山根康宏の「言っチャイナよ」

新興メーカーがハイスペックスマホを3機種発表

血糖値測定スマホも登場

 世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2015年4月は2Kディスプレイに4GBメモリ搭載のハイスペック端末や世界初と言う血糖値測定に対応した製品が発表されました。

LeTV、2Kディスプレイモデルなど3製品を一気に発表

Le Max
Le1 Pro(左)とLe1(右)

 IPTVサービスを提供するLeTV(楽視)はハイスペック製品を含むスマートフォン3モデル「Le Max」「Le 1 Pro」「Le1」を発表した。ベゼルレスの狭額縁ディスプレイを採用。上位モデル2機種は解像度が2560×1440ピクセル、4GBのメモリーを搭載する。そして3モデルともUSB Type-Cコネクターを採用するなどスマートフォンに初参入するメーカーとしては意欲的な製品だ。OSはAndroid 5.0改変のEUI。通信方式はFDD-LTE B1/B3/B7、TD-LTE B38/B39/B40/B41、TD-SCDMA、W-CDMA、GSMに対応。上位2モデルのみTD-SCDMAの代わりにCDMA EV-DO搭載モデル(中国電信向け)も投入される。

 最上位モデルのLe MaxはSnapdragon 810、6.33インチ、2560×1440ピクセルのディスプレイ、メモリーが4GB、ストレージが64GBまたは128GB、2100万画素カメラ+フロント400万画素カメラ。サイズは167.1×83.5×8.95mm、204g。価格は64GB版が3599元(約7万2060円)、128GB版は未発売。

 Le1 ProはSnapdragon 810、5.5インチ、2560×1440ピクセルのディスプレイ、メモリーが4GB、ストレージが32GBまたは64GB、1300万画素カメラ+フロント400万画素カメラ。サイズは147.9×73.5×9.5mm、177g。価格は32GB版が2499元(約5万40円)、64GB版が2699元(約5万4040円)。

 最下位モデルのLe1はLe1 Proと同じ5.5インチディスプレイ搭載ながら解像度は1920×1080ピクセル、MediaTekのHelio X10 2.2GHz、メモリーが3GB、ストレージが16GB/32GB/64GBの3タイプ。カメラは1300万画素+フロント500万画素。サイズは147.8×74.2×9.5mm、170g。価格は16GB版が1499元(約3万10円)、32GB版が1599元(約3万2010円)、64GB版が1799元(約3万6020円)。

 なお、いずれもLeTVのIPTVサービスを契約すると、価格が割引となる。割引金額は1年当たり300元(約6000円)。例えばLeTVに3年契約しLe1の16GBモデルを購入する場合、端末価格は1499-(300×4)=299元(約6000円)となる。

女子セルフィースマホのMeituがLTEに対応

M4

 前後1300万画素カメラを搭載するMeitu(美図公司)のスマートフォンの最新モデル「M4」が登場した。2014年4月登場の前モデル「M2」と基本スペックや本体形状は同等。M2は3Gモデルだったが、M4はチップセットを最新のものとし、ようやくLTEに対応となった。本体カラーはビビッドなピンク、爽やかなミントグリーン、精粋なホワイトに加え、ハローキティのイラスト版も用意される。なお、広告にはアジア圏で人気のアンジェラ・ベイビーを引き続き採用。

 チップセットはMediaTekのMT6752(1.7GHz、オクタコア)、4.7インチ、1280×720ピクセルのディスプレイ、メモリーが2GB、ストレージが32GB、カメラは前後とも1300万画素。美顔モードなど、女性のセルフィーに特化したカメラアプリを搭載している。OSはAndroid 4.4改変のMEIOS2。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSM。サイズは147.5×66.2×8.99mm。価格は2199元(約4万4030円)、ハローキティ版のみ2499元(約5万40円)となる。

世界初の血糖値測定スマホが登場

H1

 中国家電大手の長虹(四川長虹電子集団有限公司)は血糖値などを測定できる「H1」を発表した。スマートフォンで同機能を搭載した製品は世界初だという。H1は本体の側面右下に市販の血糖値測定器で利用される試験紙用のスロットを備える。内部のセンサーと同社が開発したチップセットを使い血糖値、血中脂質、血中コレステロールの3つのデータをアプリ上で確認できる。データはクラウドへ保存し医者からのアドバイスを受けることもできる。

 スペックは5インチ、1280×720ピクセルのディスプレイ、メモリーが2GB、ストレージが16GB、800万画素カメラ+フロント200万画素カメラ。バッテリーは3000mAhだが同社開発のSuper-Power機能により3日間の連続利用が可能だという。通信方式はTD-LTE、FDD-LTEなどに対応。発売は5月末を予定、価格は未定。

新メーカーが高デザインスマホで市場参入

Chonzi L1

 山東榮安電子科技有限公司は「虫子(Chongzi)」ブランドで中国スマートフォン市場に参入を開始。最初の製品となる「Chonzi L1」が発表された。デザインに大きな特徴を持っており、本体の上部と下部は曲面を描いた形状でエレガントなイメージ。また、背面には「虫」の漢字をイメージしたロゴマークも搭載している。その背面は革調の表面仕上げで高級感も出している。中国3事業者のLTEに完全対応し、1モデルで3社をカバーする。

 スペックはチップセットがSnapdragon 615(1.5GHz、オクタコア)、ディスプレイは5.5インチ、1920×1080ピクセルで表面はゴリラガラス3でカバー。メモリーは2GB、ストレージは16/32/64GBの3モデル。カメラは1300万画素+フロント500万画素。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、W-CDMA、CDMA2000、GSM。サイズは162×77.6×8.8mm。価格は未定で、現在はオンラインで予約を受け付け中。予約者は200元(約4000円)の割引を受けられる。

ZTE、背面ボタンで使いやすい低価格スマホ投入

小鮮2

 ZTEは低価格ながら高画質カメラを搭載したスマートフォン「小鮮2」を発表した。本体のカラーバリエーションも豊富で、1990年代生まれの若い世代をターゲットにしている。本体の背面、カメラの下には円形のボタンを配置。このボタンはカメラ利用時にシャッターになりセルフィーも簡単に撮れる。また着信時に電話を受けることも可能だ。よく使うアプリを登録すれば、ボタンひとつで起動もできる。さらには電源ボタンと背面ボタンを同時に押すと即座にスクリーンのキャプチャも撮れ、ソーシャルサービスなどでシェアも簡単だ。

 本体はオーソドックスな白に加え、鮮やかな赤や黄色、そしてピンクやミントブルーなど7色のカラバリを揃える。スペックは、チップセットにMT6735(1.3GHz、クアッドコア)、メモリーが1GB、ストレージが8GB。カメラは1300万画素+フロント500万画素で、自動美顔モードや背景削除などカメラアプリは高度な機能を備える。OSはAndroid 5.0。通信方式はTD-LTEとFDD-LTE、CDMA2000とGSM。価格は599元(約1万1990円)。

目の健康を考えたSeephoneスマホ

Noain X1

 Noain(深セン市諾亜信高科技集団有限公司)は有機ELディスプレイの特性を生かしたスマートフォンを発表。「Noain X1」は本体背面にSeephoneのロゴを入れ、目の健康への優しさをアピールしている。メニューなどのUIは黒いバックに白い文字表示。有機ELディスプレイは黒表示は無点灯状態となるが、一般的な液晶は背面からのバックライトを遮断して黒表示をしている。そのためX1の黒色UIは光の漏れも無くはっきりとした表示で見やすいという。

 また、電源まわりも強化されている。高速充電に対応し、25分間で0%から75%までの充電が可能。ディスプレイも有機EL採用により液晶よりも60%省電力化されたという。通話は連続2.9時間、ネット接続は連続4.3時間が可能だ。

 スペックは、チップセットがMT6752(1.7GHz、オクタコア)、5インチ、1280×720ピクセルのディスプレイ、メモリーが2GB、ストレージが16GB、1300万画素カメラ+フロント800万画素カメラ。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSM。赤外線を搭載し家電のコントロールもできる。サイズは143×70×7.05mm。価格は1699元(約3万4020円)。

TCLから90日待受け可能な「継航」が登場

P618L

 TCL集団は5000mAhの大容量電池を搭載した長時間駆動スマートフォン「P618L」を発表した。愛称は「継航」、一般的な他社の同等スマートフォンの約3倍の電池の持ちを実現している。

 電池そのものも高容量化が図られており、同じ物理サイズの電池より20%の高容量化を果たしている。理論上の待受時間は実に90日とのこと。また、高速充電に対応し30分間で1000mAhの充電が可能。さらにはOTGケーブルを使えば内蔵電池から他のスマートフォンなどを充電できる、モバイルバッテリー機能も備える。

 スペックは、チップセットがSnapdragon 410(1.2GHz、クアッドコア)、ディスプレイは5インチ、1280×720ピクセル、メモリーが1GB、ストレージが8GB、1300万画素カメラ+フロント500万画素カメラ。TD-LTE、FDD-LTE、CDMA2000、GSM対応。サイズは145×71.2×9.15mm、160g。価格は1690元(約3万3840円)

山根康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。