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第558回:VoLTE とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 NTTドコモの「Xi」や、イー・モバイルの「EMOBILE LTE」といった新しい世代の通信で利用されている規格「LTE」。今回紹介する「VoLTE」は、このLTE上での音声通話を実現する技術です。その名称は英語で「LTE上の音声」を意味する“Voice over LTE”からきています。

 LTEでは、これまでの携帯電話の通話機能で利用している回線交換網がなく、全てのデータ通信をパケット網を使って処理しています。そのため、たとえばNTTドコモのXi対応スマートフォンでは、Xiネットワークに繋がっている場合でも、音声通話をする場合は、自動的に3Gネットワークに切り替えて、従来の回線交換網を経由しています。この技術は、「CSフォールバック(Circuit Switched Fall Back、CSFB、回線交換フォールバック)」と呼ばれています。

 CSフォールバックは、3GPPで定められた、LTEの標準的なオプションで、LTEからW-CDMA、CDMA2000 1X、GSMなどへの切り替え方法が定められており、海外でも採用されています。CSフォールバックで通話ができれば問題ないと思われるかもしれませんが、世界の携帯電話事業者では、周波数をもっと効率的に利用するため、LTEなど、より高速な通信ネットワークを採用し、さらなるネットワークの高度化をはかる方向になっています。そうした状況になっても当然のことながら、通話サービスは必要です。LTEが本格的に普及する時代に向けて、新たな音声通話技術として注目されているのが「VoLTE」なのです。

 “Vo……”と聞けば、インターネット上で音声通話ができる「VoIP」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。「VoIP」とは、IPパケット通信で音声を運ぶ技術のことです。

 一方「VoLTE」は、VoIPをLTEのネットワーク上で実現しよう、というものです。携帯電話上でデジタル化された音声データがそのままLTEのネットワークで送受信されるようになり、基地局以降のコアネットワークでも、そのままIPデータ通信の仕組みを使います。

 LTE対応の携帯電話で音声通話を実現する方式は、先述したCSフォールバックのほかにも存在しています。国や通信事業者によって複数の方式が別々に利用されると、国際ローミングの実現などで課題が残ります。携帯電話事象者のネットワークは、回線交換中心のネットワークから、オールIP化したIPマルチメディアサブシステム(IP Multimedia Subsystem、IMS)というシステムに移行しつつあり、LTEでの通話機能は最終的にCSフォールバックなどから、IMSを利用してVoLTEで提供することが想定されています。3GよりもLTEのほうが無線の周波数利用効率が高く、ユーザー数を2〜3倍程度まで多く収容することができ、回線の混雑をより解消しやすくなることなどが期待できます。

米ベライゾンなどが近々開始へ

 VoLTEに関しては、国内よりも海外の携帯電話事業者の方が利用が早く進みそうで、たとえば米国ベライゾンワイヤレス(Verizon Wireless)では、当初はLTEの通話にはCSフォールバックを利用しつつ、2012年中にVoLTEでの音声サービスを開始する意向を示しています。

 日本国内でも、NTTドコモが将来的にVoLTEを導入する方針を示しています。

 なお、VoLTEに関しては、以前から「One Voice Initiative」として携帯電話事業者、端末・通信機器メーカーがとして次世代の通信規格である「LTE」で音声通話サービスやSMSサービスを実現するための仕様をまとめ、「One Voice; Voice over IMS profile」仕様を作成していました。

 それを引き継ぐ形で携帯通信事業者の業界団体「GSM Association」が、VoLTEの標準策定を進めています。




(大和 哲)

2012/4/3 11:07