≪新刊立ち読み≫スマートフォンのはじめかた

「SIMフリー超入門 Android編」

「SIMフリー超入門 Android編」

さまざまな格安SIMのタイプ

 本コーナーでは、モバイル関連の新刊を立ち読み形式で眺めながら、スマートフォンの基本的な使い方や便利な使い方をご紹介していきます。

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 格安SIMの分野には次々に新しいサービスが登場しており、多くのサービスから自分の使い方に合ったものを選べる。これらは、料金体系や機能によって、いくつかのタイプに分けられる。まず、料金体系で大きく分けると、次のようになる。

(1)プリペイド型SIM
(2)月額課金型SIM
(3)低価格SIM
(4)リチャージ型SIM

 それぞれの特徴と、代表的なサービスについて、かんたんに説明しておこう。

(1)プリペイド型SIM

 MVNOブームを牽引してきた日本通信のSIMのように、一定のデータ量を期限まで使える。「b-mobile 4G 6カ月定額」「b-mobile 3G・4G 1GB」「b-mobile 3G・4G Fair 1GB/4カ月」といった製品がある。
 上限まで使い切ったら、チャージすると利用期限を延長できる。チャージしないと、期間を過ぎたら、データ量を使い切っていなくても使えなくなる。
・b-mobile 4G 6カ月定額(日本通信)
http://www.bmobile.ne.jp/6m_gt/

(2)月額課金型SIM

 月額900円で1GBまで、といった具合に、月額基本料金と、利用できるデータ量の上限が決まっている。IIJmio、hi-ho、エキサイト、ASAHIネット、楽天ブロードバンド、BIGLOBEなど多くの提供元から発売されており、料金も700~1000円程度となっている。この月額課金型SIMが、格安SIMの代名詞ともなっているといっていい。

 このSIMの特徴は、「バンドルチャージ」といって、月間利用データ量が事前にチャージされている点だ。バンドルチャージは、従来は月500MB程度だったが、2014年4月から各社とも月1GB程度に倍増され、より割安になった。

 さらにバンドルチャージを使い切ると、128~200kbps程度の速度で使い放題となる。高速通信と低速通信とを切り替えて利用できるSIMもあり、メールやTwitterなどは低速で、動画やWebは高速で利用する、といった使い分けもできる。

 SIM選びのキーポイントは、低速通信時の速度。これは実際に利用してみないとわからない部分だが、常時200kbps程度の速度が出るようなら、低速通信でもとくに問題ない。これが100kbpsを下回るようなら、メールの送受信でもかなり遅く、使いづらいと感じるだろう。バンドルチャージされているデータ量を使い切ると別途追加チャージできるSIMもあり、その料金にも注意したい。

・IIJmio高速モバイル/Dサービス(IIJmio)
https://www.iijmio.jp/hdd/service/datasms.jsp?l=0m356c

(3)超低価格SIM

 とにかく低価格で運用したいというなら、DTI(ドリーム・トレイン・ネット)のServerMan SIM LTEのような超低価格SIMもある。通信速度は250kbpsだが、月額504円(税込)と、ほかのSIMの約半分の料金でデータ通信が行える。メールやTwitterなら、なんとか使える程度だ。どうしても高速通信したいときは、LTEの高速回線を100MBあたり270円(税込)で購入して追加できる。

・ServerMan SIM LTE(DTI)
http://dream.jp/mb/sim/

(4)リチャージ型SIM

 NTTコミュニケーションズ(OCN)の「OCNモバイルONE」のような、新しい形態のSIM。基本的には月額課金だが、データ量の上限が1カ月ではなく、1日で決まっている。OCNモバイルONEの場合、月額972円(税込)で1日50MBの高速通信が可能で、このデータ量を使い切ると、最大200kbpsの低速通信になる。深夜0時になるとリセットされ、再び50MBがチャージされて、高速通信が可能になる。

 いわば毎日データ量がリセットされるリチャージ型のSIMで、トータルでは、月1.5GBまで高速通信が利用できる計算になる。

・OCNモバイルONE(OCN)
http://service.ocn.ne.jp/mobile/one/

SMS、音声通話など機能付きのSIM

 続いてこれらの格安SIMを機能で分けると、ネット専用の「データ通信専用SIM」と、SMS機能が付いた「SMS機能付きSIM」、それにキャリアのスマホの代替として使える「音声通話機能付きSIM」がある。これまで格安SIMといえば、データ通信専用SIMのことだった。通話はガラケーに任せ、Webやメールはデータ通信専用SIMでスマホを利用する。これに対して、比較的新しい格安SIMが、SMS機能付きや、音声通話機能付きのSIMだ。

 SMSとはショートメッセージサービスのこと。電話番号でやり取りする短いメッセージで、スマホでは「メッセージ」アプリで送受信できる。ケータイメールの機能が発達していた日本ではあまり利用されてこなかったが、最近ではネットのサービスのログインや利用時の本人確認のため、認証コードをショートメッセージで送信するサービスがふえてきた。ケータイという極めてパーソナルな機器にコードを送信することで、受信者を特定するものだ。SMSが利用できれば、これらのサービスが使いやすくなる。

 データ通信専用SIMでも、IP電話アプリなどを利用すれば一般の電話と音声通話が可能だが、これをもっと進めて、格安SIMそのものに音声通話機能を付けてしまい、従来のケータイキャリアとの回線契約の代替として使えるサービスも出てきた。

 そのひとつが、IIJmioが2014年4月から開始した「みおふぉん」だ。月額料金はミニマムスタートプランで2052円(税込)。データ通信が972円で、音声通話機能が1080円だ。このプランでは他キャリアからのMNP(番号ポータビリティ)が可能で、これまで利用していたキャリアのケータイ・スマホの電話番号をそのまま使うこともできる。

・みおふぉん(IIJmio)
https://www.iijmio.jp/campaign/miofone/

 もちろん、データ通信量の上限が1GBだったり、音声の無料通話分がなかったりと、キャリアのプランと比較すればサービス面で劣る部分もある。だが、通話はそれほどしないとか、スマホではメールとTwitterやFacebookくらいしかやらないといった使い方なら、実にリーズナブルだ。いや、基本料金を比較すれば、月々3000~5000円ほども差が出てくる。年間3万~6万円もの差だ。

 これまで格安SIMというと、スマホのデータ通信のランニングコストを抑えたいという、ちょっとマニアックな使い方として普及してきた。だが、音声通話機能付きの格安SIMの登場で、スマホ初心者層も料金・サービスを大手キャリアと比較して選べるようになってきた。格安SIMがキャリアと競合する時代に突入したわけだ。この流れは、今後ますます加速していくだろう。

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書名SIMフリー超入門 Android編
価格電子書籍 864円(本体800円)/印刷書籍 1080円(本体1000円)
判型EPUB3 & Kindle Format8/A5判 72ページ
発売日2014年6月13日
企画・編集株式会社インプレスジャパン

書籍の詳細
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