第469回:Luiとは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「Lui」(ルイ)とは、NECの家庭向けのホームサーバークライアントソリューションです。また、Luiに対応した、同社製のホームサーバーなどのブランド名ともなっています。コンセプトを提唱するNECは、携帯電話メーカーでもあり、かつては国内最大手のパソコンメーカーとしても知られていた企業です。

 Luiでは、テレビチューナーを搭載した「ホームサーバーPC」と、「PCリモーター」から構成されていて、ホームサーバーPCで、録画したテレビ放送を、家庭内ネットワークのパソコンへ配信できます。PCリモーターからは、ホームサーバーPCを遠隔操作できます。

 ホームサーバーPCとしては、専用機として「Lui SX」が販売されたほか、パソコンのPCIスロットに装着する「Lui PCリモーターサーバボード」を利用することで一般のデスクトップパソコンを利用することもできます。

 PCリモーターとしては、Windows CE搭載の専用端末Lui RN、Lui RPなどが販売されているほか、同社製ノートパソコン「LaVie Light」のLuiモデルでは、Lui用端末ソフトウェアがインストールされており、これを利用してホームサーバーへアクセスできます。また、携帯電話では、2010年5月に発表されたNTTドコモの携帯電話「N-08B」にLuiクライアントが搭載されており、外出先から「N-08B」を使って家庭内のパソコンにアクセスすることもできるようになりました。「N-08B」のLui機能を利用するには、NECから無償提供予定の専用ソフトが必要です。同ソフトは、「N-08B」発売にあわせて提供され、Windows 7搭載のパソコンで利用できるようになる見込みです。

 なお、Luiという名称は、そのコンセプトである「Life with Ubiquitous Integrated solutions」から来ています。

外出先からアクセス

 家庭内のサーバーを外部端末からアクセスできるソリューションは、いくつかのメーカーから提供されています。Luiの特徴は、パソコン寄りのユーザーインターフェイスが採用されており、パソコンを日頃から使い慣れているユーザーには使いやすいことが挙げられるでしょう。

 LuiのPCリモーターからホームサーバーにアクセスしたときのユーザーインターフェイスでは、そのままサーバーPCのデスクトップ画面が表示されます。そしてPCリモーターでの操作は、キーやマウスを操作したものとして、家庭内のデスクトップパソコンに送り返されます。

 ちなみにLuiのサーバーボードには、「リモートスクリーンエンジン」と呼ばれるLSIと映像音声中継端子があり、パソコンからディスプレイへの映像出力であるDVIと音声ケーブルをここにつないで中継させています。Luiへの接続方法にはこれを利用した「リモートスクリーン」と呼ばれる画面転送方式とWindowsの仕組みを利用した「リモートデスクトップ」という転送方式が利用できます。リモートスクリーンモードでは、パソコンから出力された映像と音声を一旦サーバーボードに取り込んで、ディスプレイ出力と同じ内容をPCリモーターへ出力できます。いわば、通信回線を挟んで、遠隔でディスプレイ出力していると言っていいでしょう。

 サーバーボード上のリモートスクリーンエンジンでは、ディスプレイの内容を圧縮して送っているため、画面が速く動いた場合はブロックノイズが見えてしまうなどの弱点も存在します。ただし、Flashコンテンツ、Windows VistaのAeroなど、Windowsのリモートデスクトップが苦手とする場面もリモートスクリーンエンジンでは閲覧できるというメリットが存在します。

 またリモートスクリーンには、スクリーンイメージの拡大縮小が容易であるというメリットもあります。サーバーPCとは解像度が違うPCリモーターの画面にデスクトップ全体を表示させたりできるなど、柔軟な使い方ができます。

 



(大和 哲)

2010/6/1 14:13