山根康宏の「言っチャイナよ」

世界最薄4.7mmスマホやデュアルタッチのスマホが登場

 世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2015年2月は、再び世界最薄を更新した厚さ4.7ミリのスマートフォンや、世界初というデュアルタッチ端末、また大容量バッテリー搭載の製品が続々と登場しています。

世界最薄更新、Coolpadから4.7mmの「K1 mini」発表

 Coolpad(宇龍通信)は女性や若者向けの新ブランド「ivvi」の新製品となる「K1 mini」を発表した。本体の厚みは4.7mmとなり、BBKの「Vivo X5 Max」の4.75mmを抜いて、世界最薄を更新している。なお、本体サイズはまだ厚みのみ公表。高さと幅は現時点では不明であるが、ベゼルレス構造で横幅はかなり狭く抑えられている。本体カラーは白で、背面はベビースキンと呼ばれるマットかつ柔らかみを持った仕上げとなっている。スペックはミドルレンジクラスでファッション性を狙った製品という位置づけだ。

 チップセットはSnapdragon 410(1.2GHz、クアッドコア)。ディスプレイは4.7インチで解像度はqHD(960×540ピクセル)。カメラは800万画素でインカメラは500万画素。通信方式は中国移動向けとなるTD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM対応となる。追ってFDD-LTE/W-CDMA対応版も発売予定。価格はRMB1299の予定で4月以降に市場に投入される予定だ。

K1 mini

世界初の「デュアルタッチ」を謳うNoain「M8翻客」

 Noain(深セン市諾亜信高科技集団有限公司)から発表された「M8翻客」は5インチディスプレイ搭載のスマートフォン。本体のカラーバリエーションが白、赤、ゴールド、ミントグリーン、黒と5色あるのが特徴でもある。だが、同社によると「世界初」の機能を搭載しているとのこと。それがデュアルタッチパネル機能だという。製品には専用のフリップカバーが付属、カバー前面は大型の透明窓となっておりカバーをはめたままで本体ディスプレイの全面を操作することができる。しかも透明窓部分はフィルムや樹脂ではなくゴリラガラス3を採用したガラスパネルになっている。スマートフォン本体と変わらないタッチ感覚で操作できることから同社はこれをデュアルタッチと呼んでいる。ゴリラガラスなので割れる心配も少なさそうだ。

 本体ディスプレイは手袋をはめたままでも操作が可能。また省電力機能を搭載し従来製品よりも30%以上の省電力化を実現している。さらには本体は生活防水にも対応しているという。スペックはチップセットがMT6582(1.3GHz、クアッドコア)、5インチHD(1280×720ピクセル)ディスプレイ。カメラは1300万画素+インカメラ500万画素。通信方式はTD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM対応。本体サイズは143×71×7.9mm。価格と発売日は未定とのこと。

M8翻客

Ckcomから指紋認証スマホ「夢想C1」発表

 Ckcom(深セン創聯時代電子商務有限公司)は指紋認証を採用しセキュリティーを高めたスマートフォン「創客 夢想C-One」を発表した。ディスプレイ下に配置したホームボタンが指紋センサーも兼ねており、指先を当てることでロック解除が可能だ。なお指先はiPhoneのようにタッチするのではなく、サムスンのGALAXY S5のように上から下へスライドさせて認識させる模様。このセキュリティーの高さからビジネス市場にも売り込みをかける。そのためか本体背面はカーボン調仕上げと高級感ある処理が行われている。

 性能はディスプレイ解像度がやや低いものの海外市場をも狙いFDD-LTEに対応したモデルを投入する。チップセットはMT6582(スペック不明)、5.5インチ、qHD(960×540ピクセル)ディスプレイ搭載。通信方式はFDD-LTE、W-CDMA、GSM対応(周波数不明)。カメラは1300万画素+500万画素。価格は1299元(約2万5000円)。

創客 夢想C-One

OPPO、コンパクトサイズの高速充電スマホ「OPPO 3000」発売開始

 スタイリッシュなスマートフォンを次々に投入するOPPO(広東欧珀移動通信有限公司)から、今度は小型サイズで高速充電に対応する「OPPO 3000」が発売開始となった。4.7インチとiPhone 6と同じサイズのディスプレイを搭載、しかし機能は満載だ。最大の特徴の高速充電は90分間の充電で2000mAhのバッテリーを満充電可能。これは一般的な充電速度より60%も高速だ。なお、高速充電には付属の5V-2Aの充電器を利用する必要がある。同社のハイエンドモデルにも搭載されているVOOC高速充電技術を採用している。

 カメラは800万画素だが美顔機能などを備えており、500万画素のインカメラでは美しいセルフィーの撮影も可能。赤外線を搭載しており家電リモコンアプリもプリインストールされている。スペックはチップセットがSnapdragon410(1.2GHz、クアッドコア)。ディスプレイは4.7インチ、HD(1280×720ピクセル)。通信方式はデュアルLTE対応で、TD-LTE B41、FDD-LTE B1とB3、W-CDMA、GSM対応。OSはAndroid 4.4を改変したColorOS 2.0.1を採用。サイズは137.6×68.8×8.95mm、126g。価格は1599元(約3万750円)。

OPPO 3000

ホームボタンをダイヤモンドカット状にした女子スマホ「Bird 絶色」発売

 Birdは(寧波波導股フェン有限公司)は若い女性をターゲットとしたパステルカラーのスマートフォン「Bird 絶色」の発売を開始した。ピンク、ミントグリーン、イエローの3色展開で、スマートフォンで一般的なホワイトやブラックモデルは提供されない。電池カバーと本体ディスプレイの縁取りがこのカラーリングとなっており、曲面を多用した本体形状と相まってかわいらしいデザインだ。また、ホームボタンは透明樹脂製だが、ダイヤモンド状のカッティングがされており、宝石のようにも見える。電話やメッセージ着信時にはボタン下部に配置されたライトが光り通知もしてくれるという。

 UIは独自のものを搭載し、パステルカラーを基調としたテーマが数種類用意されている。スペックはチップセットがオクタコアのMT6732(周波数不明)、ディスプレイは4.5インチ、qHD(960×540ピクセル)。カメラは他社ハイエンドモデルに匹敵するメイン1300万画素+インカメラ500万画素。価格は1499元(約2万8830円)。

Bird 絶色

Hisense、BYOD対応のセキュア端末「G610M」発売

 Hisense(海信集団有限公司)はビジネスユーザーをターゲットにした高セキュリティー対応のスマートフォン「G610M」を発売した。データ保護や盗難防止対策が取られており、BYOD(Bring Your Own Device、会社での個人端末利用)でも安全性を高めている。端末内に保存するデータは個別にパスワードをかけられ、パスワード保護されたデータは通常利用時には閲覧することができなくなる。またあらかじめ友人などの携帯電話番号を登録しておくと、端末盗難時にその携帯電話番号の友人の端末から紛失した自分の端末のコントロールが可能になり、端末ロックやデータ全消去などが行える。これら操作はSMSで行えるため、紛失した端末のデータ通信環境がOFFの状態であっても自分のSIMカードが入った状態ならリモートコントロールできるのが特徴だ。

 本体は金属フレームを採用し側面にはネジ状のパーツを配置、背面側は革風のデザインとし高級な文房具のような仕上げとしている。IP54の防水防塵にも対応する。スペックはチップセットがSnapdragon 401(1.2GHz、クアッドコア)。5インチ、HD(1280×720ピクセル)ディスプレイ、通信方式はTD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM900対応。カメラは800万画素+200万画素。OSはAndroid 4.4改変のVision OSを搭載。サイズは144×71.9×9.4mm、146g。価格は1459元(約2万8050円)。

G610M

ASUS、中国電子向け格安スマホにSnapdragon搭載

 台湾のASUS(華碩電腦股フェン有限公司)は世界的ヒットを飛ばしている低価格スマートフォン「ZenFoneシリーズ」の低価格版として、中国市場にはチップセットをMediaTek製に変更した「Pegasus」を中国移動向けに販売している。中国移動向けモデル「ASUS X002」はTD-LTE/TD-SCDMA/GSMに対応。このモデルを中国電信向けとしCDMA対応させた「ASUS_X003」を新たに発売した。この中国電信向けモデルのPegasusは通信方式をCDMA2000とTD-LTE、FDD-LTEに変更しただけではなく、新たにNFCを搭載。そのためチップセットもクアルコムのSnapdragon 410に積み替えている。

 本体デザインはZenFone 5とほぼ同等で、サイズは146×73×9.9mm、140g。チップセットはSnapdragon 410(1.2GHz、クアッドコア)。5インチ、HD(1280×720ピクセル)ディスプレイに、カメラは背面が500万画素、インカメラが200万画素。通信方式は4モードに対応しTD-LTE B41、FDD-LTE B1/B3、CDMA2000、GSMとなる。価格は999元(約1万9200円)。

ASUS X002

1万円を切る低価格4GスマホがTCLから登場

 低価格化が進む中国メーカーのスマートフォンの中でも、日本円で1万円を切る499元(約9560円)のLTE対応スマートフォンが次々に登場している。先月は中小メーカーのXYZ Shoujiから「小宇宙S1」が発売されたが、今月は大手メーカーのTCL Mobile(惠州TCL移動通信)からも499元のLTEスマートフォン「P332U」が発売となった。通信キャリアの中国聯通と提携し2Gユーザーからの乗り換えも視野に入れた製品。OSはAndroid改変のLeWa OSを搭載、簡単UIにも切り替え可能でフィーチャーフォン利用者も難なく利用できるという。また、テーマも複数用意し低価格機ながらもカスタマイズも楽しめる仕様となっている。

 スペックはエントリーモデルレベルで、チップセットはMT6582(1.3GHz、クアッドコア)。ディスプレイは4.5インチ、FWVGA(480×845ピクセル)、カメラも背面が200万、インカメラ30万と低画質だ。メモリもRAM512MB/ROM4GBと最低限を搭載する。通信方式はTD-LTE B41、FDD-LTE B1/B3、W-CDMA、GSM対応。サイズは小さく136.5×66.5×10.3mm。

今月の中華スマホトレンド:大容量バッテリーブームが到来?

 今や各社のスマートフォン性能は横並び状態となっており、どのように差別化を行うか各社が知恵を絞っている。その中でも最近ブームとなりつつあるのが大容量バッテリーを搭載した「デカバ・スマホ」だ。中国メーカーは中小メーカーでも複数モデルをラインナップしており、製品バリエーションの1つに大容量バッテリーを搭載したモデルを加えているところもある。また大手メーカーでも同様に大容量バッテリーを売りにするモデルを増やし始めた。

 Lenovo(聯想集団)の「P70」は4000mAhのバッテリーを搭載し、連続待受は46日(1100時間)、連続通話も37.4時間と脅威的な長さを誇る。データ通信利用も連続8時間可能で、日常的な使い方ならば数日は電池が持つ計算だろう。急速充電にも対応し15分の充電で6時間の利用が可能だ。ビジネスユーザー向けの製品で側面は金属素材、背面はイタリアの牛革風仕上げとしている。スペックはMT6732(1.5GHz、クアッドコア)、5インチ、HD(1280×720ピクセル)ディスプレイ、1300万+500万画素カメラ。TD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM対応。価格は価格は1399元(約2万6870円)。

 一方、家電大手のAUX(奧剋斯集団)は4500mAhバッテリー搭載の「T6200L」を発売した。連続待ち受けは800時間、連続通話は18時間が可能だという。同社はスマートフォン後発だけに、このような特徴ある製品の投入で市場での認知度を上げたい考えだ。なお、他社製品からのデータ移行をBluetoothで簡単に行える「乗り換えアプリ」をプリインストールしているも面白い。スペックはMT6732(1.5GHz、クアッドコア)、ディスプレイは4.5インチFWVGA(480×845ピクセル)、カメラは800万画素+200万画素。TD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM対応で価格は999元(約1万9200円)。

Lenovo P70(左)とAUX T6200L(右)

 さて、実は中国には「デカバ・スマホ専業」メーカーも存在する。それがEton(深セン市億通科技有限公司)だ。同社は「動力王」という愛称で大容量バッテリー搭載スマートフォンを毎月のように発表している。同社の製品ラインナップには3000mAhや4000mAhのバッテリー搭載製品がずらりと並ぶ。しかも自社開発した「FEC高速充電技術」により急速充電にも対応し使い勝手を高めている。

 今月は年配者向けの簡単スマートフォン「動力王P11」を発表したが、この製品も3000mAhバッテリーを搭載、連続待受24日間を可能にしている。この動力王P11はホームボタンの左右に発信ボタンと切断ボタンも備えており、簡単UIと組み合わせればタッチパネルケータイのようにも使えるのが特徴だ。599元(約1万1510円)と低価格ながらもLTEにも対応する。スペックはMT6732(1.3GHz、クアッドコア)、4インチ、800×480ピクセルディスプレイ、TD-LTE B38/B39/B40、TD-SCDMA、GSM対応。カメラは800万画素+130万画素、OSはAndroid 4.4改変のYunOS。

簡単UIも備えるEtonの動力王P11

山根康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。