第536回:iCloudとは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「iCloud」は、iPhoneのOSの最新バージョン「iOS5」で利用できるオンラインサービスです。2011年10月より提供されています。iOS 5がインストールされたiPhoneやiPad、iPod touchが無料で利用できます。

 MacやWindowsといったパソコンのソフト「iTunes」で購入したアプリなどを、自動的にiPhoneやiPod touchなどに同期させたり、これらのデバイスと無線LANを使って同期などを行えます。たとえば、iPhoneで写真を撮るだけで、他のiPod touchに同じ写真が入る、というようなことができるようになるのです。

 

Mobile Meからの機能も一部継承

 iCloudが提供するサービスは、大きく分けて4つになります。

 

▼クラウドサービス(iTunes in the cloud)
 iTunesで購入した音楽、アプリ、電子書籍といったコンテンツが、インターネット上のクラウドサービスに保存されます。これまでパソコン内のiTunesで使う、といった形でしたが、その一部がクラウドに移動したと思えばいいでしょう。アップルの説明では「iTunes in the Cloud」とされています。

 クラウドに保存されているアプリなどを、インターネットに接続できる環境であれば、iPhoneやiPadなどで、いつでもどこでも利用できます。

 iCloudには過去に購入したアプリ、および電子書籍(米国では加えて音楽、テレビ番組)の記録が残されています。もしiOSデバイス、あるいはコンピュータから削除してしまっても、無料で再度ダウンロードできます。

 ただし、再ダウンロード時に、以前購入した項目がiTunes Storeから削除されるなど、なくなっていた場合は、ダウンロードできないことがあります。また、音楽やテレビ番組に関しては、日本国内ではクラウドを使った同期はできません。

 

▼写真を同期する機能
 「Photo Stream」と呼ばれる機能は、iPhoneやiPod touch、iPadで撮影した写真を自動的にクラウド上のストレージにアップロードします。そして、iPhoneなど紐付けされている他のiOSデバイスにも自動的に配信します。

 カメラからコンピュータに取り込んだ写真をiCloudへアップロードし、iOSデバイスに自動ダウンロードさせることも可能です。パソコンに同期された写真はすべて保管されるますが、iPhoneなどのiOSデバイスに同期された写真は、最新の1000枚までが表示されるようになっています。また、iCloud上では、新着写真は最大30日保管されるようになっています。

 

▼ドキュメントもクラウドに
 iPhone、iPad、iPod touchで作成した作成した文書をデバイス間で同期するようにして、いつでもその文書の最新版を各デバイスで閲覧したり、編集したりできます。対応しているソフトはiOS向けのビジネスアプリ「Pages」「Keynote」「Numbers」などとなっています。

 

▼iOS 5 搭載の iPhone、iPad、および iPod touch 同士のWi-Fi同期
 iPhone、iPad、およびiPod touchといったiOS5デバイスが同じWi-Fiネットワーク上にあれば、それらとiTunesがWi-Fi経由で同期できます。

 また、他にも、既存サービスの「Mobile Me」で実現されていたメール、連絡先、カレンダー、ブックマークの同期、iPhone検索などの機能も利用できます。Mobile Meは有料サービスでしたが、iCloudでは無料で使えるようになったわけです。

 iCloudを使用するには、iOS 5が必要です。これまでの機種ではiOS 5にアップデートする必要があります。またパソコンも必要です。

 さらにiTunesも最新版にしておく必要があります。iOS搭載端末をWi-Fi経由で同期するには、最初にコンピュータとケーブルで接続し、オプションから同期設定を行う、といった手順になります。

 




(大和 哲)

2011/10/19 06:00