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ケータイと駐車場の切っても切れない関係
KDDI総研 藤原正弘
 KDDI総研 第二市場分析室。専門は情報通信全般の社会・経済分析ということになっているが、まだネットワーク経済を勉強中の学生の身でもある。最近は、コンテンツ産業の調査にも手を出しており、「アキハバラ」にも馴染みたいのだが、なかなか踏み込めない二人娘の父親でもある。最近のレポートは、KDDI総研R&A誌「ヘドニック価格分析による携帯電話の機能評価」(2005年11月号)、「プラットフォームビジネスにおける企業連携」(2006年3月号)など。


 アメリカは言わずとしれた車社会。どこに行くにも車だから、どこに行っても大きな駐車場がある。アメリカで最大級のショッピングモール、モール・オブ・アメリカ。通称MOA。ミネソタ州ミネアポリスにあるこのショッピングモールには、520ものお店のほか、屋内遊園地や水族館まであって一日中遊んでいられるらしい。ちょうど、サンクスギビング(11月の第4木曜)の翌日の金曜日は、ブラックフライデー。クリスマス商戦のはじまりだ。MOAでは1日で15万人もの人出を見込んでいるという。

 とくれば、駐車場の大きさは半端じゃない。なんでも12,500台収容できるんだとか。これだけ大きいと、さんざんお店を見て回って、遊園地で遊んで、クリスマスのプレゼントを両手にいっぱい抱えて、ほとほと疲れて駐車場に戻ってきてみると、自分の車はどこだっけ? ということになるのも、うなずけるというものだ。

 普通の日だと50人、ブラックフライデーだと300~400人くらいは、車が見つからなくて助けを求めに来る人がいると予想されていて、これを何とかしようということで導入されたのが、「cell phone valet(ケータイ駐車係)」というサービスだ。

 仕組みは単純で、駐車場からモールの建物に入ってくるときに、標識に書いてある番号にショートメールに送っておく。そうすると、駐車場の場所を書いたメールが送り返されてくるというもの。お客様がこれを使ってくれれば、モールの係員も300~400人の「迷子さん」の対応に追われることはない、と自信たっぷりだが、実際にどれほどの効果があったのか気になるところだ。


 もうひとつ、ケータイと駐車場の話題を。「cell phone lots」と呼ばれる駐車場だ。ケータイを置いておくスペースのことではない。もちろん、車を停めておくためのスペースだ。

 車社会のアメリカでは、飛行機も中距離の足としてよく利用される。行った先では、レンタカーを借りるか、お迎えがきているかだが、ここでcell phone lotsの登場だ。

 このcell phone lotsは、空港ターミナルから車で5分くらいの離れた場所に作られている。ターミナルの駐車場とはちがって、ただスペースがあるだけ。もちろん無料だ。以前は、ターミナルの有料駐車場に車を入れて到着ロビーで出迎えたものだが、昨今は、cell phone lotsで車に乗って待っていて、到着した人から電話をもらってから到着ロビーに車をまわすのだ。空港周辺には空いた土地は結構あるから、こうした駐車スペースを作るのは何の造作もない。おかげで、ターミナルの駐車場は小さくてすむ。今や、アメリカの多くの空港で、こうした駐車スペースができている。これも単純なことだが、ケータイが普及したおかげで空港の建設コストが削減でき、迎えの人もムダな出費が抑えられるというわけだ。

 「モバイル先進国」と言われる我が国だが、まだまだ学ぶべきコトはたくさんあるのだ。



KDDI総研 藤原正弘)
2007/11/30 10:52

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