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第578回:MirrorLink とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「MirrorLink」は、スマートフォンのようなモバイル機器と車載AV機器との通信接続に関する規格の1つです。かつては“Terminal Mode(ターミナルモード)”という名前でも知られていました。

 簡単に言えば、MirrorLinkは、


「自動車に車載した対応オーディオに」
「カーオーディオとスマートフォンをケーブルで繋ぐと」
「カーオーディオの画面やハンドルについたボタンからスマートフォンを操作でき」
「逆にスマートフォンを操作してもカーオーディオの画面に反映される」

ということを実現するための規格です。

 言い換えれば、車にスマートフォンを接続すれば、カーラジオのように、手軽にスマートフォンを操作できるようにする技術ということになるでしょう。

 MirrorLink対応の車載ディスプレイオーディオは、ディスプレイ付きのカーオーディオでしかないのですが、ここにMirrorLink対応スマートフォンを持ち込むことで、スマートフォンのディスプレイとして利用できるようになります。

 さらに、スマートフォンへインストールしたMirrorLink対応アプリもカーオーディオのディスプレイ上で利用できるようになります。たとえば、Twitterのタイムラインを見たり、ニュースを読み上げたり、あるいは、カーナビの代わりとして使うことが可能になるのです。

 ちなみに、このMirrorLinkの現在の規格のバージョンは1.01です。

日本でも対応機器が発売に

 2011年11月には、「MirrorLink」に対応したカーオーディオが欧州で発売されました。またノキアからMirrorLink対応の携帯電話も発売されました。このように、これまでは海外で対応製品が登場していたのですが、いよいよ日本でもMirrorLink対応機器が発売されることが、8月24日、パナソニック オートモーティブシステムズから発表されました。

 MirrorLink対応の車載オーディオとしては、パナソニック オートモーティブシステムズがトヨタ自動車に納入しているディスプレイ・オーディオ「スマホナビ対応ディスプレイ(DAN-W62)」が存在します。一方、対応のスマートフォンとしてはパナソニックのAndroidスマートフォン「ELUGA V P-06D」があります。

 「スマホナビ対応ディスプレイ」は、AM/FMラジオにワイドVGAの7V型カラーTFTディスプレイを搭載したカーラジオで、対応スマートフォンとの接続が可能です。

 スマートフォンである「ELUGA V」に専用アプリ「AppCarConnect JPN」をGoogle Playからインストールし、「スマホナビ対応ディスプレイ」にUSBケーブルで接続すると、「ELUGA V」内の対応アプリケーションをカーオーディオから操作することができるようになります。

 AppCarConnect JPNは無料で提供されます。またMirrorLink対応アプリとしては「Facebook」、「Tweet in vehicle」、「Yahoo!ニュース音声読上げアプリ」、ナビアプリ「NAVIelite」などが提供されます。

 MirrorLinkで使えるアプリは。いずれもMirrorLink対応アプリとなります。これは、運転時の安全性を考慮し、車内での操作が複雑にならないよう、専用のシンプルなユーザーインターフェイスを備えたアプリしか使えないようになっているためです。

汎用性のある技術でスマートフォンを車に接続

 「MirrorLink」は、米国の組織であるカー・コネクティビティー・コンソーシアム(CCC)が策定している規格です。CCCには、アルパイン、台湾HTC、韓国LGエレクトロニクス、クラリオン、KDDI、韓国現代自動車、韓国サムスン電子、米ゼネラルモーターズ、ソニー、独ダイムラー、米デルファイ、デンソー、トヨタ自動車、フィンランドのノキア、パナソニック、独フォルクスワーゲン、本田技術研究所、三菱電機、ルネサス エレクトロニクスなどが参加しています。

 技術的に言えば、MirrorLinkの特徴の1つは、すでに現在普及している規格を取り入れて、使い勝手よく、スマートフォンなどをカーオーディオと一体化している点にあると言えます。そうした汎用的な技術の例として、たとえば車と、スマートフォンのような情報端末の接続は、BluetoothやUSB、あるいはWi-Fiなど、よく知られている方法で接続します。またアプリケーションへのアクセスコントロールには、パソコンでよく利用されているUPnP(Universal Plug and Play)が使われています。情報機器からのオーディオデータのストリーミングにはRTP(Real-Time Protocol)という、これもまたよく知られた方法が使用されています。

 簡単に言うと、MirrorLinkは、その名称通り、情報端末に表示された画面をそのまま、車載機器のディスプレイに“鏡のようにそのまま映す”という仕組みです。さらに、カーオーディオでのアプリへの操作を情報端末に伝えます。パソコンで言えばリモートデスクトップのように、あるパソコンの画面が、他のパソコンの画面に映し出されて、そこで操作できるようなイメージです。パソコンのリモートデスクトップとして有名なVNCというソフトがあるのですが、MirrorLinkにはVNCの技術も取り入れられています。




(大和 哲)

2012/9/4 11:50