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第485回:ソーシャルグラフとは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


ソーシャルグラフのイメージ図。関係性をリンクでつなぎ図式化したもの

 ソーシャルグラフとは、人間がどのように関係しているかを総合的にまとめた関係図のことです。簡単に言うと「人間関係図」といえるでしょう。

 ソーシャルグラフのグラフとは、複数のノード間をリンクでつないだ「グラフ論」のグラフのことです。つまり、複数の人間がいて、その人間同士がどのような関係性を持っているかを示すリンクでつなぎ図式化したものが、ソーシャルグラフである、ということです。

 用語としては、2007年5月に米FacebookのMark Zuckerberg氏が同社のf8デベロッパーカンファレンスで、紹介したのが、きっかけとして広まりました。Facebookは、2010年現在で約5億人のユーザーが登録されているというソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で、同氏は、Facebookの持つ個人情報から作り出すソーシャルグラフを有効活用することで、ユーザーにさらにリッチなオンラインでの関係性を享受させることができるとして紹介しています。

 このFacebookのソーシャルグラフでは、SNSの持っているデータから、ユーザー同士の友人関係や、職業での関係性、コミュニティに参加している、あるいはあるユーザーの作成コンテンツを他のユーザーがダウンロードした、などさまざまな関係性をソーシャルグラフとして構築します。

 このような、あるシステム内でのソーシャルグラフは、現在ではさまざまなSNSなどが構築しており、また、サービスによっては、それを外部に公開しているケースもあります。たとえば、GoogleのSocial Graph APIや、FacebookのGraph APIがその例です。

 日本国内では、mixiがソーシャルグラフAPI(mixi Graph API)を公開しており、mixiアプリでソーシャルグラフを利用したアプリケーション開発が可能になっています。このAPIでは、自分、あるいは他のユーザやグループからみた友人一覧やプロフィール情報、友人の中でも「同じ部署の人」「テニスサークルの人」といった特定の友人に限定してボイスのつぶやきや更新情報一覧の取得、メールアドレスをmixiにリクエストすることで、もしそのメールアドレスを登録していたユーザーが自分の友人だった際に、そのユーザーのプロフィール情報を取得する、といったことが可能になっています。

 また、もともとソーシャルグラフという言葉は、このような特定のサービス内でのソーシャルグラフを主に指していましたが、特定のサービスや企業に依存させずに、公開情報として広く社会的な共有財産として活用しようという提言もあります。

 2007年、Brad Fitzpatrick氏が「Thoughts on the Social Graph」というタイトルで提唱した考えは、その中でも最も有名なもののひとつで、これによってソーシャルグラフが注目されるようになった、という人もいます。このソーシャルグラフでは、視点として一ユーザーではなく、世界全体で人間関係をグラフ化したものと捉えられます。

 なお、このようなグルーバルなタイプのソーシャルグラフは、未だ完成したものはありませんが、いくつかのSNSの公開しているそのサービスのソーシャルグラフを取得、名寄せして、暫定的なものを作ろうという試みはいくつかのプロジェクトでなされているようです。

携帯電話でもソーシャルグラフ活用へ、元データは電話帳を活用

サンシャイン王国

 2010年9月にKDDIがサービス提供を発表した、ソーシャルゲームとポータルサイトの要素を兼ね備えた「サンシャイン王国」は、携帯電話でのソーシャルグラフ活用例のひとつです。

 このサンシャイン王国では、このサービスでは、KDDIがau携帯電話とPC向けに提供しているポータルサイト、au one My Pageで提供しているau oneアドレス帳に登録されたユーザーデータと、ソーシャルゲームとをリンクしており、携帯電話のアドレス帳のデータを、このシステムが提供するゲームでの他のユーザーとのつながりに反映できることが特徴のひとつになっています。

 携帯電話のアドレス帳であれば、そのユーザーの家族や知り合いが広く網羅されて登録されていると考えられ、ある特定のユーザーを起点にしたソーシャルグラフを作る場合、非常に網羅性の高いソーシャルグラフを記述することが可能になります。そのため、携帯電話は、ソーシャルグラフの元データとして非常に注目されています。

 応用先に関しても、今回発表を行ったKDDIでも、このサンシャイン王国に限らず、ソーシャルグラフを将来的にさまざまな分野に活用していきたいとしているなど、広がる気配を見せています。また、他の事業者の携帯電話に関しても同様なサービスが期待できるでしょう。

 



(大和 哲)

2010/9/21 12:47