第464回:iBooks とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


iPad

 「iBooks」は、アップル製のタブレットコンピュータ「iPad」で、電子書籍を購入して、それを読めるアプリケーションとサービスの名称です。「iPad」本体内にダウンロードした電子書籍データを、本のようにページで表示し、ページをめくって読んでいけます。コンピュータの音声で読み上げる機能も用意されています。

 アプリケーションは、App Storeからダウンロードしてインストールすれば利用できます。同社製のスマートフォンである「iPhone」、および携帯音楽プレーヤー「iPod Touch」向けの「iBooks」も、今夏リリース予定の「iPhone OS 4」でリリースされる予定になっています。

 電子書籍データの形式(フォーマット)としては、EPUB形式に対応しています。「iBooks」をiPadにインストールすると、無料の「Winnie the Pooh」(著:A.A.ミルン)の電子書籍データが同梱されているほか、「iBookstore」サイトから電子書籍データを購入・ダウンロードすることが可能です。

 ただし、iBookstoreは、2010年4月現在、米国内のiPadユーザーのみ利用できます。

 ちなみにEPUB形式は、米国の標準化団体によって策定された電子書籍のフォーマットの1つです。なお、iBooksでは、印刷物の代わりによく利用されているPDF形式のデータなどを表示できません。

 iBookstoreでは、2010年4月現在、Penguin、HarperCollins、Simon & Schuster、Macmillan、Hachette Book Groupといった海外の大手出版社や、独立系出版社などの提供する電子書籍データを扱っています。また、有料の電子書籍データは、何ページかのサンプルページを読むことができます。

 iBookstoreが扱う電子書籍データは、DRM(デジタル著作権保護)技術としてアップルの技術であるFairPlayが利用されています。

書籍データはダウンロードで、表示はカスタマイズも可能

米国からのみ利用できる「iBooks」(これはiTunes Storeの画面)

 iBooksのメリットは、データをダウンロードしておけば、iPadでいつでも本を読めること、またiPadの「ミュージック」「ビデオ」などと共通の操作で電子書籍を扱うことができることなどが挙げられるでしょう。

 ダウンロードしたデータは、iPad内の「bookshelf」(書棚)に、書誌名、著者名、出版社がつけたジャンル名が一覧で表示され、ここから選んで読めます。

 ジャンル名は出版社が自由につけられるとされており、一般的でないジャンル名が記載されていることもあるようです。電子書籍データ本体に付随するメタデータは、iTunesのプロパティから変更することも可能で、その場合、iBooksには変更されたメタデータが表示されます。また、bookshelfでは、iPadにダウンロードした日付、書誌名、著者名、ジャンル名のいずれかでソートしておくことができます。

 このほか、表示方法のカスタマイズも可能で、あらかじめ用意された5つのフォントスタイルから好みのものを選び、フォントサイズも変更できます。

 気になった行にマーカーで印を付けたり、わからない単語は、その場で辞書を引いたりすることもできます。出版社が許可していれば、本の一部をコピーすることも可能です。ただし、書籍データ上にメモなどを書きこむことはできません。

 繰り返しになりますが、2010年4月現在、「iBooks」は米国でのみ提供されているサービスです。アップル日本法人のWebサイトでも「iBooks」は紹介されていません。

 



(大和 哲)

2010/4/20 12:15