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第429回:Milbeaut Mobile とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


F-08A

 「Milbeaut Mobile」(ミルビュー・モバイル)は、富士通や富士通マイクロエレクトロニクスが開発し、携帯電話メーカー向けに提供している画像処理ソリューションLSI(集積回路)です。携帯電話内蔵のデジタルカメラ用に作られたLSIで、携帯電話内で画像処理エンジンとして働きます。

 Milbeautシリーズは、2000年にM-1シリーズが発表されて以来、デジタル一眼レフカメラ〜コンパクトカメラまで、多くのデジタルカメラ製品に採用されている画像処理LSIです。世界中で多くのシェアを誇り、他ブランド名で採用されているケースもあります。

 今回紹介する「Milbeaut Mobile」シリーズは、このMilbeautシリーズを携帯機器向けにしたものです。Milbeautシリーズを採用したデジタルカメラと同じアルゴリズムを使用した画像処理などを携帯機器に搭載できます。

 国内の携帯電話では、富士通製のFOMA端末「F904i」から採用されており、同社の最新機種である「F-08A」「F-09A」にも採用されています。


デジタルカメラの画像処理などを担う

 デジタルカメラは、フィルムを使うカメラと違い、さまざまなデジタル信号処理を行います。

 たとえば、光を受けて画像をデジタル信号化しますが、データにはさまざまなノイズが乗っており、そのまま使えるわけではありません。典型的なものとしては、画素が互いに干渉し実際には存在しない模様が発生する「折り返しノイズ」、色にムラなどができる「色ノイズ」などが発生します。デジタルカメラが風景や人物、物などを記録する“カメラ”であるためには、このようなノイズを除去して、“絵”として見られる画像にしなければなりません。

 また、イメージセンサーから受けた信号は、液晶画面に表示したりメモリカードに記録したりするために、処理に適した形に整形したり、場合によっては圧縮、展開する必要があります。

 このような画像を作り出し、加工する処理のことは「画像処理」と呼ばれており、デジタルカメラの内部で画像処理を行っている部品が“画像処理LSI”なのです。

 ちなみにデジタルカメラでは、電力管理や、内蔵メモリ・メモリカードの制御、撮影画像データの読み書き、液晶ディスプレイ表示などのデジタル処理が行われますので、これらの制御も画像処理LSIが担当することが一般的とされています。機種によってはHDTVインターフェイス、HDMIインターフェイスといったAV機器との接続を受け持つインターフェイス、USB2.0機能なども制御できる画像処理LSIもあります。いわば、デジタルカメラ内蔵コンピュータが持つ働きの重要な部分を、このようなLSIが受け持っているわけです。

 携帯電話の場合は、画像処理LSIとは別に、メモリの管理や電源管理などを受け持つシステムLSIが内蔵されています。そこで、携帯電話に搭載される画像処理LSIでは、これらの機能を削除し、メインCPUを助ける画像処理デバイスとして、小型化されて搭載されます。

「美肌」なども画像処理LSIの機能を使って実現

 デジタルカメラでは撮影した画像からノイズを除去し、デジタルデータとして残すために画像処理LSIが搭載されているのですが、携帯電話でも同様の働きをしています。

 Milbeaut Mobileシリーズでは、デジタルカメラ用の画像処理アルゴリズムと同様のアルゴリズムを使用して画像処理LSIが作られています。Milbeautシリーズでは、世代別に、M-2、M-3、M-4と名付けられたアルゴリズムが採用されてきました。

 具体的には、M-2ではエッジ強調、欠陥画素補正、M-3では画素ごとのゲイン補正機能、シェーディング・Vライン補正、M-4ではノイズ・モアレの低減、手振れアシスト機能、色変換機能などが改良されてきています。

 Milbeaut Mobileシリーズでもこれらのアルゴリズムを受け継いでいます。M-4アルゴリズムに対応したMilbeaut Mobile「M-4MO(MB91688)」では、M-4アルゴリズムによってサポートされた、色変換機能を搭載しています。

 最近の携帯電話のカメラ機能では、被写体の肌の色を最適な明るさに調整する機能が搭載されているものがあります。このような機能は、画像処理アルゴリズムによって実現されています。撮影するシーンに応じて自動的に最適な画質調整が可能な自動シーン認識、被写体が笑顔になると、自動的にシャッターが切れるスマイルファインダー機能など撮影補助機能なども画像処理LSIの機能を使って実現されています。

 



(大和 哲)

2009/7/14 12:26


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