山根康宏の「言っチャイナよ」

高解像度なハイスペック端末や女性向け宝石スマートフォンが登場

 世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2014年11月は2Kを超える超高解像度なスマートフォンや、長時間待受けに対応製品、また低価格ながらも宝石をちりばめたという女性向け製品が登場しています。

Meizu、2K越えディスプレイのハイスペックLTEスマホ「MX4 Pro」を発表

 Meizu(珠海市魅族科技有限公司)は、11月19日に「MX4 Pro」を発表した。9月に発表した「MX4」の上位モデルで、アップルやサムスン電子など国内外メーカーのハイエンドモデルの上を行くハイスペックな製品であり、中国国内では発表直後から「2014年のベストスマートフォン」と大きな評価を受けている。外観上の大きな特徴としては指紋認証機能を搭載したホームボタンをディスプレイ下に備えている。

 チップセットにはサムスン電子製のExynos 5430(2.0GHzオクタコア)を採用。メモリ(RAM)は3GB。ディスプレイはJDI製の5.5インチで、解像度は2560×1536ピクセルと、他社のQHDモデル(2560×1440ピクセル)よりも高い。そして同社が「Retina Sound」と謳う音楽再生機能はESS社のDACチップを搭載しHi-Fiサウンド再生が可能。カメラは背面に2000万画素、フロントに500万画素を搭載する。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、W-CDMA、TD-SCDMA、GSMの5モードに対応。価格は16GB版が2499元(約4万8900円)、32GB版が2699元(約5万2810円)、64GB版が3099元(約60640円)。本体カラーはシルバー、ホワイト、ゴールドの3色展開。

MX4 Pro

Mobifox、MILスペックに対応したアクティブ系スマホ発売開始

 防水防塵端末を専業とするMibofoxは(云狐時代)スマートフォン「A8」を発表した。6インチクラスのファブレットながら厚みは12.8mmと薄く、IP68相当の防水防塵に対応。さらにはMIL-STD-810Gに準拠し防圧や耐腐食性そして耐低温性も有する。イエローとブラックの2色仕上げの本体は本格的なアウトドアユース対応端末というルックスをしている。

 ディスプレイは6インチフルHD(1920×1080ピクセル)、表面はゴリラガラスを採用し強度を高めている。カメラは1300万画素で水中での写真撮影も可能とのこと。バッテリーカバーはネジ止め式で不意の落下でもはずれる心配がない。チップセットは省電力にも優れたMTK6589T(1.2GHzクアッドコア)を採用。バッテリーは3500mAhを搭載し最大5日間の連続待受が可能だという。通信方式はW-CDMAとGSMに対応。価格は6280元(約12万4070円)

A8

Meitu、リアルタイムに美顔効果を確認できるセルフィースマホを投入

 Meitu(厦門美図網科技有限公司)は背面、フロント共に1300万画素カメラを搭載したスマートフォン「Meitu M2」の販売を開始した。5月発売の「Meitu2」のバージョンアップモデルで、セルフィー機能が大幅に強化されている。また本体カラーもミントブルー、チェリーピンク、ムーンホワイト、輝きピンクの4色展開となった。広告には中華圏で人気のモデル、アンジェラベイビーを採用する。

 縦方向に長い六角形形状をした本体には前後に1300万画素の高画質カメラを備える。背面側はデュアルフラッシュ、フロントには補助光ライトを搭載。画像処理は富士通のMilbeautプロセッサーを採用している。また美顔モードはエフェクトをリアルタイムに確認可能、これは世界初の機能と同社は謳っている。そのためビデオ撮影にも美顔効果を適応できるとしている。ディスプレイは4.7インチHD(1280×720ピクセル)、チップセットはMT6592(1.7GHzオクタコア)、メモリはRAM 2GB、ROM 32GB。W-CDMAおよびGSMに対応。価格は2199元(約4万3440円)。

Meitu M2

Nibiruから6インチのビジネススマホ「金星1号」登場

 Nibiru(北京尼比魯電子商務有限公司)は高級な本体仕上げにフル機能を搭載したハイスペックスマートフォン「Nibiru J1(金星一号)」を発表した。なおNibiruとは冥王星のさらに外にあるとされる仮説上の天体の名前。同社の製品はすべて太陽系の惑星名がつけられている。J1/金星一号は同社のビジネス向けラインナップの最初の製品となる。

 本体背面は革張調の仕上げとし、側面からはマグネシウム・チタン合金の美しいフレームが見える。高級ビジネス文具のような外見は高級感がありビジネスシーンでの利用も問題ない。6インチフルHD(1920×1080ピクセル)ディスプレイに1300万+500万画素カメラを搭載、通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、W-CDMA、TD-SCDMA、GSMに対応。チップセットはSnapdragon 400(1.6GHzクアッドコア)。NFCも搭載する。価格は1498元(約2万9600円)。

ビジネスシーンにも似合う高級端末「Nibiru J1」

30分で75%の急速充電可能なKoobee「Halo3」が発表

 Koobee(深セン酷比通信設備有限公司 )は11月22日にMediaTekの「Pump Express」技術を世界で最初に搭載したスマートフォン「Halo3」を発表した。専用充電器を使うことで急速充電が可能。バッテリーが空の状態から5分間の充電を行うと、2時間の通話が可能になるという。また30分間の充電で電池容量の75%までの充電が可能だ。

 本体厚みは6.85mmと薄くスタイリッシュな仕上げ。マグネシウム・アルミ合金で強度も十分だ。ディスプレイは5インチHD(1280×720ピクセル)、カメラは1300万画素で美顔効果機能も搭載。チップセットは非公開、4GはTD-LTEのみ、TD-SCDMAとGSMにも対応する。価格は1999元(約3万4940円)。

5分の充電でも2時間通話が可能な急速充電対応の「Koobee Halo3」

1万円の宝石スマホが登場

 新興メーカーのXiaoYi(小伊)は本体側面に宝石をちりばめた女性向けスマートフォン「小伊ダイヤモンド」の発売を開始した。スペックはチップセットにMT6572(1GHzデュアルコア)、4.5インチのFWVGA(480×854ピクセル)ディスプレイ、RAM 512MB、500万画素カメラ。通信方式はTD-SCDMAとGSMのみに対応したエントリークラスのモデルだ。

 本体の側面は金属フレームとし、周辺を囲むように93個のダイヤモンド調の宝石を埋め込んでいるという。なお、宝石の材質は不明。同社はWebページを持たず大手ショッピングサイトのみで製品を販売しているが、購入者の評判を見るといずれも高い評価をつけている。スペックは低いものの549元(約1万850円)という低価格ながら高級感ある仕上がりが高評価につながっているようだ。

低価格だが93個の宝石が美しい「小伊ダイヤモンド」

Etonが1カ月待受け可能な省電力スマホを発売

 Eton(深セン市億通科技有限公司)は独自の省電力技術で長時間の待受時間を実現した「動力王P2」を発売した。ディスプレイサイズは4.5インチ、FWVGA(480×854ピクセル)。このクラスの製品としては高容量の3200mAhのバッテリーを搭載している。6つの省電力機能を組み合わせることにより最大待受け690時間、連続通話11時間、音楽再生30時間、動画再生10時間が可能である。

 チップセットはMT6732(1.3GHzクアッドコア)、800万画素カメラを搭載。通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSMに対応。省電力以外に目立った機能の無いベーシックな製品である。本体カラーはピンク、ホワイト、ブルー、グレイで明るい色合い。価格は799元(約1万5790円)。

約1カ月の長時間の待受に対応する「動力王P2」

今月のメーカーピックアップ「Meizu」

 Meizu(メイズ、珠海市魅族科技有限公司)は2003年の老舗の企業。今月発表のMX4 Proは中国内で大きな話題となり、海外でも高い評価を受けている。当初はMP3再生の音楽プレーヤーを手掛け、2006年には海外展開も本格化させたが2007年にはいるとiPodの影響も受け販売数が急減。同年Appleから初代iPhoneが発表されるやスマートフォン開発を本格化させた。そして2009年初に発表された同社初のスマートフォン「M8」は中国メーカーによる初の本格的な製品として国内では高い評価を受けた。

 だが、あまりにもiPhoneに似せようとした外見とiOSを模した独自のOS(ベースはWindows CE)の搭載は、同社の開発力の高さよりもiPhoneの二番煎じを狙ったキワモノ的製品として海外からは冷ややかな注目しか集められなかった。このM8はその後Appleからの要求を受け製造停止となっている。2011年には初のAndroid端末となる後継モデル「M9」を投入したが、同年夏にXiaomi(小米技術)が「Mi1」を発表。M9より性能は若干落ちるものの1999元という低価格と巧みなマーケティングにより存在感を高め、以降中国新興メーカーの顔として君臨している。

 その後、Meizuはデザインを一新した「MX」シリーズを投入。女性ユーザーも増やすなど一定の評価を受けるものの、Xiaomiのすぐ後ろに位置する二番手メーカーと言う存在に甘んじてきた。しかし2014年9月にXiaomiの最新モデルよりも低価格、高スペックな「MX4」を発表し国内の話題を一気にさらい、11月発表の「MX4 Pro」でハイエンドスマートフォンメーカーとしての顔の座をXiaomiから奪い去った。海外ではまだMeizuの名はあまり知られていないが、すでにアジアやヨーロッパの一部に進出。またUbuntuと提携し同OSを搭載したMX4の販売も予定されている。ハイスペックな同社の製品の世界への展開は楽しみである。

山根康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。