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第459回:EPUBとは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「EPUB」は、電子書籍のフォーマットの1つです。「epub」、「ePub」、「.epub」などと表記されることもあります。

 パソコンや携帯電話、専用のビューアーで閲覧する電子書籍では、多くの出版社が利用できるオープンなフォーマットが望まれています。電子書籍は、さまざまなデバイスで利用されるため、画面のサイズを変え、1画面あたりの文字数を変えても、禁則処理や、英語などの場合は折り返し(ワードラップ)、左右の表示マージンなどを変えられることが理想です。

ACCESSがEPUBによるコンテンツ試験配信を行っている「世界の図書館から」。海外の電子書籍のうち一部を携帯電話で閲覧できる

 EPUBは、そのような状況を考慮して、米国の電子書籍の規格の標準化団体の1つ、「idpf」(International Digital Publishing Forum、国際デジタル出版フォーラム。旧名Open eBook Forum)が策定し、普及促進活動を行っている規格です。オンライン、あるいはダウンロードしてオフラインで利用することも想定されています。

 EPUB形式の電子書籍データは、2010年現在、さまざまなサイトやデバイスで使われています。たとえば、2009年8月には、グーグルがインターネットの書籍検索サービス「Google ブック検索」で、全文提供が可能な書籍で使える「データダウンロード」の電子書籍データについて、PDF形式だけでなく、EPUB形式でも提供すると発表しました。

 最近、海外を中心に話題となっている電子ブックリーダーでは、ソニーが同社のブックリーダーなどで採用してきた「BBeB」という独自形式に代わり、このEPUB形式を採用することを発表するなど、多くのデバイスが採用しはじめています。ただしAmazonの「Kindle」は採用していません。

 携帯電話では、1月からACCESSが、EPUBに準拠したコンテンツを配信する、期間限定サイト「世界の図書館から」を4月末まで無償で提供しています。同サイトは、iモード・EZweb・Yahoo!ケータイからアクセスでき、電子書籍ライブラリとして知られる「プロジェクト・グーテンベルク」が公開している、海外の著作物約100冊を閲覧できます。

オープンな電子書籍フォーマット、構造はXML

 EPUBのほかにも電子書籍フォーマットとしては、すでにいくつかの独自規格が存在します。先述したように、ソニー製ブックリーダー「LIBRIe(リブリエ)」で採用されていた「BBeB」、イーブックジャパン(eBookJapan)が利用している「EBI.J」、Adobeの「eBook」などです。これらと比べ、EPUBはオープンな規格という特徴があります。

 EPUB規格は、電子書籍を表示するための標準規格構造を定義する「OPS」(Open Publication Structure)、電子書籍の結びつきに意味を持たせるメカニズム「OPF」(Open Packaging Format)、電子書籍コンテンツの中身の圧縮ファイルの配置方法などを定めた「OCF」(Open Container Format)と、3つのオープンスタンダードな規格から構成されています。このうち「OPS」は、1999年に公開され、かつて「OEB」と呼ばれていたオープンな電子書籍フォーマットが前身です。

 EPUB自体は、さまざまなデバイスでの互換性を保証するため、暗号化の仕組みなどは持っていません。そのため、出版社は、複数のデバイス向けでも、ファイル1つを提供すればよいというメリットがあります。ただし、著作権保護管理などを行いたい場合は、別途、DRMの仕組みを利用する必要があります。

 ちなみに、EPUBのファイル拡張子は「.epub」です。内容を見ると、非常に平易な構造をしていて、簡単に言えば目次などを示すいくつかのXMLファイルと、XHTMLで書かれた本文をZIP形式で圧縮し、1つにまとめたものです。

 ですので、その気になれば、パソコン上でテキストエディタとZIP圧縮ツールを使うと、誰でもEPUB形式の書籍データを作成できます。また電子書籍エディタと呼ばれるジャンルのソフトウェアも存在します。ただ、2010年3月時点で、日本語対応のものはないようで、英語などの言語では、こういったソフトウェアを使って電子書籍データを作成できます。電子書籍エディタとしては、オープンソースの「Sigil」などが有名です。

 



(大和 哲)

2010/3/16 12:18