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第512回:HTML5 とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 HTMLとは、“Hyper Text Markup Language”(ハイパー テキスト マークアップ ランゲージ)の略で、Webページを記述するために作られたマークアップ言語です。XMLなどのインターネットで利用される規格も標準化している組織「W3C(World Wide Web Consortium、ワールドワイドウェブコンソーシアム)」によって標準化されています。

 今回紹介する「HTML5」は、HTMLの最新版にあたる改訂第5版のことです。標準化団体のW3Cが“WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)コミュニティ”と共同で策定中です。2008年5月にドラフト版(草案)が発表され、2012年ごろ正式に規格として勧告される予定になっています。

 

Webアプリをより高機能に

 HTML5の特徴は、“Webアプリケーション”を開発するためにさまざまな拡張も合わせて規定していることです。

 当初のHTMLは、Webの作り方としては主流だった「静的Webコンテンツ」を作成するための機能が主に定義されてきました。つまり、あらかじめ表示したいコンテンツのテキストと画像をサーバーに格納しておき、そのままページとしてみせるためのデータが、HTMLでは作られていたわけです。

 しかし、Web上では、さまざまなアプリケーションが作られるようになりました。なかでも、HTML5の策定内容に大きな影響を与えたのは、JavaScriptとCSS(Cascading Style Sheets、カスケーディングスタイルシート)の応用でしょう。JavaScriptは、HTMLの中にプログラムを書いておくことで、エンドユーザーが使うコンピュータ(コンテンツを表示する端末側コンピュータ)がそのプログラムを実行できます。そうしたプログラムを組み合わせることで、ユーザーのコンピューター上では、表示内容が切り替わっていくDynamicHTMLやAJAXという技法が広く使われるようになりました。

 これらが広く使われるようになると、それまで端末にソフトウェアをインストールして行っていた事柄は、Webサイトへアクセスするだけで、同じようなことができるようになったり、クラウド上でアプリケーションを実行させたりするなど、さまざまなWebアプリケーションが実現するようになってきています。現在では、GoogleのGmail、Googleドキュメントといったアプリケーションは、メールソフトやオフィス文書ソフトの機能を、Webブラウザ上で利用できるアプリに置き換えることに成功しています。

 「HTML5」で期待されているのは、そうしたWebアプリケーションに関連する機能です。具体的には、以下のような機能が、HTML5およびその周辺技術として定義される予定になっています。


キャンバス機能
 HTML5のCanvasタグを使って、Webをキャンバスとして2Dグラフィックを描くことが可能になりました。折れ線グラフの描画など、従来よりも自由度の高いグラフィック表示が可能になります。

動画・音声再生
 Video、Audioというようなタグが定義され、Webコンテンツ中で動画音声再生が可能になります。これにより、Flash PlayerやQuickTimeなどがなければ再生できない、ということは減少するでしょう。

ストレージ機能
 HTML5では、ローカル(ユーザーが使うコンピュータ内部)にさまざまなデータを保管しておくことができます。これまでの簡単なメモ程度の情報しか残せなかったCookieと比べると、大きなデータ、ファイルをそのまま端末側に保存できる機能が使えることになります。たとえばWebアプリで作成した文書や画像などをそのまま端末に残すことができるようになります。

Web Workers
 JavaScriptをバックグラウンドで別の処理をするような機能です。これまでのJavaScriptでは何かを処理をしながら、“裏で別の処理をする”というようなアプリケーションを書くのが非常に難しく、Webアプリ開発での制約事項となっていました。HTML5では、Webアプリはさらに一般的なアプリに機能的にも近づくことになるでしょう。

 ほかにもフォーム機能の強化、文書に意味をもたせるセマンティックな構造なども特徴に挙げることができます。

 

モバイルでも同様、ブラウザによって未対応機能も

 HTML5は、標準の機能として定義されますから、「あのブラウザではこのWebアプリが実行できるがこちらではできない」というようなことがなくなることが期待されます。また、FlashやSilverlight、ActiveXといったプラグインがなければ実行できなかった機能も多くのブラウザで実行できるようになると期待されています。

 スマートフォンでも、Android標準のブラウザや、iPhoneのSafari、Windows PhoneのInternet Explorerといったブラウザでは、HTML5のCanvasタグで描かれた画像、Videoの再生、ストレージを使ったアプリケーションが使えるようになるでしょう。

 2011年4月現在、iPhoneやiPadのSafariに使われているHTMLエンジンの「WebKit」は、HTML5の一部機能に対応しています。Android標準のWebブラウザも同じようにHTML5の機能の一部を利用できます。たとえば、Canvas機能はAndroid 1.6以上で、Video機能はAndroid 2.1以上で利用できます。

 パソコン向けWebブラウザでも、既に多くのブラウザがHTML5の一部機能に対応しています。たとえば、マイクロソフトの最新版WebブラウザInternet Explorer 9と、次のInternet Explorer 10ではHTML5に対応するとして、デモを披露するサイト「Beauty of the web」も公開しています。アップルも「HTML5 ShowcaseというサイトでHTML5コンテンツのデモを披露しています。このサイトはiPadやiPhoneでも閲覧できます。

 

(大和 哲)

2011/4/20 12:38