山根康宏の「言っチャイナよ」

Meizuからフラッグシップスマホが登場

 世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2015年6月は中国スマートフォンメーカーの顔でもあるMeizuから2モデルが登場、また抗菌仕上げの端末や低価格モデルが発売になっています。

Meizu、1年ぶりのフラッグシップモデル「MX5」発表

MX5

 Meizu(珠海市魅族科技有限公司)はフラッグシップモデルの新機種「MX5」を発表した。同社は例年9月頭に新モデルを発表してきたが、2015年は約2カ月早い6月末の発表となった。昨年発売の「MX4」はXiaomiのフラッグシップモデル「Mi4」を大きく超える性能で話題になったが、このMX5も再び中国国内で注目を集めている。

 ディスプレイサイズは5.5インチとワンサイズ大きくなり、有機ELへと変更。一方では従来からの15:9のアスペクト比を変更し、一般的な16:9としたことから解像度はMX4の1152×1920ピクセルからフルHDの1080×1920とダウンしたのは残念なところ。とはいえmTouch 2.0と呼ぶ指紋認証センサーを備えたホームボタンを搭載するなど機能は強化されている。ボディーも完全な金属筐体となった。

 チップセットはMediatekの最新モデルであるHelio X10 MT6795(2.2GHz、オクタコア)。メモリーは3GB、ストレージは16GB/32GB/64GBの3タイプを用意。OSはAndroid 5.0改変のFlyme OS 4.5。SIMトレイは1つでナノSIMカードを2枚同時に装着できる。通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSM版とTD-LTE/FDD-LTE/W-CDMA/GSM版の2モデル。カメラは背面が2000万画素、フロントが500万画素。本体サイズは149.9×74.7×7.6mm、149g。価格は16GB版が1799元(約3万6000円)、32GB版が1999元(約4万円)、64GB版が2399元(約4万8000円)。

Meizu、低価格ファブレットの後継機を値下げして投入

m2 Note

 MeizuはMX5の発表に先立ち、5.5インチディスプレイを搭載したファブレットサイズの「m2 Note」も発表した。2014年12月末にアナウンスされ大ヒットとなった「m1 Note」の後継モデルとなる。

 本体のカラーバリエーションはm1 Noteの白/黄/緑/水色/ピンクの5色に対し、白/グレイ/水色/ピンクと変更。また、水色とピンクは若干落ち着いた色合いとなっている。m1 Noteは当初若年層をターゲットにしていたが、販売後は年齢層を問わず人気となったことからm2 Noteではこのような色合いにしたようだ。

 基本性能はm1 Noteとほぼ同等。チップセットは64bitのMT6753(1.3GHz、オクタコア)、メモリーは2GB、ストレージは16GB/32GBの2モデル。OSはAndroid 5.0改変のFlyme OS 4.5。SIMトレイはナノSIMを1枚ととマイクロSDまたはマイクロSIMを装着できる。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSM、CDMA2000から4通りの組み合わせで4モデルが用意される。カメラは1300万画素、フロントは500万画素。本体サイズは150.9×75.2×8.7mm、149g。価格はm1 Noteより200元引き下げられ、16GB版は799元(約1万6000円)、32GB版は999元(約2万円)。

抗菌ボディを謳う「S9 Pro」が出資を募集

S9 Pro

 広州市索愛数碼科技有限公司は抗菌対応ボディの「S9 Pro」を中国B2C大手のJD.comのクラウドファンディングを使い出資の募集を開始した。曲面を描いたディスプレイに金属製のボディの組み合わせは他社のフラッグシップモデルと同等の性能を有するという。本体の素材には銀が含まれており抗菌効果を有しているとのこと。銀含有については公的機関の証明書も取っているとのことだ。

 スペックはまだ一部のみが公開されている。チップセットはMT6582(周波数非公開、クアッドコア)、メモリーが2GB、ストレージが16GB、カメラは1300万画素+フロント500万画素。通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSMと中国国内専用機となる。価格は1199元(約2万4000円)の出資から。出資は8月8日に締め切りとなるがすでに募集金額の20万元(約400万円)に達しており、2015年7月から量産が開始される予定。

ワイヤレス充電可能なアウトドアスマホ「RG710」

RG710

 防水防塵と耐衝撃性を備えたアウトドアユースにも適したスマートフォンをRugGerブランドで販売する深セン市宝爾愛迪科技有限公司は、ステンレス鋼材で耐久性を高めた「RG710」を発表した。

 1.2メートルの高さから落下させても動作には問題ないという。すべり止め加工された本体は防水端末でありがちな黄色いカラーリングではなく、マットな黒色仕上げで高級感もある。側面にはカスタマイズ可能なアプリ起動ボタンを備え、よく使うアプリをすぐに利用できる。そしてQi方式のワイヤレス充電に対応しておりケーブルを接続しなくても充電可能、屋外や悪環境下でも安心して充電ができる。

 チップセットはMT6852(1.2GHz、クアッドコア)、メモリーは1GB、ストレージは8GB。通信方式は4G非対応で、W-CDMAとGSMに対応。SIMカードはデュアルスロットでマイクロSIMとミニSIMに対応。ディスプレイは5インチHD。カメラは1300万画素+フロント500万画素。IP66の防水防塵性能を有する。本体サイズは156×82×14mm。価格は2250元(約4万5000円)。

小辣椒のデカバスマホはシャオミとの決別か

小辣椒9

 Xiaolajiao(深セン小辣椒科技有限責任公司)といえばXiaomi(シャオミ)をインスパイアした製品を多数出していることでも知られているが、Xiaomiには無い大容量バッテリーを搭載したスマートフォンを発売した。それが「小辣椒9」である。バッテリーは4700mAhで約2週間の待受が可能。また、OTGケーブルを利用し他のスマートフォンなどを充電することもできる。急速充電にも対応し2.5時間で満充電が可能だ。

 チップセットはMT6735(1.0GHz、オクタコア)、メモリーは2GB、ストレージは16GB。デュアルSIMカード(サイズ不明)対応で、通信方式はTD-LTE/TD-SCDMA/GSM。ディスプレイは5インチHD。カメラは1300万画素、フロント500万画素。本体サイズは144.8×71×10.6mm。ようやくXiaomiの後追いをやめた製品といえるが、ソフトキーのホームボタンはZTEの別ブランド、Nubiaの赤いものと類似しておりオリジナリティはなかなか出せていない。価格は1499元(約3万円)。

格安な約8000円のデュアル3Gスマホが登場

小可楽

 搭載メモリーの容量別に1GBモデルが399元(約8000円)、2GBモデルが499元(約1万円)という格安なスマートフォンを北京雲辰科技有限公司が発売した。同社はDakele(大可楽)ブランドでスマートフォンを販売しているが、この低価格モデルには「小さい大可楽」の意味から「小可楽」(Xiaokele)という名前が付けられている。

 価格が安い分4Gには非対応だが、3GはW-CDMAとTD-SCDMAのデュアル方式に対応しており海外での利用も可能だ。また、カラフルな5色の電池カバーを別売し、自分好みに着せ替えもできる。ただし、カバーの価格は49元(約980円)と本体価格に対して割高なのが気になるところ。本体が安い分、カバーで利益を上げようという考えも見え隠れする。

 チップセットはMT6582(1.3GHz、クアッドコア)、メモリーとストレージは1GB RAM/8GB ROMまたは2GB RAM/16GB ROM。マイクロSIM×2のデュアルSIM仕様。ディスプレイは5インチHD、カメラは800万画素+フロント500万画素で価格の割には画質が高い。本体サイズは142×72×7.2mm、148g。なお、OSにはAndroid改変のKele UIを採用している。

ベゼルを狭めた大画面スマホ「S7」

S7

 新興メーカーのHosan(豪訊技術有限公司)は、前面のディスプレイ面積比率が86%と広い「S7」を発売した。左右のベゼル幅は2mmと狭く、上下方向も限界までディスプレイが位置している。ボディは金属製で金と銀に加え、青色も用意されているのは珍しい。本体の美しい仕上げも製品の特長の一つとなっている。OSもAndroidを改変したHaoUI(HUI)を採用、多数のテーマや独自のアプリストアの融合など使い勝手を増している。

 チップセットはMT6752(2GHz、オクタコア)、メモリーとストレージは2GB RAM/16GB ROMまたは3GB RAM/16GB ROM。ナノSIM+マイクロSIMのデュアルSIM対応。通信方式はTD-LTE/FDD-LTE/TD-SCDMA/W-CDMA/GSM。5.5インチフルHDディスプレイ。カメラは1300万画素、フロント側は500万画素。本体サイズは148.3×75.1×7.3mm、151g。価格は2GB RAMモデルが1999元(約4万円)。

山根康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。