山根康宏の「言っチャイナよ」

世界初の前後デュアル20Mカメラスマホや7000円台の4Gスマホ

 世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2015年3月は、世界初の2000万画素カメラを前後に搭載したデュアル高画質カメラ端末や、女性を意識した新製品が発表されました。

Lenovoのレモンスマホのファブレット版が登場

 レモンをイメージした鮮やかな黄色いボディーカラーで学生層をターゲットにしたLenovo(聯想集団)の「K3」、そのバリエーションモデルとしてディスプレイを大画面化した「K3 Note」(K50-T)が発売となった。スペックも大きく引き上げられたが価格は1000元以下と低く抑えられている。

 ターゲット層は引き続き学生や20台の若者であり音楽機能も強化。K3同様にWaves AudioのMaxxAudio技術搭載で迫力あるサウンドの再生が可能だ。そして特別パッケージとして背面に振動式スピーカーを搭載したモデルも提供される。

 ディスプレイは5.5インチフルHD(1920×1080ピクセル)。中国の低価格大画面スマートフォンのほとんどが解像度HDのディスプレイを搭載しているが、K3 Noteはより高解像度のものを採用。チップセットは64bit対応のMT6572(1.7GHz、オクタコア)と高速化している。Lenovoの広告によるとベンチマークアプリ「AnTuTu」の計測で45,888のスコアを出すとのこと。通信方式はTD-LTE/FDD-LTE/W-CDMA/TD-SCDMA/GSMの5モードに対応。OSはAndroid 5.0で同社の独自UIであるVIBE UIを搭載する。価格は899元(約1万7220円)。

K3 Note

世界初の前後デュアル2000万画素カメラスマホ

 中国ではセルフィ強化のためフロントカメラの画素数を高めた製品が多く、前後ともに13メガピクセルカメラを搭載したモデルも複数メーカーから発売されている。Xiaolajiao(深セン小辣椒科技有限責任公司)が今月発表した「X7」はそれの上を行く、デュアル2000画素カメラ搭載と言う驚異的な製品だ。ボディも金属製と質感が高い。

 背面のメインカメラはソニー製モジュールを採用、F2.0と明るく画角は80度と広角だ。アメリカArcSoftの技術を採用した夜景撮影モードを搭載しており、夜間であってもフラッシュ不要で美しい写真が撮影できるという。また、フロントカメラは360度の美顔モード対応をうたい、どの角度で顔を撮影しても即座に美顔エフェクトをかけることができる。

 本体は金属フレームボディーに前後をガラスでカバー。背面側もゴリラガラスを採用しているという。独特なダイヤモンドカット模様が背面側のデザインの大きなアクセントにもなっている。チップセットはMT6732(1.5GHz、クアッドコア)、ディスプレイは5.5インチHD(1280×720ピクセル)のサムスン製有機ELパネル、通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSM対応。Android OS 4.4採用。価格は2199元(約4万2110円)。

X7

通信事業者とコラボした7000円台の4Gスマホが販売開始

 通信事業者のChina Unicom(中国聯通)はスマートフォンメーカーのXiaolajiao(深セン小辣椒科技有限責任公司)と協業し「国民機」をキャッチフレーズにした低価格スマートフォン「Hong La Jiao LA2-S」(紅辣椒・任性版)の販売を開始した。同メーカーはすでに「Hong La Jiao」(紅辣椒)スマートフォンを599元(約1万1470円)で販売しているが、仕様の変更とChina Unicom販売とすることで価格を200元引きさげ、LTEスマートフォンながらも399元(約7640円)という超低価格化を実現した。

 なお、事業者販売だがSIMロックはかかっていない。同社のスマートフォンは前述のX7も含め、背面に社名でもある唐辛子のロゴが入っているのがワンポイントになっている。

 チップセットはMarbellの低価格SoCであるPXA1908(1.2GHz、クアッドコア)を採用。ディスプレイは5インチHD(1280×720ピクセル)でカメラは800万画素+200万画素と落としている。メモリもRAM 1GBにROM 8GBと最低限のものを搭載。しかしながら通信方式はTD-LTE/FDD-LTE/W-CDMA/GSMの4モードに対応している。OSはAndroid 4.4。期間限定でChina UnicomのプリペイドSIMも付属。3カ月間音声300分とデータ300MBが無料で利用できる。

Hong La Jiao LA2-S

Huawei Mate7をライバルにしたGuomiのA7

 Guomi(深セン市果米科技有限公司)は金属ボディに狭額縁ディスプレイを搭載したファブレット「A7」を発表した。指紋センサーも搭載しビジネスユーザーもターゲットにしている。だが本体のデザインや壁紙のイメージなどは完全にHuaweiの「Mate7」(日本版は「Ascend Mate7」)を意識。プレス写真を見る限りでは壁紙はほぼ同じものを採用しているように見える。アイコンの形状もかなりそっくりだ。

 A7の指紋認証センサーもMate7に倣い、背面のメインカメラ下部に配置されている。とはいえ360度どの方向からも指紋を認識するMate7と同等のセンサーではなく、指先タッチではなく上下にスライドする方式のものを搭載。指先は5本まで登録可能で、1秒で認識するとのことだ。その他の機能は特に目立ったものは無く、デュアルSIMカード対応でそれぞれのSIMごとに2つのソーシャルサービス「WeChat」のアカウントを登録できるくらいが目立ったものか。日本でいえばSIMを2枚入れ、それぞれ個別にLINEのアカウントを同時に利用できるような機能だ。

 チップセットはMT6732(1.5GHz、クアッドコア)、ディスプレイサイズは5.5インチのHD(1280×720ピクセル)。通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSMに対応。OSはAndroid 4.4。本体サイズは149.9×76.5×9.47mmで、6インチのHuawei Mate7の7.9mmより大幅に厚みがある。Mate7に勝てるのは価格が998元(約1万9120円)と安いことくらいだろうか。

A7

Newmanはデザインを考えた指紋認証スマホを投入

 Newman(北京紐曼公司)からも本体背面に指紋認証センサーを搭載したスマートフォン「CM810」が発表された。センサーはHuaweiのMate7と同等のものを採用。360度どの方向からも認証できるようセンサー部分は丸い形状となっている。しかもこのセンサーを背面左上の円形カメラの下に配置したデザインはなかなか優れている。人差し指を当てる場所としてもこの位置は使いやすそうである。指紋認証は本体ロック解除だけではなく中国のモバイルペイメントにも対応、本人認証としても利用できる。

 バッテリーは3060mAhの大容量のものを搭載。30分で50%、60分で90%まで充電できる急速充電にも対応する。主なスペックはチップセットがSnapdragon 615(1.5GHz、オクタコア)、ディスプレイは5.5インチフルHD(1920×1080ピクセル)、通信方式はTD-LTE/FDD-LTE/W-CDMA/TD-SCDMA/GSM対応。OSはAndroid改変のAribabaによるYunOSを搭載する。価格は1199元(約2万2970円)。

CM810

Xiaomi、イメージを大きく変えるピンクの「Mi Note」

 Xiaomi(北京小米科技有限責任公司)はフラッグシップモデルの「Mi Note」にボディカラーをピンクにしたカラーバリエーションモデル「Mi Note女神版」を登場させた。スペックはMi Noteと同一でSnapdargon 801(2.5GHz、クアッドコア)、5.7インチのフルHD(1920×1080ピクセル)ディスプレイを搭載する。通信方式はTD-LTE/FDD-LTE/TD-SCDMA/W-CDMA/GSM対応。OSはAndroid OS 4.4改変のMIUI 6を搭載。

 本体は金属フレーム部分も淡いピンク色としている。背面ももちろんピンク色に仕上げているが、細かい真珠の粉をまぶした仕上げとし光の当たり具合によりきらきらと光る効果を出している。初回限定5000台は限定パッケージ品として販売。Xiaomiの製品は質素なクラフト紙の箱に入れて販売されているが、この限定品は女性向けのアクセサリーが入っているかのようなピンク色の箱に入れられて販売される。

 また、パッケージ内には同社の5000mAhの薄型モバイルバッテリーも付属。さらには製品1台あたり50元(約960)が乳がん関連の基金に募金されるとのこと。価格は2499元(約4万7840円)と標準モデルより200元ほど高い。

Mi Note女神版

4.8カラットの宝石をちりばめた「オーロラ・ダイヤモンド」スマホ

 EBEST(中国)公司は本体の側面に人工宝石をちりばめた高級感あふれるスマートフォン「オーロラ・ダイヤモンド」を発表した。宝石は側面に1列に配置され、SIMスロット部分を除く全周部分に127個を埋め込んでいる。その総重量は4.8カラットとかなりのものだ。

 ターゲットはもちろん女性、そのためセルフィ機能も大きく強化されている。「チーズ」など声をだすだけでシャッターが切れるリモートシャッターに加え、まゆ毛や目の周りに50種類以上もの効果を自在にかけられる美顔エフェクトも搭載。画面ロック時に指先で画面上をスワイプすると光の軌跡が表示されるなど、ついつい端末を触りたくなってしまう効果も用意されている。

 スペックはチップセットがMT6752(1.7GHz、オクタコア)、ディスプレイは5インチHD(1280×720ピクセル)、通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSMに対応。Android OS 4.4。従来品より2.5倍速いという急速充電機能も搭載する。価格はまだ未定で、4月時点でもまだ発売にはなっていない。

オーロラ・ダイヤモンド

山根康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。