナが内蔵されている。つまり、ディスプレイ部をベースユニットから外しても、ディスプレイ部単体でもナビゲーションシステムとして使えるのだ。たとえば車でどっかに行って、カーナビがあるので無事に目的地に着きました、でもここから先は険しい道なので車は入れません、なんていうシチュエーションのときに真価を発揮する。モバイル デルNAVIならば、ディスプレイ部をそのまま外して持ち歩いてしまえばいいのである。

 ところで、歩行者向けのGPS装置、いわゆるポータブルナビゲーションのたぐいは、簡略化された地図が表示されるとか、移動軌跡が表示されるといった、ごく単純なナビゲーション機能しかない製品が多い。しかしモバイル デルNAVIはそんな低機能ではない。あらかじめベースユニットに装着されているときに、CD-ROMから約2km四方(25mスケールの場合)の地図を切り取ってディスプレイユニットに保存しておくことで、分離したときもその地図を使うことができるのである。液晶部分はタッチパネルになっているので、分離時はPDAのような簡単タッチ操作だ。


ディスプレイ部のみだとこんな感じ。ちょっと大きなPDAという感じだが、裏にしっかりとGPSアンテナも装備。チューナーユニットをつければテレビも見れる
 実際に自宅近辺2km四方の地図を切り出して、近所を歩き回ってみた。D-GPSの補正の効果もあり、一般道だけではなく、道無き道もきっちりとトレースしてくれたのには感動した。そりゃ、歩きながら使うときはへんにマップマッチング(現在地と道路を自動的に補正する機能)なんて無いほうが使いやすいもんね。クルマと違って歩いているときは、必ず道を通るってわけじゃないしね。おかげで普段決して歩くことのない道へとふらふら散歩に出かけてしまい、原稿を書く時間がなくなってしまうということになるほど楽しいのである(実話)。

 さらに、パナソニック製品なのでSDメモリーカードスロットの搭載もお約束。64MBのSDカードがあれば、12エリアまでの地図を保存できる。また、SDカードに保存された音楽データ(いわゆるSDオーディオ)を再生することもできるし、ホームページやメールの保存も可能だ。

 ちなみに、今回はお借りした製品を使ってのレビューなんですが、使い倒して原稿を書くうちに、欲しくなってしまいました。いや、マジで良く作られています。まぁ、持ち歩くことを考えたら、大きさはもう一回り小さいほうがいいかなとは思いますが。


ナビを使ったフォックスハンティングごっごも面白いでしょう

H"接続ケーブルは標準添付。PDCやcdmaOne用のケーブルも別売りしているけど、やっぱりH"端末をつなぐのがいちばん面白い(詳しくは本文で)
 ところで、パナソニックのナビといえば、忘れてはいけないのがH"端末との連携システム。モバイル デルNAVIも、当然のことながらH"端末との連携ができるようになっている。もちろん、ベースユニットにドッキングした状態でも、ディスプレイだけを分離した状態でも連携可能だ。連携といっても、インターネットのホームページを見たり、メールを送受信できたりというのはもはや当たり前。ちなみに、ホームページの閲覧やメールの送受信については、別売のケーブルを利用すれば、PDCやcdmaOneの携帯電話も接続できるが、H"端末をつないだときはもっと面白いことができる。

 モバイル デルNAVIにH"端末を接続しているとき、通話相手もH"端末だと「ル・モテサーチ」と呼ばれる機能を使うことができる(対応機種が限られているけど)。これは、通話相手のおおよその座標をモバイル デルNAVIの地図に表示してくれる機能なのだ。この機能は相手のH"端末の基地局を元に位置情報を探査する機能なので、相手がモバイル デルNAVIを持っている必要はない。

 この機能を使えば「ル・モテサーチ」をクルマに搭載して友達同士でドライブにいったとしても「あ、あいつのクルマはあそこのサービスエリアでサボってるぜ」とか「到着が遅いと思ったら、インターチェンジの近くで遊んでるのね」とかそういう風にチェックすることができる。かなり実用的。だが、モバイル デルNAVIは手軽に持ち運びができるからこそ、もっと違った楽しみ方をすることができるのだ。

 たとえば、ハイテク鬼ごっこというか現代版フォックスハンティング。ルールはこんな感じ。まず、鬼の外見とか特徴の概略をプレイする人達に伝える。で、鬼は参加者に電話して、おおよその位置を発信する、5分程度経過したら移動してもう一度参加者に位置を発信するという感じで繰り返す。参加者はモバイル デルNAVIとH"端末を使って鬼を探しまくるのである。双方とも徒歩であることや、かつ地図に表示される位置は100m程度の誤差があるので(H"端末の位置情報精度の限界)、かなりエキサイティングなゲームになるハズだ。実際にこういうイベントがあれば、面白いんと思うんだけど、どうでしょう。


地図のCD-ROMはベースユニットに入れる。その一部をSDカードにコピーできるので、地図表示機能に制限のあるアウトドア向けのポータブルナビゲーションに比べるとかなり便利
 ちなみに、形態はちょっと違うが、アメリカではポータブルナビゲーションを使ったお遊びは、専門サイトもあるくらい盛んなのだ。最も有名のなのが、ポータブルナビゲーションを使った宝捜し。これは、あらかじめお宝をどこかに隠しておき、座標と目印になるものをホームページに掲載、探す人は目印と座標を頼りに宝を探すというもの。お宝が見つかったら、お宝の中からいくつか気に入ったものを持ち帰り、さらに次の人のために自分のお宝を加えて元の場所に戻すというフィールドゲーム。パソコンに向かって宝捜しするよりはよっぽど健康的で、アメリカやイギリス、ニュージーランドなどで盛んにプレイされている。

 ちなみに、日本国内に隠されているお宝もあるので(いまのところ沖縄と関東に隠されているらしい)、興味がある人は「ジオキャッシング」のページを見て欲しい。見るだけではなく参加して日本国内で流行らせてしまうのもきっと面白いと思う。もちろん、モバイル デルNAVIを使って参加することも可能だ。

 少々話題が別の方向にそれてしまったが、モバイル デルNAVIを持ち歩いてのお散歩は結構楽しいことうけあい。とくに旅行などしたとき、現地を徒歩で移動しなければいけないけれど地理がぜんぜんわかんないなんてときは、クルマからそのままモバイル デルNAVIを外して使うことができるので、めっちゃ便利なのである。さらに、いつでも取り外しができるということは、盗難防止の効果もあるのであった。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★★ うちの近所にはかなり大きなショッピングセンターがあります。モバイル デルNAVIを持ちつつ、そのあたりを歩き回りましたが、恥ずかしいくらい目立っていたようでした。ということで、イバり度は100%でしょう。
実用性 ★★★ 最新のハードディスクナビとかDVDナビあたりと比較すると、性能に差があるのはまあしょうがないこと。ただ、何も考えずクルマからガシャっと外して外でも遊べるというのは面白いし、実用的。おまけにACアダプタも付属しているので自宅のAC電源でも充電できます。
お値段 ★★★★ 最新式のカーナビを買うよりも安価です。
実売価格 17万8000円 カーナビってそうそう買い換えるものではないです。私の場合、1度買うと3年くらいは使い続けます。しかし、他の最新式カーナビも捨てがたい。あ、そうだ、セカンドカーを買ってセカンドカーにモバイル デルNAVIをつけよう。と、考えましたが、セカンドカーなんて買ってる余裕はないのでした。うーん、でも、コレ、結構楽しいんだよなあ。
利用期間 3年間くらい
1日あたり単価 162円



・ 九州松下電器
  http://www.kme.panasonic.co.jp/
・ モバイル デルNAVI
  http://www.kme.panasonic.co.jp/pana/navil/gp1l/index.html
・ ニュースリリース
  http://www.kme.panasonic.co.jp/newsrls/news/2001news/jn010604/jn010604.html
・ ジオキャッシング
  http://www.geocaching.com/


(広野忠敏)
2001/07/04 00:00

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