第426回:デジタルフォトフレーム とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「デジタルフォトフレーム」とは、その名の通り、写真表示に特化したディスプレイ装置です。JPEGやGIFなど、デジタルカメラや携帯電話で撮影したデジタル画像、あるいはオンラインや有料で配布されている画像ファイルなどを表示できる機器です。名称は、デジタル画像の写真立てという意味の“Digital Photo Frame”から来ています。

 形状は、紙に印画した写真を入れて飾る額縁や写真立てに似せた形状になっていることが多く、写真を入れる部分が液晶ディスプレイになっていて、デジタルの画像を表示できます。大きさは、L判サイズの写真と同程度の液晶ディスプレイを持つものから、壁掛けでの鑑賞に適した12インチ程度のものまで、さまざまな製品があります。

 データの入力方法としては、内蔵メモリやメモリカードスロットなどを搭載し、それらのメモリに入っている写真データを表示するのが一般的です。メモリカードとしてはSD/SDHCカードやMMCなどがよく使われています。

 紙の写真と違い、メモリカードに複数の写真データが入っていた場合、それらを一定の時間間隔で次々に表示する「スライドショー」機能などがあるのが特徴的な機能と言えるでしょう。

 デジタルカメラで撮影した画像を撮影者以外が見るには、一度印刷したり、メールで送ったり、Webサイト上で公開したりするという方法があります。しかし、デジタルフォトフレームを使えば、いつでも好みの写真を表示して飾れるようになります。「1枚だけを選んで飾る」という通常の写真立てとは異なり、スライドショー機能などを使うことで、何枚でも次々に表示できるようになったわけです。

 このような製品は国内では、ソニー、三洋といった家電メーカーの他に、トランセンド、コダックといった海外メーカー、ケンコーのようなカメラ用品メーカーなどが販売しています。

通信機能を備えた製品も

ソフトバンクのHW001

 デジタルフォトフレームは、シンプルな写真表示機能だけではなく、それ以外の機能を持つものが多くあるのが特徴です。たとえば、時計表示やカレンダー表示が同時に可能な機種があります。

 あるいは、液晶ディスプレイ以外の出力機能が利用できるようになっているケースもよくあります。もっとも多いのはスピーカーを内蔵するもので、音楽や音声を写真と同時に再生できるというものです。あるいは、テレビ出力機能を搭載して、デジタルフォトフレーム内の写真をテレビで楽しめる機種もあります。

 また、通信機能を備えたデジタルフォトフレームもあります。無線LAN対応の機種では、家庭内の無線LANに接続して利用しますし、NTTドコモやソフトバンクモバイルからは、携帯電話と同じ3G通信モジュールを内蔵するデジタルフォトフレームが提供されます。

 たとえば、ソフトバンクが6月12日から発売している通信機能つきデジタルフォトフレーム「PhotoVision SoftBank HW001」では、携帯電話回線での通信が可能になっています。ただし、通話ができるわけではなく、携帯電話のデータ通信網を使います。

こちらはドコモの「お便りフォトパネル『フォトパネル01』」

 「HW001」は、約384MBのメモリを内蔵していて、フォトフレーム専用のメールアドレス宛に、ソフトバンクモバイルかディズニーモバイルの携帯電話から写真付きメールを送ると、「HW001」に写真を表示できます。また、このフォトフレームに写真を表示することが可能です。

 またNTTドコモでは7月1日より「お便りフォトパネル『フォトパネル01』」の販売と、同製品を利用するための通信サービス「お便りフォトサービス」を提供します。同製品・サービスを契約すると、携帯電話やパソコンなどから写真付きメールを送信すれば「お便りフォトパネル」上で写真が表示できます。

 これらの製品は、離れた場所に設置したデジタルフォトフレームに対して、パソコンや携帯電話を使って、デジタル画像をそのまま送信して表示できます。通信環境が充実してきた昨今だからこそ登場した製品と言えるでしょう。



(大和 哲)

2009/6/23 13:00